アンペイドワークを考…

こんにちは!篠原くるみです。

「アンペイドワーク(家事・育児などの無償労働)の分担」と「女性の経済・社会的エンパワーメント」の関係、そして、それらを取り巻く社会構造について考える、シリーズ全3回中の3回目です。

#1では、「男女の収入格差」に注目し、ジェンダーギャップの背景には「(家事や育児などの)アンペイドワークは女性がするもの」という前提が置かれていること、そして、それに付随する「女性は賃金労働を(そこまで)しなくてよい」という「期待値下げ」があることをお伝えしました。

#2では、性別役割分担が形を変えつつも受け継がれ続けている現在の社会構造について説明し、そこから抜け出すことは個人の努力では難しいことを説明しました。そして、それを踏まえた上で、性別役割分担のアンフェアさを直視し、女性を社会から排除することにつながる「期待値下げ」をなくす必要があること、そしてそれは誰にとっても無関係ではないということをお伝えしました。

今回は、わたし自身のアンペイドワークの分担についてご紹介し、どんな人でもジェンダーギャップの解消に向けたアクションを取ることができるというお話しをしたいと思います。

前回までの投稿はコチラ↓
アンペイドワークを考える#1 – 世界156カ国中120位!ジェンダーギャップを埋めるためのキーポイントは「女性への期待値下げ」
アンペイドワークを考える#2 – 性別役割分担から抜け出すのは超ハードモード!それでも「女性への期待値下げ」がどんな人にも無関係ではない理由

わたしにとっての家事分担とは、時間をフェアに分けること

2021年7月現在、わたしは配偶者(夫)、娘3人(小5・小1・保育園年中)との5人暮らしをしています。
夫とはアンペイドワークを 50/50 で分け合っています。コロナウイルスによる昨年の休校・自粛生活をきっかけに、土日も含め日毎にかっちりシフトを決める完全折半制になりました。
共有カレンダーアプリに希望日を入れて、2週間単位で7日ずつ担当します。「予定を入れたいので火曜と木曜代わってもらえませんか?」のような感じなので、「バイトのシフト」という表現がしっくりきています(無給)。
うちの場合は、「気づいた人がやる」「できる人ができる時に」といった抽象度の高いシステムでは何度も紛争になり(だいたいどちらも自分ばかりやっていると思っている)、約10年の紆余曲折を経てようやくこの形に落ち着きました。
ポイントは、家事をタスク別に分担するのではなく、時間をフェアに分けるという概念に辿りついたことだったのかなと思います。

みなさんの毎日は、AとBどちらで回っていますか?

A 24時間365日 − 仕事 = フリータイム(アンペイドワーク含む)
B 24時間365日 − アンペイドワーク = フリータイム(仕事含む)

学生さんや一人暮らしの方、お子さんがいない方は、Aという方が多いのではないでしょうか?
お子さんがいる家庭では、出産後にママがBに移行し、パパがAのままというパターンが多いのかなと思います。
まさしくうちの場合も、2人目の保育園入園(6年前)まで「朝〜保育園送り:夫、お迎え〜夜:妻」というよくある分担をしていて、わたしがB、夫はAでした。
その当時、夫はよく「家事も育児もやれるときにできるだけやっている」という主張をしていて、わたしにはどうしてもこれが納得できず…
(具体的には、育児関連のタスクの優先度が仕事より低いため、「やれるとき」「できるだけ」の範疇に収まらないとき、例えば「明日の朝会議が入ったから保育園の送りヨロシク」みたいなことが度々発生。こちらがお迎えを代わってもらいたくてもそんな急に&軽く依頼できないし、どうせ断られると思っているので親にお願いしたり、という感じでした。)
本当に言い争いも含めたくさん話し合いをしていたのですが、時間の使い方の概念がそもそも違うので、全く噛み合っていなかったなと思います。

私:「働き方に制約を受けるのはなぜわたしだけ?夫は独身時代とさして変わらないスタイルで仕事できていてズルい!!(嫉妬)」
夫:「家族のために一生懸命仕事をして、それ以外の時間で家事も育児もできるだけやっているのに、文句言われてしんどいな〜」

↑ここで起きていること、それは「性別役割分担への認識のズレ」です。

夫:「男は仕事」なんだから、自分のやるべきことは仕事を優先してやることと思っている。なぜ妻が怒っているのかわからない。
私:「仕事をするのに性別は関係ないのでは?”男の仕事”ってわたしのキャリアを踏み台にしてまでやることなの?2人の子どもなんだから、フェアに2人ともBに移行しようよ」が何を言っても伝わらない..!

…という感じでしょうか。一生交わらない平行線ですね。

粘り強い交渉の結果、時間の使い方の概念をお互い次のように合わせたうえで、アンペイドワークを折半することにしました。

C 24時間365日 − 仕事(定時) − アンペイドワーク(週あたり一人3.5日ぶん) = フリータイム

アンペイドワークを折半することで、以前の分担に比べてわたしの持ち分はかなり軽くなりました。一方で、夫は負担が増えたことになります。どう思っているのか聞いたことがなかったので、今更ながら本人に聞いてみました。

「家事や育児に参画することによって子供達から得られているパワーがあるから、むしろ全然プラスが大きい」

…!!!パワー!!!
あまりにも教科書通りすぎる回答だったのでもうちょっと聞いてみると、

  • 初めは会社の人からどう思われるか不安だった
  • 定時で帰る代わりに朝早く行ったりとか、その分大変だったこともある(これはわたしも全く同じです)
  • 会社の人にお互い頑張っているところを見てもらえていたので、環境的に恵まれていたかもしれない(うちは社内結婚でした)
  • 家事や育児をすることで絶対いいことがあるから、みんなやったらいいのに.. と思う
  • 一方で、若い人に話を聞くと、育休を取ったり定時上がりすることに対して周囲の人に悪いなと思っている、そう思わせてしまう雰囲気がある
  • 雰囲気を作るのは我々の世代のやることなので、ワークライフバランスのセミナーを受けている

そうなんだ、、ものすごい言語化&行動できていて素晴らしいですね。彼はイクボスになりそうですよ..!!

いま、うちでは家庭内で発生するアンペイドワークを「お互いやるべき”自分ごと”」という認識を共有しています。
結果的に持ち時間が同じになるフリータイムには、がっつり仕事をやってもいいし、副業、勉強、セミナー受講、ジムや美術館や映画館に行く、動画を見る、本を読む、寝まくる、何もしないなどなど、それぞれ自由に使える時間を持つことができています。
ソフト(感情)面では、「なんで自分ばっかり..」と感じていた時期よりも、子どもたちと過ごす時間や、家事の中でも好きなことをしている時間が楽しく貴重なものになりました。

「Bで全く問題なし!」「パートナーはAの時間配分でよくやってくれてるからじゅうぶんだよ」とお互いに思えているなら全然それでOKなんです。
ただ、パートナー間で時間配分の概念ズレ、性別役割分担への認識ズレがあると、いくら物理的に家事分担・家事シェアをしようとしてもあまり納得のいく結果にはならないのではと、自分の経験を通じて思うのです。

推し(先生)の料理動画を見ながら料理中の夫。スキルの発展が目覚ましいです。わたしも料理は好き。実験に似ているので、特に理系の人やものづくり好きな人は好きなのではと思います..!

物理的な分担量はさておき、初期値は 50/50 にしませんか

さて、ここで自分の例を出して言いたかったことは、全ての家庭でアンペイドワークの分担を 50/50 にしなければならないということではありません。それぞれの家庭での納得感やベストバランスがあるはずで、そこに落ち着けばハッピーです。
ただ、性別という生まれ持ったどうにもならない属性を理由として、多くの家庭でアンペイドワーク分担の初期値に大きな偏りがあること、そしてそれをデフォルトとして受け止めている社会は、歪んでいるとわたしは思います。

わたし自身は、親が性別役割分担をしている家庭で育ちました。
両親はわたしと妹に「女の子だから..」という制限をかけたことは一度もなく、習い事や進路について「やりたい」と言ったことは全て肯定してくれました。幸運だったと思います。ジェンダー平等という観点で何かを伝えられたことはないし、母も父も特別その意識はなかったと思います。しかし、制限をかけずに育ててもらったおかげで、性別役割分担を強いてくる社会に放り込まれたときに「おかしい」と気付くことができ、現状打破のために夫や上司に交渉する力を持つことができたと思っています。
一方で、アンペイドワークについては特に意識することなく育ち、結婚した当初はなんとなく「自分がやるもの」と思っていて、数多くの選択ミスをしました。そして、そのままズルズルと社会構造へ飲み込まれてしまった時期がありました。選択ミスとは、「そんなに望んでいない」ことを「女性は/母親はこうするものだから」と変換して選んでしまったことです。今思えば、親に正当に期待をしてもらって素直に頑張ってきた自分と、性別に期待される役割イメージとのギャップで、摩擦を起こしていたんですね。

「期待値下げ」をなくすには、女の子へのエンパワーメントだけでは不十分です。
人生で起きる数々の選択をポジティブでフェアなものにするために「アンペイドワークを分けあう」意識がどうしても必要になってきます。
#2 でお伝えした通り、アンペイドワークをめぐる社会構造から抜け出すことは容易ではありません。家庭の問題や個人の問題として矮小化せず、社会全体で、問題に気づいた人から手を取り合い協力していく必要があります。
アンペイドワークのほとんどは、生まれ持った性差から離すことのできないものではありません。
それから、アンペイドワークも賃金労働も、どちらも人が生きるために必要なことと捉えれば、(心と身体に無理のない範囲という条件で)どんな人でもやるべきことで、誰にでもやる権利と義務があるはずです。

もちろん、さまざまな環境で「アンペイドワークを分け合う」ことが難しい場合もあるし、積極的な選択の結果として性別役割分担をしている家庭もあるでしょう。ですが、自分が性別役割分担の解消を実践できない/しないからといって何もできないということはなく、子供達に何を伝えていくのかが大事だと思います。
女の子には「必要以上にアンペイドワークを担う必要はないし、それを前提として将来を決めなくてよい」ということ、それから男の子には、「女性があなたの分のアンペイドワークをしてくれることは当然ではない」ということ、そして全ての子どもたちに「パートナーを見つけるなら、その人とフェアに協力し合える未来を描こう」と伝えていければいいなと思います。

『世界を変えた50人の女性科学者たち』
すごくエンパワーしてもらえると同時に、女性差別の歴史がよくわかり胸が痛くもなる本です。今では考えられないほどに女性の地位が低かった時代においても、周囲の人間が「期待値下げをしなかったこと」がいかに女性の可能性を広げたかがよくわかると思います。

ジェンダーギャップをなくすためにできること

ジェンダーギャップの解消に必要なこと。
マクロ・ミクロを問わず本当にいくらでもできることはあるし、どんなことにトライしてもいい。ジェンダーギャップを解消した国は世界にひとつもありません。誰もが試行錯誤の途中で、完全解がない問題だからこそ、どんなことにもトライする価値があります。

なかでも、一番シンプルで大切なこと、そしてわたしたちがボトムアップできること、それは「自分の半径5m以内のジェンダーギャップを解消すること」です。

ジェンダーギャップをなくすために誰もが今すぐにできること、それは「女の子への期待値下げをなくすこと」です。
それと同時に、「アンペイドワークの初期値をみんなで分け合う意識」が必要です。
アンペイドワークはみんなのもの。毎日を生きるために、誰もが必要とすることです。だからこそ、掃除当番とか給食当番みたいに、もっと普通にみんなで分け合えればいいなと思います。

アンペイドワークの初期値をみんなで分け合う意識があれば、性別役割分担の意識が薄れていくでしょう。
自分が性別役割分担をしているかしていないか、したいかしたくないかはこの際置いておきましょう。あなた個人がどんな人生を生きるかと、「女だから」「男だから」を前提に置いた社会構造を見直していこうという気持ちやアクションは別物です。

性別によらずアンペイドワークを自分のものとしたうえで、誰もが生きるために必要な力を身につけよう。もし誰かと生活を共にすることがあるなら、お互いのキャリアや人生を尊重し合い、フェアな関係を築こう。
みんなでそんな社会をつくることができれば、ジェンダーギャップを埋めていくことができるはずです。


#3のまとめ

  • ジェンダーギャップをなくすために誰もができることは、半径5m以内のジェンダーギャップを解消すること。
  • 社会の共通認識として、「女の子への期待値下げ」をなくしていきたい。
  • そのために「アンペイドワークをみんなで分けあう」意識が必要。
  • アンペイドワークも賃金労働も、どちらも人が生きるために必要なことで、どんな人でもやるべきこと。もっと普通にみんなで分け合えればいい。
  • 家庭で性別役割分担をしているかどうかと、子供達に何を伝えるかは別問題。
  • 女の子には「必要以上にアンペイドワークを担う必要はないし、それを前提として将来を決めなくてよい」、全ての子どもたちに「パートナーを見つけるなら、フェアに協力し合える未来を描こう」と伝えていけるといい。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

最後に素敵な動画をシェアします。小さな女の子たちが、彼女たちを取り巻く社会構造 — 大人たちからの「期待のジェンダーギャップ」に対して問題提起をしてくれます。そして、可能性を信じて夢を描くために、全ての人の協力が必要だと伝えてくれます。わたしもその一員として、できることをやっていきたいと思っています!

Barbie — The Dream Gap Project

アンペイドワークを考…

こんにちは!篠原くるみです。
「アンペイドワーク(家事・育児などの無償労働)の分担」と「女性の経済・社会的エンパワーメント」の関係、そして、それらを取り巻く社会構造について考える、シリーズ全3回中の2回目です。
#1 では、収入格差に注目し、ジェンダーギャップの背景には「(家事や育児などの)アンペイドワークは女性がするもの」という前提が置かれていること、また、それに付随して「女性は賃金労働を(そこまで)しなくてよい」という「期待値下げ」があることをお伝えしました。そして、女性の経済的エンパワーへの期待値下げをするべきか?この認識を社会レベルで合わせていく必要があるという話をしました。
今回は、なぜ性別役割分担が受け継がれ続けているのか?性別役割分担を見直す必要があるのはなぜか?そして、なぜこの問題が誰にとっても無関係でないかについてお伝えしたいと思います。

性別役割分担のループ構造から抜け出すのは超ハードモード!

まず、なぜ女性が主にアンペイドワークを担うという構造ができているのか?を考えてみたいと思います。
社会制度的に女性と男性が同じ権利を持っていなかった時代(参政権などは終戦後の1946年に男女同権へ)を経て、職場における性差別を禁じる法律(男女雇用機会均等法、1985年)ができてからおよそ40年が経っています。
女性が高等教育を受けることが珍しくなくなり、セクハラ・パワハラが問題視され、産休・育休を経ても仕事を続ける女性が増えてきた現代においても、「男は仕事・女は家庭」が微妙に形を変えつつも受け継がれ続けているのはなぜでしょうか?
現在の社会ではこうなっているのではないかという観点でまとめてみます。

①:生物学的機能からスライド
出産をするのは女性です。どんなに体力のある人でも何週間かはこの命をかけるライフイベントにかかりきりになります。妊活に専念することを選ぶ人もいるでしょう。
これだけは生物学的な性によるもので、どうしても「性別役割分担」から引き剥がせない役割です。
この妊娠・出産という生物学的機能から、「その期間家にいた人がアンペイドワークをやり、その後も引き続きやる」という役割分担にスライドしがちです。

スライドした先では、次の②〜④のループが待っています。
次の②〜④は、全て「鶏が先か卵が先か」の問題(どちらが先かわからない因果性のジレンマ)であることに注目して見ていきたいと思います。

②:収入の少ない人がアンペイドワークを担うループ
退職・休職などでいったん仕事から離れると、大抵はキャリアを積み重ねてきた人と同等の条件で労働市場へ復帰することは難しくなります。世帯収入という観点で見ると、ある時点で収入の多い方がそのまま賃金労働に徹した方が合理的という判断をするケースも少なくないでしょう。
一方で、アンペイドワークを担うことが前提となっている人は、拘束時間や休みやすさ、不測の対応を避けるなど、融通を優先し報酬面やキャリアアップ面の条件を下げた仕事を選択することもありそうです。

→ 収入やキャリアの低い方がアンペイドワークをやるべき?アンペイドワークを抱えているから収入やキャリアを上げにくい?

③:アンペイドワークを担う人はそれ以外のことにチャレンジしづらいループ
アンペイドワークを多く担う人は物理的に時間がなくなるので、時間配分を崩す必要があることに踏み込みづらくなります。チャレンジができなければ、新しいことを始めにくくなるし、仕事では収入やポジションを上げることが難しくなっていきます。その結果、世帯単位で見たときに収入やキャリアの低い方がアンペイドワークを担うことになります(→②へ)。

→ アンペイドワークを抱えているからチャレンジできない?チャレンジできないから収入やポジションが上がらず、アンペイドワークを担うことが合理的になる?

④:普段アンペイドワークをやらない人がやったところでうまくできないループ
逆に、普段アンペイドワークをしない人が家事や育児をしようとしても、勝手がわからなかったり、いつもやっている人と同じようにはできないことが多いと思います。ここで、「やり方がダメ」「私がやった方が早い」などと「アンペイドワークマウント」を取られてしまったら.. 次もやろうとはなかなか思えないですね。

→ アンペイドワークをやらないからうまくできない?「マウント」を取られるのでやりづらくなって、やらない?

また、次のような影響もあるでしょう。
⑤:外部要因により与えられるイメージループ
子供たちは本当に素直なもので、絵本やテレビなど周りにあるものからのメッセージをそのまま受け取ります。特に、絵本はかなり昔から増版されているものが多く、「エプロンをつけたお母さん」「ネクタイを締めたお父さん」がアイコン的に描かれるものも多いです。誰もが知っている長寿アニメは性別役割分担が当たり前に描かれているものが多く、バラエティ番組などでは「男は/女は」というステレオタイプ自体がネタになっている企画も普通に見られます。
その一方で、最近では性別役割分担やジェンダー平等の描写に配慮したコンテンツも多くなってきてはいます(特に炎上の対象になりやすいCM)。
個別のコンテンツの是非は複雑になるのでここでは扱いませんが、見たものを素直に受け取る子供たちは、性別役割分担やジェンダーに対する固定観念を「そういうもの」だと思い、友達と共有し同調し温存します。そして、「そういうもの」と思って育った大人が、今度は制作側になり、価値観を再生産することになります。

→ 子供たちは大人の価値観を受け継ぎ、成長するとそれを発信する側になる。

このような複雑なループ構造が回り続けている社会においては、ある側面からは性別役割分担が合理的に見えることもあると思います。そして、性別役割分担を前提とする以上、ジェンダー間の経済格差・社会的格差を埋めることはかなり厳しいとお分かりいただけると思います。これは何重にも重なった複雑なループ構造で、個人のやる気や能力といったミクロな要素だけでは説明できない「社会構造」なのです。
ではこの構造、本当に合理的、あるいはあるべき姿だと思いますか?

①:生物学的機能からスライド でお伝えした通り、妊娠・出産という機能だけは、性別役割分担から切り離すことができません。
一方で、それ以外のアンペイドワーク、例えば、料理をする・掃除をする・子供を寝かしつける.. は生まれ持った生物学的な性差と結びついたものではありません。それにもかかわらず、このループ構造の中で、いつの間にか「女性がするもの」へと流れ着いています。その結果として「女性が経済力や社会的地位を得にくい」構造ができあがっていると考えることができます。

わたしは、すべての男性が女性にアンペイドワークを強引に押し付けているわけではないし、すべての女性がものすごく積極的にほとんどのアンペイドワークを買って出たいわけでもないと思っています。なのに、女性側に結びつけられるアンペイドワークがいつの間にか膨れ上がり、この役割分担が「当たり前」で「普通」で「デフォルト」になってしまっているのです。

さて、ここでこの社会構造についてまとめたのは、「性別役割分担はなくならない、ジェンダーの平等なんて無理なんだよ」と言いたいからではありません。
既存の社会構造に抗うことはなかなか難しいのですが、まずはその第一歩として敵を知ることが重要だからです。
「敵」とは、家事をやってくれないパートナーでも、わかってくれない上司でも、何もできない自分でもなく、こんな無理ゲーを強いてくる「社会構造」です。まずはこの構造を理解し、問題点を整理したうえで突破口を探り、本来の自分自身の価値観をもとに人生の選択を積み重ねていく必要があります。

なぜ性別役割分担意識を見直すべきなのか?

わたし個人としては、「男は仕事、女は家庭」という考えには反対です。少なくとも、何も考えずこのまま次世代に引き継いでいいものではないと思っています。
人生は物語ではないので、好きな人と結ばれてハッピーエンド♡ではないですね。むしろその後の期間の方が長いことが多いでしょう。パートナーの収入をあてにして生きていくことができなくなるかもしれません。
そのとき、すでにある財産は分割できますが、それまでの期間に積み上げてきたキャリアは分割できません。
ここに、性別役割分担のアンフェアさがあります。アンペイドワークに日々時間を費やすことは、この先の人生における稼得能力、その長期にわたる蓄積を手放してしまうことと同等であることに、どんな人も目を瞑ってはいけないと思います。
人生を持続可能なものにするためには、経済的な自立意識が必要です。では、あまり自立意識を持っていない女性が多いように見えるのはなぜなのか?それはまさに、期待値を下げられているからだとわたしは思います。

「配慮」という名の「排除」

ここで、③:アンペイドワークを担う人はそれ以外のことにチャレンジできないループ に戻ってみましょう。
アンペイドワークを担う人のことを第三者が見たとき、例えば、上司が子持ちの女性社員を評価するときに、「お子さんがまだ小さいから、チャレンジはできないよね/させるのはかわいそう」という視点になることがあります。このように評価者による「期待値下げ」が発生した結果、収入やポジションが上がらないという側面があると思います。(本人は、期待されていないなぁと感じてしまうと、モチベーションを維持することが難しくなってしまうでしょう。)
ある属性の持つ傾向をもとに一律に処遇することを「統計的差別」といいますが、その一例として挙げられるのが2018年に発覚した医大の女子受験生差別事件。「いま現在アンペイドワークを担っている」ではなくて、「将来的に担うかもしれない人」が、入り口の段階で排除された事例です。

ここまで組織的で悪質なケースはレアなんじゃないの?と感じる人もいるかもしれません。
では、「女の子だから」地元を出ないほうがいい。学歴はそこそこでいい。理数系の学部はやめといたら。バカなふりをした方が可愛がられる。稼がなくていい。養ってもらうことが幸せ。そんなに頑張らなくていい… こんな、女の子の可能性に蓋をするような言葉を聞いたことがありませんか?
その裏側には、いつか結婚するかも、子供を産むかも、夫を支える役割を担うかも、つまり、「アンペイドワークを抱えるという前提」があるのではないでしょうか。
「あなたのためを思って」行われる、「期待値下げ」。これは「配慮」ではなく「排除」です。

一方で、男性はどうでしょう?
何があっても一生働いて「妻子を養える大黒柱」にならないといけなくなりますね。もちろんこれでやる気になる人もいれば、プレッシャーに感じてしまう人もいると思います。それから、1日はどんな人にとっても24時間なので、アンペイドワークに関わりたくても必然的に時間がない、誰か(主に妻)にやってもらう、言葉を選ばずに言えば「アンペイドワークを誰かに押し付けてまでキャリアを積むこと」を期待されるのです。

一体誰が得しているのかすらよくわからなくなってきますが、結果として、「女の子への期待値下げ」と「男の子への過度な期待」によって、社会的・経済的成長を積極的に期待されてきた人たちと期待を下げられてきた人たちとの間における社会的・経済的格差、つまりジェンダーギャップができています。

「期待値下げ」は女の子に関わる人、つまりすべての人の問題

この問題、パートナー間の役割分担をどうするかの話し合いで完結するミクロな問題かというと、そうではありません。なぜなら、「期待値」の操作が行われた状態で育ってきたわたしたちは、その影響を受けた選択をしてしまうことがあるからです。
親や先生や上司、同僚、親戚や友達、メディア、SNS… 女の子と関わる全ての人が、無意識のうちに「期待値下げ」を行ってしまう可能性があります。
つまり、どんな人にとっても関係のない話ではなく、社会全体として考えていかなくてはならない問題です。

まずは、性別役割分担の合理性をゼロベースで見直していく必要があります。
精神論を抜きにして考えてみましょう。「女性にしかできないこと」「男性にしかできないこと」って実はほとんどないんですよね..
「向き/不向き」も、性別の傾向よりも個人の特性を考慮したほうが最適でハッピーであることが多いでしょう。
性別役割分担の範囲を必要最小限にすることで、「女性への期待値下げ」、そして、それと同時に「男性の社会的達成への過度な期待」をなくす。つまり、子供たちの可能性から性別によるバイアスをなくす。そうすることで、より個人としての適性が活かされる社会になり、結果としてジェンダーギャップは自然と埋まる方向に動くのではないでしょうか。


#2 のまとめ

  • 性別役割分担がいまだに受け継がれているのは、「女性が経済力を得にくい」社会構造ができているから。
  • 性別によって賃金労働と無償労働を切り分ける役割分担は、関係性を維持できなくなったときにキャリアを分割できない点で超アンフェア!
  • 「女性がアンペイドワークを担うこと前提の期待値下げ」は、配慮という名のもとに、女性を社会から排除している。
  • 「期待値下げ」は、パートナー間の役割分担の議論で完結するミクロな問題ではない。
  • 「期待値下げ」は、「アンペイドワークを将来的に担うかもしれない人=女の子」へも実際に向けられている。
  • 女の子と関わる全ての人が「期待値下げ」をしてしまう可能性がある。社会全体でなくしていこうという共通認識が必要。

次回は、性別役割分担の見直しについてお話ししたいと思います。
#3 「アンペイドワークはみんなのもの!女の子への期待値下げをなくすために、半径5m以内のジェンダーギャップを解消しよう」に続きます。

アンペイドワークを考…

こんにちは!篠原くるみです。
ジェンダーギャップレポート2021が3月に発表されました。SDGsへの取り組みや、ジェンダーにまつわる炎上事案が話題に上がることもあり、ジェンダーギャップへの問題意識はここ数年で本当に強まってきているなと日々感じています。

さて、みなさんは、ジェンダーギャップの背景には何があると思いますか?ジェンダー平等へのボトルネックとなっているものは何なのでしょうか?
今回は、わたしがジェンダーに問題意識を持ってから考え、試行錯誤しながらも実践してきた「アンペイドワーク(家事・育児などの無償労働)の分担」と「女性の経済・社会的エンパワーメント」の関係、そして、それらを取り巻く社会構造について改めてまとめてみたいと思います(全3回中の1回目)。

ジェンダーギャップを埋めるには?

ジェンダーギャップ指数2021年版、日本の順位は世界156カ国中120位。
昨年の121位(153カ国中)からほぼ変化なしという結果でした。

SDGsへの取り組みが注目され、ジェンダー平等意識の強い人たちが発信してくれることを通して、最近はだいぶ問題が可視化されるようになってきましたね。
ですが、結果に結びつくのには時間がかかることもあるでしょう。女性の閣僚が増えているようには見えないし、総理大臣になりそうな気配もない。企業で管理職のポジションに就いている女性はまだ少数派なのだろうなとも思うし、ジェンダーギャップ指数としては、肌感通りかなという結果だと思います。

ジェンダーギャップ=男女格差を埋めるためには何をしたらよいのでしょうか?
最も効果が出やすそうなこととして、壊滅的にスコアの低い、つまりのびしろの大きい次の4項目、いわゆる「意思決定層」といわれるポジションの男女格差を埋めていくことが考えられます。
(スコアは「男女格差」を示し、0に近いほど男女不平等、1が完全平等)

  • 管理職比率(0.173)
  • 国会議員比率(0.110)
  • 閣僚比率(0.111)
  • 過去50年間の首相在位期間(0.000)

例えば、東大ではこんなアクションがあったようです。

この春スタートした東京大学の新執行部で、理事の過半数が女性になったことが大きな反響を呼んでいる。

東大ブランドの危機、林香里新理事が語るステレオタイプの罠 | BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-232954

男性の先生からも、理事が男性だらけという状況はよろしくないよねという雰囲気ができてきた背景もあり、トップダウン的に人事が行われたそうです。
日本を代表する教育機関として世界の視線を意識し、ダイバーシティの必要性を前提とした上で、まずは踏み切ってみたという事例なのではないでしょうか。

この例のように、政治参画や管理職比率に関しては、トップの判断やクォータ制の導入、アファーマティブアクションなど人事の仕組みを整えることによって、それなりに順位は上がっていくのでは?と思えます。特に、大きな組織ではSDGsに取り組む社会的意義も認識されてきているし、次々に「やってみよう」という流れができてくるかもしれませんね。

では、次にスコアの低い次の項目についてはどうでしょうか?

  • 同一労働における賃金(0.651)
  • 所得(0.563)

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、正社員に限っても賃金格差は男性100に対し女性は77(※2019年雇用形態別賃金 男性正社員・正職員351.5千円、女性正社員・正職員269.4千円より算出)。
このように、男性と女性の収入にはかなり開きがあるというのが現実です。コンビニバイトの時給も新入社員の初任給も、性別による違いはないはずなのに、なぜだと思いますか?

収入格差はどこからくるか

収入格差は一体どこから来ているのでしょうか?
それは、女性が高等教育を受けられないからでも、身体が弱くて体力がないからでもありません。
(高等教育のスコアは0.952、寿命のスコアは1.040で、ほぼ平等)

ここでは、「アンペイドワーク=無償労働」に目を向けてみたいと思います。
アンペイドワークとは、家事・育児・介護など、人間が生きるために絶対に必要なケアワークのこと。アウトソーシングサービスもありますが、家庭で完結する場合、賃金は発生しません。そして多くの場合、キャリアとしてカウントされないものです。
このアンペイドワーク、おそらく多くの人の中で(是非はさておき)男性よりも女性が担うことが多いという共通認識があると思います。

「夫は仕事、妻は家事や育児」のように、性別に基づいて賃金労働と無償労働を分業することを「性別役割分担(分業)」といいます。
家事育児時間の調査からは、女性が働いているかいないかに関わらず、アンペイドワークは圧倒的に女性に偏っていることがわかります。

また、意識の面においても、男性だけではなく女性でも、なんなら若い人たちでも、性別役割分担を肯定する人はそれほど少数派ではありません。

ここでもう一段階掘り下げてみましょう。

「女性がアンペイドワークの多くを担っている」という状態に必然的にセットになってくるものがあります。
それは、「女性は賃金労働を(それほど)しなくてよい」という価値観です。
共働きが増えていると言われていますが、共働き世帯のおよそ半数で妻の年収は150万円以下。妻が500万円以上稼いでいるケースは共働き世帯全体の10%強しかありません。

「するな」ではなくて「しなくてもよい」。もし、「女性は家事だけをして仕事をするな」だとしたら、とっくに人権問題になっているでしょう。しかし、「仕事をしてもいいけどしなくてもいい」だと、なんだか個人の志向や自由意志による選択に任されているように思えますね。
この曖昧な状態がここに潜む問題を見えにくくさせている一方で、ジェンダーギャップを顕在化させ、固定化させる要因になっているのではないかと思うのです。

家事や育児のほとんどを担って、やらなくていい人と同じように稼いでね!と言われたら、それはハードすぎますよね。
だから、女性は家事や育児の主担当になることを前提とした上で、仕事をするなら配偶者控除の範囲内とか、いっても男性の7割くらいでそこそこやってね、というのが「期待値を下げたうえでの落とし所」になっている.. というのが現状なのではないでしょうか。

「それほど働かなくてよい」… 女性への期待値下げは合理的か?

さて、ここまで「アンペイドワークは女性がするものという前提があり、その見返りとしてキャリアへの期待値を下げられている」ことがジェンダーギャップの一因となっているかもしれないと書きました。
ではこの状態、本当にあるべき姿なのでしょうか?

女性は話が長い、子供を何人産むべきだ、と言われたら、それは差別だと多くの人が感じると思います。
では、家事や育児を女性と結びつけることを「女性差別」だと思いますか?これは人によって意見が分かれそうです。
それどころか、「(アンペイドワークを抱えることを前提として)経済的自立への期待値を下げられること」を、むしろ「優遇・配慮」とポジティブな対応のように感じる人もいるのではないでしょうか?
「差別」か「優遇」かを決めることが目的ではなく、社会構造を紐解きながら、「女性に対する期待値下げをするべきか?」について考えていきたいと思います。もちろん個人レベルでは生き方は自由で、結果的にどんな選択をしてどんな人生を生きるかは性別によらず人それぞれ。そのうえで、ジェンダーギャップをなくしていくためには、社会レベルでこの認識合わせをしていく必要があると思うのです。


#1 のまとめ

  • ジェンダーギャップ指数2021、日本のランクは世界156カ国中120位で昨年からほぼ変化なし。
  • 男女格差の極めて大きい政治参画と管理職比率については、組織の動きや制度の整備などでトップダウン的に上がっていく可能性があるかも?
  • 次に格差の大きい収入格差の背景には、家事や育児などの「アンペイドワーク」を女性が担うものだという「性別役割分担」の前提がある。
  • 性別役割分担を現状と照らし合わせると、「アンペイドワークは基本的に女性がするもの」→「そのかわり女性は賃金労働を(それほど)しなくてよい」つまり「期待値を下げられている」と解釈でき、これがジェンダーギャップの一因になっていると考えられる。
  • 女性の経済的エンパワーに対する期待値下げをするべきか?社会レベルでこの認識を合わせていく必要があるのではないか。

#2 『性別役割分担から抜け出すのは超ハードモード!それでも「女性への期待値下げ」がどんな人にも無関係ではない理由』に続きます。

品川女子学院の学生さ…

こんにちは!ジェンダーイコール篠原です。
品川女子学院高等部の学生さんより、「家庭内の男女格差」について調査をしているので話を聞きたいとオファーをいただき、学校まで伺わせていただきました。

品川女子学院

ヒロ○エさんのイメージだったんですけどね.. 世代的にね。
なんかすごい学校でしたよ。

品川女子学院は、その名の通り品川駅近くにある完全中高一貫の女子校です。
28プロジェクトとして、卒業後10年の節目である28歳という年齢をマイルストーンとして、社会で活躍できる女性を育成するという取り組みをされています。

ちょっと長いですが、サイトより理事長のお言葉を引用させていただきます。

女性の場合、出産の機会があり、仕事と家庭を両立させようとするとき、仕事から離れなければならない時期があります。日本の第一子出産退職率は約7割にもなると言われています。そういう女性たちが、その後また仕事に復帰しても、前と同じような地位や役割には必ずしも就くことができないのが現状です。

そこで本校では、専門性の高い職業を視野に専門職大学院などへの進学をめざした学習指導、社会で活躍できる高いコミュニケーション能力の育成、国際舞台での基礎スキルとなる英語能力の向上などに力を入れ、しっかりとした将来のビジョンを持って行動できる女性を育てることを目標としています。それがこの「28project」です。

出産や家庭と仕事の両立=女性の問題という前提自体、みんなが疑問に感じなければならない問題だと個人的には思っているのですが、、ともかく現状はそうなってしまうケースが多いですからね。
ライフイベントの変化に左右されにくいキャリアビジョンを描ける教育をする。ジェンダー格差解消途上の社会ではとても大事なことだと思います。

また、都内では16校(2018年11月時点)しかないスーパーグローバルハイスクールの認定校でもあります。

研究開発構想名: 学校と社会が連携し、「起業マインド」を持つ女性リーダーを育成する研究

なにこれカッコイイ..
「起業マインド」とありますが、実際に品川女子学院では実在の企業とのコラボレーションもされているみたいです。働いて何かを生み出すことの楽しさを学生さんが実感することができそうですよね。

家庭内ジェンダー格差

さて、彼女たちが授業の一環で取り組んでいる今回のプロジェクト。
数人でチームをつくり、社会問題をテーマに調査を進めます。そして解決策を考えて、まとめのプレゼンをします。
で、すごいのはこれだけじゃなくて、かなりしっかりコンペティション形式なんです。クラスで勝ち上がったプロジェクトは全体のコンペに進み、そこで勝てばなんとオーストラリアの提携校にて英語で発表するのだそうです!
わ.. ワクワクする..!!!
オーストラリア狙ってるの?という質問には、「もちろんです!!」と即答で力強いお答えをいただきました!

テーマは、各チームで自由に選ぶそうで、環境問題や若者の政治参画から、「宿題」についてなどなど多岐にわたります。そして、それぞれのチームにメンターの先生がつきます。
なぜジェンダーをテーマにしたのかというと、ちょうど東京医大の入試問題が発覚したタイミングでジェンダー格差について話し合ううちに、家庭内における格差に行き着いた、ということでした。まさに本質をついています!ブレイクダウンの方向性が素晴らしく的確だと思いました。
そして、ハッピーシェアボードを通じて家庭内ジェンダーギャップの解消に取り組んでいることを知り、ジェンダーイコールにお声掛けくださったそうです。

彼女たちがプロジェクトをどう進めていて、どう着地させようとしているかの詳細は、ネタバレになってしまうので割愛します。
アンケート調査による現状把握(しかもわりとしっかりボリュームがある)、外部機関へのリサーチ&アプローチ、プレゼンまでの着地点の決め方とその先の展望。発散と収束をうまくコントロールしているように見えました。
もちろん先生のフォローもあってのことと思いますが、短期間で他の授業も部活もやりつつですよ!数年後社会に出てきてくれるのが本当に楽しみです。
それからさすがデジタルネイティブだけあって IT リテラシーも非常に高く、ツールなんかはそこらの大人よりもしっかり使いこなしていて感心してしまいました。

進化する子供たち

自分の子供(小2)やその周りの子を見ててもよく感じるんですが、子供たちはわたしたちが10年かかってもできなかったことを2分とかでやっちゃうわけですよ(web検索とかね)。というか思いつきすらしなかったことが当たり前に存在する。人類の進化って素晴らしいですよね。
そう考えていくと、やっぱりジェンダー格差なんか単なる無駄でしかなく、とっととなくなれと思うわけです。

まさか高校生がわたしたちの問題を認識して言語化してくれるなんて思ってもいませんでした。頼もしい姿を見せてくださってとても嬉しかったです。
品川女子学院の皆様、ありがとうございました!

おときた駿さん・三次…

おときた駿、三次ゆりか夫妻のハッピーシェアボード結果!

えりこ
こんにちは!ジェンダーイコール代表理事の田渕恵梨子です。都議会議員のおときた駿さん&江東区議会議員三次ゆりかさんご夫妻による家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」体験。前半と後半に分けてお届けしています。当記事は後半。どうぞお楽しみください!
 
*前半をご覧になりたい方はこちらからどうぞ!

 

オススメの「時短ハック」があれば教えてください。

ハッピーシェアボードにシールを貼るお二人!

ゆりか
やっぱ家事の外注かなー。
駿
月に1回2時間でも来てもらえることでかなり精神が安定するよね。
ゆりか
あれはもう本当に素晴らしい。ストレスフリーになったよね。
駿
多少部屋が汚くても月末に1回リセットされると思うとストレスが溜まらない。それがないと、パートナーに対して「なんでやらないだろう」とか「ダンボール溜まってる」とかついつい思ってしまうけど、来週とか再来週に来てもらえると思うと、「まあいっかーあと1週間待てば」とか思えるようになる。
駿
月末に1回でも良いからリセットボタンを作っておくことは大事。
くるみ
第三者をどこかに入れるっていうのは大事ですよね。
駿
あと、食洗機は絶対に合った方が良いですね。
くるみ
こないだうちの食洗機が故障して3週間位使えなかった時はすごいストレスでした。故障の原因は食洗機内の汚れだったんだけど、本来は月1回位で食洗機用の洗剤を入れて空回ししないといけなったらしい(笑)
ゆりか
手洗いだと手がカピカピになるしねー。
くるみ
あと、食洗機から食器を出す作業も面倒くさいですよね。
ゆりか
そのまま使っちゃえば良いんですよ(笑)
くるみ
あ、そっか(笑)
駿
食洗機から取って使って、その夜残ったやつだけを戻すとかね。
えりこ
うちもそうしてます(笑)

 

洗濯物の取り込みについて

ゆりか
1つ思い出したんだけど、洗濯物を取り込みながらカゴに入れる時に、下着はこっち(身振りで説明)に置いておいてほしい。
駿
あ、それね。仰るとおり。自分のは入れてる(笑)
ゆりか
!?
駿
だって入れる場所よくわかんないから・・・
ゆりか
となりとなり笑笑笑
ゆりか
取り込んだついでに娘のはここ、タオルはここみたいな感じでさ。まとめて入れられちゃうと、またそこから引っ張り出さないといけなくなっちゃう。。。
駿
その作業好きなのかと思ってさ(笑)ブラジャー探し大会みたいな感じで盛り上がってるから楽しみ取ったら悪いかなと思ってさ(笑)
ゆりか
ある意味盛り上がってるけどさー(笑)どこだーーーみたいな感じで(笑)
えりこ
まあ、じゃあそこは改善してください(笑)

 

今後どのようなパートナーシップを築いていきたいですか?

ゆりか
朝、駅頭に立つのを一緒にやってほしいな〜。
駿
(ゆりかさんが)駅頭行っちゃうから朝子供起こしたりとか僕がやっている。一緒に行ったら誰がこの作業やるんだってなっちゃうじゃん(笑)
ゆりか
まあ、たまにはさーーー。
ゆりか
で、、、どうですか?今後のパートナーシップは???
駿
そうですね。今は落ち着いてきて割とうまくいっているので、このバランスを崩さないようにしていきたいですね。で、そこにあぐらをかかずに今日みたいに客観的にチェックをしながら適宜見直していくと良いのかなと思いますね。
くるみ
すばらしい!
駿
電気は消さないけどね。
ゆりか
電気は消したほうが良いでしょ!
くるみ
スイッチ押すだけなのになんで!?
駿
だってさ、明るい家庭を築きたいと思ってさ♡
えりこ
もしかして寝る時も???
駿
いや、寝る時は消します。しかも豆電球無しで真っ暗じゃないと嫌なタイプ(笑)だから豆電球派のチームが寝た後にバチッと消しています(笑)
ゆりか
でもトイレとか洗面所とかお風呂とか消さないんですよ。
えりこ
それ、我が家のメンズたちも消さないんですよ!なんで!?
駿
自分の行動を残しておきたい。みたいなさ(笑)
ゆりか
あるあるだと思うんですけど、男の人の靴下もねー。うちもたまに見受けられますよ。
駿
靴下ね(笑)でもうちはタオルも落ちていますよ。女性陣の風呂上がりのタオルが点々と・・・(笑)
駿
じゃあ、そろそろ時間なんで・・・
えりこ
そうですよねっっ。では以上です!お忙しい中ありがとうございました!!!
くるみ
ありがとうございました!!!

左から三次さん、田渕、篠原、おときたさん

 
左から三次さん、田渕、時枝、おときたさん

 


田渕の編集後記

おときた駿さん、三次ゆりかさん、改めましてお二人とも大変お忙しい中、ハッピーシェアボード体験&インタビュー本当にありがとうございました!!!

ジェンダーイコールの活動拠点は東京都北区です。
おときた駿さんは北区選出の都議会議員であり、日頃から北区の催事に積極的に参加されていらっしゃいます。
そんなご縁から、今回のハッピーシェアボード体験にご協力いただくことができました。

都議会議員と江東区議会議員。議員さんのお仕事は私たちが想像を絶する位、大変だと思います。

先日、おときた駿さんの「北区都政報告会」に初めて参加してきました。
都の公約状況から東京五輪を巡る議論、築地市場移転問題、そして受動喫煙防止条例から虐待問題・・・
山積する課題について、1つ1つ簡潔にわかりやすく情報を説明されていました。でもこの課題はほんの一部、重要な箇所だけを抜粋して私たちに教えていただいているだけであって、実際には大小さまざまな課題が数えきれない位あるはずです。

印象的だったのは、質疑応答の時。あちこちから飛んでくる、資料にも載っていないようないろんな分野の質問に対して全て的確に回答されているおときたさんはさすがでした!

議員さんたちはそれ位膨大な情報を全て頭にたたきこんで、日々課題解決に向けて邁進されている訳です。

私も仕事や家庭において、大小さまざまな課題やタスクに追われながら過ごしていますが、議員さんに比べたら自分が抱えているものなんてちっぽけなのかもしれないと、ある意味気持ちが楽になりました(笑)

このような大変な議員のお仕事をおときた駿さん、三次ゆりかさんは子育てしながら(しかも下のお子さんはまだ2歳!!!)夫婦で議員をされているんですから本当に恐れ入ります。
今回のハッピーシェアボード体験に快くおつきあいくださったお2人には感謝の気持ちしかありません。

話を戻しますが、お2人のハッピーシェアボード体験後のやりとりはいかがでしたか?
意外と私たちと変わらない日常が垣間見えたのではないでしょうか?

家事や育児の外部サービスをうまく使いながら、時短できる部分は積極的に時短されています。
上手にストレスをコントロールして、お互いを気遣う気持ちの余裕が持てるように工夫されていました。

「家事の外部サービス」と聞くと「金持ちのツール」のように思ってしまう人も多いと思うのですが、意外にそんなことはありません。
例えば、東京都北区の場合、「北区シルバー人材センター」の家事育児支援サービスを利用すると1時間1,100円~です。(諸条件はホームページをご確認ください)
金額は多少前後すると思いますが、このようなサービスは最近ではどこの自治体でもあるのではないでしょうか?一度調べてみる価値はあると思います。

外部サービスに家事を依頼することで、確かに家計の出費は増えます。しかし、これは「コスト」ではなく自己投資だと思うことが重要です。
浮いた時間で自分の価値を高める努力をしてみましょう。時間はかかるかもしれませんが、いずれ必ず投資額以上のリターンを得られるはずです。
ご興味のある方は、まずご自身の時間単価がいくらであるかを算出してみてください。無職の方であれば、あなたが雇用してもらえそうな仕事の時給が自分の時間単価だと思ってください。月給の場合は22日就業1日8時間計算等で時間単価を割り戻すと良いと思います。例えば今の時間単価が1,500円であれば、将来、2,000円の時間単価の仕事を受けられるようになるにどうすればよいかを考えてみましょう。まずは方法を調べて、考えて、行動してみることが大事です。1つ1つの行動が実を結び、どんどん世界が広がっていくのです。

おときたさん、三次さんご夫妻のように、お互いを気遣い合える良好な関係を築くことは、子供にも波及して多大なるプラスの効果を生み出します。こちらの記事にも書いていますが、幸福度が高い人がもたらす効果を数値化すると、創造力:3倍、生産性:31%アップ、売上:37%アップと言われているそうです。夫婦が幸せであることで、家族が幸せなります。幸せは連鎖しますから、いずれ社会全体へと広がっていくことになるのです。

なんだかマインドセット的な話をしてしまいましたが、おときたさん、三次さんご夫妻も最初から順調だった訳ではないはずです。無数の試行錯誤の結果、今の環境を手に入れることができたんだと思います。

そしてこれからも試行錯誤を繰り返しながら、ますます素敵な成長を遂げられることでしょう。

そんなお2人を微力ながら心より応援し続けたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

*当インタビューは2018年8月9日に実施しました。
  

9月2日(日)、おときた駿氏をゲストに迎えるイベントを開催します!!!


 
「女らしさ」「男らしさ」とは何か?
 
私たちがあたりまえに捉えている「女性はこうあるべき」、「男性はこうあるべき」といった価値観は、いつ、どこで植え付けられているのでしょうか?
日本には、「家事(料理)・育児は女性がやるもの、男性は仕事」このような固定観念が、いまでも根強く残っています。
イベントでは「日本のメディア問題」を切り口に、メディア規制の必要性を論じる勝部元気氏と、表現の自由の重要性について発信されているおときた駿氏のお二人をゲストに迎え、具体的な事例を混じえながら、トークセッションを行います。

私たちと一緒に日本メディアの問題・課題点について学んでみませんか?

会場はディープな街として注目を集めている「赤羽」。
イベント終了後は、ゲストも交えた懇親会を予定しています。

詳しくはこちらから。みなさまのご来場を心よりお待ちしています!!!

おときた駿さん・三次…

おときた駿さん、三次ゆりかさん ハッピーシェアボード体験!

えりこ
こんにちは!ジェンダーイコール代表理事の田渕恵梨子です。今回は都議会議員のおときた駿さん&江東区議会議員の三次(みつぎ)ゆりかさんご夫妻に家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」を体験していただきました!
インタビューでは、外部サービスやシッター手配の話等でかなり盛り上がりました☆
それではどうぞお楽しみください〜。

<< おときた駿氏プロフィール >>

1983年、東京都北区生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員2期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。近著「贖罪 偽りの小池都政で私が犯した過ち
おときた駿公式サイト http://otokitashun.com/
おときた駿ブログ http://otokitashun.com/blog/

<< 三次ゆりか氏プロフィール >>

1985年、東京都江東区育ち。江東区議会議員1期目、「J★mothers」代表。
23歳で出産、仕事を中断するもシングルマザーとなり起業。当時、我が子の預け先に困った経験から、子育て・母親支援のイベント企画、事業支援など、多岐に渡り活動中。
三次ゆりかオフィシャルサイト https://mitsugiyurika.com/
三次ゆりかブログ https://mitsugiyurika.com/70977/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/

 

ハッピーシェアボード実践!

お二人のハッピーシェアボード実践の様子を撮影させていただきました。

まずはこちらの1分半動画をご覧ください!

 

おときた駿、三次ゆりか夫妻のハッピーシェアボード結果はこちら!

意外に(!?)バランスよく分担されています。

 

ハッピーシェアボードはいかがでしたか?

駿
やや妻の方が多いですが、まあ想定の範囲内かな。
ゆりか
(週7、週6のタスクがほとんどないので)家事やっていない人みたいだよね、私。
駿
毎日のタスクが少ないというズボラな家庭なのかもしれない(笑)
ゆりか
笑笑笑
駿
掃除の頻度が低い(笑)
くるみ
夕飯は自炊ですか?
ゆりか
一応毎日作ろうとは思ってがんばっています。
駿
(ゆりかさんが)5回、自分が2回で足すと7回なので、一応毎日作っていることになっていますね。
えりこ
おーーーすごい!!!
えりこ
ゆりかさんは「ホコリ清掃」が7回ってなっていますが、毎日されるんですか?
ゆりか
軽くですけど、クイックルワイパーで毎日やっています。
えりこ
すばらしい!!!

 

「名もなき家事」について気づいた点はありますか?

駿
大体このシールのとおりの認識はあります。ダンボール捨ててくれてるなーとか。
駿
カーテンの開け締めはあまりやらないかなー。
ゆりか
「日が当たるから締める」とかだよねー。
駿
まあ、必要に応じてだよね。

 

可視化した感想は?

ゆりか
ズボラだよねー我が家(笑)
駿
2人ともボトムアップが必要なのかもしれない(笑)
くるみ
でも「あまりやらない」って言われていた割には十分な感じがします。シールがスカスカになるかなーって思っていたけど、結構貼ってある。
駿
でも、駒崎さん夫妻のと比べるとスカスカだよね(笑)

 

普段、家事育児分担はどのように決めていますか?

ゆりか
やってもらえそうなところはやってもらうっていう感じかなー。
駿
あまり話し合いとかしないよね。
ゆりか
(駿さんが)超忙しそうな時、「超忙しくて申し訳ない感」が出てるよね(笑)
駿
帰りが遅くなった時とか、(洗い物などの)片付いていない家事があればその日のうちに全部片付けて、翌朝相手が何もやらなくて済むよう心がけています。
くるみ
それはすばらしいですね!
ゆりか
朝洗濯しようとしたら、「あ、ない。やってくれてる。」みたいなね♡
駿
選挙期間中は本当に忙しいので、あの頃に比べたら最近は割とスムーズになってきたかなと思う。

 

これまで家事育児で困ったことやケンカになったことを教えてください。

駿
ケンカというか、お互い忙しい時、彼女に「シッターに頼めばいいじゃん」と軽い感じで言っていました。でもある時「そっちがやってよ」と言われて、なんだそんな事位と思っていたら、実際やってみると手配がものすごく面倒だった(泣)
えりこ
シッター手配は意外と手間かかりますよね。
くるみ
荷物の準備とかねー。
駿
今は僕が全部手配を担当しています。キッズラインを利用していて、最近は固定の人が見つかったから良かったんだけど、最初の方は毎回募集(*)をかけていました。応募が多かったら「誰にしようかなー」と選んだり、注意事項を伝えたりとか。。。

※キッズラインでは希望条件を検索してシッターを見つけることができるほか、こちら側から募集をかけることもできます。

えりこ
家に来てもらった時にもいろいろ説明が必要ですしねー。保育園へのお迎え方法とか。。。
駿
実際にやってみて初めて面倒臭さがわかりました。気軽な感じで「シッターに頼めばいいじゃん」と言っていたことを申し訳なく思っています。。。
ゆりか
困ったら困ったことを体験してもらうのが良いと思っています。
くるみ
「気軽に言うならお前がやれよ。」みたいな感じでね(笑)

 

子供が病気の時はどうされていますか?

駿
フローレンスさんに入会するタイミングをずっと逃していて(笑)、キッズラインで「病児、病後児」のキーワード検索で見つけています。でもいつも頼むタイミングを迷います。翌朝には熱が下がっているかもしれないし。。。考える手間が発生しますよね。
えりこ
あれはかなりストレスですよね。
駿
子供の発熱で保育園から呼び出された時は基本的に妻が迎えに行くことの方が多いんですが、それこそ「たまには行きなさい」と言われるので最近は行っています。
えりこ
保育園からの急な呼び出しの対応も、まずは体験が重要ですよね!

 
後半に続く 〜
 
*当インタビューは2018年8月9日に実施しました。
  

9月2日(日)、おときた駿氏をゲストに迎えるイベントを開催します!!!


 
「女らしさ」「男らしさ」とは何か?
 
私たちがあたりまえに捉えている「女性はこうあるべき」、「男性はこうあるべき」といった価値観は、いつ、どこで植え付けられているのでしょうか?
日本には、「家事(料理)・育児は女性がやるもの、男性は仕事」このような固定観念が、いまでも根強く残っています。
イベントでは「日本のメディア問題」を切り口に、メディア規制の必要性を論じる勝部元気氏と、表現の自由の重要性について発信されているおときた駿氏のお二人をゲストに迎え、具体的な事例を混じえながら、トークセッションを行います。

私たちと一緒に日本メディアの問題・課題点について学んでみませんか?

会場はディープな街として注目を集めている「赤羽」。
イベント終了後は、ゲストも交えた懇親会を予定しています。

詳しくはこちらから。みなさまのご来場を心よりお待ちしています!!!

駒崎弘樹さん・駒崎美…

駒崎夫妻のハッピーシェアボード結果!向かって左が美紀さん、右が弘樹さんです。

くるみ
首都圏で自宅訪問型の病児保育サービスを展開している「認定NPO法人フローレンス」の代表理事 駒崎弘樹氏と東京都北区の地域貢献で幅広く活躍している駒崎美紀氏ご夫妻。お2人のハッピーシェアボード体験を前半と後半に分けてお届けしています。当記事は後半。どうぞお楽しみください!
*前半をご覧になりたい方はこちらからどうぞ!

 

「お金で時間を買う」という考え方

くるみ
「お金もったいない(と思ってしまう)問題」はありますよね。
美紀
外部サービスを使うことに対しては、そう思ってしまうのは常にあります。
弘樹
僕は経営者だから、投資したぶんが返ってきたらそれでいいと思っています。お金を投入したら、それ以上稼げばいいと思うので。でもそれがなかなか伝わらなくて(笑)
くるみ
家事育児分担の取り決めをしたときのことを教えてください。
美紀
昔はわからなかったのですが、我が家の場合ではタクシーやカーシェアを利用することと、車を保有することを比較すると、トータルコストは車を持つことの方が大きいので車は持っていません。
弘樹
既成概念を乗り越えて、中長期的に見たときに最適なお金の使い方をすればいいよね。

「投資以上のリターンがあればいいという考え方は家庭内タスクにも言えること」

くるみ
日本人は特に先行投資の考え方が少ないですよね。例えば、外部サービスを利用することに対しては、今月だけをピンポイントで見ればマイナスかもしれないけど、最終的にキャリアアップにつながればいい。フローレンスさんの病児保育サービスを使う人も、そういう考えでやっている人が多いのでは?
弘樹
日本には生涯賃金という考え方があまりないですね。夫婦間でも、価値観の違いが事象として現れると思います。メンタルモデルが人それぞれ違うので。
たとえば、品質管理。家事にどれだけ時間を割いて、どれだけのクオリティを求めるのか。投入するリソース(注:ここでは時間)と、品質をどうすり合わせるのかが意思決定に関わってくる。
美紀
価値観の違いはすごくありますよね。相手が掃除の当番なのに、なんでやらないんだ?と思って聞いたら、「え、全然汚くないじゃん」と。

「もっとやってほしい」と書きつつフォローも忘れない美紀さん

くるみ
分担の失敗はありますね。そこで、もういいよ、私がやるから!となると夫はやらなくなる。

 

「呪い」問題

くるみ
男子3人育児中のある友人は、「上履きを洗うのをやめた」と言っていました。どうせすぐにサイズアウトするし、男子の上履きなんてボロボロになってお下がりもできないのだから、毎週洗う労力を他のことに使おうと。
美紀
上履きや保育園の外遊び靴は、靴洗い洗剤につけた後、専用のネットに入れて洗濯機で洗ってしまっています。
えりこ
私はそこだけは乗り切れていなくて。どうしても毎週丁寧にたわしで洗ってしまう(笑)
なぜかわからないけど、ここだけは「呪い」が解けていません。
くるみ
私の「呪い」は、夕飯でした。一人目で復帰した直後は、保育園に一日中預けているのだからせめて夕飯だけはちゃんと作ろうと勝手に思って、一汁三菜を毎日やっていました。子供はかまってほしくて泣いているのに、無駄に頑張って作っていた。本末転倒ですよね。。子供が3人になってもう死ななければなんでもいいやとなった。今平日の夕飯はパスタとかカレーです。
えりこ
夫がワンオペを実務的にするようになって、彼が1日の流れを理解するようになってくれたことがすごく大きいです。ご飯もこだわるようになり、一般的に「母性」と言われるような能力が出てきた。男性も自分でやると気づくことが増えるし、普通にできる。それはやってみて初めてわかりました。
くるみ
ワンオペで気づくこともあるんですね。弘樹さんはワンオペ状態になることはありますか?
弘樹
僕は基本19時には帰宅するので、夫婦で一緒に家事や育児をするということはすごく多いかも。何か家事をしながら話し合ったりとか。ワンオペ状態に普段あまりならないから、逆にワンオペになるとすごく大変に感じる。妻がいないときはファミサポをやっぱり頼みますね。子供は僕が言っても宿題やらないのに、ファミサポさんに言われるとやったり。

 

女性が働くということ

くるみ
フローレンスさんの病児保育事業には、ジェンダーイコールのメンバーもこれまで何度も助けられてきています。子育てをしながらしっかりキャリアアップを目指したい女性には必要不可欠なサービスです。弘樹さんは、「女性が働く」ということについてはどう捉えられていますか?
弘樹
今ひとり親支援の事業をしていて困っていることは、仕事を持たないひとり親がとても大変な状態になってしまっているということです。
くるみ
女性に経済力がないと、何かあったときに離婚という選択肢が選べません。そして、ひとりになったときに自分だけではなくて子供も貧困になってしまうリスクがある。
弘樹
本当にその通りです。男性視点からしても、自分だけが働くのは超リスクです。一般的な声として、女性が「働きたくない」と言ってしまうことに対しては、すごくジレンマを感じます。
くるみ
妻が夫に家事育児分担を交渉すると、「俺より稼げるのか?」と言われてしまうケースもあります。
弘樹
それはモラハラですね。。そもそも日本の男女の賃金格差は先進国の中で最低レベルです。元々がアンフェアなのだから、権利は主張しないと!
美紀
諦めている人も多いのかな。
弘樹
あんまり期待しちゃうとがっかりするのがツラいから、自分がやってしまう人も多いのかもしれないですね。

 

社会のために!

くるみ
これから先、どんなパートナーシップを築いていきたいですか?
美紀
夫のいいところは、私のやることを全力で応援してくれるところです。仕事以外の地域活動も応援してくれるし、協力も提案もしてくれる。なかなかそんな男性はいないので、すごくありがたいと思っています。
弘樹
妻には好きなことやっていてほしいです。好きなことを臆せずやって、輝いていてほしい。時間に対する価値観についてはこれからもすり合わせが必要だなと思っていて。適切にお金をかけることで、それ以上に価値のある時間を得られるということをこれまでと同じように伝えていきたいです。
彼女はこれから今よりももっと忙しくなるだろうから、家電とか外部サービスに任せられることはどんどん任せてもらって、自分の時間をやりたいことに使ってほしい。
美紀
私は家事育児分担はきっかり平等じゃなくてもいいかなって思っています。夫のしている仕事は、すごく社会のためになっているから。
弘樹
美紀ちゃんはこれからもっと社会のためになれる方法はあるし、可能性があるし、できるから。だからもっと自分のための時間を作って、やりたいことを実現していってもらいたいと思っています。

  
〜 ありがとうございました! 〜
  


日本一成功している認定NPO法人の創立者で代表理事である駒崎弘樹さん。

経営者ということで、家事や育児に対してもとても合理的な考えを持っていらっしゃることが言葉の節々から伝わってきます。

美紀さんは、以前はタクシーを使うことはおろか、便利家電や生協すらも敬遠していたと話してくれました。

それでも、夫の提案で家事や育児の外部サービスを使いはじめて、気持ちに余裕が生まれ、自分の好きなことややりたいことに全力投球できるようになったそうです。

お二人とも、ご自分が在宅の時にもあえて外部サービスを利用することで「ワンオペ状態」を回避し、エネルギーをやりたいことに使っているというお話は、インタビューを聞いていたジェンダーイコールメンバーも目からウロコでした!お子さんたちも外部サービスの提供者さんにとても懐いているそうで、きっとその方も子供や孫のようにお子さんたちを可愛がってくれていることでしょう。

親、子、第三者と、とてもハッピーな関係性が構築できているのだなと感じました。

個人的には、インタビュー外の雑談時に、現在小学生の娘さんには「家事や育児をしない男性とは結婚してほしくない」と話してくださったのもとても印象的でした。三姉妹の母であるわたしも常々そう思っています…!

そして、最後の「これから先、どんなパートナーシップを築いていきたいですか?」の回答では、お互いの社会貢献活動に対するリスペクトの気持ちがにじみ出ていて、本当に人間としてパワフルで素敵なお二人だなと思いました!

わたしたちが今さら説明するまでもなく、子供たちのために社会づくりに邁進してくださっている駒崎弘樹さん。

公務員として働く傍ら、地域社会で活動し、今後ますますご活躍が期待される駒崎美紀さん。

お二人とも大変お忙しい中、ハッピーシェアボード体験&インタビュー本当にありがとうございました!

*当インタビューは2018年2月25日に実施しました。こちらに掲載していた記事を再掲しています。

駒崎弘樹さん・駒崎美…

駒崎弘樹さん、駒崎美紀さん ハッピーシェアボード体験!

くるみ
こんにちは!ジェンダーイコール副代表理事の篠原くるみです。みなさんは、首都圏で自宅訪問型の病児保育サービスを展開している「認定NPO法人フローレンス」をご存知でしょうか?わたしもこれまで何度も助けてもらいました。

病児保育のほかにも、子育て関連の社会問題にいくつも取り組まれています。

そんなありがたい存在のフローレンスの代表理事 駒崎弘樹氏と東京都北区の地域貢献で幅広く活躍している駒崎美紀氏ご夫妻が、この度、なんとハッピーシェアボードを体験してくださいました!

インタビューでは、お互いのこだわりポイントにズレのあった洗濯トークで盛り上がりました!

また、「投資」の観点から家庭内タスクをどう考えるべきかについてのお話や、外部サービスの上手な使い方と「お金もったいない」と感じてしまう問題をどうやって乗り越えてきたかのお話をしてくださいました。

さらにわたしたち子育て世代を縛る「呪い」についてや、女性が働くということについてもディスカッションさせていただきました。

勉強になるし参考になる… でもわたしたちと同じように分担に悩んだり、ときにはモメたりもする「駒崎家」の姿を見せてくださいました。

ぜひご覧ください!

 
<< 駒崎弘樹氏プロフィール >>

NPO法人フローレンス代表理事。

慶應SFC卒。05年~訪問型病児保育を開始。

08年Newsweek「世界を変える100人の社会起業家」に選出。

10年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。後に小規模認可保育所として政策化。

14年、障害児保育園ヘレンを開園。著書に「社会を変えるを仕事にする」「働き方革命」

 
<< 駒崎美紀氏プロフィール >>

北区はたらくママネット地域団体代表。

グリーンバード赤羽チーム ママリーダー。

青山学院大学学校教育法履修証明プログラム修了認定ワークショップデザイナー。
 

ハッピーシェアボード実践!

お二人のハッピーシェアボード実践の様子を撮影させていただきました。細かなやり取りからお互いの本音が見えてとても興味深いです…!

まずはこちらをご覧ください!


 

忙しすぎる駒崎家の家事育児分担は?

ハッピーシェアボード完成品。向かって左が美紀さん、右が弘樹さんです。

くるみ
家庭内タスクの分担はわりとしっかり決まっているのですか?
弘樹
はい。でも、曖昧なものがけっこうあるなと今回可視化して改めて気づきました。
くるみ
家事育児分担の取り決めをしたときのことを教えてください。
美紀
育休があけるタイミングで、エクセルでタスクリストを作って分担の取り決めをしました。
弘樹
提案はたしか妻からだったと思います。でも、その後特にアップデートはしてないですね。
美紀
もうあまり覚えてないけど、そのとき作った通りにはなってないかなぁ。
弘樹
あれはきちんと可視化しておけばよかったね。マグネットみたいな形にして。
美紀
とはいえあんまりガチガチにしないほうがいいよね。
弘樹
見える化した後に、こうすればよりよくなるという議論ができるといいですよね。

対戦中のお二人!

 

ハッピーシェアボードを実践した感想は?

美紀
普段お互い忙しくて、事務連絡とスケジュール調整で精一杯。だから、こういう話をする機会がないです。改めて話せてよかったと思います。
くるみ
美紀さんの「名もなき家事」が溢れていますが、ストレスはありますか?
美紀
シャンプーの詰め替え、面倒ですね。カラッカラのまま薄めて使ったりしてます(笑)
弘樹
詰め替えは子供とお風呂に入ったときに子供にやってもらったり。
美紀
イベントグッズはなかなかストレスですね。。実家の母親からお雛様出したの?とかメールが来たりして。クリスマスツリーなどもしまうのも面倒臭い。
それならやらなくていいじゃんと言われるんだけど。。
美紀
夫にはティッシュとか紙類の補充系はもっとやってほしいです。なくなったら「ないない」じゃなくて。
弘樹
それは、やります(笑)
くるみ
弘樹さんは料理はやらない?
弘樹
レシピ通りに作れなくて。。手間暇とアウトプットを比較すると絶対買った方がいいなって。パパと子供だけのときは、ケン◯ッキーとかです(笑)
くるみ
夫婦以外がしているタスクはありますか?
弘樹
家電に任せられることは任せるようにしています。うちはルンバを使っているのですが、「ルンバタイム」と称して子供に片づけをしてもらっています。

 

「やりすぎ家事」の議論から見える価値観の違い

くるみ
「やりすぎ家事」はありましたか?

ディスカッション中!外干しVS乾燥機!

弘樹
いつも提案しているけど、、せっかくドラム式なのだから洗濯物を干すのはやめて乾燥機でいいよね。干すっていう行為は無駄が多いですよね。
美紀
乾燥機と言っても全ての衣類を乾燥機にかけられるわけではないじゃないですか。動線が二箇所に分かれるのが面倒だし。乾燥機のフィルター掃除も面倒。
弘樹
フィルターは俺がやるよ!
美紀
イヤイヤ、信用できない(笑)
弘樹
干すのもやるよ!
美紀
シワシワになるし!(笑)
それと、乾燥機使ったら出して欲しいですよね。いざ洗濯したいとなったときに、乾燥済みの衣類が入っているのが。。
弘樹
洗濯前の衣類を入れておくカゴと、乾燥後に出したものを入れておくカゴと、二つカゴを用意すれば解決するよ!
美紀
そもそも、洗濯物は太陽に当てたい!
えりこ
勝間和代さんの本では、靴下や下着などの小さな洗濯物は干さずに、専用のネットにドバッと広げて乾かしているそうですよ。
弘樹
その本読みました!それで時短家事しようとしたら太陽とか言い出すから(笑)

<<< この後、妻VS夫、外干しVS乾燥機で議論20分!もったいないですが割愛します。ちなみに決着はつきませんでした(笑) >>>

弘樹
僕は時短派なんですよ。ちょっとでも時間がかかるものは短縮したいなって。
くるみ
価値観の違いは、どんな家庭でもありますよね。。
お互いに何がストレスになっているのか、どこにこだわりがあるのかをはっきりさせるのもハッピーシェアボードの目的の一つです。

 

ワンオペ回避!上手な外部サービスの使い方

くるみ
家事育児分担のコツなどがあれば教えてください
美紀
週一で家事支援サービスの方に来ていただいていて、とても救われています。。あの方なしでは生きていけない(笑)
お願いしているのは、夕食作り、洗濯物たたみ、部屋の片付けや整理整頓、ルンバの届かないところの掃除などです。一回2時間ですけど、週1回来てくれるだけで夕飯5日分はそれで生きています。その日仕事から帰るときの気持ちが全然違う。ちょっとマッサージ行っちゃおうかなとか!
美紀
ファミリーサポートさんにも来ていただいています。
自分がいても、夫が出張などでいなくてワンオペの時はお願いしています。自分の他に見てくれる大人がいると、疲れ方が全然違うんですよ。次の日早く起きたりとかできて、家事や育児を一人でこなすぶんのエネルギーを社会貢献活動に回せる。これを提案したのは夫です。はじめはすごく抵抗あったけど。
弘樹
結婚してから価値観の違いをすごく感じました。
自分の時給を考えると絶対にアウトソースした方がいいタスクがたくさんあるんですよ。
美紀
昔は、食洗機や生協すらも抵抗があった。自分がやった方がいいかなって。タクシーなんてどこの金持ち様が使うのかと思っていた(笑)

その②に続く〜

*当インタビューは2018年2月25日に実施しました。こちらに掲載していた記事を再掲しています。