- くるみ
- 首都圏で自宅訪問型の病児保育サービスを展開している「認定NPO法人フローレンス」の代表理事 駒崎弘樹氏と東京都北区の地域貢献で幅広く活躍している駒崎美紀氏ご夫妻。お2人のハッピーシェアボード体験を前半と後半に分けてお届けしています。当記事は後半。どうぞお楽しみください!
*前半をご覧になりたい方はこちらからどうぞ!
「お金で時間を買う」という考え方
- くるみ
- 「お金もったいない(と思ってしまう)問題」はありますよね。
- 美紀
- 外部サービスを使うことに対しては、そう思ってしまうのは常にあります。
- 弘樹
- 僕は経営者だから、投資したぶんが返ってきたらそれでいいと思っています。お金を投入したら、それ以上稼げばいいと思うので。でもそれがなかなか伝わらなくて(笑)
- くるみ
- 家事育児分担の取り決めをしたときのことを教えてください。
- 美紀
- 昔はわからなかったのですが、我が家の場合ではタクシーやカーシェアを利用することと、車を保有することを比較すると、トータルコストは車を持つことの方が大きいので車は持っていません。
- 弘樹
- 既成概念を乗り越えて、中長期的に見たときに最適なお金の使い方をすればいいよね。
- くるみ
- 日本人は特に先行投資の考え方が少ないですよね。例えば、外部サービスを利用することに対しては、今月だけをピンポイントで見ればマイナスかもしれないけど、最終的にキャリアアップにつながればいい。フローレンスさんの病児保育サービスを使う人も、そういう考えでやっている人が多いのでは?
- 弘樹
- 日本には生涯賃金という考え方があまりないですね。夫婦間でも、価値観の違いが事象として現れると思います。メンタルモデルが人それぞれ違うので。
たとえば、品質管理。家事にどれだけ時間を割いて、どれだけのクオリティを求めるのか。投入するリソース(注:ここでは時間)と、品質をどうすり合わせるのかが意思決定に関わってくる。 - 美紀
- 価値観の違いはすごくありますよね。相手が掃除の当番なのに、なんでやらないんだ?と思って聞いたら、「え、全然汚くないじゃん」と。
- くるみ
- 分担の失敗はありますね。そこで、もういいよ、私がやるから!となると夫はやらなくなる。
「呪い」問題
- くるみ
- 男子3人育児中のある友人は、「上履きを洗うのをやめた」と言っていました。どうせすぐにサイズアウトするし、男子の上履きなんてボロボロになってお下がりもできないのだから、毎週洗う労力を他のことに使おうと。
- 美紀
- 上履きや保育園の外遊び靴は、靴洗い洗剤につけた後、専用のネットに入れて洗濯機で洗ってしまっています。
- えりこ
- 私はそこだけは乗り切れていなくて。どうしても毎週丁寧にたわしで洗ってしまう(笑)
なぜかわからないけど、ここだけは「呪い」が解けていません。 - くるみ
- 私の「呪い」は、夕飯でした。一人目で復帰した直後は、保育園に一日中預けているのだからせめて夕飯だけはちゃんと作ろうと勝手に思って、一汁三菜を毎日やっていました。子供はかまってほしくて泣いているのに、無駄に頑張って作っていた。本末転倒ですよね。。子供が3人になってもう死ななければなんでもいいやとなった。今平日の夕飯はパスタとかカレーです。
- えりこ
- 夫がワンオペを実務的にするようになって、彼が1日の流れを理解するようになってくれたことがすごく大きいです。ご飯もこだわるようになり、一般的に「母性」と言われるような能力が出てきた。男性も自分でやると気づくことが増えるし、普通にできる。それはやってみて初めてわかりました。
- くるみ
- ワンオペで気づくこともあるんですね。弘樹さんはワンオペ状態になることはありますか?
- 弘樹
- 僕は基本19時には帰宅するので、夫婦で一緒に家事や育児をするということはすごく多いかも。何か家事をしながら話し合ったりとか。ワンオペ状態に普段あまりならないから、逆にワンオペになるとすごく大変に感じる。妻がいないときはファミサポをやっぱり頼みますね。子供は僕が言っても宿題やらないのに、ファミサポさんに言われるとやったり。
- くるみ
- フローレンスさんの病児保育事業には、ジェンダーイコールのメンバーもこれまで何度も助けられてきています。子育てをしながらしっかりキャリアアップを目指したい女性には必要不可欠なサービスです。弘樹さんは、「女性が働く」ということについてはどう捉えられていますか?
- 弘樹
- 今ひとり親支援の事業をしていて困っていることは、仕事を持たないひとり親がとても大変な状態になってしまっているということです。
- くるみ
- 女性に経済力がないと、何かあったときに離婚という選択肢が選べません。そして、ひとりになったときに自分だけではなくて子供も貧困になってしまうリスクがある。
- 弘樹
- 本当にその通りです。男性視点からしても、自分だけが働くのは超リスクです。一般的な声として、女性が「働きたくない」と言ってしまうことに対しては、すごくジレンマを感じます。
- くるみ
- 妻が夫に家事育児分担を交渉すると、「俺より稼げるのか?」と言われてしまうケースもあります。
- 弘樹
- それはモラハラですね。。そもそも日本の男女の賃金格差は先進国の中で最低レベルです。元々がアンフェアなのだから、権利は主張しないと!
- 美紀
- 諦めている人も多いのかな。
- 弘樹
- あんまり期待しちゃうとがっかりするのがツラいから、自分がやってしまう人も多いのかもしれないですね。
- くるみ
- これから先、どんなパートナーシップを築いていきたいですか?
- 美紀
- 夫のいいところは、私のやることを全力で応援してくれるところです。仕事以外の地域活動も応援してくれるし、協力も提案もしてくれる。なかなかそんな男性はいないので、すごくありがたいと思っています。
- 弘樹
- 妻には好きなことやっていてほしいです。好きなことを臆せずやって、輝いていてほしい。時間に対する価値観についてはこれからもすり合わせが必要だなと思っていて。適切にお金をかけることで、それ以上に価値のある時間を得られるということをこれまでと同じように伝えていきたいです。
彼女はこれから今よりももっと忙しくなるだろうから、家電とか外部サービスに任せられることはどんどん任せてもらって、自分の時間をやりたいことに使ってほしい。 - 美紀
- 私は家事育児分担はきっかり平等じゃなくてもいいかなって思っています。夫のしている仕事は、すごく社会のためになっているから。
- 弘樹
- 美紀ちゃんはこれからもっと社会のためになれる方法はあるし、可能性があるし、できるから。だからもっと自分のための時間を作って、やりたいことを実現していってもらいたいと思っています。
女性が働くということ
社会のために!
〜 ありがとうございました! 〜
日本一成功している認定NPO法人の創立者で代表理事である駒崎弘樹さん。
経営者ということで、家事や育児に対してもとても合理的な考えを持っていらっしゃることが言葉の節々から伝わってきます。
美紀さんは、以前はタクシーを使うことはおろか、便利家電や生協すらも敬遠していたと話してくれました。
それでも、夫の提案で家事や育児の外部サービスを使いはじめて、気持ちに余裕が生まれ、自分の好きなことややりたいことに全力投球できるようになったそうです。
お二人とも、ご自分が在宅の時にもあえて外部サービスを利用することで「ワンオペ状態」を回避し、エネルギーをやりたいことに使っているというお話は、インタビューを聞いていたジェンダーイコールメンバーも目からウロコでした!お子さんたちも外部サービスの提供者さんにとても懐いているそうで、きっとその方も子供や孫のようにお子さんたちを可愛がってくれていることでしょう。
親、子、第三者と、とてもハッピーな関係性が構築できているのだなと感じました。
個人的には、インタビュー外の雑談時に、現在小学生の娘さんには「家事や育児をしない男性とは結婚してほしくない」と話してくださったのもとても印象的でした。三姉妹の母であるわたしも常々そう思っています…!
そして、最後の「これから先、どんなパートナーシップを築いていきたいですか?」の回答では、お互いの社会貢献活動に対するリスペクトの気持ちがにじみ出ていて、本当に人間としてパワフルで素敵なお二人だなと思いました!
わたしたちが今さら説明するまでもなく、子供たちのために社会づくりに邁進してくださっている駒崎弘樹さん。
公務員として働く傍ら、地域社会で活動し、今後ますますご活躍が期待される駒崎美紀さん。
お二人とも大変お忙しい中、ハッピーシェアボード体験&インタビュー本当にありがとうございました!
*当インタビューは2018年2月25日に実施しました。こちらに掲載していた記事を再掲しています。