2024年3月26日にクロックス・ジャパン合同会社にてセミナーを実施しました!今回はセミナーの概要について、イベントレポート形式でお届けします。
実施概要
- 研修名:身近なジェンダーバイアスを考える
- 日時:2024年3月26日(火)15:30-16:30(60分)
- 実施方法:対面式+オンライン参加
- 対象:任意参加
- 当日参加者:対面式(16名)、オンライン(3名)
- 研修アジェンダ
- アンケート結果共有
- ジェンダーに関する基礎知識
- ディスカッション①
- ディスカッション②
企業概要

会社名:クロックス・ジャパン合同会社
【Crocs】
クロックス社は、女性、男性、子供向けのカジュアルフットウェアの世界的リーダーであり、快適さとスタイルが消費者に愛され続けています。同社のブランドにはクロックスとHEYDUDEがあり、製品は卸売と直販を通じて85以上の国で販売されています。
クロックス社に関する詳細は、investors.crocs.comをご確認ください。同社のブランドについては、www.crocs.co.jp または www.heydude.com をご覧いただくか、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターで @crocsjp または @heydude をフォローしてください。
研修講師

室田 美鈴(むろた みすず)
【関心のあるテーマ】企業内に残るジェンダー格差の解消、企業や組織文化の改革
【活動歴】大企業での就労経験や夫の海外勤務への帯同を機に企業内に残る性別役割分担意識に違和感を持ち、2021年2月に参画。以降、企業向け事業の立ち上げや男性育休取得推進に向けた企画を実施中。
目的
- ジェンダーバイアスが身近にあることを知る
- バイアスを是正するためにできることを考える
研修概要
今回のセミナーはディスカッションの時間を長く取り、身近にあるジェンダーバイアスについて自分ごととして考えていただけるような形で進めました。
またセミナーを開始するにあたり、ジェンダー平等の実現やバイアスを払拭するための近道や正解はなく、自分自身で考えることが重要であることをお伝えした上で開始しました。

1. 事前アンケート結果まとめ
今回はセミナーを実施前に事前アンケートを実施しました。
(事前アンケート設問)
- 生きづらいと感じたこと
- 日本の中にある男女格差/違和感
セミナーの最初に事前アンケート結果報告として、参加者が感じているジェンダーバイアスや違和感を共有しました。
生きづらいと感じたこととして、
- 家事や育児負担が私(女性)に偏っている
- 父親として育休が取れなかった
- 良き妻/良き母を育てるという校風の学校だった
日本の中にある男女格差/違和感としては
- 「まだ結婚しないの?」と当たり前に聞く文化
- 伝統的な性別役割分担を含む、根強い性差別があるがそのことに気づいていない
といった日常生活の中に存在するさまざまな違和感を共有いただきました。
2. ジェンダーに関する基礎知識
ディスカッションを行う前に認識合わせとして簡単にジェンダーに関する用語説明を行いました。
- セックス(SEX)
- ジェンダー(Gender)
- ジェンダーバイアス
- ジェンダーロール
- ジェンダーギャップ
- ジェンダーギャップ指数
- 日本の状況/データ(女性管理職比率/男女別育休取得率・取得期間/男女雇用機会均等法の変遷)
3. ディスカッション①
1つ目のディスカッションのテーマはこちら!
バイアスのある発言を耳にしたら、あなたはどう反応しますか?
(言われた本人だったら?言われた人の周囲にいたら?)
(発言例)
- (独身女性に対して)「まだ結婚しないの?」
- (結婚した男性に)「これから大黑柱として仕事頑張れ」
- (夫が妻に)「母親なんだから家事/育児はちゃんとやって」
各チーム、ご自身やご家族の経験などを踏まえて、時間いっぱいまで闊達に議論していただきました。正解がない上に状況や自分の立場によっても振る舞い方が異なるため、皆さんから「難しい!」という声を多くいただきました笑
全体シェアの時間では、子どもを持つ女性の方から、
「残業していると、男女問わず上司から『パートナー(夫)が子どもを見てくれていて、いいパートナーだね』といった声がけをされるが、おそらく男性社員はそういう発言を言われたことはないと思う。私も育児も仕事も頑張っているのに!」といったエピソードを共有いただきました。
またそういう発言を受けた際、その女性は「私も週に3日は早く帰って育児をしているので、褒めてください!」と相手の発言をストレートに指摘はしないものの、バイアスに気づいてもらえるような発言をしていると共有いただきました。
バイアスのある発言をされている方の多くは全く悪気なく発言をしていることがほとんどです。したがって反応する側も過度に攻撃的にはならず、かといって自分自身の気持ちもしっかり守れる対処法を状況に応じて考えて置く必要がありますよね。
バイアスのある発言を耳にする機会は実は結構多いです。今後こういった状況に陥った時に、今回のディスカッションで話したことを思い出していただけると嬉しいです。
4. ディスカッション②
2つ目のディスカッションのテーマはこちら!
積極的差別是正措置(Positive Action)は必要か?
Positive Action例:女性専用車両/大学入試の男女別枠の設置/管理職の男女別枠の設置など
昨今ではクオーター制やAffirmative Actionといった構造的な差別を是正するために一時的に女性の優先枠を設けたり女性の進出を促す計画を策定するなど特別な措置を講じて男女の実質的な機会の均等を確保するためのアクションを実施すべきという考え方も広まってきています。
一方でこういった施策は「逆差別」であると考える反対派の人たちもおり、議論を巻き起こしています。
少し難しいテーマではありましたが、今回ご参加いただいた皆様のリテラシーや知識レベルに鑑みて、私自身もぜひ皆さんと議論してみたいと考え、このテーマを選びました。
賛成や反対という明確な立場を取ることは難しいと感じつつも、さまざまなケースを想定して、こちらのテーマでも時間いっぱいかけてディスカッションを行っていただきました。
全体シェアでは、実際にご出身の理系の大学で、入試に男女の入学枠を設けたことで、結果的に現在は男女半々になっているという事例を紹介いただきました。加えてその大学では入学枠を設けるだけでなく、入学後の教育プログラムも女子学生に合う形でカスタマイズをし、卒業までしっかり支援を行うことで、その後のキャリア支援にも繋がるのではないかというコメントもいただきました。日本では京都大学では2026年度から入学試験の女子枠の設置がこれから開始されます。日本でも今後、建設的で前向きな議論が広まることを願っています。

そしてセミナーの最後に、セミナーを通じて感じたことをグループ内でシェアいただき、終了となりました。参加いただいた皆さんがお互いフラットかつ自由闊達に議論を進めていただき、オープンな社風を感じることのできるセミナーでした。
参加者の声
終了後に実施した参加者アンケートでは、
- 答えはない、という点でひとそれぞれ考え方は違うと思うので納得した
- ジェンダーバイアス解決のためにポジティブアクションがどの程度まで必要なのか難しいと感じた
- 社会全体で意識改革が必要な事を改めて確認できた
- 自分でも悪気なくバイアスのある発言を口にしている事があるかもしれないと再認識できた
1時間という短い時間の中で内容の濃い議論を実施いただき、私自身も事前/事後アンケートも含めてさまざまなご意見をいただくことができ、大変勉強になりました。
ありがとうございました!
なお、今回のセミナーの内容は、クロックス・ジャパン合同会社のLinkedInにも掲載いただいております。ぜひご興味ある方はこちらもチェックをお願いします。
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