こんにちは。ジェンダーイコール高校生メンバーのちかです。
今回は本をご紹介しようと思います。前田健太郎さんの「女性のいない民主主義」です。政治学の内容である政治、民主主義、政策、政治家といった項目をジェンダー的な視点からとらえなおすという内容になっています。調査やグラフがたくさん盛り込まれた客観的事実に基づく考察から、私たちの社会にいかに男性のバイアスがかかっているかがよくわかります。
ここでは、本のはじめに前田さんがおっしゃっていることを私の感想を交えてご紹介します。
この本のはじめに前田さんはジェンダーを視点としていくべきだと言っています。『最近では教科書でジェンダーの概念を紹介しながら社会問題をとりあげることもあるが、それらは政治的な争点のひとつとして扱われることが多く、これでは社会問題の一例として取り上げられただけであって、読者はジェンダーが大部分の政治現象とは関係がないかのような印象を抱きかねない』と。これを読んだときに私は本当に「たしかに!」と思いました。私が使っている教科書にもジェンダーに関するコラムがあります。しかし、それはほんの数ページだけ。それもコラムのためか本文との結びつきも弱いです。教科書、資料集や本の本文中でジェンダー的視点で読み解いていることはなかなかありません。私の学校では社会の先生が授業中にお話ししてくださったりしましたが、そうした機会がなければとばされてしまうことも多いだろうと思います。特に男の子たちにとっては女性だけに関係のある概念のように感じてしまっても仕方ないでしょう。
しかし、みなさんはジェンダーの意味を知っていますか?ジェンダーとは、『男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係を意味します。こういった社会的属性や機会、関係性は社会的に構築され、社会化される過程において学習されるものです。これらは時代や背景に特有であり、変化しうるものです。』(UNwoman日本事務所ホームページ、ニュースとイベントより抜粋)つまり、ジェンダーは女性だけに関係のあることではないのです!
そこで、この本では男女の不平等を念頭に置いて政治学を考えています。ジェンダーを争点や社会問題としてではなく、一種の視点としているのです。ジェンダー的視点から考えると、いろいろなことが覆って面白いと感じました。日本は民主主義の国と言われますが、果たしてそれは本当の民主主義と呼べるのか…?
ぜひご一読ください。
【使わせていただいた記事、本】
・前田健太郎著「女性のいない民主主義」岩波新書
・UNWOMAN https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/news/2018/9/definition-gender