【イベントレポート】…

2023年3月6日に京都人権擁護委員協議会男女共同参画委員会の方々に向けて、ジェンダー研修の講師をさせていただきました!今回は「日本で今起きているジェンダー問題を知る」というテーマで研修を行いました。

  • テーマ:日本で今起きているジェンダー問題を知る
  • 主な内容(抜粋):
    • 日本の現状クイズ
    • 昨今の国内のジェンダー問題
    • 実際に生きづらさを感じている方の声を聞く
    • 振り返り
  • 日時:2023年3月6日(月)13:30-15:30(120分)
  • 実施方法:講師のみオンライン
  • 対象:京都人権擁護委員協議会男女共同参画委員会メンバー(12名)

京都人権擁護委員協議会とは

人権擁護委員は法務大臣から委嘱された民間のボランティアで、全国の各市町村に約14,000人が配置されています。京都市では55名の委員が「京都人権擁護委員協議会」を組織し、法務省管轄のもと、都道府県や全国それぞれの連合会と連携した活動を行っています。 委員は、さまざまな分野の経歴などを活かし、日常生活のなかで発生する人権問題について、法務局と連携して、地域の皆さんからの人権相談を受け、問題解決のお手伝いをしたり、人権侵害の被害者を救済したり、地域の皆さんに人権について関心を持ってもらえるような人権啓発活動を行っています。(相談・調査救済・啓発)

登壇者

室田 美鈴(むろた みすず)

【関心のあるテーマ】企業内に残るジェンダー格差の解消、企業や組織文化の改革

【活動歴】大企業での就労経験や夫の海外勤務への帯同を機に企業内に残る性別役割分担意識に違和感を持ち、2021年2月に参画。以降、企業向け事業の立ち上げや男性育休取得推進に向けた企画を実施中。

研修は主に3つのパートに分けて行いました。

日本の現状クイズ

ジェンダーに関連する用語説明を簡単に行った後に、アイスブレイクとして日本の現状クイズと題して、日本国内の政治的/経済的なジェンダー格差に関するクイズを出題しました。

皆さんはお分かりになりますか?

正解以外の選択肢にも関連する数字を使うことで、日本の政治的/経済的なジェンダー格差を広く知るきっかけになるように工夫しました。

ぜひ興味があれば、この数字のそれぞれの意味を検索してみてください。

参加者の中でも悩まれている方が多くいたり、回答が割れたりする問題などもあり、ご自身が想定するよりも日本国内の男女格差が存在することを数値で認識いただくことができたと感じました。

昨今の国内のジェンダー問題 〜ジェンダー課題の背景を政治家の失言から〜

次のセッションでは「政治家の失言から読み解く、日本のジェンダー問題」と題して、政治家の失言やインフルエンサーの炎上発言の背景にある心理や考え方について解説を行いました。

今回はこちらの3名の政治家の女性蔑視発言と女性インフルエンサーの男性に対する差別的発言や固定的な考え方(身長170cm以下の男性は人権がない/デート代は男性が払うべき)を題材にそれぞれの裏にある以下の考え方を解説しました。

  • ミソジニー
  • 世界的に女性の社会進出と少子化進行に相関はない →相関しているのは日本特有の理由がある!(政策/性別役割分担意識など)
  • 過剰適応
  • 男性は3高がモテる!?(非正規雇用の男性の結婚率は正規雇用の半分以下) →女性は雇用形態によって結婚率に大きな乖離はない

昨今ではジェンダーに関する発言で政治家やインフルエンサーが炎上するといったケースが増えてきています。こういった発言が炎上してしまう背景には発信者が「自分自身のジェンダーバイアスに気づいていない」ためと言えます。

誰しもが固定観念やジェンダーバイアスは持っているので、そのバイアスを持っていること自体は問題ではありません。問題なのは自分自身が自分のバイアスに無自覚な状態で発信を行い、その発言によって意図的かどうかは問わず、他人を傷つけてしまうことです。

そのような問題を起こさないためには、今の多様化した価値観を知ることと自分自身のバイアスを認知することが大切であるということをこの項目でお伝えしました。 基礎研修から1歩踏み込んだやや難しい内容でしたが、ご参加いただいた皆様も真剣に話を聞いてくださり、日本国内の問題をご理解いただけたと感じました。

実際に生きづらいと感じている当事者の声を聞く

次に実際に生きづらいと感じている方の声として「男性育休取得者」のインタビュー動画とジェンダーイコール高校生メンバーが作成したショートムービーをご覧いただきました。 こちらの動画は当団体のYouTubeにも上がっておりますので、ぜひご興味がある方はご覧ください!

動画URL:

男性育休取得者インタビュー

・ご夫婦で1年間育休を取得された児玉さん
 ・第3子のタイミングにパートナーが1ヶ月半育休を取得したくるみさん

高校生制作ショートムービー

・「あたり前」って何?
・なぜ男子ばかり厳しく怒られるの?

男性育休取得者インタビュー動画は取得した男性の方に加えて、パートナーが育休を取得した女性の方の声も聞いていただくことで、夫婦としての感じ方などをより広く知っていただけるように工夫しました。

動画を通じて、育休の取得しやすさに依然として男女差が存在すること、その裏には企業や家庭の中で性別役割分担意識が無意識的に刷り込まれているということを感じていただけたと思います。

続けて当団体の高校生メンバーが脚本/監督をしたショートムービーを2本放映しました。 こちらも学校生活の中で女子学生/男子学生がそれぞれ感じる違和感を取り上げ、一方の性に偏らずに幅広い価値観に触れていただけるように工夫をしました。

振り返り(ディスカッション)

動画やこれまでの説明を受けて、ご参加者の皆様の感想や感じたことなどを3-4人のグループで議論をしていただきました。

短い時間にはなってしまいましたが、どのグループも白熱した議論をしてくださっていました。

最後に各グループで話したことを全体シェアいただきました。 その中で、参加者のご家族の家事育児分担に関する話や高校生のショートムービーを通じて些細な発言に対しても人それぞれ感じ方が違うのだということに気づくきっかけになったといったご意見をいただくことができました。

まとめ

最後に京都府内でのジェンダー平等に向けた取り組みを簡単に紹介し、閉会とさせていただきました。

当日はさまざまなご意見やご質問をいただき、時間を大幅にオーバーしてしまいましたが、皆様の関心の高さや課題意識を強く感じ、私自身もとても勉強になる研修でした。

普段から人権問題に取り組んでらっしゃる方々のため、社会課題への意識がとても高く、私たちが捉えられていない視点や取り組めていない問題に対する考え方を伺うこともできました。 私たちの今後の活動に活かせるご指摘も多く、双方にとってとても充実した時間を過ごすことができたと感じました。

また事後アンケート※注1では

  • 課題意識は持っていたが、具体的な問題点を整理してもらい深く理解できた
  • 政治家の発言には違和感を感じていたが、今回の研修を通じてどこに問題点があるのか明確にできた
  • 高校生の動画が普段よく見かける現状の再現で、そういえば・・・と振り返るきっかけとなった

といったコメントをいただき、研修を通じて日本が抱えるジェンダー課題をご理解いただくことができたと感じました。

ぜひ京都府内での今後の皆様の活動に活かしていただけると嬉しいと感じました。改めてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

※注1:上述の事後アンケート結果は抜粋/一部改訂して掲載しています 私たちはこれからも企業や団体の大小問わず、ジェンダーに関する周知/啓蒙活動を行っていきますのでご興味がある方はぜひ当団体にご連絡ください!

【イベントレポート】…

できること会議

できること会議さんは、さまざまな社会問題に対して「私たちにできることってなんだろう?」を会議する場を提供し、その想いを「カタチにする」サポートを行う学生団体です。

今回は、プライドmonthとして複数のイベントを開催される中、2022年6月11日、フェミニズムをテーマとした講演のご依頼をいただきました。

今回は、ジェンダーイコールより2名のメンバーが登壇者としてイベントに参加させていただきました!

https://www.instagram.com/p/Cea8qLABP2V/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

登壇者

まい
【関心のあるテーマ】恋愛・結婚のジェンダーバイアス
【活動歴】大学生の頃から日本社会のジェンダーの価値観に違和感や生きづらさを感じていた(女子力、〇〇女子など)。このような価値観を少しでも変えていけるような取組みをしたく、2022年3月よりジェンダーイコールに参加。

久保田まもり
【関心のあるテーマ】性暴力の問題
【活動歴】中学時代から身近にある「女らしさ」「女子力」等のジェンダー規範に疑問を持っていた。このバイアスによる息苦しさを変えていけるよう活動したく、高校1年時にNPO法人ジェンダーイコールに参加。

フェミニズムとは?

フェミニズムとは、女性の地位向上・経済格差解消などのみならず、ジェンダー観による不当な扱いに対する社会運動のことです。
ベル・フックスによれば、「フェミニズムとは性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくそうとする思想や運動のことだ」と指摘されており、フェミニズムの敵は男性ではなく、性差別そのものであると言えます。

フェミニズムの世界史(まい)

①第1波
第一次世界大戦ごろ、欧米を中心に参政権、相続権、財産税などの公的な領域・法制度へ権利を求めました。例えばアメリカでは奴隷制度廃止とともに、はじめて女性の権利が訴えられ、その70年後に初めて参政権が獲得されました。イギリスも同様に、1918年に参政権を獲得しています。

②第2波
1950年代から70年代前半にかけてアメリカを中心に起こった運動です。ウーマン・リブとも呼ばれ、第1波のような公的な領域や法制度への権利獲得だけでなく、ジェンダーバイアス、社会的・家庭的や役割、女性らしさへの抵抗を示したのが特徴です。スローガンには”The personal is political”ーー「個人的なことは、政治的なことである」と掲げられ、つまり、問題の根底は男性中心の社会や政治システムにあると主張してきました。一方で、全ての女性は主婦にならず働くべきというように、柔軟性には欠けていたという特徴もあります。

③第3波
男女間の平等だけでなく、人種や体型、肌の色、生まれ育ち、性的指向など、ひとりひとりの持つ個性を受け入れていこうという動きが特徴的です。第二波とは異なり、フェミニストはこうあるべきというよりは、個人の自由が尊重されたことも特徴の一つです。

④第4波
2010年代〜、SNSの普及に伴うオンライン・アクティビズムです。例えば、ハリウッド女優による「#Me Too」運動が想像しやすいと思います。SNSを通じ、多くの人が運動への参加がしやすく、かつ問題意識が共有しやすくなった一方で、論争や炎上につながることも多く、フェミニズムに対し過激な印象を持たれてしまう一面もあります。

フェミニズムの日本史(まもり)

日本におけるフェミニズムの歴史を、男女平等政策から見ていきます。

1970年前後に起こったウーマンリブは、女性たちによる女性開放のための運動です。この時代は、ネオリベラリズム改革、自由競争というのが台頭した時代でした。

1985年に制定された男女雇用機会均等法は、高学歴の女性の雇用機会を拡大し、意欲と能力さえあれば総合職で働くことも可能になりました。
ネオリベラリズム改革の過程で、女性たちは確かに機会を拡大しました。一方で、それ以前とは違う意味で大変になりました。
家事・育児の大半を担ってくれる配偶者を持つ男性たちと対等に働けるものなら労働市場に入れてもいいよ、という側面があったのです。
女性労働者の中でもエリートの女性たちはほんの一握り。そのエリート層の女性にすらアンフェアな競争に投げ込まれることになりました。

政府がなぜ男女共同参画を推進したか?その理由は、少子化です。
1989年に1.57ショック(出生率が過去最低)があり、その後は一時的に回復したのち徐々に低下していきました。そして、1991年には育児・介護休業法が成立しました。
育休制度は長い間女性労働者の悲願でした。ほんの数ヶ月の授乳期間の休みがあれば仕事を辞めなくてすむのに、育休がないために職場を去った女性がたくさんいました。
男女共同参画政策、そして育休法の背景には、国は女性にも働いてもらいたい、そして子どもも産んでもらいたいという思惑があったのです。

時は流れ、最近のできごととして、今年4月より育児・介護休業法が改正・施行され、男性の育児休業の取得がより柔軟になり、有期雇用者の取得要件が緩和されています。
制度というものは往々にして全てをカバーできるものではありません。政府がわたしたちにこう動いてほしい、という国作りの方向性が見てとれる一方で、わたしたちにとっては助かること、過去よりは良くなることもたくさんあるとも言えるでしょう。
日本においてもフェミニズムの先人たちが声を上げ、少しずつ権利を回復してきてくれました。
感謝とリスペクトの気持ちを持ち、わたしたちがさらに先に進めていかなければならないと思います。

フェミニズムにまつわる身近な問題

(まい)
フェミニストによるこれまでの運動により、今当たり前となっているような様々な女性の権利を私たちは享受できているかと思います。しかしその一方で、長い男性優位社会の中で形成されてきた価値観には、ジェンダー不平等が未だに色濃く残っています。このジェンダー不平等は、女性に生きづらさをもたらし、一方で男性もこのジェンダー観に苦しむことがあると思います。私は、女性に関する基本的な権利が獲得された現代においても、なお残るジェンダー不平等について問題意識を持っており、その観点からお話をさせていただきます。

〜恋愛〜
恋愛においては、「男性が選ぶ側で、女性が選ばれる側」という価値観が依然として残っているのではないでしょうか。例えば「男性から告白する、プロポーズする」という風潮は未だに残っているように感じます。
また、最近は死語になりつつありますが、「さしすせその法則」(さすが、知らなかった、すごい、センスがいい、そうなんだ)という言葉は、選ばれれる側である女性が男性を立てるという構造が背景にあるのではないかと思っています。勿論男性から告白してもいいと思いますし、男性を立ててもいいと思うんですが、これがあたり前とか、こうすべきっていうものでは無いと思います。

〜結婚〜
また、結婚においても、日頃の生活で違和感を感じることが多く、
例えば…大学を卒業して就職が決まったら、「あとは結婚だけだね!」
同僚同士の会話で、「だからあの人は結婚できないんだよ」
これらは、結婚が女性としての成功であるとか、結婚して初めて「一人前」として考えるような価値観が背景にあるのではないのでしょうか。
結婚をすることも勿論素晴らしいことですが、結婚してる・してない、もっと言えば子どもの有無にも関わらず、幸せな人生は多様にあり、様々なライフプランがあると思います。
もし、同じようなことを言われて、結婚に焦ったりモヤモヤするようなことがあれば、結婚がゴールの一つじゃないんだよって思っていただければいいなと思います。

(まもり)
フェミニズムの先達たちが戦ってきてくれたおかげで、色々な権利が享受できてるのですが、未だジェンダー不平等な社会だと思います。
言ってみれば、他の先進国でも、ジェンダー平等を達成できてる国なんて一つもありません。バックラッシュで、今まで享受できてた権利が泡のように消えると言うのが往々にしてあり得ます。

だから、私みたいに顔出しできて、本が読めるという立場にいる以上、積極的に発信していかなきゃと思います。
同時に、そういう立場にいるからこそ、例えばセックスワーク等の話など、この問題は自分は大丈夫でも、弱い立場にいる女性たちが真っ先に被害を被る問題なんじゃないかというのを考えなければいけません。

私が傍観者のまま80歳になって、未だに女の子や子どもたちが、痴漢被害にあっていたり、私が経験したようなことを、世代を超えてまた経験していたり、そんな現実を目の当たりにしたら、多分今まで社会に向き合わなかったことに後悔すると思います。
私は、自身が被差別者であることと同時に、この社会で差別の温存に加担してしまっていた身として、贖罪の気持ちもあります。

ディスカッション〜参加者の感想

講演後には、登壇者の関心のあるテーマ「恋愛・結婚のジェンダーバイアス」「痴漢(性暴力)の問題」について、少人数グループでじっくりディスカッションをする時間を設けていただきました。

最後に、参加者の方にいただいた感想を一部抜粋してご紹介します。

  • 初めてフェミニズムについて話を聞いて、漠然としたイメージしか持っていなかったが当事者意識をもって考えるようになれそうだと思いました。ディスカッションで「心のジェンダーレス」というワードを聞いて、ジェンダー問題について考えるいいスタートとなりました。
  • フェミニズムという概念を知っていることで視野が広がる、心の支えにできる、という考え方が印象に残りました。
  • 男性で理解しようとしている人が多い印象を受けました。
  • ジェンダーについてしっかり考える必要性と、まだまだ女性の立場が低い状況を性差関係なく自由に生きられるよう、声をあげていかなくてはいけないと思いました。

チャットも盛り上がり大変楽しいイベントでした!参加者の方々、できること会議の皆様、本当にありがとうございました!!

【無料】オンラインイ…

育児や子育ての分担について考えよう!

このたび、NPO法人ジェンダー イコールは、「パートナーと読もう!考えよう!母子手帳と育児休業」を開催いたします。

コロナによって、育児・子育て負担の増加が叫ばれていることに加え、昨年には育児・介護休業法が改正され、男性の育児参加が目指されている一方、育児・子育ての分担の仕方が分からず、孤立した子育てで悩んでいらっしゃる方は多くいらっしゃいます。

また、コロナ禍においては、オフラインの交流・コミュニティが減少し、子育てに関する情報収集がしにくくなっています。

そこで、本イベントでは、保健師の伊原氏を招いて、子育て情報に触れる第一歩である「母子手帳」の使い方・妊娠期からパートナーとの共有するべき知識などを紹介いただくとともに、改正育児介護休業法で導入された「産後パパ育休」の取り方などについて、実際に育休を取られた男性の事例を交えながら説明します。
参加費は無料です。ぜひご参加ください!

【日時】2022年1月27日(木)14:00〜15:30

【場所】オンライン(zoom)

【当日のスケジュール】

★14:00〜14:40  母子手帳ってどんなもの?保健師さんと読んでみよう

★14:45〜15:05  パートナーととる育休の取り方・使い方

★15:05〜15:30  意見交換・おしゃべり会

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【無料】寺町晋哉著『…

最終回(第7回)は12月23日(木)開催!

12/23の読書会最終回第7回では、書籍の【第7章】について解説します。
第7章の目次は以下のとおりです。

●第7章 〈教師〉の人生と向き合う
 第1節 〈教師〉ゆえの困難
 第2節 〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践へ

ゲストにジェンダーイコール高校生メンバーの加藤ここなと関崎みくが登壇。
寺町先生と一緒に「学校で感じるジェンダーバイアス」について考えます。お楽しみに!

「ジェンダー」による機会格差は存在する

❝男子であろうが泣きたくなることもあるし、人文学部へ進学したい男子もいるだろうし、大学院へ進学したい女子もいるだろう。個人の選択は自由であるし、尊重されなければならないはずなのに、「性別」が個人の可能性を阻害している。そればかりでなく、「女性/男性」という理由だけで不利益を被り、教育における様々な格差が生じてもいる。- 中略 – 実はジェンダーをめぐる教育課題は現在の学校にも歴然と存在しており、学校は社会に存在するジェンダー秩序を再生産する装置となっている。❞

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)より

無意識のうちに子どもの可能性が制約されている

歴代校長が全員男性であれば、無意識のうちに子どもたちは「校長=男性」という意識を持ってしまいます。このような性別で固定された役割を「ジェンダーロール」と言いますが、学校にはさまざまなジェンダーロールが潜んでいるように思います。

例えば、校長=男性というジェンダーロールが生徒たちに刷り込まれてしまった場合、もし将来教職を目指したいと思っている女子生徒は、「自分は女性だから校長にはなれない」という考えが、どこか心の奥底に潜んでしまう可能性があります。

また、子どもの大学進学意欲は、小6では男女差が見られないにも関わらず、中3になると男子が高くなることを知りました。女子よりも男子の方が親の進学期待が高いことが明らかになっているそうです。これは、中学生の間に、男子は大学進学を促されやすく、女子は制限されやすいことを表していることが考えられます。この違いによって、性別によって大学進学意欲に偏りが出ている可能性があるのです。

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』


2021年8月20日、宮崎公立大学准教授 寺町晋哉先生が、『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)を出版されました。

目次
●第1章 ジェンダーをめぐる教育課題と〈教師〉
 第1節 ジェンダーをめぐる教育課題は何か
 第2節 教師は「再生産の担い手」?「変革の担い手」?
 第3節 ジェンダーをめぐる教育課題へ対抗する
 第4節 ジェンダー教育実践と〈教師〉の関係
 第5節 本書で明らかにすること
 第6節 調査の概要
 [コラム1] 「さん」で統一すること

●第2章 教師教育は「変革の担い手」育成に寄与しているか
 第1節 教師教育における学び
 第2節 教職課程に所属する学生の学び
 第3節 ジェンダーをめぐる教育課題に対する教師教育
 第4節 実態をふまえた先へ
 [コラム2] ジェンダーにこだわりすぎなのか

●第3章 女子のトラブルを「ドロドロしたもの」と見なしてしまう文脈
 第1節 友達関係と学級運営
 第2節 学年運営の方針と「課題」であ る女子たちの関係
 第3節 A組のトラブルと山本先生の学級運営
 第4節 C組のトラブルと高橋先生の学級運営
 第5節 男子のトラブルへの対応
 第6節 「再生産の担い手」としての教師たち
 第7節 〈教師〉たちの置かれた文脈
 [コラム3] 友人関係とジェンダー

●第4章 〈教師〉であることとジェンダー教育実践
 第1節 山口先生の人生、そして葛藤と変容
 第2節 〈教師〉への多様な影響をもたらすジェンダー教育実践
 第3節 〈教師〉であることを見据えて
 [コラム4] 名簿・整列などや身体測定の男女混合

●第5章 〈教師〉集団だからできること/難しいこと
 第1節 ジェンダー教育実践を個人化させないために
 第2節 〈教師〉集団によるジェンダー教育実践と「子どもたちの実態」
 第3節 ジェンダー教育実践をめぐる困難
 第4節 仲間を増やしていくこと
 第5節 ジェンダー教育実践の可能性と限界
 第6節 〈教師〉集団の可能性と「センシティブ」であることの困難
 [コラム5] 性的マイノリティの「困難」とは

●第6章 〈教師〉たちと研究者の授業作り
 第1節 学校現場へ新たにジェンダー教育実践を導入するために
 第2節 ジェンダー・センシティブな視点の提示
 第3節 〈教師〉たちとの授業作りにおける新たな視点の提示
 第4節 教育臨床社会学からみたジェンダー教育実践の授業作り
 第5節 パッケージ化したジェンダー教育実践を広げる研究者の一助

●第7章 〈教師〉の人生と向き合う
 第1節 〈教師〉ゆえの困難
 第2節 〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践へ

前述した通り、学校にはさまざまなジェンダーの固定観念が存在しています。

昨今、ニュースでは日々、貧困問題や少子化問題が取り上げられています。

これらの問題の根底には教育格差が潜んでいます。そしてこの問題に「ジェンダー」は切っても切り離せない深い関係があります。

今回、NPO法人ジェンダーイコールは、この問題を具体的にみなさまに感じていただくために、寺町先生の新著の存在を世間の多くの人々に知ってもらいたいと考えました。

ですが、研究をベースにした書籍であるため、一般の方にとっては少し難しい内容があることも否めません。

そこで寺町先生と相談し、全7回に分けて、オンライン読書会を開催する運びとなりました。

第1回目は、11/14に売上5万部を超えるベストセラーとなった『教育格差』著者の松岡亮二氏を特別ゲストにお招きして教育問題に向きあうシンポジウムとして開催いたしました。

2回目以降は下記日程で開催してまいります。

第2回 11/18(木)20:30-21:30(22:00まで延長の可能性あり)
→第1章まとめ、第2章を中心にした解説
第3回 11/25(木)20:30-21:30(22:00まで延長の可能性あり)
→第3章を中心にした解説
第4回 12/2(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第4章を中心にした解説
第5回 12/9(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第5章を中心にした解説
第6回 12/16(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第6章を中心にした解説
第7回 12/23(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第7章を中心にした解説


読書会の開催目的は、本の1章ごとに寺町先生からわかりやすく説明していただくことで、参加者のみなさまに下記3つを感じてもらうことです。

①書籍の概要と意図を理解していただくこと
②書籍に興味を持っていただくこと
③実際に書籍を手に取られた際にスムーズに読んでいただけること

日本の未来のために1人でも多くの方に聴講していただきたい内容です。
みなさまのご参加をお待ちしています!

開催概要

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寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』読書会
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■日程:2021年11月18・25日、12月2・9・16・23日(いずれも木曜日)
■時間:20:30〜21:30(22:00まで延長の可能性あり)
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:宮崎公立大学准教授 寺町 晋哉 氏
■定員:100名
■対象:教育に関わる人(教師、講師、保育士、保護者など)、学生 ※年齢不問
■参加費:無料

著者紹介



寺町晋哉(てらまち しんや)
宮崎公立大学 准教授

兵庫教育大学特命助教、大阪大学大学院人間科学研究科助教、宮崎公立大学人文学部助教を経て現職。

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【イベントレポート】…

2021年夏、できること会議様のイベント『SDGsを学ぶ3日間〜中高生の私たちができること〜』にジェンダーイコール高校生メンバー4名が登壇いたしました。

 

イベント概要

  • 日時:2021年8月4日(水)〜8月6日(木)
  • 場所:オンライン(Zoom)
  • 主催:できること会議 様
  • ゲスト:Day1 GreenTEA Uka 様 Day2 ジェンダーイコール

『できること会議』は2020年4月に設立された、『思いをカタチにする人を増やし、世界の明日を変える』というビジョンを掲げた大学生を主体とした団体です。

今回のイベントは夏休み期間を利用した中高生限定の3日間にわたるイベントとなっており、「SDGsに関わる社会問題について学び、解決のために学生の私たちができることを考えよう」という目的で開催されました。

私たちジェンダーイコールはDay2のゲストスピーカーとしてお声がけいただき、高校生メンバーの4名が中心にお話をさせていただきました。

講演内容について

当日は高校生メンバーのそれぞれが活動をしているテーマについて、4部構成で講演をいたしました。

  • 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー
  • メイクと ジェンダーの関係
  • 義務教育からジェンダー平等を目指す
  • “ないもの”にされる性被害

プレゼンの後はグループディスカッションも実施し、積極的な意見交換の場も持つことができました。参加者の皆様からは下記のような参加者の声をいたただいております。

  • 自分の知らなかったことをたくさん知ることができ、同世代と対話できた
  • ひとりひとりが当事者である自覚を持つことが大切だとわかった

まとめ

いかがでしたでしたでしょうか?

私は社会人メンバーとして準備やリハーサルから本イベントのお手伝いさせていただきましたが、高校生メンバーの当事者意識の高さや、イベント当日の参加者の皆さんの熱量にとても刺激を受けました!

今後も積極的に発信活動を続けて参りますので、引き続きジェンダーイコールの活動を応援してくださると幸いです。

ありがとうございました!

 

NPO法人ジェンダーイコール  村瀬 令奈

【無料】「教育格差に…

「生まれ」による機会格差は存在する

❝出身家庭と地域という、本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異な り、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となるつまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。❞

松岡亮二著『教育格差 ー階層・地域・学歴』(ちくま新書)より

「ジェンダー」による機会格差も存在する

❝男子であろうが泣きたくなることもあるし、人文学部へ進学したい男子もいるだろうし、大学院へ進学したい女子もいるだろう。個人の選択は自由であるし、尊重されなければならないはずなのに、「性別」が個人の可能性を阻害している。そればかりでなく、「女性/男性」という理由だけで不利益を被り、教育における様々な格差が生じてもいる。- 中略 – 実はジェンダーをめぐる教育課題は現在の学校にも歴然と存在しており、学校は社会に存在するジェンダー秩序を再生産する装置となっている。❞

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)より

無意識のうちに子どもの可能性が制約されている

歴代校長が全員男性であれば、無意識のうちに子どもたちは「校長=男性」という意識を持ってしまいます。このような性別で固定された役割を「ジェンダーロール」と言いますが、学校にはさまざまなジェンダーロールが潜んでいるように思います。

例えば、校長=男性というジェンダーロールが生徒たちに刷り込まれてしまった場合、もし将来教職を目指したいと思っている女子生徒は、「自分は女性だから校長にはなれない」という考えが、どこか心の奥底に潜んでしまう可能性があります。

また、子どもの大学進学意欲は、小6では男女差が見られないにも関わらず、中3になると男子が高くなることを知りました。女子よりも男子の方が親の進学期待が高いことが明らかになっているそうです。これは、中学生の間に、男子は大学進学を促されやすく、女子は制限されやすいことを表していることが考えられます。この違いによって、性別によって大学進学意欲に偏りが出ている可能性があるのです。

教育格差の解消は日本の貧困問題と少子化問題を是正する


2021年8月20日、宮崎公立大学准教授 寺町晋哉先生が、『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)を出版されました。

前述した通り、学校にはさまざまなジェンダーの固定観念が存在しています。

昨今、ニュースでは日々、貧困問題や少子化問題が取り上げられています。

これらの問題の根底には教育格差が潜んでいます。そしてこの問題に「ジェンダー」は切っても切り離せない深い関係があります。

今回、NPO法人ジェンダーイコールは、この問題を具体的にみなさまに感じていただくために、寺町先生の新著の存在を世間の多くの人々に知ってもらいたいと考えました。

ですが、研究者向けの本として出版されている内容ということもあり、一般の方にとっては少し難しい内容であることも否めません。

そこで寺町先生と相談し、全7回に分けて、オンライン読書会を開催する運びになりました。

※本イベント以降の読書会スケジュールは追ってご連絡します。

読書会の開催目的は、本の1章ごとに寺町先生からわかりやすく説明していただくことで、参加者のみなさまに下記3つを感じてもらうことです。

①書籍の概要と意図を理解していただくこと
②書籍に興味を持っていただくこと
③実際に書籍を手に取られた際にスムーズに読んでいただけること

そして、より理解を深めていただくためには、「教育格差」全体についての話も避けられません。
ということで、読書会の特別シンポジウムとして、2019年に出版し、売上5万部を超えるベストセラーとなった『教育格差』著者の松岡亮二氏を特別ゲストにお招きして、「教育格差」と「ジェンダー」の両局面から、教育問題に向きあう会を企画しました。

ぜひ1人でも多くの方に聞いていただけると幸いです。

みなさまのご参加をお待ちしています!

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開催概要

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寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』読書会シンポジウム
教育格差に潜むジェンダー問題
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■日程:2021年11月14日(日)
■時間:15:00〜16:30
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:宮崎公立大学准教授 寺町 晋哉 氏
■特別ゲスト:早稲田大学准教授 松岡 亮二 氏
■定員:300名
■対象:教育に関わる人(教師、講師、保育士、保護者など)、学生 ※年齢不問
■参加費:無料
※本イベント以降の読書会スケジュールは追ってご連絡します。

登壇者紹介

●講師

寺町晋哉(てらまち しんや)
宮崎公立大学 准教授

主な研究テーマはジェンダーと教育、教師教育。
主著に『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)
●特別ゲスト

松岡亮二(まつおか 亮二)
早稲田大学 准教授

日本教育社会学会・国際活動奨励賞(2015年度)、早稲田大学ティーチングアワード(2015年度春学期・2018年度秋学期)、東京大学社会科学研究所附属社会調査データアーカイブ研究センター優秀論文賞(2018年度)を受賞。

著書『教育格差』は「新書大賞2020(中央公論新社)」で3位に選出。

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キャンセルポリシー
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手配の関係上、キャンセルの場合は必ず事前にご連絡をお願いいたします。
ご連絡なく無断キャンセルの場合、
次回以降のイベント・セミナーなどへのご参加をお断りする場合がございます。
予めご了承ください。

【イベントレポート】…

2021年8月の夏休み期間に、ジェンダーイコール高校生メンバー4人が1人ずつ講師になり、全4回に渡ってセミナーを開催しました。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー 8/8(日)14:00-15:30
DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

事前お申し込みは各回100名を超え、延べ483名のお申し込み、252名の方に参加いただきました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
高校生メンバーは4人全員が初めて自分で主催するセミナーを開催しました。各自の感想もアンケート形式で回答してもらったので、各回の概要とともに、イベントレポートとしてお届けします。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー

開催概要

■日時:2021年8月8日(日)14:00〜15:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 加藤 心渚(高3)
■ゲスト:一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様

セミナーの流れ

加藤ここなのスライド

講師の加藤ここなが独自で6月〜7月にかけて約300名の保護者・教育者に回答してもらったアンケートを分析した「子どもを取り巻く環境の現状」、周りの高校生や中学生にヒアリングしてまとめた「ジェンダーが子どもに及ぼすこと」について説明しました。

一般社団法人母親アップデート

その後、一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様に親目線でのジェンダーバイアスについて語っていただきました。

グループディスカッション
テーマ:普段の生活で感じるジェンダーバイアス

最後に、いくつかのグループに分かれて、「普段の生活で感じるジェンダーバイアス」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

・3歳の甥っ子と1歳の姪っ子と遊んでいて子育ての大変さに気づき、子どものほしさが少しずつ薄れて きてしまったと母親に話したら、「それはダメだ」と子どもを生むのが大前提の価値観で否定された。自分の人生だから自由だと考えてほしいと思った。

・ランドセルの色が豊富になっていて、一見ジェンダーバイアスが無くなっているように見えるが、実は女の子用の黒、男の子用の赤がある。それぞれ女の子受けや男の子受けの良さそうな刺繍が入っていたりする。カタログも性別で分けられていて、マーケティング的な要素があるように見える。

・誰かに強制された訳ではないのに仕事も教育も自然とサポート側に回ってしまう女性が多い。性別役割分担意識が自然と身に付いて、社会人になってもずっと続いている葛藤がある。

・国際的な仕事の環境で、容姿に対する不適切発言を受けたり、仕事ができると「女のくせに」と男性や女性にも言われた。

・20年前位の話だが、同僚の女性が結婚の報告をした際、「名字は何になるの?」と当たり前に言っていたことに違和感を感じた。

まとめ

今回は乳幼児期をテーマにセミナーを開催しました。
セミナーを通じてお伝えしたかったことは、子どもたちが「性別らしさ」ではなく「自分らしさ」を表現できる社会をみんなで作っていきませんか?ということです。
グループディスカッションを通じて、どの世代においてもジェンダーバイアスに悩まされている人がいるというリアルな声を聞くことができました。
大事なことは、どの世代でもジェンダーバイアスに気づくことです。そのために、まずは本セミナーで感じたことを身近な人に伝え、ジェンダーバイアスの存在の認知を広げていってもらえたらうれしいです。

講師:加藤ここなの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?高校2年生の時に、弁論大会にて「将来はジェンダーに関するイベントを開催したい」と宣言しました。その時は大学生や社会人になれば出来るだろうな、と遠い目標として掲げていました。まさか、1年後に実現できるとは思っていなかったので、機会を与えてくださった田渕さんにはとても感謝しています。
セミナーを開催するからには、今まで自分が培ってきたことを存分に発揮しよう!と決めました。
2)準備は大変でしたか?大変でした。しかし、自分の好きな分野を人に伝えることはもともと好きだったので、わくわくしながら準備できました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。ジェンダーを初めて学ぶ方、子どもに関わる方、高校生など、様々な方が参加してくださるため、誰がみても分かりやすい説明を工夫しました。
また、高校生の立場でしか語れない話をすることで、他では得られないことを得られるようなイベントにしようと準備をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。初めは高校生が保育のことについて語るのは少し烏滸がましいのではと思っていたのですが、参加者の皆様が真剣に私の話を聞いてくださって安心しました。
会の序盤は緊張していたのですが、徐々に楽しく進行することができました。
ブレイクアウトルームで、ジェンダーについての沢山の生の声をお聞きできたのは、今回のイベントで大きな収穫となりました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。自分の知らない間に自分の選択の幅を狭めてしまっていることに気づいて欲しいです。そして、それらを周りの人にも伝えていってほしいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。子どもたちにジェンダーを伝える活動をしていきたいです。そのためにジェンダーの絵本を作って子どもたちが集まる場所に広めていきたいです。

DAY2 メイクと ジェンダーの関係

開催概要

■日時:2021年8月15日(日)14:00〜15:45
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 田中まき(高3)
■ゲスト:株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様

セミナーの流れ

田中まきのスライド

メイクは、なりたい自分に近づくことで自己肯定感を上げることができたり、コンプレックスを隠せたり・・・といったポジティブな効果がたくさんあるにも関わらず、いまだに「メイク=女性」というジェンダーバイアスが存在しています。
本セミナーでは、化粧におけるジェンダーバイアスについて、田中まきがバイト先で経験したエピソードを紹介し、その矛盾点やマーケティング視点から考える問題点について説明。

ジェンダーニュートラルコスメ「iLLO」

次に参加者からのメイクのジェンダーバイアスに関する質疑応答時間を設けた後、株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様にお話しを伺いました。
矢野様は、前職で国内の美容メーカーで働く中、多くのメイクする男性と出会われたそうです。そこで、男性のメイクの悩みやこだわりが女性と変わらないことに気づいたことがきっかけで、性別に関係なく誰でも手に取りやすいコスメブランドを作りたいという思いから、2020年8月にジェンダーニュートラルコスメブランド「iLLO(アイロ)」を立ち上げられました。このブランドに対する思いや化粧品にまつわるエピソードをお話しいただきました。iLLOの10%オフクーポンを提供してくださり、参加者の喜びの声で盛り上がりました。

グループディスカッション
テーマ:誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?

最後に、いくつかのグループに分かれて、「誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 平成の若者文化がキムタクさんや安室奈美恵さんで、その方たちが化粧をしている文化があった。な ので、私たち若者世代が「令和の若者文化」を作ると1人1人の意識を変えていければ良いのではないか?
  • 今の日本では「女性らしさ」「男性らしさ」を大切にしている人も多い中で、誰もがメイクを楽しめる世の 中にするには、「他人に押し付けない」というのが一番大事。
  • 世代感の感覚のズレがあるという話になり、その人たちが古い女性観であったり、ジェンダーバイアス が根づいてしまっているのが問題。
  • 学校の授業にメイクを取り入れるという案が出たが、社会に出た時に逆にメイクがあたりまえになって しまうことが考えられるので、あまり良くないかも?今の若者は脱毛をする男子もどんどん増えているの で、今のままで広がっていけば良いのではないか?

まとめ

このイベントで伝えたかったことは、参加者のみなさまに改めて、「身の回りの物事が性別によって境界線が引かれていないか」を考えていただきたいということです。
考えてみると、想像以上にたくさんの物事が性別によって境界線が引かれていると思い浮かんでくると思います。
田中まき自身もジェンダーについて興味をもってから、身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。
みなさん1人1人の意識が変わっていくことで、いつか世の中も変わってくると信じています。そして、メイクをするしないの選択肢が性別に関わらず個人として持つ世の中になれば、もっと明るくて楽しい社会になると思います。

講師:田中まきの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?自分が今まで持っていた問題意識をオンラインを通じて様々な人に共有できる貴重な機会だと思いました。
2)準備は大変でしたか?他の高校生メンバーと田渕さんと何回もミーティングを重ねてより良くなるように心がけていたので達成感がありました。初めの方から、テーマやキャッチコピー、ポスターなど多くの意見交換をしてきたので本番を迎えれてよかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。自分が知っていても参加者の方は知らないかもしれない、ということを考えて細かく説明できるようにしました。セミナーを開く特権でもある、参加者の声をチャットやブレイクアウトルームを使うことでたくさん聞けるようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。たくさんの人が共感していただいたり、私の問題意識に提案していただいたりして新しい発見がありました。自分の意見をオンラインを通じて多くの人に共有することは初めてだったが、事前準備を沢山し、充実したイベントにできたことで達成感が得られました。幅広い世代の方が参加していただいたので、これからの時代を背負っていく若者ということで応援してくれる方はもちろん、同世代の高校生も参加していただき嬉しかった。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダーの問題解決は気づかないと何も始まらないです。私自身、ジェンダーについて興味を持ってから身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。ジェンダー教育が普及していない今、ジェンダーのことを発信していくことで、一人一人の意識が変わっていくことでいつか世の中も変わってくると信じています。
わたしも情報発信を続けるので、是非高校生の皆さんにもジェンダーについての情報を沢山吸収していただきたいです。そして、物事が性別で境界線が引かれていないか考えて欲しいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。今回の内容をもっと多くの人に共有したいので何度か開催したい。

DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す

開催概要

■日時:2021年8月18日(水)18:00〜19:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 関崎みく(高3)
■ゲスト:宮崎公立大学 准教授 寺町 晋哉 様

セミナーの流れ

関崎みくのスライド

講師の関崎みくが義務教育をテーマにしたかったきっかけは、部活動での出来事にありました。所属するダンス部に男子生徒が入部を希望した際、「なんで男子がダンス部に入るの?」と周りの部員が言っていたのです。その後、調べを進めると、学校生活の中であたりまえのようにジェンダー差別が行われていることに気がつきました。この経験を経て、若いうちに性別に囚われない生き方を知ってほしい。そんな思いから本テーマを採用しました。セミナーでは最初に関崎みくがさまざまな視点でのジェンダーバイアスについて説明をした後、ゲストの宮崎公立大学准教授の寺町晋哉先生から専門的なお話しをいただきました。

寺町先生は、5月に日本経済新聞で「学校の中のジェンダー」というテーマにて、教師がジェンダーバイアスのかかった発言をすることで、生徒の成績に影響することを指摘する記事を寄稿されています。今回、この内容を掘り下げた非常に興味深い説明をしていただきました。

グループディスカッション
テーマ:ジェンダー経験について共有しよう!

最後に、いくつかのグループに分かれて、「ジェンダー経験について共有しよう!」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 留学先で国によって違いがある。マレーシアではほとんど女性の教授だった、フランスでは女性の方 が発言数が多かった等、違いを感じた。
  • 昔は、修学旅行に女子しか行けなかった。男子は勉強に集中しなくちゃいけないから。
  • スポーツにおける男女差。女子にハンデを課しているケースがある。女子の中でもハンデがあることが嫌だと感じる人もいれば、それで良いと思う人もいる。 そのハンデが男女差があって、また、女子の中でもハンデが無い方が良いと思っていても、男子の女 子に対する対応も、女子が男子と一緒にスポーツをやっていく上で影響してくるのかなと思った。
  • 営業の求人で、女性から応募が入った際に、「女性に営業ができるのかな?」という発言をしていた。 その人は悪気が一切なくて、知らないうちに思い込みをしていた。そういう思い込んでいる人を変えていくのは難しい。
  • 「学校の仕事は大変だから女性にはできないかも。男性の方ができるのではないか?」という思い込みで、女性が活躍できていなかったり、逆に男性が大変になってしまう。しかし、看護士などは、女性が 多いけど仕事量も多い。

まとめ

本セミナーで伝えたかったことは、「若いうちに自分の中にあるジェンダーバイアスに気づいてほしい。」ということです。ジェンダー問題の解決に重要なことは、ひとりひとりが「当事者」という自覚をもつこと。そのためには「ジェンダー」を知ることが始める必要があります。
小さいことからで良いので、当事者として行動を起こしてほしい。その一歩として、セミナーで知ったことや気づいたことを身近な人に共有するのも良いと思います。その積み重ねが社会を変えるはずです。

講師:関崎みくの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?幅広い年代の方に自分の思いを伝えられることが嬉しかったと同時に、学校で起こる性差別を高校生代表として伝えなければならないという責任を感じました。
2)準備は大変でしたか?時間はかかりましたが、自分の思いを伝えられると思うと準備も楽しかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。参加者の方にジェンダー問題を身近なものとして捉えてもらうべく、多くの人に当てはまるような体験談の紹介をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。高校生の視点からみた「ジェンダー」に興味を持ってくださる方が多く嬉しかったです。ジェンダーに強く興味を持っている方から知り合いから紹介されて参加した方まで、多様な考えを持つ参加者の方々と交流ができて有意義な時間となりました。また、若い世代が問題意識を持ち、行動を起こすことの大切さを再確認しました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダー問題は誰にとっても身近なものです。自分がジェンダー差別の加害者・被害者にならないためにも、この問題に対して当事者意識を持って積極的に行動しましょう!
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。厳しいかもしれませんが、小学校や中学校でイベントを開いてみたいです!

DAY4 “ないもの”にされる性被害

開催概要

■日時:2021年8月22日(日)14:00〜16:00
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 久保田まもり(高2)
■ゲスト:フリーライター 小川 たまか

セミナーの流れ

久保田まもりのスライド

今回このテーマを選んだ理由は、講師の久保田まもりが、電車通学だった中学生時代、毎日のように周りの生徒たちが痴漢被害に遭っていた事がきっかけになっています。とても悔しい思いをした生徒も、警察に届けることはありませんでした。学校側は少なからずその状況を知っていたはずですが、中学生の久保田から見てもちゃんと向き合っているようには思えませんでした。
さらに校則で、スカートを短くしてはいけない理由として「男の人をそういう気持ちにさせてはいけない」という説明をされたことがあったそうです。
当時の彼女は「私たちを危ないものから守ってくれているんだ」と思っていました。その後、久保田はジェンダーについて知り、改めて当時について思い返したところ、学校側の対応に疑問を持ちました。

痴漢被害に遭っている女子生徒に対して、「君はスカートが短いから被害に遭ったんだ」「君は校則を守らなかったから被害に遭ったんだ」と校則を守らせるためのような脅し文句、性暴力について誤った知識を刷り込むのは、あまりにも無責任で暴力的なのではないでしょうか?

私たちは、日頃から学校やメディアでこのような知識を植え付けられることで、性暴力に対する誤った認識を持ってしまっています。もし被害に遭って誰かに相談しても「モテ自慢?」と言われたり、怖くて抵抗できなかったのにも関わらず「それって抵抗しないのが悪いんじゃないの?」と、セカンドレイプに遭ってしまう現状があります。

肌を露出しているから被害に遭う、抵抗しない=合意であるといった考え方は「強姦神話」に基づきます。この価値観が痴漢を黙認する社会、女の子たちに我慢させる社会とは一体なんなんだ?という思いが、本セミナーのテーマにつながりました。

小川たまかさんのYahoo!ニュース著者紹介ページ
小川さんの著書 「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。(2018年)

本セミナーでは、まずは久保田まもりが自身の経験から感じた問題提起をした後、ゲストのフリーライター 小川たまか様より「日常の中の性暴力」をテーマに、痴漢にまつわる調査データの紹介や、これまでの時代がいかに「強烈な被害者への制裁意識」をもっていたかという実情について詳しく説明していただきました。その後、ジェンダーイコールの学生メンバー、社会人メンバーが加わって、それぞれが考える「次世代の子どもたちに、性暴力に対する誤った考えを引き継がないためには?」についての思いをご紹介しました。

グループディスカッション
テーマ:痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?

次に、いくつかのグループに分かれて、「痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 「性教育」という言葉をもっと触れやすい名前にアップデートするのも大事。
  • デンマークでは、幼稚園の頃から性教育を受けている。だから自分のからだは自分のものという意識 を誰もがもっている。だから痴漢はいない。
  • デンマークはドラゴンボールが15禁、ロボコップが18禁。その理由は、血がたくさん出たり、暴力的な 表現が多いから、国が規制している。エンタメに対しても作品規制が厳しくなっている。 基準はファンタジーとの境目がわかるかどうか。そこをきっちり分けている。
  • 学校の義務教育での性教育に力を入れるのが良いものの、先生たちに負担がかかるので、助産師や 医師が授業で話すなどして、あまねくいろんな人に伝わるようにやっていくと良いのではないか?
  • 「生理」について教えてほしい。人の生理がどれくら重いものなのかがわからない。
  • 韓国では中高生に、人権教育の一環として、性暴力に感する義務教育を実施している。日本にもその ような教育を実施して、いまだに歪んでいる性教育に関して学生が意識改革できる内容を実施できると良い。
  • 性暴力を受けても恥ずかしいとかとまどう気持ちになってしまって相談を躊躇する子どもたちが多い。 自分の心を打ち明けて話せることのできる信頼感をもてる雰囲気を作るためには、まずは大人たちが 正しい性意識をもつことが重要。
  • 教頭や学年主任が、性教育のやるやらないの意思決定に関わっているため、その人たちが性教育に 関心があるかないかで変わってしまう。公立の学校でも積極的に取り組む学校と取り組まない学校でかなり差が出てしまっている。そういう消極的な人たちに性教育の必要性についてアプローチしていく必要 がある。
  • 政治や社会が性教育にネガティブな意識をもってしまっている。日本の根幹を担っている人たちにもっ と当事者意識を持ってもらうことが重要。
  • 今、警視庁が痴漢防止のレーダーやアプリを作っている。でも実際に高校生が認知するところまでは いっていない。せっかく良いサービスがあるのに実用まで至っていない。そこにはどういう課題があるのか?そういう所を見ていくと、よりこの問題の解決に近づいていくのではないかなと思う。

高校生へのメッセージ

次に、ジェンダーイコールメンバー3名と小川たまか様より、高校生に向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

加藤ここな(ジェンダーイコール高校生メンバー)
本日得たことを、自分の中でとどめておくだけでなく、周りの友達にも教えてあげることが大事だと思います。 そしていざという時のために、アプリとか色々あると思うので、シミュレーションすること自分を守るのに とても役立つと思います。


渡邉あおい(ジェンダーイコール大学生メンバー)
高校生にお伝えしたいことは「とにかく学んでほしい」ということ。性暴力は暗数が非常に多い。「なんで届けなかったの?」という質問には、「そこまで大きい問題ではなかった」と回答している人が6割位いる。それは当事者の意識、「これは本当にやばいことなんだ」、「私は被害者なんだ」という意識がなかなか持ちづらいのかなと思いました。 その意識を持ってもらうためには、たくさんいろんなことを勉強してもらえたらと良いのかなと思う。 最近では、「セックスエデュケーション」というNETFLIXのドラマとか、「プロミシングヤングウーマン」とい う性暴力、性被害を描いた映画が公開されています。そういった作品に触れて、考える時間を持っても らったら、少しずつ当事者意識や、「自分が何をすべきなのか」「何を学ぶべきなのか」ということがわ かってくると思います。 「知識は自分を守る武器(鎧)」なので、みんなに身に着けてもらえればと思います。


篠原くるみ(ジェンダーイコール副代表理事)

  1. 自分の感情を大事にしてほしい 「ネガティブな感情」や「嫌い」っていう感情は、結構ネガティブに捉えられてしまうけど、「嫌」という感情は生存本能だったりするので、それを大事にすることが大事だと思います。 何かあった時に「自分が悪いのかも」と思ってしまうクセがついてしまっている人がいると思うんですが、 それはたぶん性格ではなくて、日本社会の構造的な問題だと思うので、それはそれで受け止めて、大事にしてあげると良いのかなと思います。 その上で、客観的に「私が嫌だと思ったことはどういうことなのかな?」ということをじっくり考えてみることで、答えがみつかったりするのかなと思います。
  2. 自分のことを受け止めてくれる味方を何人か見つけておく。 それが親であれば良いが、人間なので必ず合う合わないは必ずある。「この人は自分の味方だな」と 思っていても、関係性が変わってくることも全然あるので、そういうことに対して傷つきすぎないでほしい なと思います。 あと、大人は「ドリームクラッシャー」になってはいけない。ドリームクラッシャーとは、「誰かが何かをやりたい」と言ったことに対して、「そんなの無理だからやめておきなよ」とか「NO」を突きつける人のこと。 そういう人は結構世の中にたくさんいて、やりたいことを頭ごなしに否定してくる人がいたら、「この人ってドリームクラッシャーなんだなー」と思ってスルーするスキルを、若い人たちに身に着けてもらえればと 思います。 味方になってくれる人は絶対どこかにいるので、そういう人を何人かストックすると良いと思います。

小川たまか(ゲスト講師)

私は高校生とか20代前半位までは、生きるのが辛いという思う時期が結構長くて、その悩みの理由が ずっとわからなかった。 「なんで自分がこんなネガティブな人間なのかがわからない」みたいな時期が長かった。 30代前半位になってからようやく、あれが性に対する搾取が原因だったとか、そういうことに気づき始めて楽になったというようなことがありました。それは気づくのが早ければ早い方が良いと思うので、痴漢とか性暴力は明らかにおかしな問題であり、 人権侵害であり、被害に遭う人が悪い話では全くないので、「社会のせいだ」ということを強く心に持って いってほしいなと思います。 ここにいらっしゃる人たちは、そこに気づいていらっしゃる側の人たちなんだろうなと思っています。 大人はその若者の持っている意思とかを潰さないようにするというのは、私も全く同感です。大人のやることは、若い人たちがどれだけその1件の発信をしやすくしていくことや、そのサポートが大事だと思っ ています。

まとめ:久保田まもりからみなさまに向けた アクションプラン

最後に、久保田まもりより、本セミナーのまとめとして、参加者に提案するアクションプランを2つお伝えしましたので、ご紹介します。

  1. 今日のイベントの内容を家族や友人に話してみよう!
    「痴漢って性暴力だって知ってた?」とかそんな感じで全然大丈夫です。
    「痴漢は日本のジェンダーにおける闇」ということが集約的に現れていると感じています。この問題に 対する姿勢を変えることで、ジェンダー平等に向けて大きく前進するのではないかなと思います。
  2. 個人的なことは政治的なことである。
    これは、1970年代にアメリカで掲げられたスローガンです。 これをみなさまにはぜひ、頭の片隅に入れていただきたいです。 日々感じる、言語化できないけどモヤモヤするものを大切にして、そのモヤモヤは実は非常に政治的で 社会問題かもしれないという思考のくせをつけることで、当事者意識も芽生えやすくなると思います。

講師:久保田まもりの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?不安な気持ちもありましたが、最大限このチャンスを活かそうと思いました。
2)準備は大変でしたか?内容を煮詰めるのに時間がかかりました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。伝えたい内容を時間内に入れ込むため、スライドや進行順序を工夫した。そして、非言語コミニュケーションを意識するようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。ブレイクアウトルームでのディスカッションで、沢山の気づきをもらった。セミナーを主催する大変さを学び、今後、イベントやセミナーを主催する際に非常に役立つと思う。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。個人的なことは政治的なこと。
日々感じる言語化できないモヤモヤを大切にしてほしい。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。小さくてもいいので、継続的に意見を交換する場を開きたい。

いかがでしたでしょうか?
また今後も積極的に若者発信のセミナーを開催していきたいと思っています。
引き続き、ジェンダーイコールの活動を応援していただけると幸いです。
ありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子

【イベントレポート】…

8/24(火)TsudaOutreach さん主催の Web イベントに、性教育プロジェクト「I’s(アイズ)」が登壇させていただきました!
平日の開催にもかかわらず、およそ 40 名の方にご参加いただきました。

今回は、「大人になる前に知っておきたかったからだこころの話子供向けの性教育について考えよう」というタイトルで、6 月に津田塾大学で行ったイベントを一般向けに再編&改修し、講演+参加型のワークショップを行いました。

性教育の現状

講演パートでは、現状把握として以下の内容を解説しました。

  • インターネットの発展による子供の性被害の広がり:
    多くの子どもたちが視聴する動画広告でルッキズム(外見至上主義)を煽るようなものなどが多く見られ、価値観を一方的に植え付けられるリスクがある。また、SNS を利用した性犯罪が増えている一方で、性被害は被害者が犯罪と認識できずに顕在化しにくいという問題がある。
  • 「歯止め規定」:
    学習指導要領では、「妊娠に至る過程(セックス)は取り扱わないもの」とされている。しかし、日本の性的同意年齢は 13 歳。情報を伝えていないのに、性的な行為に対して自己判断ができるとされているところに大きな矛盾がある。
  • 性教育の実情:
    先行研究から、先生たちは性教育が必要と認識しているものの、リソース(時間や教材)の不足により対応できていない。また、性教育の実施者は保護者であるべきと考えている先生も多いが、子どもたちの視点からは「親とは気まずくて話したくない」との意見もある。

さて突然ですが、ここでクイズです!

卵子の数は16-25歳が一番多い。これは正しい?

正解は… ×!
卵子は増えません。出生する前の状態で約 100-200 万個の卵子を持っていると言われ、そこからは年齢とともに減少します。

出典: 「ふたりの宝物」/松本えつを,しょこら・ぺすNPO法人 Fine 様よりご紹介いただきました。

性的同意年齢は、日本も韓国も同じ。これは正しい?

正解は… ×!
日本の性的同意年齢は13歳であるのに対し、「n番部屋事件」を経て韓国は16歳に引き上げられました。
先進国では 16-18 歳である国が多いのに比べると、日本の性的同意年齢は明治時代から変わっておらず、かなり低いです。

コンドームよりもピルの方が避妊率が高い。これは正しい?

正解は… ○!
ピルの避妊率は 92~99%(3,000円/1ヶ月)。
対して、コンドームの避妊率は 85~98%と言われています(1,000円/10個入)。

出典: 「CHOICE」/シオリーヌ著

みなさん正解できましたか..?
正解できなくても全然おかしくないんです。なぜなら、わたしたちの多くは、性についてほとんど何も教わっていないから。わたしたち大人も、体験や見聞きしたことから知ってきた「なんとなく」の知識しか持っていないのです..!

ワークショップ

ワークショップでは、数人のグループを、さらに「大人役(保護者や先生など、子供と関わる大人)」と「子供役(小学校3年生)」に分けます。あらかじめ決められた「子供の疑問リスト」の中から、子供役が自由に質問をして、大人役にそれに答えてもらいます。

ワークショップの目的は次の通り。

  • 基礎知識の全くない子供(小3)に性に関することを伝える難しさを体験してもらう
  • 子供の疑問に対して、ごまかさず真摯に向き合うことの必要性を感じてもらう
  • 多くの人が体系的な性教育を受けてこなかったことを改めて実感してもらう

質問と、参加者の方々が上げてくださった回答をいくつかご紹介します。

Q:赤ちゃんはどこから来るの?
A:

  • 大好きな人同士が、愛し合って、お母さんのお腹の中に外に出てくる道があって、そこから産まれてくるんだよ!
  • おしっこやうんちの道とは別の道があってそこから出てくるよ。
  • 両親が愛し合ってできたんだよ。あなたが産まれて嬉しかった!
  • 理科の教科書などから人体を説明する
  • エコー写真を見せる
  • (感想:表現を濁してしまうかも…)

Q:なんで男の人は声が低いの?
A:

  • 喉ちんこっていうところが、女性と男性で違うんだよ。楽器と同じで、リードが細いと高い声、太いと太い声になったりするんだよ。
  • 家庭を守るため。遠い昔は外敵が来た時に守るためだったけれど、今はそんなに使わないかも。
  • 「声変わり」っていうんだよ。声の低さには個人差があるよ。
  • (感想:どうして声変わりがあるか知らないことに気づいた。一緒に調べてみよう!)

Q:〇〇君/〇〇ちゃんといるとドキドキする。これってどんな気持ち?
A:

  • その人に対してだけドキドキする?(→回答:うん。)もしかしたらその子のことを特別に思っているのかもしれないね。それは恋とかという名前で呼ぶこともあるよ。
  • 素敵な気持ち!どこが好きだと思ったの?気持ち伝えてみたら?

Q:いつも異性と過ごしていて、変だよね?と言われた。
A:

  • あなたは、おかしいと思ってる?
    -「おかしくない」と思っているなら、そのままでOK
    -「おかしい」と思っているなら、何で「おかしい」と思うの?→潜在意識が分かる
  • 変じゃないよ!何して遊んでいたの?と、好きな遊びを肯定してあげる。

「質問そのものや、話してくれたことへのポジティブな反応」「ごまかさない、曖昧にしない」「わからなかったらわからないと伝える」など、前回のイベントで出た意見と共通する意見が多く見られました。
また、「外国ではこうなんだよ」「楽器に例えると.. 」「本にこう書いてあった」など、わたしたちも知らなかったことをシェアしてくれた方もいらっしゃいました!

性教育について、まずは「知らない」ことを知ること。そして、みんなで真剣に、でも構えすぎず開かれた雰囲気の中で話し合うことが第一歩なのかなと感じました。

イベント全体を通して、チャットでも参加者のみなさんが積極的につぶやいてくれました。「本を楽しみにしています」「応援しています」などなど.. たくさん暖かい言葉をかけていただき本当に嬉しかったです。
わたしたち「I’s(アイズ)」のメンバーも楽しい時間を過ごすことができました。
参加してくださった皆様、Tsuda Outreach の皆様、本当にありがとうございました!


わたしたちアイズは、子ども向け性教育の辞書絵本の制作を進めています。
並行して、今回のようなイベントを積極的に開催し、みなさんとの対話を通じて作り上げていくプロダクトにしたいと考えています。イベントを開催させていただける学校関係などの方がいらっしゃいましたら、女子校、男子校、共学問いません。是非、下記SNSのDMまでご連絡ください!

DAY4“ないもの”…

DAY4 “ないもの”にされる性被害

2021年8月の夏休み期間に、4人の高校生メンバーが1人ずつ講師になり、全4回に渡って「高校生が伝えたいジェンダーの話」をテーマにしたセミナーを開催します。

「ジェンダー」に興味をもったきっかけ

はじめまして。

NPO法人ジェンダーイコール 高校生メンバーの久保田 まもりです。

私は高校1中学2年生の時に、自身や友人達の性被害であったり、
痴漢などの性暴力に対して学校が被害者の女性側に非があるというような
発言、指導に強い疑問を覚えたのがフェミニズムに興味を持つきっかけでした。

色々と勉強していくなかで、自分の中の女性蔑視がいかに根深く、日々何気なく使っている言葉の端々に、
「女子力」「女捨てる」など性別に対する偏見、固定観念を孕んでいたことに気づいたのが
ジェンダーに興味を持つきっかけでした。

“ないもの”にされる性被害

先日、「福岡県内での痴漢や盗撮を含む鉄道関連の性犯罪の摘発件数は2015年の14件から年々増加し、19年は90件になった。」という記事を読みました。

私が中学時代に知る限りでも、相当数いましたし、毎日のように痴漢に遭っていた子もいたのにエリアが違うといえども、この摘発数は少なすぎるのではないのかとも思いました。

ですが、以前の私が痴漢を日常の中で ”よくあること” でそれが異常なことなのだと認識していなかったように、周りの子たちも苦しんで嫌な思いをしてはいたものの、「警察に被害を訴える」という選択肢自体なかったように思います。

それは、学校での教育であったり、マスメディアが与える影響であったり、日々色々なものに晒された結果なのではないかと思います。

痴漢は女子生徒の多くが被害に遭っているにもかかわらず、学校の現場では何も適切な教育がなされないことのみならず、被害者である女性の方に非があるという発言、指導をすることがまかり通っています。そうした大人、教師に自分が被害に遭ったことを果たして言えるのか、といったら言えないのが普通だと思います。

痴漢など性暴力のこのような現状は、色々な要因があって今に至ると思いますが、
今回は”学校側は何をすべきか”ということに焦点を当て、皆様と考えていこうと思っています。

痴漢などの性暴力をなくすために私たちができることを考えよう!

今回、この問題をより具体的にみなさま皆様に知っていただくため、
性犯罪について多くの記事を執筆されている、
フリーライターの小川たまかさんをゲストにお招きしてお話しを伺う予定です。

是非多くの方に聞いていただけると幸いです。

皆様のご参加をお待ちしています!

開催概要

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高校生が伝えたい「ジェンダーの話」
DAY4 “ないもの”にされる性被害
==================================
■日程:2021年8月22日(日)
■時間:14:00〜15:30
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 久保田 まもり
■ゲスト:フリーライター 小川 たまか 様
■定員:100名
■対象:不問
■お申し込み:PeatixGoogleフォーム
■参加費:無料

登壇者紹介

ファシリテーター


久保田まもり

高校生/ドイツ生まれ板橋区育ち/学生グループFrom Now On発起人

中学2年生の時に自身や友人達の性被害であったり、
痴漢などの性暴力に対して学校が被害者の女性側に非があるというような発言、指導をし、
それに対し強い疑問を覚えたのがフェミニズムに興味を持つきっかけ。
クラウドファンディングを実施し多くの方の支援と応援のもと「女らしさ」「女子力」など
何気なく発されている言葉に疑問を投げかけるポスターを東京都内の約400校の高校に配布。


特別ゲスト

小川たまか

1980年、東京都出身。
編集プロダクション取締役を経て2018年からフリーライターに。
2015年頃から主に性暴力の取材に注力。
Yahoo!ニュース個人「小川たまかのたまたま生きてる」などで執筆。
著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバタブックス)。

関連記事

高校生が伝えたいジェンダーの話
DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー 8/8(日)14:00-15:30
DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

DAY3 義務教育か…

DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す

2021年8月の夏休み期間に、4人の高校生メンバーが1人ずつ講師になり、全4回に渡って「高校生が伝えたいジェンダーの話」をテーマにしたセミナーを開催します。

義務教育に潜むジェンダー問題

はじめまして。

NPO法人ジェンダーイコール 高校生メンバーの関崎未来(せきざき みく)です。

『女子はネクタイよりリボンの方が似合うわよ。』

私の学校ではジェンダーレス制服が起用されたのにもかかわらず、教師からこのような発言を受けたのです。
思い返してみると、所属していたダンス部は男子生徒の入部を拒否していたことや女子生徒がリーダーに立候補すると「女子なのに」という言葉で褒められたり…
数え切れないほどのジェンダー差別が学校生活において起こっていることに気付きました。

学校は日本の未来を担う存在である学生に成長のきっかけを与える場所だと考えます。
しかし、その学校がジェンダーバイアスを押し付ける場となってしまっているのです。

このままでは日本はいつまで経ってもジェンダー差別が起こり続けるのではないでしょうか?

無意識のうちに子どもの可能性が制約されている

歴代校長が全員男性であれば、無意識のうちに子どもたちは「校長=男性」という意識を持ってしまいます。このような性別で固定された役割を「ジェンダーロール」と言いますが、学校にはさまざまなジェンダーロールが潜んでいるように思います。
例えば、校長=男性というジェンダーロールが生徒たちに刷り込まれてしまった場合、もし将来教職を目指したいと思っている女子生徒は、「自分は女性だから校長にはなれない」という考えが、どこか心の奥底に潜んでしまう可能性があります。

また、子どもの大学進学意欲は、小6では男女差が見られないにも関わらず、中3になると男子が高くなることを知りました。女子よりも男子の方が親の進学期待が高いことが明らかになっているそうです。これは、中学生の間に、男子は大学進学を促されやすく、女子は制限されやすいことを表していることが考えられます。この違いによって、性別によって大学進学意欲に偏りが出ている可能性があるのです。

不要な「性別指標」をなくそう!

先述した通り、学校にはさまざまなジェンダーの固定観念が存在しているのです。

今回、この問題をより具体的にみなさまに知っていただくため、
教育とジェンダーの関係に詳しい、
宮崎公立大学の寺町晋哉准教授をゲストにお招きしてお話しを伺う予定です。

ぜひ多くの方に聞いていただけると幸いです。

みなさまのご参加をお待ちしています!

開催概要

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高校生が伝えたい「ジェンダーの話」

DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す
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■日程:2021年8月18日(水)
■時間:18:00〜19:30
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 関崎 未来(せきざき みく)
■ゲスト:宮崎公立大学 准教授 寺町 晋哉 様
■定員:100名
■対象:不問
■お申し込み:PeatixGoogleフォーム
■参加費:無料

登壇者紹介

メイン講師

関崎 未来 (せきざき みく)

高校3年生/ジェンダーイコール所属

学校生活において、同世代のジェンダー問題に対する当事者意識の低さを痛感する。
日本の未来を担う世代である学生の多くに、ジェンダーに対する興味を持ってもらうために当法人にて活動中。

特別ゲスト

寺町 晋哉(てらまち しんや)

宮崎公立大学 准教授
主な研究テーマはジェンダーと教育、教師教育。

主著に「〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践」晃洋書房。

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DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00