【メンバーインタビュ…

−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕です。
ジェンダーイコールメンバーインタビューvol.4は、「学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会」を目指す、高校3年生の関崎 未来(せきざき みく)さんにお話しを伺いました。

みくさんは、学校生活の中で感じる「ジェンダーバイアス」に疑問を感じ、ジェンダーイコールの活動に参加してくれました。

みくさんの学校の中での観察や問題意識を持った後の行動など、非常に興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
コメントへの感想もお待ちしています!

ジェンダー問題に興味をもったきっかけは?

以前、自分が所属していたチアダンス部に、男子が入部を希望したことがありました。その際、他の部員が「なんで男子なのにチアダンス部に入るの?」と言い、さらに顧問まで同じような事を言っていたことに非常に違和感を感じました。この違和感を追求した結果、性別によってやりたいことが制限されてしまう社会に問題を感じるようになりました。

学校生活の中で感じるジェンダーバイアス

学校の中では意外に多くのジェンダーバイアスがあります。
たとえば、重い荷物を運ぶ時、先生は「男子手伝ってよ」と男子にお願いします。そして、クラスメイトの男子が日焼け止めを塗っていると、周りが「男なのに日焼け止めを塗るの?」と言っていたことがありました。

さらに、ある先生から私のジェンダーの活動について「女の子なのに積極的ですごいね」と言われたり、別の先生にジェンダー平等を進めたいと説明したら、「それは良いことだけど、ちょっと間違えただけで男女差別って言われたりして、めんどくさい世の中だねー」と言われたこともあります。

今の社会はジェンダー平等が進んできていると私にとって、これらの言葉は非常に驚きました。そして、ジェンダー平等が進んできているというのは自分の思い込みだったのかもしれないと感じました。

問題点

この問題点は「みんな全く悪気がない」という点です。
悪気がないということは、自分が無意識にもっている偏見に気づいていないということです。無意識の偏見に気づいてもらうのは非常に難しい問題だと感じています。

中学生向けにジェンダー講座を開催!

私が通っている高校の校長先生は、SDGsゼミを開催したり、ジェンダーレス制服を起用したり、校内で日焼け止めや髪ゴムを性別を気にせず買えるようなアトリウムを設置したいなーといった発想を持たれていて、非常にジェンダーに理解のある先生です。

私は、校長先生が主催する「SDGsゼミ」を受講した時に非常に刺激を受けて、自分でジェンダー講座を開催してみたいと思いました。

そこで、まずはプレゼン資料を作ってみました。そして、校長先生に資料を見ていただき、自分の思いを伝えたところ、同じ校内にある中学校での講座開催を調整してくださいました。

応援してくれる担任の先生

中学生向けの講座には、担任の先生も参加してくれました。先生は私のがんばっている姿を見て、とても喜んでくれました。この事がきっかけでジェンダーに関心を持ち、その後、ジェンダーの記事を見つけて、共有してくださるようになりました。さらには毎月発行されるクラス通信にも、私の活動を長文で紹介してくださいました。

この経験は私にとって、非常にうれしかったと同時に、若い世代が行動を起こすことで、同世代や大人に刺激を与えることができるんだと感じました。

これからやりたいこと

私は、学生たちがジェンダー問題を問題として捉えていないことが、いつまでたってもジェンダー平等が前進しない原因になっていると感じています。そのため、いろんな学校で啓発セミナーを開催したいと思っています。

私は、学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会にしたいです。

社会を変えるには、信頼や影響力が必要です。いつかそんな人間になれるよう、引き続き活動をがんばりたいと思っています。
そして自分の活動に協力してくれる仲間を増えるとうれしいです。

最後に、私の両親はいつも私のことを信頼し、ジェンダー活動についても無条件で応援してくれています。
この場をお借りして、両親に感謝の気持ちを伝えたいと思います。


−− みくさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

【メンバーインタビュ…

−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕です。
ジェンダーイコールメンバーインタビューvol.3は、「メイクのジェンダーボーダレス社会」を目指す、高校3年生の田中 万貴(たなか まき)さんにお話しを伺いました。

まきさんは高校生という立場で「メイクのジェンダーバイアス」に疑問を感じ、ジェンダーイコールの活動に参加してくれました。

インタビューをしている中で、まきさんは日常のさまざまな経験を1つ1つを自分ごととして捉え、考え、調べて、問題意識につなげていることがわかりました。素晴らしいです。とても興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
コメントへの感想もお待ちしています!

ジェンダー問題に興味をもったきっかけは?

私は、3人姉妹の末っ子です。姉たちの影響もあり、小学校高学年頃からずっとメイクが大好きでした。

高校生になり、飲食店でアルバイトをはじめました。ある日、男性の店長と雑談をしていると、女性の先輩に対して、
「◯◯さんはバイト初日にすっぴんで来てんでー。さすがにすぐに化粧させに行ったわー。」
と言われました。
おそらく店長は、メイクをしていた私とその先輩を比較して言ったんだと思います。
私はこのエピソードを笑いながら話されたことに怒りを感じました。

疑問を感じませんか?
先輩に化粧をするように命令している店長自身は化粧をしていないのです。

この疑問をきっかけにいろいろ調べてみると、化粧は女性が行わないと不快感を与え、逆に男性が行うと不快感を与えるという矛盾した問題があることに気づきました。

その後「ジェンダー」という言葉を知り、この疑問は「ジェンダーバイアス」からくるものだということに気がつきました。

ジェンダーという言葉を知ったきっかけは?

これらの経験から化粧について深く調べていく中で、「化粧は女性の身だしなみ」という言葉を見つけて違和感を感じました。違和感の原因を調べていると、女性が職場でパンプスの着用を強制されていることにNOの声を上げる「KuToo運動」の記事を見つけて、そこで「ジェンダー」や「ジェンダーバイアス」という言葉を知りました。

これらの言葉を知ったことで、「女性が化粧をしているのがあたりまえ」という考え方や、先ほどの「化粧は女性の身だしなみ」といった言葉はすべて「ジェンダーバイアス」なんだということに気づきました。

男性も自由にメイクができる社会をつくりたい


以前授業で、LGBTQ+の講演があったからか、うちの学校では、LGBTQ+に対して違和感をもつ生徒は少ないように思います。

通っている塾では、化粧に興味があると言っている男性の先生もいました。

そういう背景から、男性も自由にメイクができる社会をつくりたいと思うようになりました。

メイクのジェンダーバイアス

今の社会では、「化粧=女性」という価値観が根付いていますが、歴史を遡ると、江戸時代までは男性が化粧をする文化があったそうです。
男性の化粧が否定されるようになったのは明治維新後。富国強兵政策の元で、兵力とされた男性の化粧が否定され、いつしか「化粧は女性がするもの」という価値観が定着したようです。

家庭では祖母や母親や姉妹、学校では女性の先生だけが化粧をしています。それを見て育つ子どもたちは「化粧=女性」という価値観を持ってしまいます。そしてその子どもたちが大人になり、同じ価値観の刷り込みがくり返されることで、いまだにバイアスが再生産されているように思います。

メイクは、コンプレックスを隠したり、なりたい自分になれたり、たくさんの「プラスの力」をもつツールです。こんな魅力的なツールが性別で固定されているなんて、もったいないと思いませんか?

私はメイクのジェンダーバイアスをなくしたいです。性別に境界線を引かない社会をつくりたい。
性別に関係なく、男性も自由にメイクができるようになれば、もっと楽しくてワクワクした社会になると考えています。

「男性向けコスメ」で感じること

最近はオンラインミーティングが普及して、画面に映る自分が気になってメイクに興味をもつ男性が増えているようです。
そのような影響もあり、男性向けコスメはどんどん増えてきています。
しかし、まだまだ女性向けコスメのバリエーションには及ばず、スキンケアが中心のコスメが多いように感じます。

ポイントメイクとか、女性が当たり前に使っているコスメがもっと男性にも広がれば良いなと思います。
メイクをして変わる自分に気づいたら、さらにメイクに興味をもつ可能性があります。

でも、化粧品売場には圧倒的に女性店員が多いのが現状です。これだといくら売り場に男性向け化粧品があったとしても、男性は抵抗感を持ってしまいます。男性向けの化粧品が広まりにくいのは、このことも原因の1つではないかと感じています。
男性店員がもっと増えて、男性が近づきやすい雰囲気になってほしいです。
そして、パッケージデザインもシンプルなものが多いので、もっと多様な選択肢が広げたいです。そうすれば、男性向けコスメがもっと普及するように思います。

将来の夢

私は将来「ジェンダーレスコスメブランド」を作りたいと思っています。
既存のジェンダーレスコスメはシンプルなものが多いので、もっと多様なアイデンティティに合わせたパッケージデザインや、肌の色に合わせてカスタマイズできる化粧品を開発したいです。

そして、メイクでコンプレックスを隠せることのメリットを、男性にもどんどん広めていきたいです。

メイクのジェンダーボーダレスを実現することで、もっとお互いがわかりあえる社会になる思うし、他のジェンダーバイアスも改善されていくと信じています。

−− まきさん、ありがとうございました!

8月8日・15日・18日・22日の4日間に渡り、ジェンダーイコールの高校生メンバー4人が【無料Zoom】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 を開催します!
まきさんは「DAY2:8/15(日)14:00-15:45 メイクと ジェンダーの関係」で講師を務めます。こちらから簡単に申し込めます。みなさまのご参加をお待ちしています!!!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

【メンバーインタビュ…

ジェンダーイコールメンバー:加藤心渚さん(高校3年生)

ジェンダー啓発活動に興味をもったきっかけは?

2019年11月3日開催「外国人ゲストから「ジェンダー平等」について学ぼう」
主催:ジェンダーイコール

高校1年生の冬、母親に誘われてNPO法人ジェンダーイコール主催のイベント「外国人ゲストから「ジェンダー平等」について学ぼう」に参加しました。
このイベントで、はじめて「ジェンダーバイアス」という言葉を知りました。
(ジェンダーバイアス:男女の役割についての固定観念)

自分が過去に経験したモヤモヤはジェンダーバイアスによるものだったんだということに初めて気づきました。
そこから、ジェンダーについて興味を持つようになり、ジェンダーイコールに参加しました。

過去に経験した「モヤモヤ」について教えてください

中学2年生の時に生徒会長に立候補しました。 その際、友だちや塾の先生、祖父母から、「女の子なんだから人の上に立つことはやめておいた方が良いよ」、「女の子だから目立たない方が良い」、「生徒会長なんて無理だよ」、「副会長でも良いんじゃない?」といった否定的な言葉をかけられました。肯定的な言葉であっても「女の子なのにがんばるね」・・・。
「女の子なんだから」、「女の子なのに」って何?
自分が女子だからという理由だけで、なんでこんなことを言われるんだろう?
非常にモヤモヤしました。

−− ここなさんの他にも立候補者はいましたか?

私以外にもう1人、男子候補者がいました。

−− 生徒会長にはここなさんが見事当選されました。選ばれた理由は何だと思いますか?

生徒会長は選挙で選出します。選挙に向けて候補者がスピーチをする機会があり、自分の意気込みを分かりやすく伝えるために、スライドや身振り手振りを使って様々な工夫をしました。また、中学1年生で副会長をしていたので、その実績も評価されたと思います。

−− 当選後、周りの反応はいかがでしたか?

選挙結果が出た時に、もう1人の候補者を応援していた人たちから「調子に乗るんじゃないよ」と言われたり、廊下ですれ違いざまに「◯◯の方が合っていたのに」などと言われました。生徒会長になってからの方が辛かったです。
でも、活動していくにつれ、選挙前に否定的だった友人たちが、当選後は応援してくれるようになりました。うれしかったです。

小学生の時の担任が「人前で話す楽しさ」を教えてくれた

−− ここなさんはなぜ生徒会に興味をもったのですか?

私は小学生時代は人見知りで、人前で話すのが苦手でした。
そんな私でしたが、5-6年時の担任の先生が私を学年委員に推薦してくれました。
学年委員を通じて人前で話す楽しさを知りました。
さらに先生は私の学年委員の活躍を見て「人をまとめることが向いているんじゃない?」とアドバイスをしてくださいました。それがきっかけで生徒会に興味を持ちました。
あの時の先生の言葉がなければ、今の自分はいないと思います。
私の背中を後押ししてくれた先生には心から感謝しています。

論文やスピーチを通じてジェンダー問題を発信中!

私の母親は保育士です。そのため、小学生の頃から何度も保育園のボランティアに参加していました。
以前、保育園へボランティアに訪れた際、ままごと遊びの中で当たり前のように女児が台所で料理をしている間に男児が机で待っている姿を見ました。また、男児がおんぶ紐で人形をおぶっていることに違和感を覚えた幼児たちがいました。その光景を目の当たりにし、幼児の頃からすでに「男は仕事、女は家事」という昔からの固定観念に従い、行動していることがわかりました。

なぜ幼児期ですでにこのような行動を取るのか?

私は、親や保育士など、身近な大人の無意識なジェンダーバイアスが起因していると考えています。

その考えをいろんな人に伝えたいと思い、2020年9月に「少年の主張埼玉県大会」、同年12月に「福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会」にエントリーして「保育環境とジェンダーの関係性」というテーマで発表しました。

福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会

上記は「福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会」でのスピーチです。
何度も練習を重ねたので、プレゼンに対する自信がつきました。

通っている高校ではみんなが応援してくれました。
授業でもジェンダーの研究発表会やジェンダーについての論文の時間を取ってくれるようになりました。
友人とジェンダーに関する相談や問題について話す機会が非常に増えました。

自分が行動したことで、明らかに周りの人たちに変化がありました。
これはとても価値のある経験だと思っています。
私は、これからもどんどんこのような大会にチャレンジしていきます。

弁論大会で感じた「ジェンダー問題」

審査員の方が年配者ばかりなのが気になりました。
さらに、「ジェンダーバイアスをなくすために、こんなにたくさんの工夫をしないといけないんですね」とか「大変ですね」など、どこか他人事のようなコメントが多かったのが印象的でした。
年代により、ジェンダー意識にかなりの違いがあるように思います。
公平な審査を実現するためにも、審査員の年代やジェンダーバランスを意識することは非常に重要だと感じています。

これからやってみたいこと

現在、高校生活最後の1年を過ごしています。高校生のうちに何か残したいと思い、ジェンダーイコールの高校生メンバー4人と8月にイベントを開催します。
本記事を読んでいただいたみなさまにもぜひご参加いただきたいです。
そして、来年大学に進学したら、幼児向けにジェンダーに関する絵本やパネルシアターを作って、保育園や幼稚園の子どもたちに直接発信していきたいと思っています。
いずれは起業したいとも考えていて、ジェンダーバイアスを無くすためのものづくり事業を実現したいです。

−− ここなさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

【メンバーインタビュ…

ジェンダーイコールメンバー:久保田まもりさん(高校2年生)

ジェンダー啓発活動に興味をもったきっかけは?

高校1年生の時に「女子力」「女捨てる」といった言葉を無意識に言っている自分に気づきました。これがジェンバーバイアスだと気づいたことがきっかけで、ジェンダー問題に興味を持ちました。
現在はジェンダーイコールの活動のほか、自分でも高校生向けのプロジェクトを立ち上げています。

性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」とは?

−− まもりさんは、自身で性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」を立ち上げられました。このプロジェクトについて教えてください。

−−− 私たちの社会には「女らしさ」「男らしさ」という性別に固定化されたイメージが蔓延しています。
それが人生の様々な場面での意思決定にも大きく影響し、人々の選択を縛り、また自然体で生きることを難しくしているのではないかと感じています。
日々、メディアやネット広告など女性と男性の非対称性が浮き彫りになっているものをよく見かけることのように、あまりにもそれが当たり前になってしまい気づくことさえ難しくなっているのかもしれません。

私がこのようなことに関心を持つきっかけとなったのは、「女子力」、「女捨てる」、「女らしく」、「女だから」、「女のくせに」等々、メディアや人々から何気なく発されている言葉から社会的に定義された「女性像」があることに違和感を覚えたことです。

自分自身、女性としての生きづらさを感じることが多くありました。私自身性被害に遭ったことがあり、世間で信じられている”強姦神話”など、フェミニズムを勉強していく中で、当たり前に信じられているものが実は男性社会の都合の良いようにつくられた常識であったのだと気づくことができました。

その一方で以前には、「女子力」などの言葉に何の疑問も抱いていなかったり、痴漢に遭った友達に酷い言葉を投げかけたり、被害に遭うことは日常の中で”よくあること”でそれが異常なことなのだと気づいてもいませんでした。
友達が痴漢に毎日のように遭うことがどれだけ辛かったか、あなたは何も悪くない、悪いのは痴漢をした加害者だ、と言うことさえもできなかった自分に今でも強い怒りがわきます。

自分の中の女性蔑視がいかに根深いものかということがフェミニズムに出会い、フェミニストとして生きる中で可視化され、女性差別に慣らされてしまっている現状に気づいてもらいたいという思いが強くなりました。

これらについて問題提起を行うことによりフェミニズムに関心を持ってもらうきっかけとなることを目的として、当プロジェクトを立ち上げました。

高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施

−− 2020年10月、まもりさんは高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施されました。概要を教えてください。

−−− 東京都内の高校に啓発ポスターを届けるためのクラウドファンディング「高校生の女性を勇気づけたい!東京都内の全高校にポスターを届けます。」を実施しました。

私自身にとってもそうであるように、SNSやウェブの世界は日々新しい情報を得たり発信したりするのに一番手軽で身近なものです。しかし同時に、どんな情報もウェブ上では数多くの情報の一つになりがちで、さらにその事柄について関心を持っていない人にはアクセスしてもらうのが難しいというデメリットがあります。

そこで思いついたのがポスターでした。特定の場所(学校)にいる人たちへメッセージを伝えるために、学校の掲示板に貼られたポスターは比較的目に入りやすいのではないかと思いました。

しかし、ポスターにもデメリットがあります。
まずは今回クラウドファンディングに頼ることになった一番の理由でもありますが、紙という素材、印刷の工程、配布の手間にすべてコストがかかるということです。また紙面上は限られたスペースなので、伝えたいメッセージを一枚にまとめなければならない難しさもあります。

そのようなデメリットを承知しながらもやはりポスターで発信したいと思ったのは、「その場にあって目に入る、立ち止まってよく見る、どういうメッセージなのかとじっくり考える」ことができる、ポスターの可能性に期待しました。

周囲の反応は?

同じ高校生や、痴漢抑止活動をしている方、女性団体などから「一緒に活動したい」という声をいただきました。

また、ポスターには、日々様々な角度から女性の権利のために活動している方々のインタビュー動画が見られるQRコードを設置したのですが、その動画向けのインタビューの協力者を募ったところ、7名の方がすぐに快く応じてくださいました。

私のような一高校生の思いに答えてくださった方々には、本当に感謝しかありませんし、それぞれ素晴らしいメッセージをくださったので、それをしっかり届けたいという思いが更に強くなりました。

クラウドファンディングをやってみて感じたこと

クラウドファンディングは、開始2日目頃にSNSで影響力のある方に拡散してもらうことができ、5日目で目標金額に達成しました。

集まった資金で、都内の高校400校の生徒会宛にポスターを送りました。
そのうち、100校ほどから返信をいただきました。
構内にポスターを掲示したり、ポスターの内容についてディスカッションしたことを報告してもらえました。

400校に手作業で送るのは想像以上に大変でしたが、目的達成することができて本当にやって良かったと思っています。
そして、たくさんの方から応援してもらえたことが何よりうれしかったです。

今後さらに取り組んでいきたい問題は?

−− ジェンダー問題は、社会規範から生活のほんの一コマにまで、多岐に渡って潜んでいます。まもりさんは、その中でどの問題に力を入れていきたいですか?

−−− 私自身、性被害に遭ったことから、「性被害をなくす」ことに力を入れたいです。今の日本では「女性の服装に落ち度がある」等、性犯罪に対して被害者側にも問題があると考えるレイプ神話がいまだに根付いています。
このような意識を改めるためのジェンダー教育や、1人1人がジェンダーバイアスに疑問を抱ける社会づくりは非常に重要だと考えています。

今、私はWebデザインを学んでいます。今後はこのスキルを活かして自ら発信していけるようになりたいです。そして、同じ志を持った人と一緒に連帯していて活動を広げたいです。

−− まもりさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)