【企業研修レポート】…

2025年8月5日、埼玉県日高市役所主催「人権啓発研修会」にて、ジェンダー研修を行いました。

日高市役所主催「人権啓発研修会」の目的

日高市では、埼玉県の「人権尊重社会をめざす目指す県民運動強調月間」に合わせ、市職員等の人権尊重意識の高揚を目的として、毎年8月に「日高市人権啓発研修会」を実施。今回の令和7年度は8月4日・5日・6日の3日間で開催されました。同市より「ジェンダーギャップ」のテーマも取り入れたいという依頼を受け、5日の講座をNPO法人ジェンダーイコールが担当させていただきました。

研修概要

  • 研修名:歴史から考える「日本のジェンダー」
  • 日時:2025年8月5日(火)【1回目】9:45-11:55 【2回目】13:20-15:30
  • 会場:日高市役所301会議室
  • 参加者:各回約40-50名

研修講師

田渕 恵梨子(Eriko Tabuchi)
NPO法人ジェンダーイコール代表理事 / 株式会社ワークラボ 代表取締役
NLPプロフェッショナルコーチ / 宅地建物取引士 / ウェブ解析士 / Webディレクター / システムエンジニア

東京都北区在住。仕事と育児の両立をきっかけに、日本のジェンダーギャップに危機感を覚える。ジェンダーギャップをなくし、性別に関わらず誰もがキャリア形成・家事・育児をあたりまえに「自分ごと」として捉える社会をつくりたい。その強い思いから、同じ価値観をもつ複数の仲間と共にNPO法人ジェンダーイコールを設立。

講義内容

「ジェンダー平等」というテーマは切り口が多数あります。毎回セミナーでは、用語や基礎知識のほか、その会に合わせたテーマもご提供するように心がけていますが、今回はいろんな世代の方が参加されるということでしたので、世代間による捉え方の乖離がおきにくい、歴史から考える日本のジェンダーについてもお話しをすることにしました。

当日のレジュメをご紹介します。

1. 知ろう!学ぼう「ジェンダー」(ジェンダーに関する基礎知識Part.1)

どのセミナーでも、以下の3点は必ずお話しするようにしています。

  • 「ジェンダー」ってなんだろう?
  • 「平等」ってなんだろう?
  • NPO法人ジェンダーイコールが目指すジェンダー平等

「ジェンダー」と「平等」この2つの言葉には、人によってさまざまな解釈があると思います。そのため、この2つの言葉を合わせた「ジェンダーイコール」という名前に対する先入観もさまざまだと思います。当団体の概要を明確にするためにも、自己紹介の際には、「ジェンダーイコールが目指す「3つのジェンダー平等」」について必ずお話しさせていただいています。

ジェンダーイコールが目指す「3つのジェンダー平等」
①性別に左右されない「機会の平等」が実現されること
②意思決定層の多様性が当たり前になること
③仕事と家庭に対する性別役割分担意識が無くなること

2. 知ろう!学ぼう「ジェンダーバイアス」(ジェンダーに関する基礎知識Part.2)

次にジェンダーバイアスについての解説を行いました。

  1. 「ジェンダーバイアス」ってなんだろう?
  2. 「女の子はピンク、男の子はブルー」は、あたりまえではなかった?
  3. 【動画視聴】学生たちが感じているジェンダーバイアス
  4. ジェンダーバイアスクイズ

ジェンダーバイアスとは、「男性はこうあるべき」、「女性はこうあるべき」といった、無意識に持っている性別に対する固定観念や偏見のことです。当然、無意識の中に根付いているものですので、言葉で説明して頭で理解したつもりでも、実際の行動や言動は無意識のそれらに左右されてしまいます。
今回は、受講者のみなさまがどんなジェンダーバイアスをもっているのか、少しでも気づくきっかけにしてもらうために、動画の視聴やクイズなどを通じて無意識と向き合っていただきました。

3. 日本のジェンダーの歴史

今回のオリジナルテーマの「日本のジェンダーの歴史」です。

  • 原始「大きなジェンダー区分はなかった?」
  • 古代「ジェンダー区分のはじまり」
  • 中世「ジェンダー区分の確立」
  • 近世「職業によるジェンダー区分」
  • 近代「男性主導の社会」
  • 現代「「男は仕事、女は家庭」の固定観念が根強く残る」

2020年に国立歴史民俗博物館で開催された「性差(ジェンダー)の日本史」で学んだ内容をベースに、六分法による時代区分に分けてそれぞれの時代のジェンダーの特徴について解説しました。

4. 知ろう!学ぼう「ジェンダーギャップ」(ジェンダーに関する基礎知識Part.3)

次のテーマは「ジェンダーギャップ」です。

  • 「ジェンダーギャップ」って何だろう?
  • ジェンダーギャップ指数について
  • ジェンダーギャップはなぜ起きるの?

世界経済フォーラム(WEF)が各国における「男女格差」を数値化したランキングを毎年公開している「ジェンダーギャップ指数」の算出方法や、日本の順位、そして公開が開始した2006年から2025年までの主要先進国(G7)スコア推移をグラフで確認し、各国のランキングの変化について解説しました。

5. 個人ワーク

最後は個人ワークです。

  • 普段の何気ない会話にある「ジェンダーバイアス」について考える

を目的とし、仕事/育児の「ジェンダーバイアスな一言」の3つのケースをもとに、

①言われた人の心理は?
②異性にも同じことを言うだろうか?

このそれぞれの立場を想像し、ノートに記入するワークです。
自身のバイアスや相手の心情を知る(他者の靴を履く)という感覚を掴んでいただくことを目的としています。

6.まとめ

最後に、ジェンダー平等な社会に向けて「私たちにできること」についてお話しをして終了となりました。

参加者の声

日高市役所の方で、受講者アンケートを取っていただきました。その一部を抜粋してご紹介します。

  • 気づかないうちにジェンダーバイアスがかかっていたことがわかりました。講師の方の説明が分かりやすく色々なことを学ぶことができました。
  • 他の偏った考え方ではなくて良かった。思いやりがすべて、男女を理由にしなければいい
  • 色々な考え方を認め、否定しない先生の考え方、講習内容がとても良かったです。理解しやすかったです。
  • ジェンダーバイアスは気づかないうちに誰もが持っているものだと思った。一人一人が、本当にそれでいいのかなと考えて気づくことがまず必要だと感じる。
  • ジェンダー=LGBTQ かな?と思ってしまっていました。家事負担の差は納得いかなくとも「やらせてはかわいそう、、、」という意識がどこかにあって言えばやってくれるのに、機会をうばっていたなと反省しています。子どもたち(男女います)は、みんなやってくれるようになってて、未来は明るいと信じています。
  • ジェンダーの役割には限度があるような気がしていたが、できることから変えていく姿勢が大切であることを感じました。ありがとうございました。
  • 視点によって感想や態度が変わることを確認できた。(個人ワークに対する感想)
  • 自分自身もジェンダーバイアスがあると改めて気づかされました。意識しないといけないなと思いました。(個人ワークに対する感想)

今回の研修によって、何か1つでもジェンダーの気づきを感じてもらえていたら幸いです。ご参加いただいたみなさま、関係者のみなさま、ありがとうございました!

私たちはこれからも企業や団体の大小問わず、ジェンダーに関する周知/啓蒙活動を行っています。ご興味がある方はぜひ当団体にご連絡ください。

ジェンダーイコールでは講義の企画実行や企業研修なども実施しています。

ご興味ございましたらこちらよりお問い合わせをお待ちしております

ジェンダーイコールの…

この度、令和7年度文部科学省検定済教科書「新版 中学生の道徳 明日への扉③(株式会社Gakken出版)」に、当団体の活動が掲載されました。

掲載されたのは「社会を変える一歩」のページ

該当箇所は、94-95ページの「クローズアップ 社会を変える一歩」の「②社会の課題を意識する」です。本ページは、誰にとっても暮らしやすい社会、違いを認め合える社会の実現に向けて、私はどんなことができるのか?について考える章になっています。

2022年、当時高校生だったメンバーたちは、「どうすれば、もっとたくさんの人に日本のジェンダー課題を身近に感じてもらえるのだろう?」と話し合っている中で、ほんの少しの時間で多くの気づきを得られるエンタメの力を使って何か発信できないだろうか?と考え、ショートムービー制作を思いつきました。
本書では、この時の活動を取り上げていただき、メンバー4人から中学生に向けたメッセージが掲載されています。

高校生がショートムービー制作にいたった経緯

当時、4人のメンバー全員ショートムービー制作は初めてだったものの、「まずはやってみよう!」という意気込みでチャレンジすることに。
1人1人がオリジナルストーリーを考え、その内容を脚本にして絵コンテも作りました。高校生たちだけでは難しい撮影や編集部分はプロに手伝っていただきましたが、準備から監督までほとんど全てを担当。
2022年7月に下記5本のショートムービーが完成し、YouTubeでの公開にいたったのです。

No.1 「女らしく」「男らしく」ってなんだろう?

No.2 なぜ男女で接し方が変わるのだろう?

No.3 「あたりまえ」って何?

No.4 心のジェンダー

No.5 1人で悩まなくていいんだよ

学研デジタルコンテンツ

学研教科書サイト「学びを深めるコンテンツ」でも動画が紹介されていますので、ぜひご覧ください。

未来をつくるのは私たち

本章は最後に「未来をつくるのは、私たち1人1人です。」と締め括られています。ジェンダーイコールの学生メンバーたちの行動が、この教科書を読む中学生たちに勇気を与え、行動の一歩になってくれたらうれしいなと思います。
そして、当団体でも、より良い未来に向けて一歩ずつ邁進してまいります。

最後に、今回教科書で活動を紹介していただけたことは、学生メンバーたちの大きな自信につながったはずです。
学研のみなさま、素晴らしい機会をいただき、ありがとうございました!

新作の短編映画も公開中!

NPO法人ジェンダーイコールは、15歳の高校生メンバー・叶 英奈(かのう はな)が務めた青春学園映画『太陽のような君へ』を2025年4月29日(火・祝)午前10時にYouTubeにて公開いたしました。本作は、性別の違いによるバイアスや期待と向き合いながら、「本当にやりたいこと」を追いかける少年と、太陽のような笑顔で彼の背中を押す少女の物語が、観る人の心を揺さぶる内容となっています。無料配信中ですので、ぜひご覧ください。

代表田渕がめざまし8…

引用元:FNNプライムオンライン

フジテレビ朝の情報番組「めざまし8」に、NPO法人ジェンダーイコール代表理事の田渕が出演させていただきました!
テーマは「家事格差」
若手歌舞伎俳優の尾上右近さんが「家事格差」の原因となる“名もなき家事”の調査隊となり、田渕の自宅でクイズにチャレンジ。あらかじめ潜ませた5つの「名もなき家事」を探していただきました。

5つの「名もなき家事」

引用元:FNNプライムオンライン

上記5つの家事をあっという間に見つけた右近さん。
歌舞伎の家柄に生まれて、現在ご実家暮らし。お母様が専業主婦で家事はほとんどされたことが無いそうです。
田渕が「家柄が家柄ですし、今後も家事を意識しなくても良いのでは?」とたずねたところ、右近さんは「親の世代まではそれでも良かったかもしれないけど、自分たちの世代は「家事できない」は誰にも相手にされないと思う。意識を変える必要がある。」と回答されました。素晴らしいですね!

家事は「自分ごと」として捉える

放送ではカットされてしまいましたが、右近さんと家事について色々と話しました。
家事は「家」の「事」と書くとおり自分の住む家の基本的な用事。
本来はお風呂に入ったり服を着替えたりするのと同じく、当たり前に「自分ごと」として捉えるものだと思うんです。自分ごとですから、男がやるものとか女がやるものとか決める話ではないと思っています。これは子どもの頃からの教育が重要ですね。

そして、人それぞれに服のセンスが異なるように、家事のやり方も人それぞれです。
同棲や結婚をするということは、価値観の違う他人と暮らすことです。相手のやり方を否定して自分のやり方を押し付けたり、相手に任せっきりにするような意識で良い関係が築けるとは思えません。
逆にお互いで相手を尊重しあい、相手を思いやる行動ができれば、素敵なパートナーシップを持てるでしょう。離婚率も減ると思います。
・・・といった会話をしていました。

スタジオでは“名もなき家事”チェック

スタジオでは、コメンテーターの橋下徹さんと司会の谷原章介さんが“名もなき家事”チェックにチャレンジ!

“名もなき家事”チェックリスト(監修:田渕)
①ベットを整える
②電気を消す
③トイレットペーパー・ハンドソープの補充
④手拭きタオルの交換
⑤お風呂の排水溝のゴミ・髪の毛の除去
⑥お茶を作り置きする
⑦ペットボトルのラベルをはがし捨てる
⑧ゴミ箱のゴミを集め、新しいゴミ袋をセット
⑨キッチンの水気を拭く
⑩裏返しの洗濯物を整える
⑪子どもの食べこぼし掃除
⑫子どもをパジャマに着替えさせる
⑬子どもの爪を切る
⑭子どもの持ち物の記名
⑮宿題や連絡帳のチェック
⑯消毒液の補充
⑰子どもの体温を測る
⑱子どものマスクの準備
⑲身の回り品の消毒
⑳自転車・車のメンテナンス(自転車の空気入れ、車のガソリン補給など)

さて、チェックリストの結果は???
橋下徹さん:②⑤⑦⑮⑳(20項目中5項目)
谷原章介さん:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑪⑫⑯⑲⑳(20項目中14項目)

ちなみに橋下さんのお子さんは7人、谷原さんのお子さんは6人だそうです。
チェックリストの結果は良い悪いではなく、「名もなき家事に気づくこと」や「パートナーに負担をかけていないか?」を考えるきっかけになれば良いと思っています。

家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」

こちらは、当団体が開発した家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」です。
最後にスタジオで紹介してもらう予定でしたが生放送で尺が足りなくなったようで実現できず・・・
という訳で、こちらで改めてご紹介させていただきます!

HowToハッピーシェアボード

ハッピーシェアボードは、家庭内タスクの「見える化」ツールです。
パートナーと一緒にこのツールを実践することで、「①家事分担のバランス整理」「②名もなき家事の認知」「③やりすぎ家事の見なおし」3つの効果が得られます。

ハッピーシェアボードにチャレンジ!

これまで多数の方にハッピーシェアボードをチャレンジしていただき、毎回ご好評をいただいています。
どんな形でハッピーシェアボードを実践するのでしょうか?
下記、2事例をご紹介させていただきます。

東京都北区議会議員 駒崎美紀氏、NPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹氏ご夫妻

駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

参議院議員 音喜多駿氏、江東区議会議員 三次ゆりか氏ご夫妻

おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

いかがでしたか?ハッピーシェアボードに興味のある方は、こちらからお問合せください。

最後に・・・

放送終了後、TwitterやこちらのYahoo記事に多数のコメントが寄せられていました。視聴者の関心が高さがうかがえます。
日本はジェンダー後進国のレッテルを貼られて久しいですが、少しずつ国民の意識が高まっているのは間違いないと思います。
さらに意識が高まるよう、引き続きジェンダー啓発に力を入れていきます。

今回、フジテレビさんには大変貴重な経験をさせていただきました。
そして、「家事格差」を取り上げてくださり、本当にありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子