【メンバーインタビュ…

−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕です。
ジェンダーイコールメンバーインタビューvol.4は、「学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会」を目指す、高校3年生の関崎 未来(せきざき みく)さんにお話しを伺いました。

みくさんは、学校生活の中で感じる「ジェンダーバイアス」に疑問を感じ、ジェンダーイコールの活動に参加してくれました。

みくさんの学校の中での観察や問題意識を持った後の行動など、非常に興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
コメントへの感想もお待ちしています!

ジェンダー問題に興味をもったきっかけは?

以前、自分が所属していたチアダンス部に、男子が入部を希望したことがありました。その際、他の部員が「なんで男子なのにチアダンス部に入るの?」と言い、さらに顧問まで同じような事を言っていたことに非常に違和感を感じました。この違和感を追求した結果、性別によってやりたいことが制限されてしまう社会に問題を感じるようになりました。

学校生活の中で感じるジェンダーバイアス

学校の中では意外に多くのジェンダーバイアスがあります。
たとえば、重い荷物を運ぶ時、先生は「男子手伝ってよ」と男子にお願いします。そして、クラスメイトの男子が日焼け止めを塗っていると、周りが「男なのに日焼け止めを塗るの?」と言っていたことがありました。

さらに、ある先生から私のジェンダーの活動について「女の子なのに積極的ですごいね」と言われたり、別の先生にジェンダー平等を進めたいと説明したら、「それは良いことだけど、ちょっと間違えただけで男女差別って言われたりして、めんどくさい世の中だねー」と言われたこともあります。

今の社会はジェンダー平等が進んできていると私にとって、これらの言葉は非常に驚きました。そして、ジェンダー平等が進んできているというのは自分の思い込みだったのかもしれないと感じました。

問題点

この問題点は「みんな全く悪気がない」という点です。
悪気がないということは、自分が無意識にもっている偏見に気づいていないということです。無意識の偏見に気づいてもらうのは非常に難しい問題だと感じています。

中学生向けにジェンダー講座を開催!

私が通っている高校の校長先生は、SDGsゼミを開催したり、ジェンダーレス制服を起用したり、校内で日焼け止めや髪ゴムを性別を気にせず買えるようなアトリウムを設置したいなーといった発想を持たれていて、非常にジェンダーに理解のある先生です。

私は、校長先生が主催する「SDGsゼミ」を受講した時に非常に刺激を受けて、自分でジェンダー講座を開催してみたいと思いました。

そこで、まずはプレゼン資料を作ってみました。そして、校長先生に資料を見ていただき、自分の思いを伝えたところ、同じ校内にある中学校での講座開催を調整してくださいました。

応援してくれる担任の先生

中学生向けの講座には、担任の先生も参加してくれました。先生は私のがんばっている姿を見て、とても喜んでくれました。この事がきっかけでジェンダーに関心を持ち、その後、ジェンダーの記事を見つけて、共有してくださるようになりました。さらには毎月発行されるクラス通信にも、私の活動を長文で紹介してくださいました。

この経験は私にとって、非常にうれしかったと同時に、若い世代が行動を起こすことで、同世代や大人に刺激を与えることができるんだと感じました。

これからやりたいこと

私は、学生たちがジェンダー問題を問題として捉えていないことが、いつまでたってもジェンダー平等が前進しない原因になっていると感じています。そのため、いろんな学校で啓発セミナーを開催したいと思っています。

私は、学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会にしたいです。

社会を変えるには、信頼や影響力が必要です。いつかそんな人間になれるよう、引き続き活動をがんばりたいと思っています。
そして自分の活動に協力してくれる仲間を増えるとうれしいです。

最後に、私の両親はいつも私のことを信頼し、ジェンダー活動についても無条件で応援してくれています。
この場をお借りして、両親に感謝の気持ちを伝えたいと思います。


−− みくさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

【イベントレポート】…

2021年8月の夏休み期間に、ジェンダーイコール高校生メンバー4人が1人ずつ講師になり、全4回に渡ってセミナーを開催しました。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー 8/8(日)14:00-15:30
DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

事前お申し込みは各回100名を超え、延べ483名のお申し込み、252名の方に参加いただきました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
高校生メンバーは4人全員が初めて自分で主催するセミナーを開催しました。各自の感想もアンケート形式で回答してもらったので、各回の概要とともに、イベントレポートとしてお届けします。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー

開催概要

■日時:2021年8月8日(日)14:00〜15:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 加藤 心渚(高3)
■ゲスト:一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様

セミナーの流れ

加藤ここなのスライド

講師の加藤ここなが独自で6月〜7月にかけて約300名の保護者・教育者に回答してもらったアンケートを分析した「子どもを取り巻く環境の現状」、周りの高校生や中学生にヒアリングしてまとめた「ジェンダーが子どもに及ぼすこと」について説明しました。

一般社団法人母親アップデート

その後、一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様に親目線でのジェンダーバイアスについて語っていただきました。

グループディスカッション
テーマ:普段の生活で感じるジェンダーバイアス

最後に、いくつかのグループに分かれて、「普段の生活で感じるジェンダーバイアス」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

・3歳の甥っ子と1歳の姪っ子と遊んでいて子育ての大変さに気づき、子どものほしさが少しずつ薄れて きてしまったと母親に話したら、「それはダメだ」と子どもを生むのが大前提の価値観で否定された。自分の人生だから自由だと考えてほしいと思った。

・ランドセルの色が豊富になっていて、一見ジェンダーバイアスが無くなっているように見えるが、実は女の子用の黒、男の子用の赤がある。それぞれ女の子受けや男の子受けの良さそうな刺繍が入っていたりする。カタログも性別で分けられていて、マーケティング的な要素があるように見える。

・誰かに強制された訳ではないのに仕事も教育も自然とサポート側に回ってしまう女性が多い。性別役割分担意識が自然と身に付いて、社会人になってもずっと続いている葛藤がある。

・国際的な仕事の環境で、容姿に対する不適切発言を受けたり、仕事ができると「女のくせに」と男性や女性にも言われた。

・20年前位の話だが、同僚の女性が結婚の報告をした際、「名字は何になるの?」と当たり前に言っていたことに違和感を感じた。

まとめ

今回は乳幼児期をテーマにセミナーを開催しました。
セミナーを通じてお伝えしたかったことは、子どもたちが「性別らしさ」ではなく「自分らしさ」を表現できる社会をみんなで作っていきませんか?ということです。
グループディスカッションを通じて、どの世代においてもジェンダーバイアスに悩まされている人がいるというリアルな声を聞くことができました。
大事なことは、どの世代でもジェンダーバイアスに気づくことです。そのために、まずは本セミナーで感じたことを身近な人に伝え、ジェンダーバイアスの存在の認知を広げていってもらえたらうれしいです。

講師:加藤ここなの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?高校2年生の時に、弁論大会にて「将来はジェンダーに関するイベントを開催したい」と宣言しました。その時は大学生や社会人になれば出来るだろうな、と遠い目標として掲げていました。まさか、1年後に実現できるとは思っていなかったので、機会を与えてくださった田渕さんにはとても感謝しています。
セミナーを開催するからには、今まで自分が培ってきたことを存分に発揮しよう!と決めました。
2)準備は大変でしたか?大変でした。しかし、自分の好きな分野を人に伝えることはもともと好きだったので、わくわくしながら準備できました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。ジェンダーを初めて学ぶ方、子どもに関わる方、高校生など、様々な方が参加してくださるため、誰がみても分かりやすい説明を工夫しました。
また、高校生の立場でしか語れない話をすることで、他では得られないことを得られるようなイベントにしようと準備をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。初めは高校生が保育のことについて語るのは少し烏滸がましいのではと思っていたのですが、参加者の皆様が真剣に私の話を聞いてくださって安心しました。
会の序盤は緊張していたのですが、徐々に楽しく進行することができました。
ブレイクアウトルームで、ジェンダーについての沢山の生の声をお聞きできたのは、今回のイベントで大きな収穫となりました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。自分の知らない間に自分の選択の幅を狭めてしまっていることに気づいて欲しいです。そして、それらを周りの人にも伝えていってほしいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。子どもたちにジェンダーを伝える活動をしていきたいです。そのためにジェンダーの絵本を作って子どもたちが集まる場所に広めていきたいです。

DAY2 メイクと ジェンダーの関係

開催概要

■日時:2021年8月15日(日)14:00〜15:45
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 田中まき(高3)
■ゲスト:株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様

セミナーの流れ

田中まきのスライド

メイクは、なりたい自分に近づくことで自己肯定感を上げることができたり、コンプレックスを隠せたり・・・といったポジティブな効果がたくさんあるにも関わらず、いまだに「メイク=女性」というジェンダーバイアスが存在しています。
本セミナーでは、化粧におけるジェンダーバイアスについて、田中まきがバイト先で経験したエピソードを紹介し、その矛盾点やマーケティング視点から考える問題点について説明。

ジェンダーニュートラルコスメ「iLLO」

次に参加者からのメイクのジェンダーバイアスに関する質疑応答時間を設けた後、株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様にお話しを伺いました。
矢野様は、前職で国内の美容メーカーで働く中、多くのメイクする男性と出会われたそうです。そこで、男性のメイクの悩みやこだわりが女性と変わらないことに気づいたことがきっかけで、性別に関係なく誰でも手に取りやすいコスメブランドを作りたいという思いから、2020年8月にジェンダーニュートラルコスメブランド「iLLO(アイロ)」を立ち上げられました。このブランドに対する思いや化粧品にまつわるエピソードをお話しいただきました。iLLOの10%オフクーポンを提供してくださり、参加者の喜びの声で盛り上がりました。

グループディスカッション
テーマ:誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?

最後に、いくつかのグループに分かれて、「誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 平成の若者文化がキムタクさんや安室奈美恵さんで、その方たちが化粧をしている文化があった。な ので、私たち若者世代が「令和の若者文化」を作ると1人1人の意識を変えていければ良いのではないか?
  • 今の日本では「女性らしさ」「男性らしさ」を大切にしている人も多い中で、誰もがメイクを楽しめる世の 中にするには、「他人に押し付けない」というのが一番大事。
  • 世代感の感覚のズレがあるという話になり、その人たちが古い女性観であったり、ジェンダーバイアス が根づいてしまっているのが問題。
  • 学校の授業にメイクを取り入れるという案が出たが、社会に出た時に逆にメイクがあたりまえになって しまうことが考えられるので、あまり良くないかも?今の若者は脱毛をする男子もどんどん増えているの で、今のままで広がっていけば良いのではないか?

まとめ

このイベントで伝えたかったことは、参加者のみなさまに改めて、「身の回りの物事が性別によって境界線が引かれていないか」を考えていただきたいということです。
考えてみると、想像以上にたくさんの物事が性別によって境界線が引かれていると思い浮かんでくると思います。
田中まき自身もジェンダーについて興味をもってから、身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。
みなさん1人1人の意識が変わっていくことで、いつか世の中も変わってくると信じています。そして、メイクをするしないの選択肢が性別に関わらず個人として持つ世の中になれば、もっと明るくて楽しい社会になると思います。

講師:田中まきの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?自分が今まで持っていた問題意識をオンラインを通じて様々な人に共有できる貴重な機会だと思いました。
2)準備は大変でしたか?他の高校生メンバーと田渕さんと何回もミーティングを重ねてより良くなるように心がけていたので達成感がありました。初めの方から、テーマやキャッチコピー、ポスターなど多くの意見交換をしてきたので本番を迎えれてよかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。自分が知っていても参加者の方は知らないかもしれない、ということを考えて細かく説明できるようにしました。セミナーを開く特権でもある、参加者の声をチャットやブレイクアウトルームを使うことでたくさん聞けるようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。たくさんの人が共感していただいたり、私の問題意識に提案していただいたりして新しい発見がありました。自分の意見をオンラインを通じて多くの人に共有することは初めてだったが、事前準備を沢山し、充実したイベントにできたことで達成感が得られました。幅広い世代の方が参加していただいたので、これからの時代を背負っていく若者ということで応援してくれる方はもちろん、同世代の高校生も参加していただき嬉しかった。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダーの問題解決は気づかないと何も始まらないです。私自身、ジェンダーについて興味を持ってから身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。ジェンダー教育が普及していない今、ジェンダーのことを発信していくことで、一人一人の意識が変わっていくことでいつか世の中も変わってくると信じています。
わたしも情報発信を続けるので、是非高校生の皆さんにもジェンダーについての情報を沢山吸収していただきたいです。そして、物事が性別で境界線が引かれていないか考えて欲しいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。今回の内容をもっと多くの人に共有したいので何度か開催したい。

DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す

開催概要

■日時:2021年8月18日(水)18:00〜19:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 関崎みく(高3)
■ゲスト:宮崎公立大学 准教授 寺町 晋哉 様

セミナーの流れ

関崎みくのスライド

講師の関崎みくが義務教育をテーマにしたかったきっかけは、部活動での出来事にありました。所属するダンス部に男子生徒が入部を希望した際、「なんで男子がダンス部に入るの?」と周りの部員が言っていたのです。その後、調べを進めると、学校生活の中であたりまえのようにジェンダー差別が行われていることに気がつきました。この経験を経て、若いうちに性別に囚われない生き方を知ってほしい。そんな思いから本テーマを採用しました。セミナーでは最初に関崎みくがさまざまな視点でのジェンダーバイアスについて説明をした後、ゲストの宮崎公立大学准教授の寺町晋哉先生から専門的なお話しをいただきました。

寺町先生は、5月に日本経済新聞で「学校の中のジェンダー」というテーマにて、教師がジェンダーバイアスのかかった発言をすることで、生徒の成績に影響することを指摘する記事を寄稿されています。今回、この内容を掘り下げた非常に興味深い説明をしていただきました。

グループディスカッション
テーマ:ジェンダー経験について共有しよう!

最後に、いくつかのグループに分かれて、「ジェンダー経験について共有しよう!」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 留学先で国によって違いがある。マレーシアではほとんど女性の教授だった、フランスでは女性の方 が発言数が多かった等、違いを感じた。
  • 昔は、修学旅行に女子しか行けなかった。男子は勉強に集中しなくちゃいけないから。
  • スポーツにおける男女差。女子にハンデを課しているケースがある。女子の中でもハンデがあることが嫌だと感じる人もいれば、それで良いと思う人もいる。 そのハンデが男女差があって、また、女子の中でもハンデが無い方が良いと思っていても、男子の女 子に対する対応も、女子が男子と一緒にスポーツをやっていく上で影響してくるのかなと思った。
  • 営業の求人で、女性から応募が入った際に、「女性に営業ができるのかな?」という発言をしていた。 その人は悪気が一切なくて、知らないうちに思い込みをしていた。そういう思い込んでいる人を変えていくのは難しい。
  • 「学校の仕事は大変だから女性にはできないかも。男性の方ができるのではないか?」という思い込みで、女性が活躍できていなかったり、逆に男性が大変になってしまう。しかし、看護士などは、女性が 多いけど仕事量も多い。

まとめ

本セミナーで伝えたかったことは、「若いうちに自分の中にあるジェンダーバイアスに気づいてほしい。」ということです。ジェンダー問題の解決に重要なことは、ひとりひとりが「当事者」という自覚をもつこと。そのためには「ジェンダー」を知ることが始める必要があります。
小さいことからで良いので、当事者として行動を起こしてほしい。その一歩として、セミナーで知ったことや気づいたことを身近な人に共有するのも良いと思います。その積み重ねが社会を変えるはずです。

講師:関崎みくの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?幅広い年代の方に自分の思いを伝えられることが嬉しかったと同時に、学校で起こる性差別を高校生代表として伝えなければならないという責任を感じました。
2)準備は大変でしたか?時間はかかりましたが、自分の思いを伝えられると思うと準備も楽しかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。参加者の方にジェンダー問題を身近なものとして捉えてもらうべく、多くの人に当てはまるような体験談の紹介をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。高校生の視点からみた「ジェンダー」に興味を持ってくださる方が多く嬉しかったです。ジェンダーに強く興味を持っている方から知り合いから紹介されて参加した方まで、多様な考えを持つ参加者の方々と交流ができて有意義な時間となりました。また、若い世代が問題意識を持ち、行動を起こすことの大切さを再確認しました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダー問題は誰にとっても身近なものです。自分がジェンダー差別の加害者・被害者にならないためにも、この問題に対して当事者意識を持って積極的に行動しましょう!
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。厳しいかもしれませんが、小学校や中学校でイベントを開いてみたいです!

DAY4 “ないもの”にされる性被害

開催概要

■日時:2021年8月22日(日)14:00〜16:00
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 久保田まもり(高2)
■ゲスト:フリーライター 小川 たまか

セミナーの流れ

久保田まもりのスライド

今回このテーマを選んだ理由は、講師の久保田まもりが、電車通学だった中学生時代、毎日のように周りの生徒たちが痴漢被害に遭っていた事がきっかけになっています。とても悔しい思いをした生徒も、警察に届けることはありませんでした。学校側は少なからずその状況を知っていたはずですが、中学生の久保田から見てもちゃんと向き合っているようには思えませんでした。
さらに校則で、スカートを短くしてはいけない理由として「男の人をそういう気持ちにさせてはいけない」という説明をされたことがあったそうです。
当時の彼女は「私たちを危ないものから守ってくれているんだ」と思っていました。その後、久保田はジェンダーについて知り、改めて当時について思い返したところ、学校側の対応に疑問を持ちました。

痴漢被害に遭っている女子生徒に対して、「君はスカートが短いから被害に遭ったんだ」「君は校則を守らなかったから被害に遭ったんだ」と校則を守らせるためのような脅し文句、性暴力について誤った知識を刷り込むのは、あまりにも無責任で暴力的なのではないでしょうか?

私たちは、日頃から学校やメディアでこのような知識を植え付けられることで、性暴力に対する誤った認識を持ってしまっています。もし被害に遭って誰かに相談しても「モテ自慢?」と言われたり、怖くて抵抗できなかったのにも関わらず「それって抵抗しないのが悪いんじゃないの?」と、セカンドレイプに遭ってしまう現状があります。

肌を露出しているから被害に遭う、抵抗しない=合意であるといった考え方は「強姦神話」に基づきます。この価値観が痴漢を黙認する社会、女の子たちに我慢させる社会とは一体なんなんだ?という思いが、本セミナーのテーマにつながりました。

小川たまかさんのYahoo!ニュース著者紹介ページ
小川さんの著書 「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。(2018年)

本セミナーでは、まずは久保田まもりが自身の経験から感じた問題提起をした後、ゲストのフリーライター 小川たまか様より「日常の中の性暴力」をテーマに、痴漢にまつわる調査データの紹介や、これまでの時代がいかに「強烈な被害者への制裁意識」をもっていたかという実情について詳しく説明していただきました。その後、ジェンダーイコールの学生メンバー、社会人メンバーが加わって、それぞれが考える「次世代の子どもたちに、性暴力に対する誤った考えを引き継がないためには?」についての思いをご紹介しました。

グループディスカッション
テーマ:痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?

次に、いくつかのグループに分かれて、「痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 「性教育」という言葉をもっと触れやすい名前にアップデートするのも大事。
  • デンマークでは、幼稚園の頃から性教育を受けている。だから自分のからだは自分のものという意識 を誰もがもっている。だから痴漢はいない。
  • デンマークはドラゴンボールが15禁、ロボコップが18禁。その理由は、血がたくさん出たり、暴力的な 表現が多いから、国が規制している。エンタメに対しても作品規制が厳しくなっている。 基準はファンタジーとの境目がわかるかどうか。そこをきっちり分けている。
  • 学校の義務教育での性教育に力を入れるのが良いものの、先生たちに負担がかかるので、助産師や 医師が授業で話すなどして、あまねくいろんな人に伝わるようにやっていくと良いのではないか?
  • 「生理」について教えてほしい。人の生理がどれくら重いものなのかがわからない。
  • 韓国では中高生に、人権教育の一環として、性暴力に感する義務教育を実施している。日本にもその ような教育を実施して、いまだに歪んでいる性教育に関して学生が意識改革できる内容を実施できると良い。
  • 性暴力を受けても恥ずかしいとかとまどう気持ちになってしまって相談を躊躇する子どもたちが多い。 自分の心を打ち明けて話せることのできる信頼感をもてる雰囲気を作るためには、まずは大人たちが 正しい性意識をもつことが重要。
  • 教頭や学年主任が、性教育のやるやらないの意思決定に関わっているため、その人たちが性教育に 関心があるかないかで変わってしまう。公立の学校でも積極的に取り組む学校と取り組まない学校でかなり差が出てしまっている。そういう消極的な人たちに性教育の必要性についてアプローチしていく必要 がある。
  • 政治や社会が性教育にネガティブな意識をもってしまっている。日本の根幹を担っている人たちにもっ と当事者意識を持ってもらうことが重要。
  • 今、警視庁が痴漢防止のレーダーやアプリを作っている。でも実際に高校生が認知するところまでは いっていない。せっかく良いサービスがあるのに実用まで至っていない。そこにはどういう課題があるのか?そういう所を見ていくと、よりこの問題の解決に近づいていくのではないかなと思う。

高校生へのメッセージ

次に、ジェンダーイコールメンバー3名と小川たまか様より、高校生に向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

加藤ここな(ジェンダーイコール高校生メンバー)
本日得たことを、自分の中でとどめておくだけでなく、周りの友達にも教えてあげることが大事だと思います。 そしていざという時のために、アプリとか色々あると思うので、シミュレーションすること自分を守るのに とても役立つと思います。


渡邉あおい(ジェンダーイコール大学生メンバー)
高校生にお伝えしたいことは「とにかく学んでほしい」ということ。性暴力は暗数が非常に多い。「なんで届けなかったの?」という質問には、「そこまで大きい問題ではなかった」と回答している人が6割位いる。それは当事者の意識、「これは本当にやばいことなんだ」、「私は被害者なんだ」という意識がなかなか持ちづらいのかなと思いました。 その意識を持ってもらうためには、たくさんいろんなことを勉強してもらえたらと良いのかなと思う。 最近では、「セックスエデュケーション」というNETFLIXのドラマとか、「プロミシングヤングウーマン」とい う性暴力、性被害を描いた映画が公開されています。そういった作品に触れて、考える時間を持っても らったら、少しずつ当事者意識や、「自分が何をすべきなのか」「何を学ぶべきなのか」ということがわ かってくると思います。 「知識は自分を守る武器(鎧)」なので、みんなに身に着けてもらえればと思います。


篠原くるみ(ジェンダーイコール副代表理事)

  1. 自分の感情を大事にしてほしい 「ネガティブな感情」や「嫌い」っていう感情は、結構ネガティブに捉えられてしまうけど、「嫌」という感情は生存本能だったりするので、それを大事にすることが大事だと思います。 何かあった時に「自分が悪いのかも」と思ってしまうクセがついてしまっている人がいると思うんですが、 それはたぶん性格ではなくて、日本社会の構造的な問題だと思うので、それはそれで受け止めて、大事にしてあげると良いのかなと思います。 その上で、客観的に「私が嫌だと思ったことはどういうことなのかな?」ということをじっくり考えてみることで、答えがみつかったりするのかなと思います。
  2. 自分のことを受け止めてくれる味方を何人か見つけておく。 それが親であれば良いが、人間なので必ず合う合わないは必ずある。「この人は自分の味方だな」と 思っていても、関係性が変わってくることも全然あるので、そういうことに対して傷つきすぎないでほしい なと思います。 あと、大人は「ドリームクラッシャー」になってはいけない。ドリームクラッシャーとは、「誰かが何かをやりたい」と言ったことに対して、「そんなの無理だからやめておきなよ」とか「NO」を突きつける人のこと。 そういう人は結構世の中にたくさんいて、やりたいことを頭ごなしに否定してくる人がいたら、「この人ってドリームクラッシャーなんだなー」と思ってスルーするスキルを、若い人たちに身に着けてもらえればと 思います。 味方になってくれる人は絶対どこかにいるので、そういう人を何人かストックすると良いと思います。

小川たまか(ゲスト講師)

私は高校生とか20代前半位までは、生きるのが辛いという思う時期が結構長くて、その悩みの理由が ずっとわからなかった。 「なんで自分がこんなネガティブな人間なのかがわからない」みたいな時期が長かった。 30代前半位になってからようやく、あれが性に対する搾取が原因だったとか、そういうことに気づき始めて楽になったというようなことがありました。それは気づくのが早ければ早い方が良いと思うので、痴漢とか性暴力は明らかにおかしな問題であり、 人権侵害であり、被害に遭う人が悪い話では全くないので、「社会のせいだ」ということを強く心に持って いってほしいなと思います。 ここにいらっしゃる人たちは、そこに気づいていらっしゃる側の人たちなんだろうなと思っています。 大人はその若者の持っている意思とかを潰さないようにするというのは、私も全く同感です。大人のやることは、若い人たちがどれだけその1件の発信をしやすくしていくことや、そのサポートが大事だと思っ ています。

まとめ:久保田まもりからみなさまに向けた アクションプラン

最後に、久保田まもりより、本セミナーのまとめとして、参加者に提案するアクションプランを2つお伝えしましたので、ご紹介します。

  1. 今日のイベントの内容を家族や友人に話してみよう!
    「痴漢って性暴力だって知ってた?」とかそんな感じで全然大丈夫です。
    「痴漢は日本のジェンダーにおける闇」ということが集約的に現れていると感じています。この問題に 対する姿勢を変えることで、ジェンダー平等に向けて大きく前進するのではないかなと思います。
  2. 個人的なことは政治的なことである。
    これは、1970年代にアメリカで掲げられたスローガンです。 これをみなさまにはぜひ、頭の片隅に入れていただきたいです。 日々感じる、言語化できないけどモヤモヤするものを大切にして、そのモヤモヤは実は非常に政治的で 社会問題かもしれないという思考のくせをつけることで、当事者意識も芽生えやすくなると思います。

講師:久保田まもりの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?不安な気持ちもありましたが、最大限このチャンスを活かそうと思いました。
2)準備は大変でしたか?内容を煮詰めるのに時間がかかりました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。伝えたい内容を時間内に入れ込むため、スライドや進行順序を工夫した。そして、非言語コミニュケーションを意識するようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。ブレイクアウトルームでのディスカッションで、沢山の気づきをもらった。セミナーを主催する大変さを学び、今後、イベントやセミナーを主催する際に非常に役立つと思う。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。個人的なことは政治的なこと。
日々感じる言語化できないモヤモヤを大切にしてほしい。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。小さくてもいいので、継続的に意見を交換する場を開きたい。

いかがでしたでしょうか?
また今後も積極的に若者発信のセミナーを開催していきたいと思っています。
引き続き、ジェンダーイコールの活動を応援していただけると幸いです。
ありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子

代表田渕がめざまし8…

引用元:FNNプライムオンライン

フジテレビ朝の情報番組「めざまし8」に、NPO法人ジェンダーイコール代表理事の田渕が出演させていただきました!
テーマは「家事格差」
若手歌舞伎俳優の尾上右近さんが「家事格差」の原因となる“名もなき家事”の調査隊となり、田渕の自宅でクイズにチャレンジ。あらかじめ潜ませた5つの「名もなき家事」を探していただきました。

5つの「名もなき家事」

引用元:FNNプライムオンライン

上記5つの家事をあっという間に見つけた右近さん。
歌舞伎の家柄に生まれて、現在ご実家暮らし。お母様が専業主婦で家事はほとんどされたことが無いそうです。
田渕が「家柄が家柄ですし、今後も家事を意識しなくても良いのでは?」とたずねたところ、右近さんは「親の世代まではそれでも良かったかもしれないけど、自分たちの世代は「家事できない」は誰にも相手にされないと思う。意識を変える必要がある。」と回答されました。素晴らしいですね!

家事は「自分ごと」として捉える

放送ではカットされてしまいましたが、右近さんと家事について色々と話しました。
家事は「家」の「事」と書くとおり自分の住む家の基本的な用事。
本来はお風呂に入ったり服を着替えたりするのと同じく、当たり前に「自分ごと」として捉えるものだと思うんです。自分ごとですから、男がやるものとか女がやるものとか決める話ではないと思っています。これは子どもの頃からの教育が重要ですね。

そして、人それぞれに服のセンスが異なるように、家事のやり方も人それぞれです。
同棲や結婚をするということは、価値観の違う他人と暮らすことです。相手のやり方を否定して自分のやり方を押し付けたり、相手に任せっきりにするような意識で良い関係が築けるとは思えません。
逆にお互いで相手を尊重しあい、相手を思いやる行動ができれば、素敵なパートナーシップを持てるでしょう。離婚率も減ると思います。
・・・といった会話をしていました。

スタジオでは“名もなき家事”チェック

スタジオでは、コメンテーターの橋下徹さんと司会の谷原章介さんが“名もなき家事”チェックにチャレンジ!

“名もなき家事”チェックリスト(監修:田渕)
①ベットを整える
②電気を消す
③トイレットペーパー・ハンドソープの補充
④手拭きタオルの交換
⑤お風呂の排水溝のゴミ・髪の毛の除去
⑥お茶を作り置きする
⑦ペットボトルのラベルをはがし捨てる
⑧ゴミ箱のゴミを集め、新しいゴミ袋をセット
⑨キッチンの水気を拭く
⑩裏返しの洗濯物を整える
⑪子どもの食べこぼし掃除
⑫子どもをパジャマに着替えさせる
⑬子どもの爪を切る
⑭子どもの持ち物の記名
⑮宿題や連絡帳のチェック
⑯消毒液の補充
⑰子どもの体温を測る
⑱子どものマスクの準備
⑲身の回り品の消毒
⑳自転車・車のメンテナンス(自転車の空気入れ、車のガソリン補給など)

さて、チェックリストの結果は???
橋下徹さん:②⑤⑦⑮⑳(20項目中5項目)
谷原章介さん:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑪⑫⑯⑲⑳(20項目中14項目)

ちなみに橋下さんのお子さんは7人、谷原さんのお子さんは6人だそうです。
チェックリストの結果は良い悪いではなく、「名もなき家事に気づくこと」や「パートナーに負担をかけていないか?」を考えるきっかけになれば良いと思っています。

家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」

こちらは、当団体が開発した家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」です。
最後にスタジオで紹介してもらう予定でしたが生放送で尺が足りなくなったようで実現できず・・・
という訳で、こちらで改めてご紹介させていただきます!

HowToハッピーシェアボード

ハッピーシェアボードは、家庭内タスクの「見える化」ツールです。
パートナーと一緒にこのツールを実践することで、「①家事分担のバランス整理」「②名もなき家事の認知」「③やりすぎ家事の見なおし」3つの効果が得られます。

ハッピーシェアボードにチャレンジ!

これまで多数の方にハッピーシェアボードをチャレンジしていただき、毎回ご好評をいただいています。
どんな形でハッピーシェアボードを実践するのでしょうか?
下記、2事例をご紹介させていただきます。

東京都北区議会議員 駒崎美紀氏、NPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹氏ご夫妻

駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

参議院議員 音喜多駿氏、江東区議会議員 三次ゆりか氏ご夫妻

おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

いかがでしたか?ハッピーシェアボードに興味のある方は、こちらからお問合せください。

最後に・・・

放送終了後、TwitterやこちらのYahoo記事に多数のコメントが寄せられていました。視聴者の関心が高さがうかがえます。
日本はジェンダー後進国のレッテルを貼られて久しいですが、少しずつ国民の意識が高まっているのは間違いないと思います。
さらに意識が高まるよう、引き続きジェンダー啓発に力を入れていきます。

今回、フジテレビさんには大変貴重な経験をさせていただきました。
そして、「家事格差」を取り上げてくださり、本当にありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子

ともに多様性の推進を…

このたび、NPO法人ジェンダーイコールはルルレモンアスレティカジャパン様より、ご寄付をいただきました!

ルルレモンアスレティカ社は、カナダ・バンクーバー発のプレミアムアスレティックウエアブランド「lululemon(ルルレモン)」を提供するグループ企業です。

世界に600店舗以上を展開。日本でも六本木ヒルズ、GINZA SIXや、シックス原宿テラス、ルクア大阪などに店舗があり、ヨガファンであればご存知の方も多いと思います。

lululemon「Tokyo Ginza Six店」

同社は、「インクルージョン、多様性、公正、アクション」のコミットメントを掲げ、さまざまな社会貢献活動に取り組まれています。

一過性でない本物の変化を遂げる約束をします。(ルルレモンジャパンウェブサイト)

• 社会貢献プログラムHere to Be に新たに300万ドルを投入して2020年の年間資金を700万ドルとし、社会的活動、マインドフルネス、一連の運動を通して、心と身体の健康に関する不公平を解消する。追加資金は、アイデンティティや能力によって社会的不平等にさらされている人々の公民権運動や社会的平等に重点を置く組織へ供給する


• 各プラットフォームを活用してコミュニティと交流を図り、多種多様な声をひろめ、コミュニティの行動を支える

このように、理想の社会づくりに向けて強い覚悟とリーダーシップを持たれている素晴らしい企業です。

今回の寄付にあたり、ルルレモン様より下記コメントをいただいております。

gender=様の活動は、男女差別をなくし、平等な社会をこれから実現していくという、これからの社会にとって重要な影響と、変化をもたらすものだと思います。皆様が取り組まれていることは、今まで以上にこの社会で必要とされており、全ての人が本当の意味で幸せを手にできるようにするため、非常に重要な活動です。

先日、ルルレモンアスレティカジャパン社様と、ジェンダーイコール代表理事田渕恵梨子、副代表理事の篠原くるみ、加藤充一でZoomによる顔合わせ会を行いました。

我々NPO法人ジェンダーイコールは「ジェンダーギャップのない社会」を目指して活動しています。

今回の寄付で活動の幅を広げさせていただくと共に、せっかくのご縁で知り合えたルルレモン社様に対しても、コラボセミナーや企業研修の提案なども積極的に行わせていただきたいと思います。

ルルレモン社のみなさま、この度は当団体に素晴らしい機会をいただき、本当にありがとうございます。

ジェンダーイコールは皆さまからのご支援をもとに、これからも「日本のジェンダー問題」を解決し続けていきます。

> ジェンダーイコールを寄付で応援する

「性差(ジェンダー)…

えりこ
あけましておめでとうございます。今年もジェンダーギャップ解消に向けた活動に邁進します。本年もよろしくお願いいたします!
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館にて、2020年10月6日-12月6日の会期で開催された「性差(ジェンダー)の日本史」展レポート。
前編中編に続き、今回はいよいよラストの後編です!「近世・近代」について学んだことをシェアします。

職業のジェンダー

近世には、商家や武家屋敷に奉公するにしても、最低限読み書きの能力を求められることが多かったそうです。江戸後期には、男女問わず手習い塾(寺子屋)に通う子どもの多い地域もありました。
という事で、教育は比較的ジェンダー平等だったようですが、職業はどうでしょうか?
近世後期は中世に引き続き、多種多様な「職人」の姿を描くという趣向が好まれたものの、中世とは異なり、「職人」は男性を指すという傾向が強まったそうです。
103種の「職人」を描いた図鑑「近世職人尽絵師(きんせいしょくにんづくしえことば)」はほとんどが男性で、女性は遊女、夜鷹、町芸者、岡場所の売女など、性的な要素の強い職種と、巫女、夫婦者(豆腐屋と鰻屋)のみで、手工業に携わる女性は皆無だそうです。
上記で「夜鷹(よたか)」という職業名が出ましたが、これは遊郭などで稼げなくなり、仕方なしに路上や川べりで客を捕まえてそば一杯の値段で身売りしていた遊女のことです。これは果たして職業なんでしょうか?おそらく夜鷹になりたくてなった人などいないはずです。
それを職人リストのような所に並べられるなんて、当人たちにとってはこの上ない屈辱だったろうと思います。(本当に近世職人尽絵師に夜鷹が紹介されているかは定かではありません)


話を戻します。
近世社会では、同じ職業に携わる者の集団が、身分集団として公的・政治的役割を負い、それぞれの集団は、通常、男性家長を中心とする小経営の家を単位として成り立っていたそうです。職人の集団もそのひとつであり、“職人といえば男性”という通念は、このような社会のなかで生まれたようです。


女髪結

ここで「女髪結」の話が興味深かったのでご紹介します。
女性がみんな髪を結うようになったのは、江戸時代に入ってからだそうです。それまでは貴族や武士の間でも垂髪(すべらかし)が一般的でした。
長い黒髪を垂らした「垂髪(すべからし)」 出典:ポーラ文化研究所

女性の髪型が垂髪から結髪に変わるにつれ、女髪結が登場するようになりました。多くの女髪結は、櫛などを布に包んで持ち歩き顧客を訪ねて営業したそうです。

しかし、天保改革により、「女は自分で自分の髪を結うべきだ」という理屈から、女髪結が取締りの対象となりました。
一体なぜ取り締まる必要性があったのでしょうか?
調べてみたらこちらに詳しい記事がありました。以下、引用します。

女髪結を禁止は、寛政七年(1795年)10月、老中松平定信が主導する幕府の寛政の改革にて、以下の理由により実施されました。

「以前は女髪結はいなかったし、金を出して髪を結ってもらう女もいなかった。ところが近頃、女髪結があちこちに現れ、遊女や歌舞伎の女形風に髪を結い立て、衣服も華美なものを着て風俗を乱している。とんでもないことだし、そんな娘を持つ両親はなんと心得ているのか。女は万事、分相応の身だしなみをすべきだ。近年は身分軽き者の妻や娘たちまでもが髪を自分で結わないというではないか。そこで女髪結は、今後は一切禁止する。それを生業なりわいとする娘たちは職業を変え、仕立て屋や洗濯などをして生計を立てるように」

質素倹約を改革の主眼としていた幕府は、近年の庶民女性の風俗は華美に流れており、その責任の一端は女髪結にあると判断したのだ。なお、この文面から、当時の女髪結はすでに女性中心の職業だったことがわかる。

改革を主導したこの老中、まるで、「風紀が乱れるからツーブロック禁止!パーマ禁止!茶髪禁止!学生たるものは云々!」とか言ってブラック校則を指導する教師のようですねw

しかし、厳しい取り締まりを繰り返しても一向に女髪結は姿を消さなかったそうです。
ではその後、どうなったのでしょうか?

さて、このような摘発をおこなったにもかかわらず、一向に女髪結は姿を消さなかった。江戸の町奉行所は、嘉永六年(1853)五月三日、町の名主たちに「女髪結之儀ニ付御教諭」という通達を発した。そこには次のようなことが記されている。

「かつて女髪結は厳禁されていたが、密かに調べたところ千四百人あまりもいることがわかった。そのままにしておけないのですぐに捕まえるべきだが、このたびは特別な計らいで吟味の沙汰にはおよばない。
中略
いかがであろうか。天保の改革の十年前と比べて、規制が驚くほど甘くなっている。それはそうだろう。だって千四百人も女髪結がいるのだから。つまり幕府の禁令も美しい髪型をして町を練り歩きたいという女性の願いにはわなかったのである。

女髪結いの摘発はいたちごっこだったようですね。しかし、よく女髪結が1400人もいることを調べ上げましたよね。すごい捜査力!あっぱれ!そして暇人w

「美しい髪型をしたい」という欲求は、次第に文化として定着しました。一度文化が定着すれば、いくら国が取り締まろうにもそう容易く根絶やしにできるものではありません。「欲求」というエネルギーは強大です。


さて話が変わりますが、本展示会では、「性の売買」についても詳しく紹介されていました。ジェンダーを考えるにあたり、非常に重要なキーワードです。
ぜひご紹介したいところですが、ものすごく長くなりそうなので別に機会に改めます。

明治国家とジェンダー

江戸時代、江戸城や大名屋敷など政治空間では、「表と奥」、「公と私」という区分のもとで、女性が奥に閉じ込められた時代と考えられてきました。ところが近年の研究によって、正妻や奥女中が果たす政治的権能の実態が解明されてきています。
しかし、明治期に入り、女性たちが発揮してきた政治的権能は否定され、女性は政治空間から排除されました。
明治国家は、政府と天皇の「家」の分離を原則としていた。これによって、女性は政治空間から排除されてゆくことになった。皇位継承については、当初は政府内にも女帝を容認する意見もあったが、法務官僚井上毅がこれに強く反対した。こうして、1889(明治22)年に制定された皇室典範と大日本帝国憲法は、男系・男性による皇位継承を明記した。この時期に整備された選挙制度や地方制度においても、女性の政治参加は否定されていた。
これを読んで「腹立たしい差別だ」と思う方がいるかもしれませんが、個人的には時代背景を考えると自然な流れのように思います。 約260年という長きに渡る天下泰平の世をもたらした江戸時代。これにより誰もが平和ボケし、幕府は弱体化の一途をたどりました。
そこで、迫りくる外国の脅威に危機を感じた一部の志士たちが立ち上がり、封建社会をぶっ潰して近代化改革を実現したのが明治維新です。

この一連の流れは女性の陰なる支えがあったにせよ、やはり功労者は男性の志士たちだと思わざるを得ません。

彼らは死にものぐるいで新しい国をつくりましたし、「自分たちがつくり上げた」という自負もあったと思います。

そこに「ジェンダー平等」という思想を取り込む余裕なんて全く無かったと思うのです。

私は良し悪しではなく、それが歴史である以上、感情に左右されず、時代を作ってくれた人々に感謝の気持ちを持つことが大事だと思っています。

ともかく、女性は政治空間から排除されました。そして今の時代につながる「男性主導の社会」が生まれました

近代の政治空間とジェンダー

それまでの近世において、「性差」は、政治空間や「家」の継承・運営に関わる女性を排除する絶対的な区分ではありませんでした。
男系であれば女性は天皇位につくことができました。
「家」の継承や運営をめぐって女性たちは「奥」での役割を担いました。
夫婦は別姓で、妻は生家の氏を名乗りました。

法律婚によって妻に夫の氏を名乗ることを決めたのは明治民法の規定が初めてです

明治における新しい政治システムは、性差に絶対的な意味をもたせ、女性を排除しました。

政治参加を男性に限定した「衆議院議員選挙法」(1889年明治22年)、女性の加入・政談集会発起の禁止を明記した翌年の「集会及政社法」、これを継承した「治安警察法」(1900年明治33年)は明確な「女性」の排除規定を備えました。

6世紀末に即位した推古天皇をはじめ、飛鳥、奈良、江戸時代において、計10代8人の女性天皇が誕生しましたが、明治時代に制定された旧皇室典範にて皇位継承者を「男系男子」に限ると定め、現行の皇室典範にも同様の規定が引き継がれました。

さらに明治民法の施行(1898明治31年)は女性を法の制度によって公的政治空間の対象外とし、労働をめぐっては性別役割という構造的な不平等のもとに置きました。

高等文官試験や代言人試験など、試験制度によるキャリア獲得競争において女性は参入資格を持ちませんでした。(女性初の弁護士誕生は昭和期)

近代の職業とジェンダー

近代国家は教育資格と職業をつなぐ制度設計から女性を排除しました。

新たな教育制度は職業獲得への期待を高めましたが、女子の高等女学校は男子中学校と同等の中等教育にとどまり、帝国大学を始め、多くの高等教育は原則として女性に解放されませんでした。
その一方で、現実社会の農業労働の場では、女性や子どもも重要な稼ぎ手でした。

大正期以降は都市部で「職業婦人」として電話交換手や女子計算員など技術職が注目されましたが、女性の雇用増加はジェンダーによる職務の固定のもとにありました。

また、明治期には官吏の試験制度が整備されましたが、受験資格は男性に限られました。とはいえ、戦前の官庁にも「非正規雇用の位置づけ」としての女性はいたそうです。特に逓信省は電話交換手や、郵便貯金の計算事務に多くの女性を雇用しました。一部は下級の官吏である判任官に登用されましたが、男性と比べて昇進には限界がありました。


工場労働とジェンダー

工場法施行後、大手工場ではある程度は福利施設が普及し、女工の待遇は改善へと向かったようです。従業員への日用品廉価販売も行われ、その中には月経帯(生理用品)もありました。

女工にとっては格安購入のメリットがある一方で、工場側にとっては、月経時の女工の労働能率を維持するという課題の解決策であった。これを工場側の提供した福利増進の一環とみなすのか、はたまた身体管理の強化とみなすのかについては、両面の評価がありうるだろう。
上記引用は、展示会にあった説明文ですが、少し含みがあり、個人的には違和感を覚えました。

企業として雇用者の労働能率の維持または向上を意識するのは当然のことだと思います。生理用品の廉価販売が身体管理の強化の意図を含むのは経営戦略であり、何ら問題は無いのではないかと個人的には思います。

コンピューターとジェンダー

第二次世界大戦の前後、軍事関係業務のため導入されたコンピューター(計算手)の多くは女性だったそうです。
彼女たちのほとんどは、専門的な教育を受けていませんでしたが、複雑な計算労働が単純化され、多くの女性が働く職場となっていきました。

戦後になると、オペレーターやキーパンチャーが女性の仕事の花形となっていく一方、プログラマーやシステムエンジニアは男性的職業とみなされるようになったそうです。

1969(昭和44)年に新設された情報処理技術者認定試験は男女問わず受験することができました。しかし、24時間稼働するコンピューターに合わせて働く労働環境と家事・育児は女性にというジェンダーバイアスが相俟って男性性が強まったそうです。

私自身、10年近くシステムエンジニアとして働いていた過去がありますが、思い返すと確かに圧倒的に男性が多かったです。
当時は子育てしていなかったので特に意識しませんでしたが、妊娠をきっかけにこの職から離れたのは、育児の両立が難しいと判断したためです。キャリアチェンジをしたことで今の自分につながっているので後悔はしていませんが、今は当時に比べて格段に環境が整っていますし、システムエンジニアやプログラマーこそ在宅ワークがしやすく、性別に関わらず仕事と育児を両立させられる職種ではないでしょうか。
セキュリティがどうとか勤務時間がどうとか反論もあるでしょうが、すべては企業の覚悟とやり方次第だと思います。

まとめ

さて、今回は思いのほか長くなってしまいました。

やはり現代に近づくと思いが強くなり、書きたいことが増えるものですね。

これまで見てきたように、現在の日本におけるジェンダーは明治時代に確立したと言っても過言ではありません。

明治は初めて日本人が日本人としての自覚をもち、諸外国と肩を並べる国づくりを目指した時代です。

日清・日露戦争では、せっかく自分たちの手で作り上げたばかりの新日本を属国にする訳にはいかないという意地と意気込みがあったからこそ、国民が力を合わせて必死に戦って勝利を掴むことができました。

当時の戦争は、今のようにボタン1つで相手を攻撃できるような技術は無く、すべて肉弾戦です。
男性でなければ戦えませんでした。一方で女性は家を守りました。
こういった性別役割分担が功を奏したからこそ日本は繁栄し、今のわたしたちがあると思うのです。

しかし時代は変わり、現代の日本のおいては旧来の性別役割分担が不要になりました。

性別に関わらず誰もが自分のやりたいことにチャレンジできる社会が到来
しています。

私たちの「あたりまえ」は時代と共に変化します。
人間とはどんどん変化する生き物です。

その変化に対応できない人たちは、歴史が何度も繰り返しているように淘汰されるでしょう。

昔は性別役割分担が必要だった。しかし今は不要になった。ただそれだけの話です。

「引き継ぐべきものと捨てるべきもの」。視野を広げ、時代の変化を敏感に察知して、取捨選択をする。

いつの時代も、この価値観が生き残るためのキーワードだと思います。

ありがとうございました!

「性差(ジェンダー)…

えりこ
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館にて、2020年10月6日-12月6日の会期で開催された「性差(ジェンダー)の日本史」展に行ってきました。
会場は撮影NGのため、画像を共有することはできませんが、テキストで概要をお伝えできればと思います。
今回は中編です。 前編はこちら



中世:政治空間と女性

平安時代以降、朝廷の政務の場は男性のものとなりました。

行事の際には多くの女房(上級女性官人)が随行したものの、女房たちの居場所は「御簾(みす)の内側」であり、女性は政治空間において「見えない」存在だったそうです。

 

律令官僚制は女性を政治・行政から排除するものであった。
女性官人は「後宮十二司(こうきゅうじゅうにし)」と呼ばれる内廷官司に編成され、官位を得て朝廷で働く道は残されたものの、平安時代の10世紀中頃までに後宮十二司は解体されて、天皇に近侍する上級女性官人(女房)と、それぞれ特定の業務にあたる下級女性官人(女官)とに再編された。
上級女性官人は、官位は有しているものの、天皇との「直接的人格的主従関係」を色濃く帯びた存在だったそうです。私は「お付き人」と解釈しました。

下級女性官人は、殿司(でんし/灯火の管理など)、掃司(そうし/格子の上げ下げなど)、闈司(いし/取り次ぎなど)、采女(うねめ/天皇食膳の運搬)、女嬬(雑用)といった奉仕に従事していたそうです。私は「お手伝いさん」と解釈しました。

要は、女性も官位はあるものの直接的な政治・行政からは排除されたということです。



貴族社会における「女の幸せ」

一条天皇の皇后藤原定子(ふじわらのていし)に仕えた女房清少納言が、摂関時代の貴族社会における「女の幸せ」観を述べた文章が残っているので、その現代文の解説を紹介します。



官位の高さが何にも勝る価値基準となるのは宮廷社会の基本的通年であるとして、男は官位があがっていくにつれて社会的に重んじられもするのに対して、女が高い官職・位階に就けるのは典侍や三位に叙される天皇の乳母くらいのもの。したがって官位を得ることなど目指さず、受領(諸国の長官、莫大な蓄財が可能だった)の奥方になって夫と任国に赴き、裕福に暮らすことが並の家柄の女にとって最上の幸せとされているが、それより玉の輿に乗って生んだ姫君が皇后になるのが最高というべきだ。
いかがでしょうか?要は

女は仕事で上を目指すのではなく、高収入の男と結婚して夫の赴任先に帯同し、将来的に娘が玉の輿の乗ってくれたら最高だよね

と言っているのです。

ひと昔前、バブル時代に女性が結婚相手の条件として、高収入・高学歴・高身長の「三高」を求め、夫の海外赴任に帯同して駐在妻になることが「女の幸せ」と言われていた頃となんら変わらないように思います。

ジェンダー格差是正の活動をしている私にとって、このジェンダー感が1000年以上続いていたのかと思うと絶句です。



中世の家と宗教

次に、「中世の家と宗教」について見ていきましょう。
律令官僚制が確立してからは、身分や階層を越えて、父系的な「家」が形成されていきました。



中世には、身分や階層を越えて、父系的な「家」が形成された。夫婦の関係や妻の役割が重視される中で、夫を亡くした後家はその菩提を弔いつつ、子どもたちを指揮する権限を持ち、家の代表者として社会的に認められる。他方、次第に制限されながらも、中世の女性には財産の所有・管理が認められていた。

 

この頃は、女性にも財産権がありましたが、鎌倉後期には「所領の分散化を防ぐ」といった目的で、嫡子単独相続が広がるなど、武家における女性の地位は次第に変化していったそうです。



仏教会にみる女性差別観の受容と深化

仏教には元来、

女性差別的要素が含まれていたそうです。

中世の旧仏教諸宗、及び新たにひらかれた諸宗においても、女性は五障三従(ごしょうさんじゅう)の罪を負うという「女人罪業観(にょにんざいごうかん)」が広く共有されていった。
仏教経典のひとつ「法華経」(提婆達多品(だいばだったぼん))にみえる龍女成仏の物語には、女性は梵天王(梵天王)、帝釈(たいしゃく)、魔王(まおう)、転輪聖王(てんりんじょうおう)、仏身の5つにはなれない「五障」の身であるとの説に対し、八歳の龍王の娘がたちまち「変成男子(へんじょうなんし)」して、成仏したとある。

 

ひどい女性差別でびっくりしますが、救いは曹洞宗の祖師道元のように、きっぱりと男女の罪業の差異、女人結界(女性が聖域に入ることを禁じる)を批判した宗教者もいたことです。

しかしながら、後の時代になると、いずれの教団も伝道に際し、

女性を救われがたい劣った存在

とみなす差別的思想を背景に、変成男子説や女人往生・成仏論(女性は往生成仏できないという考え)を盛んに持ち出し、女人救済を唱えたそうです。

 

平安時代になると、社会が男性中心となり、家父長的な家が貴族階層で成立するにともない女性差別観が立ち現れ、中世にかけて、女性は男性より罪深いという女人罪業感が広まった。

 

また、中世後期には、

出産や月経によって流れる血が、女性の堕地獄の原因

と考えられるようになり、戦国期を経て江戸時代には、血の池地獄からの救済を眼目とする「血盆経(けつぼんきょう)」に対する信仰が広まったそうです。
生命を誕生させるために機能している「月経」がこんな邪悪な扱いをされるなんて・・・

もしタイムマシンがあれば、医師や専門家にこの時代に行ってもらって、「生理にしくみ」についてプレゼンしていただきたいものです。

こちらは絵巻「病草紙」で有名な肥満の女(部分)です。
高利貸しで成功を収め富者となった「女」が美食を貪ったために、支えがなければ歩けないほどの肥満(=病気)となっている様が描かれています。



そばに授乳する健康的な身体の「母」の姿を対照的に描くことによって、「女」に割り振られた社会的役割の逸脱を暗示する。

 

仏教における女性差別は、女性の身体に向けられるまなざしや描かれ方にも影響を及ぼしています。



女性の身体は、その仕草、髪型や乳房の形状、着衣の有無や種類、着こなしなどによって表現されてきた。女性表象は、一面において彼女たちの労働を含む日々の暮らしの実態を伝える。だが他方で、女性を劣ったものとみなし、恐れる男性の意識によって作りだされ、差別を強化した側面があったことは見逃せない。

 


ジェンダー区分について、前編の「古代」ではあからさまな違いは見られなかったものの、今回の「中世」では、政治や宗教による女性差別によって確立されていく様子がわかりました。

興味深いのは女性特有の「月経」を女性差別の標的にしている点です。「出産や月経によって流れる血が、女性の堕地獄の原因と考えられるようになった」とありましたが、もしかしたら無知ではなく、確信犯だったかもしれません。もはや今となってはどちらでも良いですが、問題は1000年以上の時を経て、いまだに日本では政治・経済におけるジェンダー格差が存在しているということです。
この歴史を繰り返さないためにも、やはり今こそ偏見を無くし、ジェンダー格差の無い社会の実現が必要だと感じました。



今回はここまで

次回は後編として、「近世・近代」について学んだことをシェアしたいと思います。お楽しみに!

「性差(ジェンダー)…

えりこ
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館にて、2020年10月6日-12月6日の会期で開催された「性差(ジェンダー)の日本史」展に行ってきました。
会場は撮影NGのため、画像を共有することはできませんが、テキストで概要をお伝えできればと思います。
今回は前編です。

古代から近代まで全7章の展示

会場は以下のような章立てで展示されていました。
第1章 古代社会の男女
第2章 中世の政治と男女
第3章 中世の家と宗教
第4章 仕事とくらしのジェンダー ー中世から近世へー
第5章 分離から排除へ ー近世・近代の政治空間とジェンダーの変容ー
第6章 性の売買と社会
第7章 仕事とくらしのジェンダー ー近代から現代へー

古代社会:卑弥呼の時代はジェンダー格差がなかった!?

日本の歴史で女性リーダーといえば邪馬台国を統治した「卑弥呼(ひみこ)」を思い浮かべる方が多いと思います。当時のジェンダー感はどのようなものだったのでしょうか?

 

魏志倭人伝は、倭の政治集会「会同」に男女が参加したと記す。
小国の首長たちが男王をたててうまくいかなかったので、次には卑弥呼を「共立」して王にした。考古学の成果によると、この頃から古墳時代にかけて、男女の首長が各地にいたらしい。
男女の政治参加があたりまえの社会で、男女の首長が卑弥呼を王に選んだ。
6世紀半ばから8世紀半ばの皇位継承は女性が多い。

展示パネルにはこのように書かれていました。

 

邪馬台国時代には、男女の性別役割の観点があまりなく、首長は男女に関わらず適任者が選ばれていたようですね。

古墳時代:前期までは女性の首長が多く存在したものの中期以降は女性の地位が大きく変化

前方後円墳の時代は、女性首長が数多く存在したそうです。実際のところ弥生時代の後期(一世紀後半)から古墳時代前期(四世紀)にかけて、女性首長と考えられる人物は一般的に存在したとのこと。

 

しかし、古墳時代中期になると女性の地位が大きく変化し、前期とは異なり女性首長の割合が急速に減少したようです。

 

韓半島をめぐる軍事的緊張が背景にあり、武器・武具の副葬が重視されようになる。女性首長は軍事的緊張により姿を消していったと考えられる。しかし、中期以降においても中小規模の古墳には女性首長の埋葬は引き続き認められる。

これはジェンダーの歴史において見逃せない変化ですね。

 

軍事的緊張のきっかけにより、男女の分業化が進んだのです。

 

律令期:ジェンダー区分の確立

律令国家が成立すると、衣料生産において重層的な男女の分業化が進んだそうです。

 

律令国家が成立すると、衣料生産において重層的な男女の分業化が進む。高級な絹織物の織成に男性が従事する一方、平織りの絹や麻布も、成人男性が負担する税として国家に納めることが義務づけられていたが、実際に織ったのは、生活のなかで腰機の技術を保持していた女性たちであった。

7世紀末以前の系譜は男女を明確に区分していなかった

とはいえ、7世紀末以前の系譜は、のちの戸籍のように男女を明確に区分する父系系譜の異なる独特の様式で書かれていたそうです。

 

「娶いて生む子/児(みあいてうむこ)」という定形句で、父と母を相称的に記載する。天皇の系譜も男女の判別がない「王」号で記されていた。
その基盤には、父方母方双方の一族と関係を重視する、当時の親族関係のしくみがあった。

展示パネルに

「社会の全成員を男と女に二分し、異なる役割を定める制度は、歴史の所産にほかならない。」

と書かれてあったのが印象的でした。

 

今回はここまで

次回は中編として、「中世」について学んだことをシェアしたいと思います。お楽しみに!
中編はこちら