【企業研修レポート】…

2023年5月1日と8月2日の2回にわたり、首都圏に129店舗の美容室を展開されている株式会社アッシュ様の店長会議にて店長研修を実施しました。

本研修では、本社担当者への現状課題のヒアリングを重ねた上で、自分自身の無意識の思考や行動パターン(=マインドセット)を客観的に認知することで「人間力を鍛える」ことをゴールに設定しました。

ジェンダーの研修ではなくイレギュラーな案件ですが、NLPプロフェッショナルコーチの資格をもつ当団体の代表理事 田渕恵梨子が得意とする分野であることから、研修講師を務めさせていただきました。

実施概要

第1回

研修名自分と向き合う
– 自分の特徴を知り客観的に自分の行動を見つめる-
日時2023年5月1日(月)11:00-12:30(90分)
実施方法対面(横浜市技能文化会館にて実施)
対象美容室アッシュグループの店長約100名

第2回

研修名コミュニケーションの本質を学ぶ
– コミュニケーションの本質を理解し、良質な人間関係を構築できるスキルを身につける-
日時2023年8月2日(水)11:00-12:30(90分)
実施方法対面(横浜関内ホールにて実施)
対象美容室アッシュグループの店長約100名

株式会社アッシュについて

会社概要

会社名:株式会社アッシュ

企業概要:「高級ヘアサロンの技術をリーズナブルに。」をテーマに、首都圏に129店舗を展開するヘアメイクサロングループ。

公式サイト:https://ash-hair.com/

研修講師

田渕 恵梨子(Eriko Tabuchi)
NPO法人ジェンダーイコール代表理事 / 株式会社ワークラボ 代表取締役
NLPプロフェッショナルコーチ / 宅地建物取引士 / ウェブ解析士 / Webディレクター / システムエンジニア

東京都北区在住。仕事と育児の両立をきっかけに、日本のジェンダーギャップに危機感を覚える。ジェンダーギャップをなくし、性別に関わらず誰もがキャリア形成・家事・育児をあたりまえに「自分ごと」として捉える社会をつくりたい。その強い思いから、同じ価値観をもつ複数の仲間と共にNPO法人ジェンダーイコールを設立。

研修アジェンダ

1回目テーマ「自分と向き合う」
– 自分の特徴を知り客観的に自分の行動を見つめる –

Step1.自分の内面にいる「機械的な反応」を見つける

  • 「機械的な反応」とは?
  • ワーク①ケーススタディで自分の内面の反応を客観的に見てみよう
  • ワーク②隣の人との実践ワーク

Step2.事実と解釈の違いを理解する

  • ケーススタディの紹介
  • 事実と解釈を混同させない話し方のテクニック

次回に向けて

  • 人との信頼関係を深めるテクニック
  • 宿題の説明

2回目

Step1.コミュニケーションの基本を知ろう!

  • 良質なコミュニケーションを目指すための「3つ」の大前提
    ①相手に関心をもつ/②相手の気持ちを想像する/③相手と一体感を作る
  • 無知の知とは?
  • 同感と共感の違いとは?
  • 同感と共感の比較ワーク

Step2.「聴く(傾聴)」を学ぼう!

  • 傾聴3つのテクニック
    ①アイコンタクト/②うなずき/③あいづち
  • 傾聴の比較ワーク

Step3.「聴く(傾聴)」のプロフェッショナルになろう!

  • ラポール3つのテクニック
    ①ミラーリング /②マッチング/③バックトラッキング
  • ラポール実践ワーク

最後に・・・

  • 美容室トリビア

参加者の声

  • 自分を振り返るいい機会になりました。
  • 自分が普段思っている事をどういう言い回しで伝えてるかを確認できた。
  • 人とコミニュケーションとるのが苦手なので利用したい。スタッフやお客様への向き合い方の勉強にとてもなりました しっかり振り返り実践します。

    ほか、たくさんのコメントをいただきました。

改めまして、この度はアッシュ様に素晴らしい機会をいただけたことに感謝いたします。
今回の研修が、アッシュ様の今後のご発展に少しでも貢献できていることを願います。


ジェンダーイコールと一緒に、社内研修を実施しませんか?

こちらよりお問い合わせをお待ちしております。

見落としがちな「教育…

昨日、2023年6月21日にジェンダーギャップ指数2023が公表されました。
本記事では、「ジェンダーギャップ指数とは?」という基礎知識やジェンダーギャップ指数の評価方法から実際の評価までご紹介。
さらに見落としがちな「教育分野」の盲点についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

ジェンダーギャップ指数とは?

「ジェンダーギャップ指数」とは、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が、男女間の格差を経済・教育・健康・政治の4分野の指標を用いて測定し、毎年公表している男女格差を測る指標です。賃金格差や政治への参加など、複数の観点から男女格差を図ることで、各国が男女格差を把握し改善することを目的として、2006年から毎年公表されています。

これまでの日本の順位

ジェンダーギャップ指数は2006年以来17回公表されてきました。
では、日本はどのような順位を辿ってきたのかを見ていきましょう。

タイトル日本の順位参加国数
200679位115カ国
200791位128カ国
200898位130カ国
2009101位134カ国
201094位134カ国
201198位135カ国
2012101位135カ国
2013105位136カ国
2014104位142カ国
2015101位145カ国
2016111位144カ国
2017114位144カ国
2018110位149カ国
2020121位153カ国
2021120位156カ国
2022116位146カ国
2023125位146カ国

このデータを見ると、年々順位が下がっていることがわかります。
毎年参加国数が変わっているので、一概に順位だけで評価することは難しいですが、常に低い順位であることがわかります。

トップ10の国

次に、トップ10位の国を見ていきましょう。

順位エリア
1位アイスランドヨーロッパ
2位ノルウェーヨーロッパ
3位フィンランドヨーロッパ
4位ニュージーランドオセアニア
5位スウェーデンヨーロッパ
6位ドイツヨーロッパ
7位ニカラグアアメリカ
8位ナミビアアフリカ
9位リトアニアヨーロッパ
10位ベルギーヨーロッパ

ヨーロッパエリアのランクインが多く、アジアが1国も入っていません。
ちなみに近年は、アフリアエリアの上位ランクインが目立ってきています。

ジェンダーギャップ指数の評価方法

ジェンダーギャップ指数は、健康・教育・経済・政治の4分野14項目を「女性÷男性」で計算してスコア(指数)を算出します。「0」が完全不平等、「1」が完全平等となり、「1」に近いほどジェンダー平等として評価されます。

日本の各分野の順位は?

次に日本の分野ごとの順位を見てみましょう。

健康59位、教育47位、経済121位、政治138位となっています。
健康と教育に対して、経済と政治のランキングが非常に低いことがわかります。

1位アイスランドとのスコア比較

ここで、1位アイスランドと日本を比較してみましょう。

アイスランドはきれいな四角を描いていますが、日本は政治分野のランクが異様に低いことが原因で、いびつな三角形を描いていることがわかります。

見落としがちな「教育分野」の盲点

上記の図を見ると、健康と教育は日本とアイスランドはほぼ同じスコアのように見えます。日本は、健康と教育においては問題ないということでしょうか?
教育分野の評価基準となる小項目を見ていきましょう。

「教育分野」は4つの小項目で評価

教育分野では下記4つの小項目によって評価されます。

  1. 識字率(文字の理解・読み書きができる人の割合)
  2. 基礎教育在学率(小学校)
  3. 中等教育在学率(中学・高校)
  4. 高等教育在学率(大学・大学院)

教育分野単体ではアイスランドより日本の方が上位

教育分野単体のランキングを見ると、総合ランキング125位の日本は47位で、総合1位のアイスランドは68位でした。アイスランドが日本より低いなんて意外だと思いませんか?詳しく見ていきましょう。

上記は、教育分野4項目のスコアを日本とアイスランドで比較したグラフです。
これを見ると、識字率は日本もアイスランドも完全平等。しかし、基礎教育在学率(小学校)と中等教育在学率(中学・高校)では、日本の完全平等に対してアイスランドは低いスコアになっています。逆に、高等教育在学率(大学・大学院)では、アイスランドの完全平等に対して、日本は低いスコアになっています。

真実が隠れやすい評価方法

筆者が気になる点として、小学校〜高校までの在学率と大学・大学院の在学率を同じ評価基準にして良いのか?という疑問です。
一般的に、経済が成長している国や地域では、大学への進学率が高い傾向にあると言われています。そして、大学・大学院卒が中卒・高卒に比べて所得が高いことは周知の事実です。
単純に考えると、大学・大学院の在学率のジェンダー格差は経済・政治分野におけるジェンダー格差に影響をもたらすと容易に想定できます。
しかし、4項目をまるっとまとめて評価することで、日本の教育分野のスコアが相対的に高くなってしまい、教育まではジェンダー平等にも関わらず、なぜか経済・政治分野だけ圧倒的な低順位になるというおかしな誤解を与えてしまうのではないでしょうか。

主要先進国(G7)の教育分野のスコア

参考までに、主要先進国(G7)の教育分野のスコアを掲載します。

総合順位教育分野
順位
識字率基礎教育
在学率
中等教育
在学率
高等教育
在学率
カナダ30位1位1.0001.0001.000
フランス40位1位1.0001.0001.0001.000
ドイツ6位82位1.0001.0000.9541.000
イタリア79位60位0.9970.9970.9851.000
イギリス15位34位1.0000.9981.0001.000
アメリカ43位59位1.0000.9990.9791.000
日本125位47位1.0001.0001.0000.976

ご覧のとおり、高等教育在学率は、日本以外はすべて1.000の完全平等ですが、約半数が教育分野で日本よりも低い順位になっています。

在学率だけではジェンダー格差を測れない

そもそも論として「在学率だけでジェンダーギャップは測れないのでは?」という懸念もあります。
画一的な教育手法や教師のジェンダーバイアス(性別に対する偏見)が、生徒の学びにどう影響するかはまだまだ研究途中で結論が出ていないはずです。

ジェンダーギャップ指数はあくまでも目安

まとめると、ジェンダーギャップ指数は必ずしも正しいジェンダーギャップの状況を表していないということです。公表されているデータはあくまでも1つの参考として捉えましょう。

健康・経済・政治分野のスコア

ここまで、教育分野の話ばかりしてしまいましたが、その他の健康・経済・政治分野のスコアについても日本とアイスランドの比較グラフでご紹介します。

健康分野

健康分野では下記2つの小項目によって評価されます。

  1. 新生児の比率
  2. 健康寿命の比率

健康寿命の比率のスコアが1.000を超えていますが、これは逆格差を表しています。すなわち、女性の方が健康寿命が長いということです。

経済分野

経済分野では下記5つの小項目によって評価されます。

  1. 労働参加率
  2. 同じ仕事の賃金の同等性
  3. 所得の推計値
  4. 管理職に占める比率
  5. 専門職に占める比率

経済分野では、今回「専門職に占める比率」のデータが「–」となっており、スコアが算出されていません。ちなみに前回も「–」でした。
前々回の2021では、スコアが0.952で、経済分野の順位は「110位」でした。

政治分野

政治分野では下記3つの小項目によって評価されます。

  1. 国会議員に占める比率
  2. 閣僚の比率
  3. 最近50年間の国家元首在任年数の比率

政治分野の「最近50年間の国家元首在任年数の比率」は女性が0人のため、毎年「0.000」の完全不平等のスコアを更新し続けています。

主要先進国(G7)の17年間のスコア推移

最後に、主要先進国(G7)の2006から2023のスコア推移を見てみましょう。

2006
総合順位 / スコア
2023
総合順位 / スコア
ドイツ5位 / 0.7526位 / 0.815
イギリス9位 / 0.73615位 / 0.792
カナダ14位 / 0.71630位 / 0.770
アメリカ23位 / 0.70443位 / 0.748
フランス70位 / 0.65240位 / 0.756↓
イタリア77位 / 0.64679位 / 0.705
日本79位 / 0.645125位 / 0.647↓

2006年時点ではドイツ・イギリス・カナダ・アメリカ4カ国のスコアは0.7台で、フランス・イタリア・日本の3カ国は0.6台でした。そこから17年が経ち、日本以外の6カ国はすべて0.7台に伸び、日本だけが依然として0.6台になっています。

フランス、イタリアはがんばって追い上げたものの、日本は17年間ほぼ横ばいです。

日本の立場を弁解すると、何も対策をしなかった訳ではなく、他の国の対策スピードが速かったと捉えることもできます。

いずれにせよ、2006年時点で日本と同じ位のスコアだった2カ国が17年で追い上げることができた訳ですから、日本もこれから改善の余地はいくらでもあるはずです。

まとめ

いかがでしたか?
ジェンダーギャップ指数が公表されたことにより、改めてジャンダーギャップについて考える良い機会になったのではないでしょうか?

繰り返しますが、ジャンダーギャップ指数は教育分野の評価方法を見てわかるとおり、必ずしも正確な評価ができている訳ではありません。

それでも日本のジェンダーギャップ(男女格差)が深刻であることには変わりありません。課題の対策を考える上での参考情報になりますので、ぜひみんなで有効に活用して、日本のジェンダー平等実現に向けて取り組んでいきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

NPO法人ジェンダーイコール
代表理事 田渕 恵梨子

4人の高校生メンバー…

4人の高校生メンバーが制作したジェンダー平等啓発のショートムービーを一挙公開!

【第1弾】「女らしく」「男らしく」ってなんだろう?

Chapter
00:00 あなたの制服の理想像は?
00:58 「リケジョ」って呼ぶのはやめてください。
02:09 「女性らしい」とは何だろう?

Credit
*Crew
 Story and Directed by NPO Gender Equal member
 Director and Edited by LIFEWgn
 Supported by lululemon
 Produced by NPO Gender Equal
*Cast
 Hana Kano/J's promotion
 Hinari Yamaguchi/J's promotion
 Iori Honda/J's promotion
 Reo Togo/J's promotion
 Catherine

Location
 Taimei Miraikan
 CPMM Musashikoyama

【第2弾】なぜ男女で接し方が変わるのだろう?

Chapter
00:00 なぜ男女で接し方が変わるの?
01:21 男は泣いてはいけないの?

Credit
*Crew
 Story and Directed by NPO Gender Equal member
 Director and Edited by LIFEWgn
 Supported by lululemon
 Produced by NPO Gender Equal
*Cast
 Hana Kano/J's promotion
 Hinari Yamaguchi/J's promotion
 Iori Honda/J's promotion
 Reo Togo/J's promotion
 Kanon Tomii/J's promotion
 Catherine
 Ryuichi Hisamatsu/Production Harmony
 Ran Masaoka

Location
 Taimei Miraikan
 CPMM Musashikoyama

【第3弾】「あたりまえ」って何?

Chapter
00:00 男子なのに日焼け止め塗るとかすご。
00:49 そんなんだからモテないんだよ。
01:14 男子はこの机を運んでおいてくれるかな? 
01:26 身の回りに潜んでいる「ジェンダーバイアス」に気が付いていますか?

Credit
*Crew
 Story and Directed by Miku Sekizaki
 Director and Edited by LIFEWgn
 Supported by lululemon
 Produced by NPO Gender Equal
*Cast
 Hana Kano/J's promotion
 Hinari Yamaguchi/J's promotion
 Iori Honda/J's promotion
 Reo Togo/J's promotion
 Kanon Tomii/J's promotion
 Aona Takahara/J's promotion
 Honoka Inada/J's promotion
 Catherine

Location
 Taimei Miraikan

【第4弾】心のジェンダー

Story
妻の家事分担率が高いにも関わらず、たまに週末だけ夕飯を作っただけで、周囲に褒められる夫。
ある日、夫の夢の中で夫婦が逆転し、自分が妻の立場になる。
そこでいろんな家事を妻がやってくれていたことに気づく。
翌朝目覚めて、妻に感謝の気持ちを伝える。
すると、妻も夫に対して何も手伝わせなかったことを反省する。
これからはお互い協力しあって家事を分担することを分かち合う。
Husband is praised by others even though he only cooks dinner on occasional weekends.
One day, in the husband's dream, the couple is reversed and he finds himself in the wife's position.
That's when I realized that my wife was doing all sorts of household chores for me.
He wakes up the next morning, then he thanks his wife.
The wife reflects on the fact that she did not let her husband help her in any way.
They share to cooperate with each other and share household chores in the future.
_________________________________________________
Chapter
00:00 共働きにも関わらず、妻ばかりが家事をしている日常
00:37 週末、自宅に訪れた妻の両親に料理をふるまう夫
00:45 「つとむさんは家事にも積極的で、いい旦那さんをもらったな」と伝える妻の父
01:31 ある日、妻が寝坊してお弁当づくりが間に合わなかったことで口論になる
02:13 夫が妻と入れ替わってしまう夢を見る
04:14 夫が目覚めて夢だったことに気づいて安堵する
04:32 妻に感謝の気持ちを伝える夫
05:03 妻も夫に対して何も手伝わせなかったことを反省する
05:12 これからはお互い協力しあって家事を分担することを誓い合う 

Credit
*Crew
 Story and Directed by Yuma
 Director and Edited by LIFEWgn
 Supported by lululemon
 Produced by NPO Gender Equal
*Cast
 Ryuichi Hisamatsu/Production Harmony
 Catherine
 Ichiro Miyasaka
 Aya Inagaki

Location
 CPMM Musashikoyama

【第5弾】1人で悩まなくていいんだよ

Story
好きになった同性の友人に告白。
告白された友人は、その場ではとまどいはぐらかしてしまうが、帰宅して色々と考える。
スマホで調べてLTBTQの存在を知り、翌日学校で分かち合う。
世界にはたくさんの性別がある。
みんなに「1人で悩まなくても良いんだよ」というメッセージを伝えたい。
One day, She confesses to a friend of the same sex.
A friend who confesses to you will be put out of her element.
But when I got home, I had a lot to think about.
Look it up on your phone and find out about LTBTQ.
Then, the next day at school, I share it with my friends.
There are many genders in the world.
I want to convey the message to everyone that they don't have to suffer alone.
_______________________________________________
Chapter
00:00 放課後の教室でゆいに告白するあおい
00:58 帰宅後、スマホで調べてLTBTQの存在を知るゆい
01:33 翌日の放課後、ゆいはあおいに昨日の態度を謝罪し、あおいの味方であることを伝えて分かち合う

Credit
*Crew
 Story and Directed by NPO Gender Equal member
 Director and Edited by LIFEWgn
 Supported by lululemon
 Produced by NPO Gender Equal
*Cast
 Hana Kano/J's promotion
 Hinari Yamaguchi/J's promotion

Location
 Taimei Miraikan
 CPMM Musashikoyama

なぜショートムービーを作ったのか?

みなさま、こんにちは。
NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕恵梨子です。
当団体では、これまで日本のジェンダー平等社会の実現に向けて、セミナーや勉強会、ワークショップなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
しかし、私たちの取り組みに共感し、参加してくださる方たちはほんのひと握りです。
日本社会も少しずつジェンダー平等意識が根付いてきているものの、国際社会と比べると、まだまだ遅れを取っています。

どうすれば、もっとたくさんの人に「ジェンダー問題」を身近に感じてもらえるのだろう?

例えば、映画や音楽といったエンターテイメントは、感動したり共感することにより、ほんの少しの時間で多くの気づきを得られます。

「エンタメの力を使って何か発信できないだろうか?」

そう考えて思いついたのがショートムービーでした。

いつの間にか学生メンバーが過半数の団体になった

ジェンダーイコールは、2016年に数人の母親たちで作った団体です。
時を経て、今では男性はもちろん、多種多様なメンバーが集まり、活動しています。

そしてここ1〜2年で学生メンバーが一気に増えました。
いつの間にか、メンバーの過半数が学生や20代の若者の団体になったのです。

今では大学生・高校生のほか、中学生のメンバーまで活躍してくれています。

昨年度、高校生メンバーは6名いました。そのうち高校3年生が3名。
大学受験を抱えながら、ジェンダーイコールでの活動も非常にがんばってくれました。

夏休み企画で高校生メンバーがセミナーを主催

2021年8月の夏休み期間に、ジェンダーイコール高校生メンバー4人が1人ずつ講師になり、全4回に渡ってセミナーを開催しました。(レポートはこちらからご覧いただけます。)
タイムテーブルや自身のプレゼンのスライド作成、そしてゲスト講師の招致から聴講者の集客まで、すべて高校生メンバーたちにやってもらいました。
全員が本当に立派にやり遂げてくれて、その顔は自信に満ちあふれていました。
その時、私ははじめて「やりたいことに年齢制限は関係ない」ことを痛感し、「子どもたちがやりたいと思ったことをなんでもチャレンジさせてあげたい」という思いがこみ上げてきました。
同時に、たくさんのこどもたちがやりたいことにチャレンジし、自信を持った若者がどんどん社会に出ていくことで、ジェンダー問題は自然に解消されると確信しました。
エンパワーメント教育がジェンダー問題解消の糸口になるはずです。

エンパワーメント教育がジェンダー問題解消の糸口になるイメージ

もっと学生メンバーたちをエンパワーメントしたい!

そんな思いから、次にスタートしたプロジェクトが今回のショートムービー制作です。
高校生メンバーとミーティングを行い、それぞれにチャレンジしてみたいことを聞いたところ、4名がショートムービー制作を希望しました。
ほかにも、絵本制作やアニメーション制作を希望するメンバーがいて、現在、すべてのプロジェクトを進行させています。

ショートムービー制作を通じて自信に満ち溢れた表情に変化する学生メンバーたち

今回、動画の撮影と編集などの制作部分はプロにお願いすることにしました。
請け負ってくれたのは、いつも当団体の相談に乗ってくださっている株式会社ライフワゴン(本社:東京都千代田区、代表:石野田 紋 氏)さんです。

制作ディレクターは木村賢太郎さんと佐々木章介さん。お2人ともエンパワーメント教育としてのショートムービー制作であることに共感していただき、懸命に学生メンバーをサポートしてくださいました。
そしてみんなで相談し、学生メンバーには脚本・絵コンテ制作・監督を担当してもらうことになりました。

今回の5本の動画たちは、このような経緯で完成しました。


高校生メンバー4人とも、本当にがんばって真剣に取り組んでくれました。
取り組むにつれて、高校生メンバーの熱意やこだわりが強まっていき、撮影に取り組む姿勢はまさに監督さながら。学生であることを忘れる位、みんな自信に満ちあふれていました。
制作サイドの賢太郎さんと章介さんも、学生メンバーが想像していたよりも何倍も素晴らしい動きで、とても感動したとおっしゃってくれました。

NHK番組「クローズアップ現代」にショートムービー制作の活動が紹介されました!

当ショートムービー企画は2022年3月頃に立ち上がったのですが、ちょうど同じ時期にNHKさんから当団体に取材依頼がありました。

NHK担当ディレクターの荒川さんより「意識に潜むジェンダーバイアスの壁」をテーマにした番組制作を検討していると伺い、当ショートムービー企画の話をしたところ、非常に興味をもってくださり、取材をしていただくことになりました。

そして、2022年5月10日放送の「NHKクローズアップ現代」にて、ジェンダーイコールの活動が紹介されました!

番組のダイジェスト記事>>”女らしく”って言わないで!声を上げ始めた若者たち

ジェンダーイコール中学生メンバーで俳優の叶はなさん

NHKさんの丁寧な取材は、高校生メンバーのモチベーションにもつながったはずです。ディレクターの荒川さん、カメラマンさん、NHKスタッフのみなさま、素敵な機会をいただき、ありがとうございました!

最後に

今回、ショートムービー制作が実現できたのは、ジェンダーイコールの支援者である「ルルレモンアスレティカ社」さんのおかげです。(くわしくはこちらをご覧ください。)
同社は、カナダ・バンクーバー発のプレミアムアスレティックウエアブランド「lululemon(ルルレモン)」を提供するグループ企業です。1年半前より、ジェンダーイコールの活動に賛同いただき、資金面で多大な支援をしてくださっています。ルルレモンさんの存在なしにこのプロジェクトは成し得なかったです。

そして、キャストの手配に協力してくださったジュエリーキッズプロモーション の占部真理さん、プロダクトハーモニーの片岡明日香さん、打合せ場所のご提供やスタイリストとして協力してくださった佐藤千恵子さん、撮影場所を手配してくださった株式会社CPMM 代表松野久美子さん、いつも相談に乗ってくださるライフワゴン代表 石野田紋さん、まちづくり北株式会社代表 宮坂一朗さん、鼓太郎さん、赤羽一番街商店街事務局山縣純子さん、ライフワゴンのみなさま、そしてジェンダーイコールの仲間たち。

この場をお借りして、心より感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました!

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ジェンダーイコールYouTubeチャンネルの登録者数が、まだ80人しかいません。。。
ぜひチャンネル登録をしていただけるとうれしいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!!

【無料】寺町晋哉著『…

最終回(第7回)は12月23日(木)開催!

12/23の読書会最終回第7回では、書籍の【第7章】について解説します。
第7章の目次は以下のとおりです。

●第7章 〈教師〉の人生と向き合う
 第1節 〈教師〉ゆえの困難
 第2節 〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践へ

ゲストにジェンダーイコール高校生メンバーの加藤ここなと関崎みくが登壇。
寺町先生と一緒に「学校で感じるジェンダーバイアス」について考えます。お楽しみに!

「ジェンダー」による機会格差は存在する

❝男子であろうが泣きたくなることもあるし、人文学部へ進学したい男子もいるだろうし、大学院へ進学したい女子もいるだろう。個人の選択は自由であるし、尊重されなければならないはずなのに、「性別」が個人の可能性を阻害している。そればかりでなく、「女性/男性」という理由だけで不利益を被り、教育における様々な格差が生じてもいる。- 中略 – 実はジェンダーをめぐる教育課題は現在の学校にも歴然と存在しており、学校は社会に存在するジェンダー秩序を再生産する装置となっている。❞

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)より

無意識のうちに子どもの可能性が制約されている

歴代校長が全員男性であれば、無意識のうちに子どもたちは「校長=男性」という意識を持ってしまいます。このような性別で固定された役割を「ジェンダーロール」と言いますが、学校にはさまざまなジェンダーロールが潜んでいるように思います。

例えば、校長=男性というジェンダーロールが生徒たちに刷り込まれてしまった場合、もし将来教職を目指したいと思っている女子生徒は、「自分は女性だから校長にはなれない」という考えが、どこか心の奥底に潜んでしまう可能性があります。

また、子どもの大学進学意欲は、小6では男女差が見られないにも関わらず、中3になると男子が高くなることを知りました。女子よりも男子の方が親の進学期待が高いことが明らかになっているそうです。これは、中学生の間に、男子は大学進学を促されやすく、女子は制限されやすいことを表していることが考えられます。この違いによって、性別によって大学進学意欲に偏りが出ている可能性があるのです。

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』


2021年8月20日、宮崎公立大学准教授 寺町晋哉先生が、『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)を出版されました。

目次
●第1章 ジェンダーをめぐる教育課題と〈教師〉
 第1節 ジェンダーをめぐる教育課題は何か
 第2節 教師は「再生産の担い手」?「変革の担い手」?
 第3節 ジェンダーをめぐる教育課題へ対抗する
 第4節 ジェンダー教育実践と〈教師〉の関係
 第5節 本書で明らかにすること
 第6節 調査の概要
 [コラム1] 「さん」で統一すること

●第2章 教師教育は「変革の担い手」育成に寄与しているか
 第1節 教師教育における学び
 第2節 教職課程に所属する学生の学び
 第3節 ジェンダーをめぐる教育課題に対する教師教育
 第4節 実態をふまえた先へ
 [コラム2] ジェンダーにこだわりすぎなのか

●第3章 女子のトラブルを「ドロドロしたもの」と見なしてしまう文脈
 第1節 友達関係と学級運営
 第2節 学年運営の方針と「課題」であ る女子たちの関係
 第3節 A組のトラブルと山本先生の学級運営
 第4節 C組のトラブルと高橋先生の学級運営
 第5節 男子のトラブルへの対応
 第6節 「再生産の担い手」としての教師たち
 第7節 〈教師〉たちの置かれた文脈
 [コラム3] 友人関係とジェンダー

●第4章 〈教師〉であることとジェンダー教育実践
 第1節 山口先生の人生、そして葛藤と変容
 第2節 〈教師〉への多様な影響をもたらすジェンダー教育実践
 第3節 〈教師〉であることを見据えて
 [コラム4] 名簿・整列などや身体測定の男女混合

●第5章 〈教師〉集団だからできること/難しいこと
 第1節 ジェンダー教育実践を個人化させないために
 第2節 〈教師〉集団によるジェンダー教育実践と「子どもたちの実態」
 第3節 ジェンダー教育実践をめぐる困難
 第4節 仲間を増やしていくこと
 第5節 ジェンダー教育実践の可能性と限界
 第6節 〈教師〉集団の可能性と「センシティブ」であることの困難
 [コラム5] 性的マイノリティの「困難」とは

●第6章 〈教師〉たちと研究者の授業作り
 第1節 学校現場へ新たにジェンダー教育実践を導入するために
 第2節 ジェンダー・センシティブな視点の提示
 第3節 〈教師〉たちとの授業作りにおける新たな視点の提示
 第4節 教育臨床社会学からみたジェンダー教育実践の授業作り
 第5節 パッケージ化したジェンダー教育実践を広げる研究者の一助

●第7章 〈教師〉の人生と向き合う
 第1節 〈教師〉ゆえの困難
 第2節 〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践へ

前述した通り、学校にはさまざまなジェンダーの固定観念が存在しています。

昨今、ニュースでは日々、貧困問題や少子化問題が取り上げられています。

これらの問題の根底には教育格差が潜んでいます。そしてこの問題に「ジェンダー」は切っても切り離せない深い関係があります。

今回、NPO法人ジェンダーイコールは、この問題を具体的にみなさまに感じていただくために、寺町先生の新著の存在を世間の多くの人々に知ってもらいたいと考えました。

ですが、研究をベースにした書籍であるため、一般の方にとっては少し難しい内容があることも否めません。

そこで寺町先生と相談し、全7回に分けて、オンライン読書会を開催する運びとなりました。

第1回目は、11/14に売上5万部を超えるベストセラーとなった『教育格差』著者の松岡亮二氏を特別ゲストにお招きして教育問題に向きあうシンポジウムとして開催いたしました。

2回目以降は下記日程で開催してまいります。

第2回 11/18(木)20:30-21:30(22:00まで延長の可能性あり)
→第1章まとめ、第2章を中心にした解説
第3回 11/25(木)20:30-21:30(22:00まで延長の可能性あり)
→第3章を中心にした解説
第4回 12/2(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第4章を中心にした解説
第5回 12/9(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第5章を中心にした解説
第6回 12/16(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第6章を中心にした解説
第7回 12/23(木)20:30-21:30 (22:00まで延長の可能性あり)
→第7章を中心にした解説


読書会の開催目的は、本の1章ごとに寺町先生からわかりやすく説明していただくことで、参加者のみなさまに下記3つを感じてもらうことです。

①書籍の概要と意図を理解していただくこと
②書籍に興味を持っていただくこと
③実際に書籍を手に取られた際にスムーズに読んでいただけること

日本の未来のために1人でも多くの方に聴講していただきたい内容です。
みなさまのご参加をお待ちしています!

開催概要

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寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』読書会
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■日程:2021年11月18・25日、12月2・9・16・23日(いずれも木曜日)
■時間:20:30〜21:30(22:00まで延長の可能性あり)
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:宮崎公立大学准教授 寺町 晋哉 氏
■定員:100名
■対象:教育に関わる人(教師、講師、保育士、保護者など)、学生 ※年齢不問
■参加費:無料

著者紹介



寺町晋哉(てらまち しんや)
宮崎公立大学 准教授

兵庫教育大学特命助教、大阪大学大学院人間科学研究科助教、宮崎公立大学人文学部助教を経て現職。

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キャンセルポリシー
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手配の関係上、キャンセルの場合は必ず事前にご連絡をお願いいたします。
ご連絡なく無断キャンセルの場合、
次回以降のイベント・セミナーなどへのご参加をお断りする場合がございます。
予めご了承ください。

【無料】「教育格差に…

「生まれ」による機会格差は存在する

❝出身家庭と地域という、本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異な り、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となるつまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。❞

松岡亮二著『教育格差 ー階層・地域・学歴』(ちくま新書)より

「ジェンダー」による機会格差も存在する

❝男子であろうが泣きたくなることもあるし、人文学部へ進学したい男子もいるだろうし、大学院へ進学したい女子もいるだろう。個人の選択は自由であるし、尊重されなければならないはずなのに、「性別」が個人の可能性を阻害している。そればかりでなく、「女性/男性」という理由だけで不利益を被り、教育における様々な格差が生じてもいる。- 中略 – 実はジェンダーをめぐる教育課題は現在の学校にも歴然と存在しており、学校は社会に存在するジェンダー秩序を再生産する装置となっている。❞

寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)より

無意識のうちに子どもの可能性が制約されている

歴代校長が全員男性であれば、無意識のうちに子どもたちは「校長=男性」という意識を持ってしまいます。このような性別で固定された役割を「ジェンダーロール」と言いますが、学校にはさまざまなジェンダーロールが潜んでいるように思います。

例えば、校長=男性というジェンダーロールが生徒たちに刷り込まれてしまった場合、もし将来教職を目指したいと思っている女子生徒は、「自分は女性だから校長にはなれない」という考えが、どこか心の奥底に潜んでしまう可能性があります。

また、子どもの大学進学意欲は、小6では男女差が見られないにも関わらず、中3になると男子が高くなることを知りました。女子よりも男子の方が親の進学期待が高いことが明らかになっているそうです。これは、中学生の間に、男子は大学進学を促されやすく、女子は制限されやすいことを表していることが考えられます。この違いによって、性別によって大学進学意欲に偏りが出ている可能性があるのです。

教育格差の解消は日本の貧困問題と少子化問題を是正する


2021年8月20日、宮崎公立大学准教授 寺町晋哉先生が、『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)を出版されました。

前述した通り、学校にはさまざまなジェンダーの固定観念が存在しています。

昨今、ニュースでは日々、貧困問題や少子化問題が取り上げられています。

これらの問題の根底には教育格差が潜んでいます。そしてこの問題に「ジェンダー」は切っても切り離せない深い関係があります。

今回、NPO法人ジェンダーイコールは、この問題を具体的にみなさまに感じていただくために、寺町先生の新著の存在を世間の多くの人々に知ってもらいたいと考えました。

ですが、研究者向けの本として出版されている内容ということもあり、一般の方にとっては少し難しい内容であることも否めません。

そこで寺町先生と相談し、全7回に分けて、オンライン読書会を開催する運びになりました。

※本イベント以降の読書会スケジュールは追ってご連絡します。

読書会の開催目的は、本の1章ごとに寺町先生からわかりやすく説明していただくことで、参加者のみなさまに下記3つを感じてもらうことです。

①書籍の概要と意図を理解していただくこと
②書籍に興味を持っていただくこと
③実際に書籍を手に取られた際にスムーズに読んでいただけること

そして、より理解を深めていただくためには、「教育格差」全体についての話も避けられません。
ということで、読書会の特別シンポジウムとして、2019年に出版し、売上5万部を超えるベストセラーとなった『教育格差』著者の松岡亮二氏を特別ゲストにお招きして、「教育格差」と「ジェンダー」の両局面から、教育問題に向きあう会を企画しました。

ぜひ1人でも多くの方に聞いていただけると幸いです。

みなさまのご参加をお待ちしています!

↑↑↑名前とメールアドレスのみで登録完了!↑↑↑

開催概要

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寺町晋哉著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』読書会シンポジウム
教育格差に潜むジェンダー問題
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■日程:2021年11月14日(日)
■時間:15:00〜16:30
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:宮崎公立大学准教授 寺町 晋哉 氏
■特別ゲスト:早稲田大学准教授 松岡 亮二 氏
■定員:300名
■対象:教育に関わる人(教師、講師、保育士、保護者など)、学生 ※年齢不問
■参加費:無料
※本イベント以降の読書会スケジュールは追ってご連絡します。

登壇者紹介

●講師

寺町晋哉(てらまち しんや)
宮崎公立大学 准教授

主な研究テーマはジェンダーと教育、教師教育。
主著に『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』(晃洋書房)
●特別ゲスト

松岡亮二(まつおか 亮二)
早稲田大学 准教授

日本教育社会学会・国際活動奨励賞(2015年度)、早稲田大学ティーチングアワード(2015年度春学期・2018年度秋学期)、東京大学社会科学研究所附属社会調査データアーカイブ研究センター優秀論文賞(2018年度)を受賞。

著書『教育格差』は「新書大賞2020(中央公論新社)」で3位に選出。

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予めご了承ください。

現役アスリートが考え…

−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール田渕です。

私はご縁があり、大手町にあるイノベーティブなビジネスワーカーが集まるサードプレイス「3×3Lab Future(さんさんラボ フューチャー)」の個人会員として活動させていただいています。

この3×3Lab Futureを運営している一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会(通称:エコッツェリア協会)は、次世代への持続可能なビジネス創発や社会づくりに取り組んでいる団体です。

その活動のひとつとして、スポーツ業界と連携したアスリートのデュアルキャリア形成支援を行っており、関連イベントの実施のほか、3×3Lab Futureでのアスリートインターンシッププログラムを提供しています。


ある日、私が3×3Lab Futureを訪れた際、会員さん同士のゆるやかな繋がりづくりを担当されているネットワークコーディネーターの田邊智哉子さんに、アスリートインターンの卒業生である吉林千景さん(府中アスレティックFCレディース)を紹介していただく機会がありました。その時にスポーツとジェンダーに根深い問題が潜んでいることを初めて知りました。


そこで、もっと詳しく「スポーツとジェンダー」について話を伺いたいと思い、田邊さんにお願いして、スポーツ業界に関わる人たちとの意見交換会を設けていただきました。

その内容を記事にまとめましたので、よろしければご覧ください。

なお、記事はジェンダーイコールの田渕&紀本が聞き手役として、アスリートのみなさまに取材する形式で書かせていただいております。

参加者のご紹介

槙島貴昭(まきしま・たかあき)
株式会社B-Bridge プロジェクトマネージャー
B-Bridge日本支社として東京に拠点を構え、アスリートのマネジメント・デュアルキャリア育成およびサポート
「 ATHLETE BEYOND 」に力を入れて活動中。

吉林千景(きちばやし・ちかげ)
府中アスレティックFCレディース・女子フットサル選手
2011年よりフットサル女子日本代表選手。スペイン女子フットサルリーグへ移籍するも、二度に及ぶ膝の大怪我で帰国。競技に縛られていたキャリアに疑念を抱き、「3×3 Lab Future」でのアスリートインターンやWebライターとしての活動を始める。

鳴澤眞寿美(なりさわ・ますみ)
一般社団法人コーチトラスト理事
大学よりサッカーからラクロスに競技を変え、日本代表を経験。2015年からは指導者としてのキャリアを歩み始め、筑波大学と茨城大学で計4年間ヘッドコーチを務めた。
(出典:一般社団法人コーチトラスト)

田邊智哉子(たなべ・ちかこ)
3×3 Lab Future ネットワークコーディネーター
2018年7月から株式会社STORYに所属し、3×3Lab Futureのネットワークコーディネーターとして、主に個人会員の運営やイベントサポートを行っている。
(出典:エコッツェリア)

  • 田渕恵梨子(たぶち・えりこ)NPO法人ジェンダーイコール代表理事
  • 紀本知都子(きもと・ちづこ)NPO法人ジェンダーイコールメンバー/一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程

スポーツ界のジェンダー格差について

−− プロスポーツ界のジェンダー格差について教えてください。

−−− (吉林さん)サッカーで考えると、男子と女子では、選手数やコーチ数、そして給与水準が全く異なります。すべてにおいて女子の方が圧倒的に低いのが現状です。女性アスリートは給与が安い。それがあたりまえになっています。

−−− (槙島さん)現状では、サッカーやラグビーのようなフィジカル(ぶつかりあう)なスポーツの場合、やはり男子の方が迫力があるので注目されやすいですね。見る側がエキサイティングできるような仕組みを考えることは重要です。

−−−(鳴澤さん)テニスやゴルフのような個人競技はあまり男女差がなく、女性アスリートでも稼ぎやすいというのはありますね。
私は元々幼少期からサッカー漬けの日々を送っていましたが、大学からはサッカーからラクロスに転向し、ラクロスの日本代表を経験しました。ラクロスの世界に入って、サッカーとの違いがいろいろあることに気づきました。例えば、女子サッカーは男性コーチがあたりまえでしたが、女子ラクロスは女性コーチがあたりまえです。そして、日本では競技に関わらずスポーツコーチとして稼げる女性はほんのわずかですが、アメリカやカナダでは、女性があたりまえにスポーツコーチとして稼いでいます。

−−− (吉林さん)あと、スポーツ会場では100%女性用トイレが混みますね。これは、会場自体が男性向けに設計されていることが原因です。

−− 確かにスポーツに関わらず、圧倒的に女性用トイレは混みやすいですよね。高速道路のサービスエリアなどは、圧倒的に女性用の個室を増やして混雑の解消に力を入れている印象を受けます。スポーツ会場もスポーツ観戦者=男性という固定観念を払拭して改善されていくと良いですね。

ユニフォームのジェンダー差別

−− 東京オリンピックで話題になりましたが、ビーチハンドボールのユニフォームで、男子ビーチハンドボールの選手は「膝上10cmの短パン」なのに対して、女子選手は「ビキニの側面の幅は最長で4インチ(約10cm)まで」「脚の付け根に向かって切り込んだ形のぴったりとしたビキニパンツ」を着用しなければならない。というルールがあることを知り、衝撃を受けました。ものすごいセクハラかつ性差別で気持ち悪くて頭がクラクラしましたが、サッカー界では、何かジェンダー差別的な事はありますか?

−−− (吉林さん)サッカーの日本代表チームは、男女同じユニフォームです。他国では女性ラインで作られていることも多いので、日本も選択肢として選手が選べるようになると嬉しいです。

−− やはり男女同じユニフォームだと動きにくいですか?

−−− (吉林さん)そうですね。基本的に男性向けに作られているので、女性選手は動きやすいようにすそを折ったりして工夫する必要があります。

−− 日本代表にも関わらず、選手がそんな苦労をしているなんて驚きです。ビーチハンドボールの件もそうですが、女性選手への配慮が無さすぎるように思います。

−−− (吉林さん)日本も少しずつ変わってきているので、早く改善されると良いなと思います。

女性アスリートの生理問題

出典:社会問題と向き合う人のクラウドファンディングGoodMorning

−− エコッツェリア協会が主催するイベント「アスリート・デュアルキャリアプログラム2021」の1回目のオンラインイベントでは、アスリートとして活躍しながら、株式会社Reboltの共同代表である下山田志帆氏・内山穂南氏両共同代表が講師として登壇されました。私、田渕も聴講させていただいたのですが、講座ではお2人が開発されたアスリート発の吸収型ボクサーパンツ「OPT」の開発経緯や商品の特徴について説明されていました。そこで初めて、女性アスリートの生理の苦悩について知りました。吉林さん、鳴澤さんからも女性アスリートの生理問題についてお話を聞かせてください。

−−− (吉林さん)私は若い頃は自分でうまく体調管理ができず、生理が止まってしまいました。中には、「現役中は来なくてもいいや」と考えているアスリートもいます。
日本では、生理全般に関する男性の知識が乏しいと思います。そのため、男性指導者の方が女性アスリートの身体に関する知識を持っていない場合は、男性と同じ体脂肪率を求めらてしまうケースもあるようです。

−−− (鳴澤さん)まず必要なことは、生理に関する男性の知識向上ですね。

−−− (吉林さん)海外だと生理用ナプキンもトイレットペーパー感覚で利用できる状況になってきています。日本も少しずつ変わってきてはいますが、女性スポーツの促進に向けて、「今、生理中」と言い合えるような、フォローしあえる空気感が必要だと感じます。

アスリートは「デュアルキャリア」を考える必要がある

−− 槙島さんは、エコッツェリア協会と共に「アスリート・デュアルキャリアプログラム」を運営されています。現役アスリートのみなさまが感じる「アスリートのキャリア問題」について感じることを教えてください。

−−− (槙島さん)例えば現役Jリーガーと言っても、カテゴリーや選手の実力によって給料や待遇にかなりの差があります。カテゴリーが下の方になれば、一般的にみなさんが思い描くようなJリーガーとは少し違った状況の選手もいるということを知ってほしいですね。

−−− (吉林さん)スポーツのみに専念し、デュアルキャリアを考える余裕のない選手は非常に多いと思います。それが故に引退後のキャリアに強い不安を抱くことになります。たとえスポンサー会社で働くことができても、スポーツ一筋でやってきた人間が突然会社に放り込まれてもなかなか順応できるものではなく、苦労するアスリートが多いです。
まず、社会人があたりまえに知っていることがわかりません。一般的な税金面や役所の手続きなどについてもよく知らないアスリートが多いと思います。

−−− (鳴澤さん)メディアでは、成功した選手だけが光を当てられますが、実際はほとんどが光の当たらない人たちです。それが故に、なかなかそういった事情を知る機会が少ないのが現状です。

−−− (吉林さん)女性の場合、ロールモデルが非常に少ないので、引退後のキャリアイメージが描きにくいという問題もありますね。

目指したい未来

−−− (鳴澤さん)私はスポーツを辞めた人も自立して生きていける文化をつくりたいと考えています。

−−− (吉林さん)アスリートだからスポーツだけに専念する環境ではなく、あたりまえにデュアルキャリアを考える文化づくりが必要だと思います。
アスリートは特別ではありません。一方で、なんとなく一般的に「アスリートは特殊な人種」というイメージがついてしまっているように思います。この垣根を無くすためにはスポーツを観る側もアスリート側も歩み寄る必要があります。
今の日本のスポーツ業界は社会に還元しているものが少ないように感じています。「アスリートはサポートを受けてスポーツだけに専念すれば良い」という文化がありますが、サポートを受けるのであれば、社会に還元する意識を持つ必要があるのではないでしょうか?例えば、そのスポーツに興味をもってもらう方法を考える等、アスリート自身がスポーツを社会に還元できる方法を模索する文化が必要だと感じています。



−− 今回お話を伺って、スポーツ業界でジェンダーやデュアルキャリアといった課題が山積していることを初めて知りました。ジェンダーは文化的性差と言われていますが、スポーツのジェンダー問題は文化的性差と生物学的性差が複雑に絡んでいると感じます。
吉林さんの「生理が止まってしまった」というエピソードがありました。詳しい原因はわかりませんが、もしかしたら、男性と同じ基準の体脂肪を求められたり、精神的な面から起きた現象かもしれません。
何が理想なのかは人それぞれだと思います。
しかし、もし性別によって我慢したり、諦めていることがあれば、ぜひ声を上げてみてほしいです。たとえ小さい声であったとしても、もしかしたら共感してくれる人が出てくるかもしれません。共感者が増えることで社会の問題意識が高まり、改革に繋がります。何も声を上げなければ、何も生まれないのです。

アスリートの活躍は私たちに感動と希望を与えてくれます。
アスリートのより良い環境づくりは、めぐりめぐってみんなにプラスの効果をもたらして返ってくるものだと感じます。
今回のお話を機に、当団体でもスポーツのジェンダー問題について知見を深めて考えていきたいと思いました。

みなさま、素敵な機会をありがとうございました!

インタビュアー
田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)
紀本 知都子(NPO法人ジェンダーイコールメンバー)

【メンバーインタビュ…

−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕です。
ジェンダーイコールメンバーインタビューvol.4は、「学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会」を目指す、高校3年生の関崎 未来(せきざき みく)さんにお話しを伺いました。

みくさんは、学校生活の中で感じる「ジェンダーバイアス」に疑問を感じ、ジェンダーイコールの活動に参加してくれました。

みくさんの学校の中での観察や問題意識を持った後の行動など、非常に興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
コメントへの感想もお待ちしています!

ジェンダー問題に興味をもったきっかけは?

以前、自分が所属していたチアダンス部に、男子が入部を希望したことがありました。その際、他の部員が「なんで男子なのにチアダンス部に入るの?」と言い、さらに顧問まで同じような事を言っていたことに非常に違和感を感じました。この違和感を追求した結果、性別によってやりたいことが制限されてしまう社会に問題を感じるようになりました。

学校生活の中で感じるジェンダーバイアス

学校の中では意外に多くのジェンダーバイアスがあります。
たとえば、重い荷物を運ぶ時、先生は「男子手伝ってよ」と男子にお願いします。そして、クラスメイトの男子が日焼け止めを塗っていると、周りが「男なのに日焼け止めを塗るの?」と言っていたことがありました。

さらに、ある先生から私のジェンダーの活動について「女の子なのに積極的ですごいね」と言われたり、別の先生にジェンダー平等を進めたいと説明したら、「それは良いことだけど、ちょっと間違えただけで男女差別って言われたりして、めんどくさい世の中だねー」と言われたこともあります。

今の社会はジェンダー平等が進んできていると私にとって、これらの言葉は非常に驚きました。そして、ジェンダー平等が進んできているというのは自分の思い込みだったのかもしれないと感じました。

問題点

この問題点は「みんな全く悪気がない」という点です。
悪気がないということは、自分が無意識にもっている偏見に気づいていないということです。無意識の偏見に気づいてもらうのは非常に難しい問題だと感じています。

中学生向けにジェンダー講座を開催!

私が通っている高校の校長先生は、SDGsゼミを開催したり、ジェンダーレス制服を起用したり、校内で日焼け止めや髪ゴムを性別を気にせず買えるようなアトリウムを設置したいなーといった発想を持たれていて、非常にジェンダーに理解のある先生です。

私は、校長先生が主催する「SDGsゼミ」を受講した時に非常に刺激を受けて、自分でジェンダー講座を開催してみたいと思いました。

そこで、まずはプレゼン資料を作ってみました。そして、校長先生に資料を見ていただき、自分の思いを伝えたところ、同じ校内にある中学校での講座開催を調整してくださいました。

応援してくれる担任の先生

中学生向けの講座には、担任の先生も参加してくれました。先生は私のがんばっている姿を見て、とても喜んでくれました。この事がきっかけでジェンダーに関心を持ち、その後、ジェンダーの記事を見つけて、共有してくださるようになりました。さらには毎月発行されるクラス通信にも、私の活動を長文で紹介してくださいました。

この経験は私にとって、非常にうれしかったと同時に、若い世代が行動を起こすことで、同世代や大人に刺激を与えることができるんだと感じました。

これからやりたいこと

私は、学生たちがジェンダー問題を問題として捉えていないことが、いつまでたってもジェンダー平等が前進しない原因になっていると感じています。そのため、いろんな学校で啓発セミナーを開催したいと思っています。

私は、学校のすべての科目において、あたりまえにジェンダー平等を取り扱う社会にしたいです。

社会を変えるには、信頼や影響力が必要です。いつかそんな人間になれるよう、引き続き活動をがんばりたいと思っています。
そして自分の活動に協力してくれる仲間を増えるとうれしいです。

最後に、私の両親はいつも私のことを信頼し、ジェンダー活動についても無条件で応援してくれています。
この場をお借りして、両親に感謝の気持ちを伝えたいと思います。


−− みくさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

【イベントレポート】…

2021年8月の夏休み期間に、ジェンダーイコール高校生メンバー4人が1人ずつ講師になり、全4回に渡ってセミナーを開催しました。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー 8/8(日)14:00-15:30
DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

事前お申し込みは各回100名を超え、延べ483名のお申し込み、252名の方に参加いただきました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
高校生メンバーは4人全員が初めて自分で主催するセミナーを開催しました。各自の感想もアンケート形式で回答してもらったので、各回の概要とともに、イベントレポートとしてお届けします。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー

開催概要

■日時:2021年8月8日(日)14:00〜15:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 加藤 心渚(高3)
■ゲスト:一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様

セミナーの流れ

加藤ここなのスライド

講師の加藤ここなが独自で6月〜7月にかけて約300名の保護者・教育者に回答してもらったアンケートを分析した「子どもを取り巻く環境の現状」、周りの高校生や中学生にヒアリングしてまとめた「ジェンダーが子どもに及ぼすこと」について説明しました。

一般社団法人母親アップデート

その後、一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様に親目線でのジェンダーバイアスについて語っていただきました。

グループディスカッション
テーマ:普段の生活で感じるジェンダーバイアス

最後に、いくつかのグループに分かれて、「普段の生活で感じるジェンダーバイアス」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

・3歳の甥っ子と1歳の姪っ子と遊んでいて子育ての大変さに気づき、子どものほしさが少しずつ薄れて きてしまったと母親に話したら、「それはダメだ」と子どもを生むのが大前提の価値観で否定された。自分の人生だから自由だと考えてほしいと思った。

・ランドセルの色が豊富になっていて、一見ジェンダーバイアスが無くなっているように見えるが、実は女の子用の黒、男の子用の赤がある。それぞれ女の子受けや男の子受けの良さそうな刺繍が入っていたりする。カタログも性別で分けられていて、マーケティング的な要素があるように見える。

・誰かに強制された訳ではないのに仕事も教育も自然とサポート側に回ってしまう女性が多い。性別役割分担意識が自然と身に付いて、社会人になってもずっと続いている葛藤がある。

・国際的な仕事の環境で、容姿に対する不適切発言を受けたり、仕事ができると「女のくせに」と男性や女性にも言われた。

・20年前位の話だが、同僚の女性が結婚の報告をした際、「名字は何になるの?」と当たり前に言っていたことに違和感を感じた。

まとめ

今回は乳幼児期をテーマにセミナーを開催しました。
セミナーを通じてお伝えしたかったことは、子どもたちが「性別らしさ」ではなく「自分らしさ」を表現できる社会をみんなで作っていきませんか?ということです。
グループディスカッションを通じて、どの世代においてもジェンダーバイアスに悩まされている人がいるというリアルな声を聞くことができました。
大事なことは、どの世代でもジェンダーバイアスに気づくことです。そのために、まずは本セミナーで感じたことを身近な人に伝え、ジェンダーバイアスの存在の認知を広げていってもらえたらうれしいです。

講師:加藤ここなの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?高校2年生の時に、弁論大会にて「将来はジェンダーに関するイベントを開催したい」と宣言しました。その時は大学生や社会人になれば出来るだろうな、と遠い目標として掲げていました。まさか、1年後に実現できるとは思っていなかったので、機会を与えてくださった田渕さんにはとても感謝しています。
セミナーを開催するからには、今まで自分が培ってきたことを存分に発揮しよう!と決めました。
2)準備は大変でしたか?大変でした。しかし、自分の好きな分野を人に伝えることはもともと好きだったので、わくわくしながら準備できました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。ジェンダーを初めて学ぶ方、子どもに関わる方、高校生など、様々な方が参加してくださるため、誰がみても分かりやすい説明を工夫しました。
また、高校生の立場でしか語れない話をすることで、他では得られないことを得られるようなイベントにしようと準備をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。初めは高校生が保育のことについて語るのは少し烏滸がましいのではと思っていたのですが、参加者の皆様が真剣に私の話を聞いてくださって安心しました。
会の序盤は緊張していたのですが、徐々に楽しく進行することができました。
ブレイクアウトルームで、ジェンダーについての沢山の生の声をお聞きできたのは、今回のイベントで大きな収穫となりました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。自分の知らない間に自分の選択の幅を狭めてしまっていることに気づいて欲しいです。そして、それらを周りの人にも伝えていってほしいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。子どもたちにジェンダーを伝える活動をしていきたいです。そのためにジェンダーの絵本を作って子どもたちが集まる場所に広めていきたいです。

DAY2 メイクと ジェンダーの関係

開催概要

■日時:2021年8月15日(日)14:00〜15:45
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 田中まき(高3)
■ゲスト:株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様

セミナーの流れ

田中まきのスライド

メイクは、なりたい自分に近づくことで自己肯定感を上げることができたり、コンプレックスを隠せたり・・・といったポジティブな効果がたくさんあるにも関わらず、いまだに「メイク=女性」というジェンダーバイアスが存在しています。
本セミナーでは、化粧におけるジェンダーバイアスについて、田中まきがバイト先で経験したエピソードを紹介し、その矛盾点やマーケティング視点から考える問題点について説明。

ジェンダーニュートラルコスメ「iLLO」

次に参加者からのメイクのジェンダーバイアスに関する質疑応答時間を設けた後、株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様にお話しを伺いました。
矢野様は、前職で国内の美容メーカーで働く中、多くのメイクする男性と出会われたそうです。そこで、男性のメイクの悩みやこだわりが女性と変わらないことに気づいたことがきっかけで、性別に関係なく誰でも手に取りやすいコスメブランドを作りたいという思いから、2020年8月にジェンダーニュートラルコスメブランド「iLLO(アイロ)」を立ち上げられました。このブランドに対する思いや化粧品にまつわるエピソードをお話しいただきました。iLLOの10%オフクーポンを提供してくださり、参加者の喜びの声で盛り上がりました。

グループディスカッション
テーマ:誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?

最後に、いくつかのグループに分かれて、「誰もが当たり前にメイクを楽しめる世の中にするには?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 平成の若者文化がキムタクさんや安室奈美恵さんで、その方たちが化粧をしている文化があった。な ので、私たち若者世代が「令和の若者文化」を作ると1人1人の意識を変えていければ良いのではないか?
  • 今の日本では「女性らしさ」「男性らしさ」を大切にしている人も多い中で、誰もがメイクを楽しめる世の 中にするには、「他人に押し付けない」というのが一番大事。
  • 世代感の感覚のズレがあるという話になり、その人たちが古い女性観であったり、ジェンダーバイアス が根づいてしまっているのが問題。
  • 学校の授業にメイクを取り入れるという案が出たが、社会に出た時に逆にメイクがあたりまえになって しまうことが考えられるので、あまり良くないかも?今の若者は脱毛をする男子もどんどん増えているの で、今のままで広がっていけば良いのではないか?

まとめ

このイベントで伝えたかったことは、参加者のみなさまに改めて、「身の回りの物事が性別によって境界線が引かれていないか」を考えていただきたいということです。
考えてみると、想像以上にたくさんの物事が性別によって境界線が引かれていると思い浮かんでくると思います。
田中まき自身もジェンダーについて興味をもってから、身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。
みなさん1人1人の意識が変わっていくことで、いつか世の中も変わってくると信じています。そして、メイクをするしないの選択肢が性別に関わらず個人として持つ世の中になれば、もっと明るくて楽しい社会になると思います。

講師:田中まきの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?自分が今まで持っていた問題意識をオンラインを通じて様々な人に共有できる貴重な機会だと思いました。
2)準備は大変でしたか?他の高校生メンバーと田渕さんと何回もミーティングを重ねてより良くなるように心がけていたので達成感がありました。初めの方から、テーマやキャッチコピー、ポスターなど多くの意見交換をしてきたので本番を迎えれてよかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。自分が知っていても参加者の方は知らないかもしれない、ということを考えて細かく説明できるようにしました。セミナーを開く特権でもある、参加者の声をチャットやブレイクアウトルームを使うことでたくさん聞けるようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。たくさんの人が共感していただいたり、私の問題意識に提案していただいたりして新しい発見がありました。自分の意見をオンラインを通じて多くの人に共有することは初めてだったが、事前準備を沢山し、充実したイベントにできたことで達成感が得られました。幅広い世代の方が参加していただいたので、これからの時代を背負っていく若者ということで応援してくれる方はもちろん、同世代の高校生も参加していただき嬉しかった。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダーの問題解決は気づかないと何も始まらないです。私自身、ジェンダーについて興味を持ってから身の回りがジェンダーバイアスで溢れていることに気づきました。ジェンダー教育が普及していない今、ジェンダーのことを発信していくことで、一人一人の意識が変わっていくことでいつか世の中も変わってくると信じています。
わたしも情報発信を続けるので、是非高校生の皆さんにもジェンダーについての情報を沢山吸収していただきたいです。そして、物事が性別で境界線が引かれていないか考えて欲しいです。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。今回の内容をもっと多くの人に共有したいので何度か開催したい。

DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す

開催概要

■日時:2021年8月18日(水)18:00〜19:30
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 関崎みく(高3)
■ゲスト:宮崎公立大学 准教授 寺町 晋哉 様

セミナーの流れ

関崎みくのスライド

講師の関崎みくが義務教育をテーマにしたかったきっかけは、部活動での出来事にありました。所属するダンス部に男子生徒が入部を希望した際、「なんで男子がダンス部に入るの?」と周りの部員が言っていたのです。その後、調べを進めると、学校生活の中であたりまえのようにジェンダー差別が行われていることに気がつきました。この経験を経て、若いうちに性別に囚われない生き方を知ってほしい。そんな思いから本テーマを採用しました。セミナーでは最初に関崎みくがさまざまな視点でのジェンダーバイアスについて説明をした後、ゲストの宮崎公立大学准教授の寺町晋哉先生から専門的なお話しをいただきました。

寺町先生は、5月に日本経済新聞で「学校の中のジェンダー」というテーマにて、教師がジェンダーバイアスのかかった発言をすることで、生徒の成績に影響することを指摘する記事を寄稿されています。今回、この内容を掘り下げた非常に興味深い説明をしていただきました。

グループディスカッション
テーマ:ジェンダー経験について共有しよう!

最後に、いくつかのグループに分かれて、「ジェンダー経験について共有しよう!」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 留学先で国によって違いがある。マレーシアではほとんど女性の教授だった、フランスでは女性の方 が発言数が多かった等、違いを感じた。
  • 昔は、修学旅行に女子しか行けなかった。男子は勉強に集中しなくちゃいけないから。
  • スポーツにおける男女差。女子にハンデを課しているケースがある。女子の中でもハンデがあることが嫌だと感じる人もいれば、それで良いと思う人もいる。 そのハンデが男女差があって、また、女子の中でもハンデが無い方が良いと思っていても、男子の女 子に対する対応も、女子が男子と一緒にスポーツをやっていく上で影響してくるのかなと思った。
  • 営業の求人で、女性から応募が入った際に、「女性に営業ができるのかな?」という発言をしていた。 その人は悪気が一切なくて、知らないうちに思い込みをしていた。そういう思い込んでいる人を変えていくのは難しい。
  • 「学校の仕事は大変だから女性にはできないかも。男性の方ができるのではないか?」という思い込みで、女性が活躍できていなかったり、逆に男性が大変になってしまう。しかし、看護士などは、女性が 多いけど仕事量も多い。

まとめ

本セミナーで伝えたかったことは、「若いうちに自分の中にあるジェンダーバイアスに気づいてほしい。」ということです。ジェンダー問題の解決に重要なことは、ひとりひとりが「当事者」という自覚をもつこと。そのためには「ジェンダー」を知ることが始める必要があります。
小さいことからで良いので、当事者として行動を起こしてほしい。その一歩として、セミナーで知ったことや気づいたことを身近な人に共有するのも良いと思います。その積み重ねが社会を変えるはずです。

講師:関崎みくの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?幅広い年代の方に自分の思いを伝えられることが嬉しかったと同時に、学校で起こる性差別を高校生代表として伝えなければならないという責任を感じました。
2)準備は大変でしたか?時間はかかりましたが、自分の思いを伝えられると思うと準備も楽しかったです。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。参加者の方にジェンダー問題を身近なものとして捉えてもらうべく、多くの人に当てはまるような体験談の紹介をしました。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。高校生の視点からみた「ジェンダー」に興味を持ってくださる方が多く嬉しかったです。ジェンダーに強く興味を持っている方から知り合いから紹介されて参加した方まで、多様な考えを持つ参加者の方々と交流ができて有意義な時間となりました。また、若い世代が問題意識を持ち、行動を起こすことの大切さを再確認しました。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。ジェンダー問題は誰にとっても身近なものです。自分がジェンダー差別の加害者・被害者にならないためにも、この問題に対して当事者意識を持って積極的に行動しましょう!
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。厳しいかもしれませんが、小学校や中学校でイベントを開いてみたいです!

DAY4 “ないもの”にされる性被害

開催概要

■日時:2021年8月22日(日)14:00〜16:00
■場所:オンライン(Zoom)
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 久保田まもり(高2)
■ゲスト:フリーライター 小川 たまか

セミナーの流れ

久保田まもりのスライド

今回このテーマを選んだ理由は、講師の久保田まもりが、電車通学だった中学生時代、毎日のように周りの生徒たちが痴漢被害に遭っていた事がきっかけになっています。とても悔しい思いをした生徒も、警察に届けることはありませんでした。学校側は少なからずその状況を知っていたはずですが、中学生の久保田から見てもちゃんと向き合っているようには思えませんでした。
さらに校則で、スカートを短くしてはいけない理由として「男の人をそういう気持ちにさせてはいけない」という説明をされたことがあったそうです。
当時の彼女は「私たちを危ないものから守ってくれているんだ」と思っていました。その後、久保田はジェンダーについて知り、改めて当時について思い返したところ、学校側の対応に疑問を持ちました。

痴漢被害に遭っている女子生徒に対して、「君はスカートが短いから被害に遭ったんだ」「君は校則を守らなかったから被害に遭ったんだ」と校則を守らせるためのような脅し文句、性暴力について誤った知識を刷り込むのは、あまりにも無責任で暴力的なのではないでしょうか?

私たちは、日頃から学校やメディアでこのような知識を植え付けられることで、性暴力に対する誤った認識を持ってしまっています。もし被害に遭って誰かに相談しても「モテ自慢?」と言われたり、怖くて抵抗できなかったのにも関わらず「それって抵抗しないのが悪いんじゃないの?」と、セカンドレイプに遭ってしまう現状があります。

肌を露出しているから被害に遭う、抵抗しない=合意であるといった考え方は「強姦神話」に基づきます。この価値観が痴漢を黙認する社会、女の子たちに我慢させる社会とは一体なんなんだ?という思いが、本セミナーのテーマにつながりました。

小川たまかさんのYahoo!ニュース著者紹介ページ
小川さんの著書 「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。(2018年)

本セミナーでは、まずは久保田まもりが自身の経験から感じた問題提起をした後、ゲストのフリーライター 小川たまか様より「日常の中の性暴力」をテーマに、痴漢にまつわる調査データの紹介や、これまでの時代がいかに「強烈な被害者への制裁意識」をもっていたかという実情について詳しく説明していただきました。その後、ジェンダーイコールの学生メンバー、社会人メンバーが加わって、それぞれが考える「次世代の子どもたちに、性暴力に対する誤った考えを引き継がないためには?」についての思いをご紹介しました。

グループディスカッション
テーマ:痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?

次に、いくつかのグループに分かれて、「痴漢などの性暴力をなくすために学校側がすべきことは何か?」というテーマでグループディスカッションを行いました。
各グループで出た意見をいくつかご紹介させていただきます。

  • 「性教育」という言葉をもっと触れやすい名前にアップデートするのも大事。
  • デンマークでは、幼稚園の頃から性教育を受けている。だから自分のからだは自分のものという意識 を誰もがもっている。だから痴漢はいない。
  • デンマークはドラゴンボールが15禁、ロボコップが18禁。その理由は、血がたくさん出たり、暴力的な 表現が多いから、国が規制している。エンタメに対しても作品規制が厳しくなっている。 基準はファンタジーとの境目がわかるかどうか。そこをきっちり分けている。
  • 学校の義務教育での性教育に力を入れるのが良いものの、先生たちに負担がかかるので、助産師や 医師が授業で話すなどして、あまねくいろんな人に伝わるようにやっていくと良いのではないか?
  • 「生理」について教えてほしい。人の生理がどれくら重いものなのかがわからない。
  • 韓国では中高生に、人権教育の一環として、性暴力に感する義務教育を実施している。日本にもその ような教育を実施して、いまだに歪んでいる性教育に関して学生が意識改革できる内容を実施できると良い。
  • 性暴力を受けても恥ずかしいとかとまどう気持ちになってしまって相談を躊躇する子どもたちが多い。 自分の心を打ち明けて話せることのできる信頼感をもてる雰囲気を作るためには、まずは大人たちが 正しい性意識をもつことが重要。
  • 教頭や学年主任が、性教育のやるやらないの意思決定に関わっているため、その人たちが性教育に 関心があるかないかで変わってしまう。公立の学校でも積極的に取り組む学校と取り組まない学校でかなり差が出てしまっている。そういう消極的な人たちに性教育の必要性についてアプローチしていく必要 がある。
  • 政治や社会が性教育にネガティブな意識をもってしまっている。日本の根幹を担っている人たちにもっ と当事者意識を持ってもらうことが重要。
  • 今、警視庁が痴漢防止のレーダーやアプリを作っている。でも実際に高校生が認知するところまでは いっていない。せっかく良いサービスがあるのに実用まで至っていない。そこにはどういう課題があるのか?そういう所を見ていくと、よりこの問題の解決に近づいていくのではないかなと思う。

高校生へのメッセージ

次に、ジェンダーイコールメンバー3名と小川たまか様より、高校生に向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

加藤ここな(ジェンダーイコール高校生メンバー)
本日得たことを、自分の中でとどめておくだけでなく、周りの友達にも教えてあげることが大事だと思います。 そしていざという時のために、アプリとか色々あると思うので、シミュレーションすること自分を守るのに とても役立つと思います。


渡邉あおい(ジェンダーイコール大学生メンバー)
高校生にお伝えしたいことは「とにかく学んでほしい」ということ。性暴力は暗数が非常に多い。「なんで届けなかったの?」という質問には、「そこまで大きい問題ではなかった」と回答している人が6割位いる。それは当事者の意識、「これは本当にやばいことなんだ」、「私は被害者なんだ」という意識がなかなか持ちづらいのかなと思いました。 その意識を持ってもらうためには、たくさんいろんなことを勉強してもらえたらと良いのかなと思う。 最近では、「セックスエデュケーション」というNETFLIXのドラマとか、「プロミシングヤングウーマン」とい う性暴力、性被害を描いた映画が公開されています。そういった作品に触れて、考える時間を持っても らったら、少しずつ当事者意識や、「自分が何をすべきなのか」「何を学ぶべきなのか」ということがわ かってくると思います。 「知識は自分を守る武器(鎧)」なので、みんなに身に着けてもらえればと思います。


篠原くるみ(ジェンダーイコール副代表理事)

  1. 自分の感情を大事にしてほしい 「ネガティブな感情」や「嫌い」っていう感情は、結構ネガティブに捉えられてしまうけど、「嫌」という感情は生存本能だったりするので、それを大事にすることが大事だと思います。 何かあった時に「自分が悪いのかも」と思ってしまうクセがついてしまっている人がいると思うんですが、 それはたぶん性格ではなくて、日本社会の構造的な問題だと思うので、それはそれで受け止めて、大事にしてあげると良いのかなと思います。 その上で、客観的に「私が嫌だと思ったことはどういうことなのかな?」ということをじっくり考えてみることで、答えがみつかったりするのかなと思います。
  2. 自分のことを受け止めてくれる味方を何人か見つけておく。 それが親であれば良いが、人間なので必ず合う合わないは必ずある。「この人は自分の味方だな」と 思っていても、関係性が変わってくることも全然あるので、そういうことに対して傷つきすぎないでほしい なと思います。 あと、大人は「ドリームクラッシャー」になってはいけない。ドリームクラッシャーとは、「誰かが何かをやりたい」と言ったことに対して、「そんなの無理だからやめておきなよ」とか「NO」を突きつける人のこと。 そういう人は結構世の中にたくさんいて、やりたいことを頭ごなしに否定してくる人がいたら、「この人ってドリームクラッシャーなんだなー」と思ってスルーするスキルを、若い人たちに身に着けてもらえればと 思います。 味方になってくれる人は絶対どこかにいるので、そういう人を何人かストックすると良いと思います。

小川たまか(ゲスト講師)

私は高校生とか20代前半位までは、生きるのが辛いという思う時期が結構長くて、その悩みの理由が ずっとわからなかった。 「なんで自分がこんなネガティブな人間なのかがわからない」みたいな時期が長かった。 30代前半位になってからようやく、あれが性に対する搾取が原因だったとか、そういうことに気づき始めて楽になったというようなことがありました。それは気づくのが早ければ早い方が良いと思うので、痴漢とか性暴力は明らかにおかしな問題であり、 人権侵害であり、被害に遭う人が悪い話では全くないので、「社会のせいだ」ということを強く心に持って いってほしいなと思います。 ここにいらっしゃる人たちは、そこに気づいていらっしゃる側の人たちなんだろうなと思っています。 大人はその若者の持っている意思とかを潰さないようにするというのは、私も全く同感です。大人のやることは、若い人たちがどれだけその1件の発信をしやすくしていくことや、そのサポートが大事だと思っ ています。

まとめ:久保田まもりからみなさまに向けた アクションプラン

最後に、久保田まもりより、本セミナーのまとめとして、参加者に提案するアクションプランを2つお伝えしましたので、ご紹介します。

  1. 今日のイベントの内容を家族や友人に話してみよう!
    「痴漢って性暴力だって知ってた?」とかそんな感じで全然大丈夫です。
    「痴漢は日本のジェンダーにおける闇」ということが集約的に現れていると感じています。この問題に 対する姿勢を変えることで、ジェンダー平等に向けて大きく前進するのではないかなと思います。
  2. 個人的なことは政治的なことである。
    これは、1970年代にアメリカで掲げられたスローガンです。 これをみなさまにはぜひ、頭の片隅に入れていただきたいです。 日々感じる、言語化できないけどモヤモヤするものを大切にして、そのモヤモヤは実は非常に政治的で 社会問題かもしれないという思考のくせをつけることで、当事者意識も芽生えやすくなると思います。

講師:久保田まもりの感想

1)今回、自分がセミナーを主催することになってどう感じましたか?不安な気持ちもありましたが、最大限このチャンスを活かそうと思いました。
2)準備は大変でしたか?内容を煮詰めるのに時間がかかりました。
3)準備やセミナーで工夫した点を教えてください。伝えたい内容を時間内に入れ込むため、スライドや進行順序を工夫した。そして、非言語コミニュケーションを意識するようにした。
4)セミナーを主催した感想を教えてください。ブレイクアウトルームでのディスカッションで、沢山の気づきをもらった。セミナーを主催する大変さを学び、今後、イベントやセミナーを主催する際に非常に役立つと思う。
5)セミナーの主催は自信につながりましたか?はい
6)高校生に伝えたいメッセージがあれば教えてください。個人的なことは政治的なこと。
日々感じる言語化できないモヤモヤを大切にしてほしい。
7)今後やってみたいことがあれば教えてください。小さくてもいいので、継続的に意見を交換する場を開きたい。

いかがでしたでしょうか?
また今後も積極的に若者発信のセミナーを開催していきたいと思っています。
引き続き、ジェンダーイコールの活動を応援していただけると幸いです。
ありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子

代表田渕がめざまし8…

引用元:FNNプライムオンライン

フジテレビ朝の情報番組「めざまし8」に、NPO法人ジェンダーイコール代表理事の田渕が出演させていただきました!
テーマは「家事格差」
若手歌舞伎俳優の尾上右近さんが「家事格差」の原因となる“名もなき家事”の調査隊となり、田渕の自宅でクイズにチャレンジ。あらかじめ潜ませた5つの「名もなき家事」を探していただきました。

5つの「名もなき家事」

引用元:FNNプライムオンライン

上記5つの家事をあっという間に見つけた右近さん。
歌舞伎の家柄に生まれて、現在ご実家暮らし。お母様が専業主婦で家事はほとんどされたことが無いそうです。
田渕が「家柄が家柄ですし、今後も家事を意識しなくても良いのでは?」とたずねたところ、右近さんは「親の世代まではそれでも良かったかもしれないけど、自分たちの世代は「家事できない」は誰にも相手にされないと思う。意識を変える必要がある。」と回答されました。素晴らしいですね!

家事は「自分ごと」として捉える

放送ではカットされてしまいましたが、右近さんと家事について色々と話しました。
家事は「家」の「事」と書くとおり自分の住む家の基本的な用事。
本来はお風呂に入ったり服を着替えたりするのと同じく、当たり前に「自分ごと」として捉えるものだと思うんです。自分ごとですから、男がやるものとか女がやるものとか決める話ではないと思っています。これは子どもの頃からの教育が重要ですね。

そして、人それぞれに服のセンスが異なるように、家事のやり方も人それぞれです。
同棲や結婚をするということは、価値観の違う他人と暮らすことです。相手のやり方を否定して自分のやり方を押し付けたり、相手に任せっきりにするような意識で良い関係が築けるとは思えません。
逆にお互いで相手を尊重しあい、相手を思いやる行動ができれば、素敵なパートナーシップを持てるでしょう。離婚率も減ると思います。
・・・といった会話をしていました。

スタジオでは“名もなき家事”チェック

スタジオでは、コメンテーターの橋下徹さんと司会の谷原章介さんが“名もなき家事”チェックにチャレンジ!

“名もなき家事”チェックリスト(監修:田渕)
①ベットを整える
②電気を消す
③トイレットペーパー・ハンドソープの補充
④手拭きタオルの交換
⑤お風呂の排水溝のゴミ・髪の毛の除去
⑥お茶を作り置きする
⑦ペットボトルのラベルをはがし捨てる
⑧ゴミ箱のゴミを集め、新しいゴミ袋をセット
⑨キッチンの水気を拭く
⑩裏返しの洗濯物を整える
⑪子どもの食べこぼし掃除
⑫子どもをパジャマに着替えさせる
⑬子どもの爪を切る
⑭子どもの持ち物の記名
⑮宿題や連絡帳のチェック
⑯消毒液の補充
⑰子どもの体温を測る
⑱子どものマスクの準備
⑲身の回り品の消毒
⑳自転車・車のメンテナンス(自転車の空気入れ、車のガソリン補給など)

さて、チェックリストの結果は???
橋下徹さん:②⑤⑦⑮⑳(20項目中5項目)
谷原章介さん:①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑪⑫⑯⑲⑳(20項目中14項目)

ちなみに橋下さんのお子さんは7人、谷原さんのお子さんは6人だそうです。
チェックリストの結果は良い悪いではなく、「名もなき家事に気づくこと」や「パートナーに負担をかけていないか?」を考えるきっかけになれば良いと思っています。

家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」

こちらは、当団体が開発した家事育児分担可視化ツール「ハッピーシェアボード」です。
最後にスタジオで紹介してもらう予定でしたが生放送で尺が足りなくなったようで実現できず・・・
という訳で、こちらで改めてご紹介させていただきます!

HowToハッピーシェアボード

ハッピーシェアボードは、家庭内タスクの「見える化」ツールです。
パートナーと一緒にこのツールを実践することで、「①家事分担のバランス整理」「②名もなき家事の認知」「③やりすぎ家事の見なおし」3つの効果が得られます。

ハッピーシェアボードにチャレンジ!

これまで多数の方にハッピーシェアボードをチャレンジしていただき、毎回ご好評をいただいています。
どんな形でハッピーシェアボードを実践するのでしょうか?
下記、2事例をご紹介させていただきます。

東京都北区議会議員 駒崎美紀氏、NPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹氏ご夫妻

駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
駒崎弘樹さん・駒崎美紀さんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

参議院議員 音喜多駿氏、江東区議会議員 三次ゆりか氏ご夫妻

おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜前編〜
おときた駿さん・三次ゆりかさんがハッピーシェアボード体験!〜後編〜

いかがでしたか?ハッピーシェアボードに興味のある方は、こちらからお問合せください。

最後に・・・

放送終了後、TwitterやこちらのYahoo記事に多数のコメントが寄せられていました。視聴者の関心が高さがうかがえます。
日本はジェンダー後進国のレッテルを貼られて久しいですが、少しずつ国民の意識が高まっているのは間違いないと思います。
さらに意識が高まるよう、引き続きジェンダー啓発に力を入れていきます。

今回、フジテレビさんには大変貴重な経験をさせていただきました。
そして、「家事格差」を取り上げてくださり、本当にありがとうございました!

NPO法人ジェンダーイコール代表理事
田渕 恵梨子

ともに多様性の推進を…

このたび、NPO法人ジェンダーイコールはルルレモンアスレティカジャパン様より、ご寄付をいただきました!

ルルレモンアスレティカ社は、カナダ・バンクーバー発のプレミアムアスレティックウエアブランド「lululemon(ルルレモン)」を提供するグループ企業です。

世界に600店舗以上を展開。日本でも六本木ヒルズ、GINZA SIXや、シックス原宿テラス、ルクア大阪などに店舗があり、ヨガファンであればご存知の方も多いと思います。

lululemon「Tokyo Ginza Six店」

同社は、「インクルージョン、多様性、公正、アクション」のコミットメントを掲げ、さまざまな社会貢献活動に取り組まれています。

一過性でない本物の変化を遂げる約束をします。(ルルレモンジャパンウェブサイト)

• 社会貢献プログラムHere to Be に新たに300万ドルを投入して2020年の年間資金を700万ドルとし、社会的活動、マインドフルネス、一連の運動を通して、心と身体の健康に関する不公平を解消する。追加資金は、アイデンティティや能力によって社会的不平等にさらされている人々の公民権運動や社会的平等に重点を置く組織へ供給する


• 各プラットフォームを活用してコミュニティと交流を図り、多種多様な声をひろめ、コミュニティの行動を支える

このように、理想の社会づくりに向けて強い覚悟とリーダーシップを持たれている素晴らしい企業です。

今回の寄付にあたり、ルルレモン様より下記コメントをいただいております。

gender=様の活動は、男女差別をなくし、平等な社会をこれから実現していくという、これからの社会にとって重要な影響と、変化をもたらすものだと思います。皆様が取り組まれていることは、今まで以上にこの社会で必要とされており、全ての人が本当の意味で幸せを手にできるようにするため、非常に重要な活動です。

先日、ルルレモンアスレティカジャパン社様と、ジェンダーイコール代表理事田渕恵梨子、副代表理事の篠原くるみ、加藤充一でZoomによる顔合わせ会を行いました。

我々NPO法人ジェンダーイコールは「ジェンダーギャップのない社会」を目指して活動しています。

今回の寄付で活動の幅を広げさせていただくと共に、せっかくのご縁で知り合えたルルレモン社様に対しても、コラボセミナーや企業研修の提案なども積極的に行わせていただきたいと思います。

ルルレモン社のみなさま、この度は当団体に素晴らしい機会をいただき、本当にありがとうございます。

ジェンダーイコールは皆さまからのご支援をもとに、これからも「日本のジェンダー問題」を解決し続けていきます。

> ジェンダーイコールを寄付で応援する