アンペイドワークを考える#1 – 世界156カ国中120位!ジェンダーギャップを埋めるためのキーポイントは「女性への期待値下げ」


こんにちは!篠原くるみです。
ジェンダーギャップレポート2021が3月に発表されました。SDGsへの取り組みや、ジェンダーにまつわる炎上事案が話題に上がることもあり、ジェンダーギャップへの問題意識はここ数年で本当に強まってきているなと日々感じています。

さて、みなさんは、ジェンダーギャップの背景には何があると思いますか?ジェンダー平等へのボトルネックとなっているものは何なのでしょうか?
今回は、わたしがジェンダーに問題意識を持ってから考え、試行錯誤しながらも実践してきた「アンペイドワーク(家事・育児などの無償労働)の分担」と「女性の経済・社会的エンパワーメント」の関係、そして、それらを取り巻く社会構造について改めてまとめてみたいと思います(全3回中の1回目)。

ジェンダーギャップを埋めるには?

ジェンダーギャップ指数2021年版、日本の順位は世界156カ国中120位。
昨年の121位(153カ国中)からほぼ変化なしという結果でした。

SDGsへの取り組みが注目され、ジェンダー平等意識の強い人たちが発信してくれることを通して、最近はだいぶ問題が可視化されるようになってきましたね。
ですが、結果に結びつくのには時間がかかることもあるでしょう。女性の閣僚が増えているようには見えないし、総理大臣になりそうな気配もない。企業で管理職のポジションに就いている女性はまだ少数派なのだろうなとも思うし、ジェンダーギャップ指数としては、肌感通りかなという結果だと思います。

ジェンダーギャップ=男女格差を埋めるためには何をしたらよいのでしょうか?
最も効果が出やすそうなこととして、壊滅的にスコアの低い、つまりのびしろの大きい次の4項目、いわゆる「意思決定層」といわれるポジションの男女格差を埋めていくことが考えられます。
(スコアは「男女格差」を示し、0に近いほど男女不平等、1が完全平等)

  • 管理職比率(0.173)
  • 国会議員比率(0.110)
  • 閣僚比率(0.111)
  • 過去50年間の首相在位期間(0.000)

例えば、東大ではこんなアクションがあったようです。

この春スタートした東京大学の新執行部で、理事の過半数が女性になったことが大きな反響を呼んでいる。

東大ブランドの危機、林香里新理事が語るステレオタイプの罠 | BUSINESS INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-232954

男性の先生からも、理事が男性だらけという状況はよろしくないよねという雰囲気ができてきた背景もあり、トップダウン的に人事が行われたそうです。
日本を代表する教育機関として世界の視線を意識し、ダイバーシティの必要性を前提とした上で、まずは踏み切ってみたという事例なのではないでしょうか。

この例のように、政治参画や管理職比率に関しては、トップの判断やクォータ制の導入、アファーマティブアクションなど人事の仕組みを整えることによって、それなりに順位は上がっていくのでは?と思えます。特に、大きな組織ではSDGsに取り組む社会的意義も認識されてきているし、次々に「やってみよう」という流れができてくるかもしれませんね。

では、次にスコアの低い次の項目についてはどうでしょうか?

  • 同一労働における賃金(0.651)
  • 所得(0.563)

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、正社員に限っても賃金格差は男性100に対し女性は77(※2019年雇用形態別賃金 男性正社員・正職員351.5千円、女性正社員・正職員269.4千円より算出)。
このように、男性と女性の収入にはかなり開きがあるというのが現実です。コンビニバイトの時給も新入社員の初任給も、性別による違いはないはずなのに、なぜだと思いますか?

収入格差はどこからくるか

収入格差は一体どこから来ているのでしょうか?
それは、女性が高等教育を受けられないからでも、身体が弱くて体力がないからでもありません。
(高等教育のスコアは0.952、寿命のスコアは1.040で、ほぼ平等)

ここでは、「アンペイドワーク=無償労働」に目を向けてみたいと思います。
アンペイドワークとは、家事・育児・介護など、人間が生きるために絶対に必要なケアワークのこと。アウトソーシングサービスもありますが、家庭で完結する場合、賃金は発生しません。そして多くの場合、キャリアとしてカウントされないものです。
このアンペイドワーク、おそらく多くの人の中で(是非はさておき)男性よりも女性が担うことが多いという共通認識があると思います。

「夫は仕事、妻は家事や育児」のように、性別に基づいて賃金労働と無償労働を分業することを「性別役割分担(分業)」といいます。
家事育児時間の調査からは、女性が働いているかいないかに関わらず、アンペイドワークは圧倒的に女性に偏っていることがわかります。

また、意識の面においても、男性だけではなく女性でも、なんなら若い人たちでも、性別役割分担を肯定する人はそれほど少数派ではありません。

ここでもう一段階掘り下げてみましょう。

「女性がアンペイドワークの多くを担っている」という状態に必然的にセットになってくるものがあります。
それは、「女性は賃金労働を(それほど)しなくてよい」という価値観です。
共働きが増えていると言われていますが、共働き世帯のおよそ半数で妻の年収は150万円以下。妻が500万円以上稼いでいるケースは共働き世帯全体の10%強しかありません。

「するな」ではなくて「しなくてもよい」。もし、「女性は家事だけをして仕事をするな」だとしたら、とっくに人権問題になっているでしょう。しかし、「仕事をしてもいいけどしなくてもいい」だと、なんだか個人の志向や自由意志による選択に任されているように思えますね。
この曖昧な状態がここに潜む問題を見えにくくさせている一方で、ジェンダーギャップを顕在化させ、固定化させる要因になっているのではないかと思うのです。

家事や育児のほとんどを担って、やらなくていい人と同じように稼いでね!と言われたら、それはハードすぎますよね。
だから、女性は家事や育児の主担当になることを前提とした上で、仕事をするなら配偶者控除の範囲内とか、いっても男性の7割くらいでそこそこやってね、というのが「期待値を下げたうえでの落とし所」になっている.. というのが現状なのではないでしょうか。

「それほど働かなくてよい」… 女性への期待値下げは合理的か?

さて、ここまで「アンペイドワークは女性がするものという前提があり、その見返りとしてキャリアへの期待値を下げられている」ことがジェンダーギャップの一因となっているかもしれないと書きました。
ではこの状態、本当にあるべき姿なのでしょうか?

女性は話が長い、子供を何人産むべきだ、と言われたら、それは差別だと多くの人が感じると思います。
では、家事や育児を女性と結びつけることを「女性差別」だと思いますか?これは人によって意見が分かれそうです。
それどころか、「(アンペイドワークを抱えることを前提として)経済的自立への期待値を下げられること」を、むしろ「優遇・配慮」とポジティブな対応のように感じる人もいるのではないでしょうか?
「差別」か「優遇」かを決めることが目的ではなく、社会構造を紐解きながら、「女性に対する期待値下げをするべきか?」について考えていきたいと思います。もちろん個人レベルでは生き方は自由で、結果的にどんな選択をしてどんな人生を生きるかは性別によらず人それぞれ。そのうえで、ジェンダーギャップをなくしていくためには、社会レベルでこの認識合わせをしていく必要があると思うのです。


#1 のまとめ

  • ジェンダーギャップ指数2021、日本のランクは世界156カ国中120位で昨年からほぼ変化なし。
  • 男女格差の極めて大きい政治参画と管理職比率については、組織の動きや制度の整備などでトップダウン的に上がっていく可能性があるかも?
  • 次に格差の大きい収入格差の背景には、家事や育児などの「アンペイドワーク」を女性が担うものだという「性別役割分担」の前提がある。
  • 性別役割分担を現状と照らし合わせると、「アンペイドワークは基本的に女性がするもの」→「そのかわり女性は賃金労働を(それほど)しなくてよい」つまり「期待値を下げられている」と解釈でき、これがジェンダーギャップの一因になっていると考えられる。
  • 女性の経済的エンパワーに対する期待値下げをするべきか?社会レベルでこの認識を合わせていく必要があるのではないか。

#2 『性別役割分担から抜け出すのは超ハードモード!それでも「女性への期待値下げ」がどんな人にも無関係ではない理由』に続きます。

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