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「3歳児神話」の亡霊…保育園は悪? 12年間の追跡調査でわかったこと 母親追い詰める「我慢して当然」 (withnews) – gender=ニュース
withnews 2016/11/9(水) 7:00配信
「小さな子どもを保育園に入れるのはかわいそう」だと、あなたは感じますか? いまだに多くの母親を悩ませている「3歳児神話」。幼い子どもがいる母親が働くと、子どもの発達に悪影響が出るのではないかと、心配する人が少なくありません。お茶の水女子大の菅原ますみ教授(発達心理学)は「子育ての正解は家庭ごとに違う」と言います。今も根強い「神話」について、どう考えればいいのでしょうか?(聞き手・長富由希子)
菅原教授に聞きました
発達への悪影響の心配は日本社会に広くあります。ここ数十年に働く母親が増えた米国など、様々な国で同じ心配がされました。本当に悪影響が出るのか。様々な実証研究がされています。
米国立小児保健・人間発達研究所は、全米の新生児約1300人を1991年から5年間追跡。母親だけで育てた場合と、保育サービスなど母親以外の人も含めて育てた場合とで、子どもの発達に有意な差はなかったとの結論でした。
私が国内の269組の母子を12年間追跡した調査でも、3歳未満で母親が働いても、子どもの問題行動や、子どもに聞いた母子関係の良好さ、母親に聞いた子どもへの愛情への悪影響は認められませんでした。
親が仕事、良い影響も
過去50年間の各国の研究を統計分析をした2010年の米国の研究でも、母親の就労と子どもの学力や問題行動は基本的に関係がなかった。近年では、親が仕事に子育てにと複数の役割を持つと、リフレッシュや成長につながり、子どもにも良い影響を与えるとの研究も出ています。
こうした研究は、母親が子育てをしなくていいといっているわけではありません。子どもには、必要な衣食住を満たし、スキンシップを含めた温かいコミュニケーションを取ってくれる人が必要です。
1歳半ごろからは、社会のルールを学ぶ必要もある。様々な研究から言えるのは、こうしたことを母親だけでやらなくても大丈夫だということです。
「我慢して当然」子どもにも悪影響
一方、発達に悪いと実証されていることがあります。子どもに近い人のメンタルヘルスの悪さです。父母が不安を感じていたり、イライラしていたりすると、子どもに温かく接することが難しくなり、それが子どもの問題行動を引き起こす恐れがあると言われています。
このため、母親が主に子育てをする場合も、母親の「自分の時間」が必要です。「お母さんなんだから我慢して当然」というまわりの意識は母親を追い詰め、子どものためにもなりません。
時代は変わっています。若い世代の年収は減り、雇用は不安定で、年金の先行きも暗い。専業主婦は夫との離死別で生活が苦しくなる恐れが相対的に高い。家計のリスク管理の面からも働く母親が増えています。
家庭によって状況は様々なので、子どもの育て方の正解も家庭ごとに違います。大切なのは、どんな家庭に生まれた子どもでも、その24時間をどうすればつつがなく温かく満たしていけるのか、親や社会が真剣に考え、実現していくことです。
◇
<3歳児神話> 1998年の厚生白書は「子どもは三歳までは、常時家庭において母親の手で育てないと、その後の成長に悪影響を及ぼすというもの」と説明した。欧米の母子研究の影響などを受けて60年代に広まったとされる。白書は、戦前の産業が農業や漁業中心だった時代には母親は働きながら、家族や地域の支援を受けて子育てをしていたなどとし、3歳児神話に「少なくとも合理的な根拠は認められない」として否定している。
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ベビーシッター半額補助 厚労省、17年度に 早朝・夜間の子育て支援拡充
2016/9/30 2:00日本経済新聞 電子版
厚生労働省は2017年度から共働き世帯などが早朝や夜間でも子どもを見てもらえるよう、子育てサービスを拡充する。国がベビーシッターの利用料を半額補助するほか、保育所や小学生用の放課後の児童クラブを1つの場所で一緒に運営できるようにする。待機児童が集中する都市部を中心に子育ての受け皿を整え、女性の労働参加を支援する。
年末までに制度の詳細を詰めたうえで、2017年度に実施する。財源が限られるため、保護者の所得に上限を設ける方向で調整する。保育所では通常、延長保育を含めても夜8時前後までしか子どもを預けられない。朝は7時からの預け入れが多い。
このため夫婦の出勤が時間外の早朝だったり、残業などで開所時間中に迎えに行けない世帯は、近くの保育所で定員の空きが出ても申請をあきらめて待機児童になるケースも多い。
経済的理由で時間外にベビーシッターなどを使えない世帯が増えると共働きを制約し、低収入にもつながりやすい。このため厚労省は17年度からやむを得ない事情で保育所を使えない世帯の時間外保育を支援する。
具体的にはベビーシッターやいわゆる「保育ママ」と呼ばれる家庭的保育などの利用料の一部を補助する。国が利用料の半分を補助し、残りの利用料についても市区町村が独自に上乗せし、さらに補助率を高められるようにする。
民間のベビーシッターを利用する場合、1時間約2000円の利用料が自治体の追加補助も含めると半分以下になる。利用方法としては、自治体が民間などサービスの運営主体と直接お金をやり取りして利用者の負担を減らす案や、クーポン券を利用者に配る案などが浮上している。
現在も最大で1回当たり2200円分のベビーシッター代を割り引く公的な支援制度がある。新たな補助制度はこれとも併用が可能で、ベビーシッター代からまず2200円を引き、残りの半額相当を国が17年度からの新しい制度で補助する流れになる。
厚労省はベビーシッター代補助に必要な財源をひとまず10億円程度と想定している。例えば利用者が毎週1回、2時間ベビーシッターを使う場合、約1万人が対象になる計算だ。
現在、延長保育を利用する子どもは約90万人いて、この一部が新制度を利用するとみられる。厚労省は年末までに具体的な補助額や対象人数を詰める。補助額にも上限を設ける方向だ。
小学生を預かる「放課後児童クラブ」と保育所とを同じ施設で一体運営することも後押しする。「多機能型」と呼ばれる施設で、3歳児~小学生の利用を想定している。
来年度からNPO法人や企業などが運営する多機能施設の整備費の半分を補助。市区町村がさらに上乗せして助成することも可能にする。
保育所にいた子供が卒業すると放課後などに預ける場所がなくなることが多く、「小1の壁」といわれている。多機能型施設を整備することで保育所を卒業した子供でもそのまま隣接した施設で過ごせる。子どもの小学校入学をきっかけにした離職を抑えることにつながる。
厚労省はほかにも、来年度の税制改正要望でベビーシッターを雇って育児と仕事を両立している世帯の税負担を軽くする制度の導入も求めている。今回の早朝・夜間保育補助も併せて使えるようにして中低所得の世帯が共働きに出やすくする。