ベビーシッター半額補助 厚労省、17年度に 早朝・夜間の子育て支援拡充
2016/9/30 2:00日本経済新聞 電子版
厚生労働省は2017年度から共働き世帯などが早朝や夜間でも子どもを見てもらえるよう、子育てサービスを拡充する。国がベビーシッターの利用料を半額補助するほか、保育所や小学生用の放課後の児童クラブを1つの場所で一緒に運営できるようにする。待機児童が集中する都市部を中心に子育ての受け皿を整え、女性の労働参加を支援する。
年末までに制度の詳細を詰めたうえで、2017年度に実施する。財源が限られるため、保護者の所得に上限を設ける方向で調整する。保育所では通常、延長保育を含めても夜8時前後までしか子どもを預けられない。朝は7時からの預け入れが多い。
このため夫婦の出勤が時間外の早朝だったり、残業などで開所時間中に迎えに行けない世帯は、近くの保育所で定員の空きが出ても申請をあきらめて待機児童になるケースも多い。
経済的理由で時間外にベビーシッターなどを使えない世帯が増えると共働きを制約し、低収入にもつながりやすい。このため厚労省は17年度からやむを得ない事情で保育所を使えない世帯の時間外保育を支援する。
具体的にはベビーシッターやいわゆる「保育ママ」と呼ばれる家庭的保育などの利用料の一部を補助する。国が利用料の半分を補助し、残りの利用料についても市区町村が独自に上乗せし、さらに補助率を高められるようにする。
民間のベビーシッターを利用する場合、1時間約2000円の利用料が自治体の追加補助も含めると半分以下になる。利用方法としては、自治体が民間などサービスの運営主体と直接お金をやり取りして利用者の負担を減らす案や、クーポン券を利用者に配る案などが浮上している。
現在も最大で1回当たり2200円分のベビーシッター代を割り引く公的な支援制度がある。新たな補助制度はこれとも併用が可能で、ベビーシッター代からまず2200円を引き、残りの半額相当を国が17年度からの新しい制度で補助する流れになる。
厚労省はベビーシッター代補助に必要な財源をひとまず10億円程度と想定している。例えば利用者が毎週1回、2時間ベビーシッターを使う場合、約1万人が対象になる計算だ。
現在、延長保育を利用する子どもは約90万人いて、この一部が新制度を利用するとみられる。厚労省は年末までに具体的な補助額や対象人数を詰める。補助額にも上限を設ける方向だ。
小学生を預かる「放課後児童クラブ」と保育所とを同じ施設で一体運営することも後押しする。「多機能型」と呼ばれる施設で、3歳児~小学生の利用を想定している。
来年度からNPO法人や企業などが運営する多機能施設の整備費の半分を補助。市区町村がさらに上乗せして助成することも可能にする。
保育所にいた子供が卒業すると放課後などに預ける場所がなくなることが多く、「小1の壁」といわれている。多機能型施設を整備することで保育所を卒業した子供でもそのまま隣接した施設で過ごせる。子どもの小学校入学をきっかけにした離職を抑えることにつながる。
厚労省はほかにも、来年度の税制改正要望でベビーシッターを雇って育児と仕事を両立している世帯の税負担を軽くする制度の導入も求めている。今回の早朝・夜間保育補助も併せて使えるようにして中低所得の世帯が共働きに出やすくする。