【イベントレポート 前編】越境せよ!シンポジウム 〜あらゆる枠を越えて、自分の中にもダイバーシティを!〜


こんにちは!ジェンダーイコール篠原です。
2018年12月16日に、イベント「越境せよ!シンポジウム 〜あらゆる枠を越えて、自分の中にもダイバーシティを!〜」を開催(越境3.0、HIS、勝部元気氏、Rainbow Tokyo 北区 との協賛)いたしました!
イベントの様子を前編・後編に分けてお伝えします(後編はこちら)。

イベント概要
■ 日時:2018年12月16日(日)14:00〜17:30
■ 場所:お茶の水女子大学
■ 主催:「越境せよ!シンポジウム」実行委員会
■ 協賛:越境3.0、ジェンダーイコール、HIS、勝部元気(リプロエージェント)、Rainbow Tokyo 北区

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第1部「ジェンダーの枠を越えよう」/ 勝部元気・ジェンダーイコール
クイズ大会、トークセッション、グループワーク
第2部「国の枠を越えよう」/ 越境3.0
越境3.0 メンバーによるフリートーク
第3部「あらゆる枠を超えて自分の中にもダイバーシティを!」
参加者によるグループワーク・発表
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第1部「ジェンダーの枠を越えよう」/ 勝部元気・ジェンダーイコール

前回のイベントにゲストとして登壇していただいた勝部元気さんがモデレータを務める、「ジェンダーの枠」をテーマにした第一部のセッションです。

1. たられば妄想大会!

まず、グループワークからスタート!
もしあなたに(が)、お金があったら/ 時間があったら / 異性だったら 何をしたいですか?
グループの皆さんでワイワイ話しながら付箋にどんどん思うことを書いていきます!

2. ジェンダーバイアスクイズ

さて、ジェンダーの枠を超えるためには、まずは知らず知らずのうちにわたしたちに影響を及ぼしているジェンダーバイアス(=いわゆる「女らしさ」「男らしさ」などの固定観念に基づく偏った意識)について知ることが大切です。
ここでは、クイズ形式でジェンダーバイアスについて理解を深めていきます。さまざまな事例を見て、ジェンダーバイアスがどこにあるのかを考えます。
クイズの一部を抜粋してご紹介します。

例1: ベビーカー広告 (難易度★★)

これはまあとてもよくあるパターンです。
ベビーカーを押す人、子連れで帰省するのは女性だけなんでしょうかね。

例2: はたらくひと(難易度★★★)
絵本の見開きページです(著作権の都合上加工しています)。

お花屋さん、看護師、保育士は女性。消防士、裁判官、医師は男性。
潔いと言えるほどの職業ジェンダーバイアス、まさしく偏見ですね。これが何も知らない子供たちの目にふれると思うと恐ろしすぎます..
また、「女性が全員スカートを履いている」という参加者の方からの回答もありました。確かにですね。素晴らしい視点です!

例3: ワークライフバランス推進キャンペーン(難易度★★★★)
これはなかなか難しいです!

どうですか?わかりましたか??
「重りをつけただけで妊婦の気持ちがわかった気になっているようだ」などの鋭い回答もありました(全くその通りです)が..
ここでのバイアスは、「知事が妊婦に」→「知事」が「妊婦」になることがありえなさそうなことだ→「知事」=「男性」と決めつけているところにあります。

などなど、全員参加のクイズ大会でとても盛り上がりました!
参加者の方から「始めの方は、なるほどそうなんだ〜という感じだったけど、だんだんどんなところに着目すればいいかがわかってきて、自分で気づくことができるようになった」という感想をいただきました。
そうなんですよね。ジェンダーバイアスはあまりに普通に存在するので、疑問を抱くまでの道のりが長いんです。でも、あれ?なんかおかしいな?という視点で見ていくとおかしなことって本当にたくさんあるんです。
多くの方がそのちょっとした気づきを得ることができれば、偏った表現もどんどん減っていくのではないでしょうか。

こういった不特定多数の人の目にふれる表現とジェンダーの関係については、個人的には鶏が先か卵が先かの問題だと思っていて、両サイドからバイアスをなくすアプローチをとっていく必要があると考えています。
たとえば、「家事を担うのは女性が多いのは事実だから、ペルソナとして家事をする女性像が多く描かれることは合理的だ」という主張もあるでしょう。ただ、逆に考えると、家事をする女性像を多く目にするから子供たちが(大人も?)家事は女性のものだという意識を刷り込まれてしまっているのではないでしょうか。
発信をする側が、「今は実際に家事をするのは女性が多いかもしれないけれど、本来は家族みんなで分け合うものであると良いので、私たちはジェンダーバイアスを取り払った表現をしていきます!」みたいに、意思表示を含めた表現をしていただけるとすごくいいなと思います。

3. アンコンシャスバイアス事例大会

さて、クイズでジェンダーバイアスとはどんなものかを知ったところで、アンコンシャスバイアス(=無意識のバイアス)について考えていきます。自分自身の中にあるバイアス、世の中にあるバイアスを含め、以下のような事例が上がりました。

「仕事で年下の女性がいると「ちゃん」付けで呼んでしまう」
「小学生の子供にいつまでも赤ちゃん言葉を使ってしまう」
「子供がいる友達と会うとき、男友達には聞かないのに、女友達には「今日は子供どうしているの?」と聞いてしまう」

「サービスなどで、カップル=男女のカップルという前提が置かれていること」
これには、勝部さんも本を執筆するときに「恋愛関係」=「男女関係」と括ってしまってよいのか戸惑ったといいます。

「女子会はあるけど男子会はない」という事例も、飲みに行くのは基本的に男性というバイアスがあるから「女子会」というワードが存在するわけですね。「すっぴん」も、女性はメイクをするのが当然だというバイアスの元に存在するワードです。確かに男性には「今日すっぴんだね」って言わないですもんね。
ワードという観点では、現存する言葉そのものが偏っていたり、ある関係性を表現する言葉が存在しなかったりすることもよくあります。世の中全体の前提となるものが、何らかのバイアスを受けていることを反映しているなと思います。

そのほかに、「トランスジェンダーであることを理由にダンススクールへの入会を断られた」「保育士に転職したかったが、40代の男性であるため入学をやんわりと断られ叶わなかった」など、ジェンダーバイアス、アンコンシャスバイアスによって夢や目標を達成する道を断たれてしまったというお話をしてくださった方々もいらっしゃいました。これは今年明るみに出た医大の女子・浪人受験生差別と通じるものがありますね、、
属性によって一括りにして枠にはめて、そこからはみ出したものを排除することって、管理する側はラクなのかもしれません(考えなくていいからね)。でも、とっくに生き方が多様化している社会では多くの損失を生んでいるはずだと感じます。

4. グループワーク

さまざまなバイアスの事例を見てウォームアップした状態で、ここで始めの「たられば妄想大会」でそれぞれ挙げてもらったことに戻ります。
「〇〇だったらこれがしたい」、つまり「今の自分にはこれができない」と思っていることは実は無意識の枠に捉われているからできないだけで、本当はできることもあるのではないか?という視点でもう一回考えてみます。

参加者の方々からたくさんの面白い意見を出していただきました。
「女性になったらIT社長を捕まえる」→「女性経営者を捕まえる」
「女性になったらグラビアアイドルになりたい」→「ムキムキのイケメンになってインスタで発信する」
「女性になったらスイーツの食べ放題に行きたい」→「男だけど別に行きたいなら行けばいい」
「”男性になったらロン毛にしたい” と書いたけど、男性は髪が短いものだというバイアスにかかっていた」という自己分析をしてくれた方もいました。

そして、「自分が男性になったら、男性としてジェンダー差別をなくすための啓発活動を行っていきたい」「女性を対等な人間として見られるようになりたい」といった頼もしい意見も。

また、「なぜさまざまなところで男性・女性に二分されてしまっているんだろう?」という根本的な分析に入ったグループも。身近なところではトイレ問題で、現状日本ではあらゆる性自認の人が気兼ねなく入れるトイレがまだまだ少ないのだとか。この先、東京オリンピック、大阪万博とグローバルな催しが控えるなか、日本社会のジェンダーに対する意識は残念ながらまだまだ世界的に見て遅れているというお考えを話していただきました。

時代に合わなくなってきて、いろんなところでみんなにちょっとずつ窮屈な思いをさせている無用なジェンダーの枠。そこから一歩外に出て、心配事はできる限り減らして、みんなが自由にやりたいことができるようになれば素敵ですよね!

〜後編に続きます〜

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