【メンバーインタビューvol.1】高校生の女性を勇気づけたい!久保田まもり


ジェンダーイコールメンバー:久保田まもりさん(高校2年生)

ジェンダー啓発活動に興味をもったきっかけは?

高校1年生の時に「女子力」「女捨てる」といった言葉を無意識に言っている自分に気づきました。これがジェンバーバイアスだと気づいたことがきっかけで、ジェンダー問題に興味を持ちました。
現在はジェンダーイコールの活動のほか、自分でも高校生向けのプロジェクトを立ち上げています。

性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」とは?

−− まもりさんは、自身で性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」を立ち上げられました。このプロジェクトについて教えてください。

−−− 私たちの社会には「女らしさ」「男らしさ」という性別に固定化されたイメージが蔓延しています。
それが人生の様々な場面での意思決定にも大きく影響し、人々の選択を縛り、また自然体で生きることを難しくしているのではないかと感じています。
日々、メディアやネット広告など女性と男性の非対称性が浮き彫りになっているものをよく見かけることのように、あまりにもそれが当たり前になってしまい気づくことさえ難しくなっているのかもしれません。

私がこのようなことに関心を持つきっかけとなったのは、「女子力」、「女捨てる」、「女らしく」、「女だから」、「女のくせに」等々、メディアや人々から何気なく発されている言葉から社会的に定義された「女性像」があることに違和感を覚えたことです。

自分自身、女性としての生きづらさを感じることが多くありました。私自身性被害に遭ったことがあり、世間で信じられている”強姦神話”など、フェミニズムを勉強していく中で、当たり前に信じられているものが実は男性社会の都合の良いようにつくられた常識であったのだと気づくことができました。

その一方で以前には、「女子力」などの言葉に何の疑問も抱いていなかったり、痴漢に遭った友達に酷い言葉を投げかけたり、被害に遭うことは日常の中で”よくあること”でそれが異常なことなのだと気づいてもいませんでした。
友達が痴漢に毎日のように遭うことがどれだけ辛かったか、あなたは何も悪くない、悪いのは痴漢をした加害者だ、と言うことさえもできなかった自分に今でも強い怒りがわきます。

自分の中の女性蔑視がいかに根深いものかということがフェミニズムに出会い、フェミニストとして生きる中で可視化され、女性差別に慣らされてしまっている現状に気づいてもらいたいという思いが強くなりました。

これらについて問題提起を行うことによりフェミニズムに関心を持ってもらうきっかけとなることを目的として、当プロジェクトを立ち上げました。

高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施

−− 2020年10月、まもりさんは高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施されました。概要を教えてください。

−−− 東京都内の高校に啓発ポスターを届けるためのクラウドファンディング「高校生の女性を勇気づけたい!東京都内の全高校にポスターを届けます。」を実施しました。

私自身にとってもそうであるように、SNSやウェブの世界は日々新しい情報を得たり発信したりするのに一番手軽で身近なものです。しかし同時に、どんな情報もウェブ上では数多くの情報の一つになりがちで、さらにその事柄について関心を持っていない人にはアクセスしてもらうのが難しいというデメリットがあります。

そこで思いついたのがポスターでした。特定の場所(学校)にいる人たちへメッセージを伝えるために、学校の掲示板に貼られたポスターは比較的目に入りやすいのではないかと思いました。

しかし、ポスターにもデメリットがあります。
まずは今回クラウドファンディングに頼ることになった一番の理由でもありますが、紙という素材、印刷の工程、配布の手間にすべてコストがかかるということです。また紙面上は限られたスペースなので、伝えたいメッセージを一枚にまとめなければならない難しさもあります。

そのようなデメリットを承知しながらもやはりポスターで発信したいと思ったのは、「その場にあって目に入る、立ち止まってよく見る、どういうメッセージなのかとじっくり考える」ことができる、ポスターの可能性に期待しました。

周囲の反応は?

同じ高校生や、痴漢抑止活動をしている方、女性団体などから「一緒に活動したい」という声をいただきました。

また、ポスターには、日々様々な角度から女性の権利のために活動している方々のインタビュー動画が見られるQRコードを設置したのですが、その動画向けのインタビューの協力者を募ったところ、7名の方がすぐに快く応じてくださいました。

私のような一高校生の思いに答えてくださった方々には、本当に感謝しかありませんし、それぞれ素晴らしいメッセージをくださったので、それをしっかり届けたいという思いが更に強くなりました。

クラウドファンディングをやってみて感じたこと

クラウドファンディングは、開始2日目頃にSNSで影響力のある方に拡散してもらうことができ、5日目で目標金額に達成しました。

集まった資金で、都内の高校400校の生徒会宛にポスターを送りました。
そのうち、100校ほどから返信をいただきました。
構内にポスターを掲示したり、ポスターの内容についてディスカッションしたことを報告してもらえました。

400校に手作業で送るのは想像以上に大変でしたが、目的達成することができて本当にやって良かったと思っています。
そして、たくさんの方から応援してもらえたことが何よりうれしかったです。

今後さらに取り組んでいきたい問題は?

−− ジェンダー問題は、社会規範から生活のほんの一コマにまで、多岐に渡って潜んでいます。まもりさんは、その中でどの問題に力を入れていきたいですか?

−−− 私自身、性被害に遭ったことから、「性被害をなくす」ことに力を入れたいです。今の日本では「女性の服装に落ち度がある」等、性犯罪に対して被害者側にも問題があると考えるレイプ神話がいまだに根付いています。
このような意識を改めるためのジェンダー教育や、1人1人がジェンダーバイアスに疑問を抱ける社会づくりは非常に重要だと考えています。

今、私はWebデザインを学んでいます。今後はこのスキルを活かして自ら発信していけるようになりたいです。そして、同じ志を持った人と一緒に連帯していて活動を広げたいです。

−− まもりさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

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