DAY2 メイクと …

DAY2 メイクと ジェンダーの関係

2021年8月の夏休み期間に、4人の高校生メンバーが1人ずつ講師になり、全4回に渡って「高校生が伝えたいジェンダーの話」をテーマにしたセミナーを開催します。

メイクは女性だけがするもの?

はじめまして。

NPO法人ジェンダーイコール 高校生メンバーの田中万貴(たなか まき)です。

私はいわゆるコスメマニアで化粧をするのが大好きです。
将来も化粧品に関する仕事に就きたいなと考えています。

しかし、私はある日をきっかけに”メイクは女性だけがするもの?”と言う疑問を持つようになります。

ある日、アルバイト先で店長がメイクをせずに出勤した先輩に対し、化粧をするように指示したのを目にしました。
その際、化粧は強制するものでは無いのではないかと感じました。
さらに、私にそのことを笑い話のように話してきたことに怒りを感じました。
しかし、疑問を感じませんか?先輩に化粧をするように命令している店長自身は化粧をしていないのです。

男性だからしなくていい、女性はしないといけないと言う固定観念があるからでしょうか?

男性のメイクに違和感を覚える人が多いのはなぜ?

疑問をきっかけにいろいろ調べてみると、「化粧は女の身だしなみ」と言われるように、女性が行わないと不快感を与え、逆に男性が行うと不快感を与えるという矛盾した問題があることに気付きました。

「女性だから化粧をしなければならない」という義務感にかられて化粧をする人も少なくないはずです。
そして、男性で「美に興味はあるものの抵抗してしまう」という人も少なからずいるはずです。

メイクにはポジティブな効果がたくさんある

私は、メイクをすることや美を追求するのは人それぞれの自由であると考えています。
メイクには、自己肯定感を高める魔法の力があります。コンプレックスがあればそれを隠すことができますし、「なりたい自分」に近づけることもできます。
メイクをすることによって、ワクワクしたり、自信が持てます。
メイクにはポジティブな効果がたくさんあるのです。

性別に関わらず「メイクを楽しめる社会」をつくりたい

私はメイクが性別に関わらず楽しめる社会になれば、今まで以上に自信を持てる人たちが増えるのではないかと考えています。
そこで、「メイクとジェンダーの関係」というテーマで、セミナーを開催することにしました。

より具体的にみなさまに知っていただくため、2020年にジェンダーニュートラルコスメブランド 「iLLO(アイロ)」を立ち上げられた、株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那をゲストにお招きしてお話しを伺う予定です。

ぜひ多くの方に聞いていただけると幸いです。

みなさまのご参加をお待ちしています!

開催概要

==================================
高校生が伝えたい「ジェンダーの話」
DAY2 メイクとジェンダーの関係
==================================
■日程:2021年8月15日(日)
■時間:14:00〜15:45
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 田中 万貴(たなか まき)
■ゲスト:株式会社コティスエルト 代表取締役 矢野亜也那 様
■定員:100名
■対象:不問
■お申し込み:PeatixGoogleフォーム
■参加費:無料

登壇者紹介

メイン講師
田中 万貴(たなか まき)

高校3年生/NPO法人ジェンダーイコール所属

化粧にはプラスの力を女性に限定せずより多くの人に知ってもらいと思い、ジェンダーイコールで活動中。
ジェンダーに保守的な日本で、ジェンダーに対する潜在意識を破りたい。
将来はジェンダーレスコスメブランドをつくることを目標にしている。

特別ゲスト


矢野亜也那(やの あやな)

株式会社コティスエルト代表取締役CEO

コスプレイヤー専用のメイクアップブランドで働く中、
男性でメイクする人とたくさん出会いそこで男性のメイクの悩みやこだわりが女性と変わりないと気づく。
化粧品売り場に行くと女性のモデルさんや女性向けの化粧品ブランドが当たり前にたくさんある一方、
男性でも買えるようなブランドがないという違和感・気づきから「ブランドを作りたい」と思って会社を起業、
2020年8月13日よりiLLOを発売開始。

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DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

DAY1 高校生が考…

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー!

2021年8月の夏休み期間に、4人の高校生メンバーが1人ずつ講師になり、全4回に渡って「高校生が伝えたいジェンダーの話」をテーマにしたセミナーを開催します。

ままごと遊びの中で当たり前のように台所に立つ女児

はじめまして。
NPO法人ジェンダーイコール 高校生メンバーの加藤心渚(かとう ここな)です。

私の母親は保育士です。そのため、小学生の頃から何度も保育園のボランティアに参加していました。

以前、保育園へボランティアに訪れた際、ままごと遊びの中で当たり前のように女児が台所で料理をしている間に男児が机で待っている姿を見ました。また、男児がおんぶ紐で人形をおぶっていることに違和感を覚えた幼児たちがいました。

その光景を目の当たりにし、幼児の頃からすでに「男は仕事、女は家事」という昔からの固定観念に従い、行動していることがわかりました。

なぜ幼児期ですでにこのような行動を取るのか?

私は、親や保育士など、身近な大人の無意識なジェンダーバイアスが起因していると考えています。
大人は無意識に刷り込まれた「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」というジェンダーバイアスを無意識に子どもたちにも刷り込んでしまっています。

私は、中学2年生の時に生徒会長に立候補しました。 その際、友だちや塾の先生、祖父母から、「女の子なんだから人の上に立つことはやめておいた方が良いよ」、「女の子だから目立たない方が良い」、「生徒会長なんて無理だよ」、「副会長でも良いんじゃない?」といった否定的な言葉をかけられました。肯定的な言葉であっても「女の子なのにがんばるね」・・・。
「女の子なんだから」、「女の子なのに」って何?
自分が女子だからという理由だけで、なんでこんなことを言われるんだろう?
非常にモヤモヤした経験があります。

今、「ジェンダーバイアス」という言葉を知り、冷静になって考えてみると、大人の無意識のジェンダーバイアスが友だちにも伝わり、大人からだけでなく友だちからもこのような発言をされたのではないかと考えています。

乳幼児期のジェンダー

このような経験から、私は今回、「乳幼児期のジェンダー」というテーマで、セミナーを開催することにしました。

より具体的にこの問題を伝えるために、一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様をゲストに招いてお話しを伺う予定です。

ぜひ多くの方に聞いていただけると幸いです。

みなさまのご参加をお待ちしています!

開催概要

==================================
高校生が伝えたい「ジェンダーの話」
DAY1 乳幼児期のジェンダー
==================================
■日程:2021年8月8日(日)
■時間:14:00〜15:30
■場所:オンライン(Zoom)
■主催:NPO法人ジェンダーイコール
■講師:NPO法人ジェンダーイコール 加藤 心渚
■ゲスト:一般社団法人母親アップデート 代表理事 なつみっくす(鈴木奈津美)様
■定員:100名
■対象:不問
■お申し込み:PeatixGoogleフォーム
■参加費:無料

登壇者紹介

メイン講師

加藤 心渚(かとう ここな)

高校3年生/埼玉県出身/NPO法人ジェンダーイコール所属

中学生のときに生徒会選挙に立候補した経験から、ジェンダーに興味を持つようになる。
また、保育園へボランティアに訪れた際、乳幼児がジェンダーバイアスを持っていることに問題意識を感じ、子どもや保護者のジェンダーについて探究をしている。その成果を伝えるため、弁論大会や研究発表会などに出場し、発信活動をしている。


特別ゲスト


なつみっくす(鈴木 奈津美)

一般社団法人 母親アップデート 代表理事/母親アップデートコミュニティ(HUC) 発起人

コミュニティメンバー同士の価値観やつながりをミックスして、科学反応を楽しむ。
2002年日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社。
お客様のIT運用コンサルティングを担当後、マーケティング部門に異動。
企業向けのITソリューションのブランディング、需要喚起などを担当。女性社員コミュニティを運営。
2019年1月に「母親を、もっとおもしろく。」をビジョンに母親アップデートコミュニティを立ち上げる。2020年8月に一般社団法人母親アップデートを設立。
社会との繋がりの中で母親の自律を促し、多様な母親の在り方を認め合う社会と個人へアップデートさせていく取り組みをしている。

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高校生が伝えたい、ジ…

【無料・オンライン】高校生が伝えたい、ジェンダーの話

はじめまして!ジェンダーイコールの高校生メンバーです!

「ジェンダーギャップをなくし、多様性を尊重できる社会」を目指して活動しているNPO法人ジェンダーイコールは、中学生から大学生まで、学生メンバーが多数在籍しています。

高校生メンバーは4人います。

それぞれ違ったジェンダー問題意識をもって、この団体に参加しました。

高校生もジェンダー問題を感じている

しばしば、大人たちから「今の若者たちは、すでに多様性でジェンダー平等になっているよねー」という声をかけられることがあります。

でも、現役高校生の私たちは、たくさんの「モヤモヤ」を抱えています。

最初は「ジェンダー」という言葉があることすら知らず、このモヤモヤたちがジェンダーに関する問題だと気づいていませんでした。

その後、「ジェンダー」について学ぶ機会があり、そのことがきっかけで、「モヤモヤ」が全てジェンダー問題だということに気づきました。

私たちにできることは何だろう?

高校生メンバーで相談しました。

「まずは行動しないと何も伝わらないよね。」
「高校生の間に何かやってみたいよね」

そんな話から、セミナーを開催して、「私たちが感じていることを伝えよう!」ということになりました。

性別・人種・障害・年齢に関係なく、すべての人々が自分の能力を活かしていきいきと働ける社会。
そこにはたくさんのワクワクが待っています。
1人1人が「女だからこう」とか「男だからこう」といった古い価値観を捨て、
あらゆる人がやりたいことにチャレンジできる社会。
個々の選択をみんなで応援できるようになれば、素晴らしい世界になるはずです。

全4回に渡って、「高校生が伝えたいジェンダーの話」をします!

2021年8月の夏休み期間に、4人の高校生メンバーが1人ずつ講師になり、全4回に渡ってセミナーを開催します。

各回の詳細につきましては、下記よりご確認いただけます。

DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー 8/8(日)14:00-15:30
DAY2 メイクと ジェンダーの関係 8/15(日)14:00-15:45
DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す 8/18(水)18:00-19:30
DAY4 “ないもの”にされる性被害 8/22(日)14:00-16:00

お申し込み方法

お申し込みは、イベントサービス「Peatix」もしくは「Googleフォーム」の2種類をご用意しております。

■Peatix

【無料・オンライン】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 │ DAY1 高校生が考える 乳幼児期のジェンダー

【無料・オンライン】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 │ DAY2 メイクと ジェンダーの関係

【無料・オンライン】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 │ DAY3 義務教育からジェンダー平等を目指す

【無料・オンライン】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 │ DAY4 “ないもの”にされる性被害

■Googleフォーム

こちら

参加対象は、中学生以上どなたでもOKです。無料ですので、ぜひ気軽にご参加いただけるとうれしいです。
お会いできるのを楽しみにしています!

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【子育てジェンダー平…

こんにちは!ジェンダーイコールのまさみです。
私は、子育て負担をジェンダー平等に関心があります。
現在、妊娠6ヶ月になりますが、親や友人から「里帰り出産するの?」と、よく聞かれます。職場と実家が遠距離ということに加え、コロナが蔓延している中で、あまり積極的にやりたいと思えませんでした。

そのような中、里帰り出産を知り、メリット・デメリットを知ることで、ちゃんとした判断ができるだろうと思い、里帰り出産について調べてみました。

今回は、自分なりに調べたことをもとに、「里帰り出産の功罪」について書きたいと思います。

はじめに

まずはじめに、里帰り出産とは
「産前産後の間に、妊娠した女性の実家に帰る」
ことです。

日本では、約50.1%の女性が里帰り出産を選択しており、(平成29年度年厚生労働省委託調査)、「メジャーな出産方法」として定着しています。

しかし、「他の先進国には見られない日本独自の風習」であることが研究では指摘されています(1。また、「3.里帰り出産のデメリット」で詳しく紹介しますが、医学的観点からもリスクは否定できないという医師もいるそうです。

本日は、里帰り出産の歴史とメリット・デメリットを述べ、子育て負担のジェンダー平等について考えたいと思います。

里帰り出産の歴史

なぜ、里帰り出産がメジャーなのかを知るため、歴史を見ていきます。

江戸時代にはすでに里帰り出産は定着していたと言われています。

里帰り出産が定着した理由としては、以下のように分析されています。

封建制度の完成,家父長制度のもと直系家族が固定化し,その結果,嫁は一家の労働力としての価値が与えられるとともに,さらに重要な新しい労働力を産み出す価値と義務が与えられた。

当時の嫁の地位は低く,しかし,労働力を期待されていたため,出産前後の数ヶ月間,この期間は労働力として価値が無いこと,産の忌みもあり,婚家ではなく実家で休むことを許されていたと言われている。

(小林、陳,2008)

いきなりのパワーワードで驚くのですが、江戸時代当時、「嫁の地位は低く」、加えて「出産前後の数ヶ月間」女性は、「労働力として価値がない」ことから「実家で休む」(実家に追いやられる)という理由により、里帰り出産が広まっていったということです。

他にも、(論文からのコピペで恐縮ですが、)秋田県では、
婚家で出産すると、二度目から夫が傍にいないと生まれない癖がつく
といって初産は実家に帰ってお産する。

北海道でも,出産は漁夫にとっては特に
産を汚れとして極度に嫌う
ために実家に帰って生むことが多かったということです。そのような価値観のもと、里帰り出産は全国で見られたものであるとも書かれています。
 
これを読むと、江戸時代から、配偶者の男性は、「産む」際に関与することが少なかったと見えます。その理由は、村や周辺コミュニティが現代よりも濃密で、かつ家族近居であることが多く、男親・女親の母や周りの女性と子の母親で育児を行っていた、男性が現代よりも体力を使う労働が多く労働負担を一挙に引き受けており育児に関わる時間がなかったことなども考えられます。
一方、やはり「嫁(女性)の地位の低さ」ということも重大な影響を与えたのではないかと思います。

現在、同世代の女性が仕事も家事も一身に背負っている状況を見ると、「嫁(女性)の地位の低さ」と「労働力として価値がないこと」という旧来の価値観により、「出産」・「育児」・「家事」という行為の価値が低く見積もられているのではないかと思いました。

例えば、私が仕事をしていると、至って普通のことのように「毎日帰ってから晩ご飯作るの大変でしょ」とよく言われます。
私たち夫婦は、家事は一日交代制なので、私が毎日作っているわけではありませんが、ご飯作成担当=私(女性)のように見えるのでしょう。

また、1日交代制であることを伝えると、夫は優しい人だ・すごい人だともてはやされます。おそらく、夫が「やらなくてもよいこと」をやっていると思うから、そのような発言が出るのかなと思います。

現代に入り、ようやく家事・育児はアンペイドワークであるとして認識され始めてきましたが、まだまだメディア表象などは「女性がやって当たり前」・「女性の方が得意である」という視点・価値観を映しているように感じます。

生後直後の育児に関わる重要性

「里帰り出産」に話を戻すと、既に子どもを産んだ友人から話を聞くと、産後直後に乳幼児の世話をするということは、男親の意識に強く関わってくると思いました。
例えば、友人Yは、第一子出産時に里帰り出産をし、産後3ヶ月ほど実家におり、その間は2週間に一度ほど夫が通っていたそうですが、仕事のため立ち会い出産ができなかった事に加え、赤ちゃんが夫に懐かず抱っこをするたびに泣き喚き、お風呂も入れることも寝かしつけることもできなかったため、夫が自信喪失し「親になった実感がない…」と呟いたそうです。

里帰り出産をすると、フルタイムで働く男性は育児に十分に関われません。つまり、里帰り出産で「夫が子育てを手伝えない」環境となり、社会的にも「育児」は女性が主体ですべきものという価値観が根強いため、女性に育児負担が過度に集中するきっかけとなっているのではないかと思います。

里帰り出産のデメリット

これまでつらつらと述べてきましたが、里帰り出産のデメリットを、研究などをもとに3つにまとめたいと思います。

① 医学的側面のリスク

里帰り分娩には、長時間の移動・旅行に伴う問題、妊娠中に経過をみていた施設と分娩する施設が異なることにより発生する医療サービス格差 の問題(特に都市と地域の医療格差)の面から、リスクがあると述べる医師もいるようです。一方、分娩後の障害の有無に、里帰り出産か否かはあまり関係がないという結果が出ています。(小林 由希子、陳 省仁,2008,「出産に関わる里帰りと養育性形成」, 北海道大学大学院教育学研究院紀要, 106, 119-134)

② 夫の育児参画意識が芽生えにくい

生まれてから1〜2ヶ月実家にいることによって、フルタイムかつ実家から距離がある土地で働く男性は、必然的に子育てには携われなくなります。育児をしている友人からよく話を聞きますが、「生後直後」に子育てに携わらなかったことによる夫の育児参画意識の薄さは、生後1〜2ヶ月のことではなく、その子が成長しても続いていくものであると感じます。また、夫は「最も成長が早い乳幼児の時に育児に携われず、成長をそばで見られないのは悲しい」と述べていました。

③ 継続して就労する場合、仕事の支障となる場合もある

②により、夫の育児参画意識が薄くなったことによって、女性の就労にまで影響を及ぼしうると思います。日本では、育児休暇が最長1年認められていますが、その期間が終わり就労する際には、夫の協力が必要になります。②の状態が継続し、夫が育児を手伝わない結果、女性には「仕事」と「子育て」の負担が二つのしかかります。私はこのことが女性のキャリア構築を妨げる要因の一つではないかと思います。

また、コロナ禍においては感染リスクも加わってきます。以上のようなデメリットがあるにも関わらず、「里帰り出産」が定着しているのは、里帰り出産は、「女性が育児の主体であるため」、実家の母親のもと安心して育児ができることが「望ましいもの」・「普通のこと」として捉えられているからではないかと思いました。

つまり、子育ては「女性が主体となってすべきもの」という意識から、「里帰り出産」という手法が一般化しているのではないかと思います。

しかし、現代において、女性は働き、経済的負担を男性とともに担っているパートナーも数多いです。それゆえに育児をはじめとする家庭負担は男性も担っていくべきで、里帰り出産ということを選ぶ際にそうした意識を持つことは必要なのではないかと思います。

里帰り出産のメリット

デメリットを蕩々と述べましたが、里帰り出産にはメリットがあることはもちろん分かります。初産後に何が分からないかも分からない育児を、実母に手伝ってもらえる安心感や気兼ねのなさは、産後うつの予防などからも非常に大事だと思います。

ただ、実家から遠い場所でフルタイムで働き、今後も自分のキャリアを継続させたい私が、自分ごととして考えると、里帰り出産はデメリットがあるシステムであると思うようになりました。私は東京で働き続ける限り、ずっと実家にいることはできませんし、実家から遠く離れた職場でフルタイムで働くためには、実家のサポートより、夫の協力が必要だからです。

個人的には、どこでどのように産むかということは慎重に考えるべきだと思います。それには、夫・実家等の周囲が安易に里帰り出産を勧めないことや、実家が近くにない人でも安心して子育てができる支援・サービスと充実、夫との協力体制の確立が必要だと思っています。

おわりに

以上、「里帰り出産の功罪」でした。次回は「夫の育休取得奮闘記」を書きたいと思います。ご意見がありましたら、ぜひコメントをお願いできればと思います〜!

<参照文献>
1 小林 由希子、陳 省仁,2008,「出産に関わる里帰りと養育性形成」, 北海道大学大学院教育学研究院紀要, 106, 119-134
厚生労働省[三菱URLリサーチ&コンサルティング受託],2017,「妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための 保健・医療の連携体制に関する調査研究報告書」, https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520478.pdf

【メンバーインタビュ…

ジェンダーイコールメンバー:加藤心渚さん(高校3年生)

ジェンダー啓発活動に興味をもったきっかけは?

2019年11月3日開催「外国人ゲストから「ジェンダー平等」について学ぼう」
主催:ジェンダーイコール

高校1年生の冬、母親に誘われてNPO法人ジェンダーイコール主催のイベント「外国人ゲストから「ジェンダー平等」について学ぼう」に参加しました。
このイベントで、はじめて「ジェンダーバイアス」という言葉を知りました。
(ジェンダーバイアス:男女の役割についての固定観念)

自分が過去に経験したモヤモヤはジェンダーバイアスによるものだったんだということに初めて気づきました。
そこから、ジェンダーについて興味を持つようになり、ジェンダーイコールに参加しました。

過去に経験した「モヤモヤ」について教えてください

中学2年生の時に生徒会長に立候補しました。 その際、友だちや塾の先生、祖父母から、「女の子なんだから人の上に立つことはやめておいた方が良いよ」、「女の子だから目立たない方が良い」、「生徒会長なんて無理だよ」、「副会長でも良いんじゃない?」といった否定的な言葉をかけられました。肯定的な言葉であっても「女の子なのにがんばるね」・・・。
「女の子なんだから」、「女の子なのに」って何?
自分が女子だからという理由だけで、なんでこんなことを言われるんだろう?
非常にモヤモヤしました。

−− ここなさんの他にも立候補者はいましたか?

私以外にもう1人、男子候補者がいました。

−− 生徒会長にはここなさんが見事当選されました。選ばれた理由は何だと思いますか?

生徒会長は選挙で選出します。選挙に向けて候補者がスピーチをする機会があり、自分の意気込みを分かりやすく伝えるために、スライドや身振り手振りを使って様々な工夫をしました。また、中学1年生で副会長をしていたので、その実績も評価されたと思います。

−− 当選後、周りの反応はいかがでしたか?

選挙結果が出た時に、もう1人の候補者を応援していた人たちから「調子に乗るんじゃないよ」と言われたり、廊下ですれ違いざまに「◯◯の方が合っていたのに」などと言われました。生徒会長になってからの方が辛かったです。
でも、活動していくにつれ、選挙前に否定的だった友人たちが、当選後は応援してくれるようになりました。うれしかったです。

小学生の時の担任が「人前で話す楽しさ」を教えてくれた

−− ここなさんはなぜ生徒会に興味をもったのですか?

私は小学生時代は人見知りで、人前で話すのが苦手でした。
そんな私でしたが、5-6年時の担任の先生が私を学年委員に推薦してくれました。
学年委員を通じて人前で話す楽しさを知りました。
さらに先生は私の学年委員の活躍を見て「人をまとめることが向いているんじゃない?」とアドバイスをしてくださいました。それがきっかけで生徒会に興味を持ちました。
あの時の先生の言葉がなければ、今の自分はいないと思います。
私の背中を後押ししてくれた先生には心から感謝しています。

論文やスピーチを通じてジェンダー問題を発信中!

私の母親は保育士です。そのため、小学生の頃から何度も保育園のボランティアに参加していました。
以前、保育園へボランティアに訪れた際、ままごと遊びの中で当たり前のように女児が台所で料理をしている間に男児が机で待っている姿を見ました。また、男児がおんぶ紐で人形をおぶっていることに違和感を覚えた幼児たちがいました。その光景を目の当たりにし、幼児の頃からすでに「男は仕事、女は家事」という昔からの固定観念に従い、行動していることがわかりました。

なぜ幼児期ですでにこのような行動を取るのか?

私は、親や保育士など、身近な大人の無意識なジェンダーバイアスが起因していると考えています。

その考えをいろんな人に伝えたいと思い、2020年9月に「少年の主張埼玉県大会」、同年12月に「福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会」にエントリーして「保育環境とジェンダーの関係性」というテーマで発表しました。

福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会

上記は「福澤諭吉記念第59回全国高等学校弁論大会」でのスピーチです。
何度も練習を重ねたので、プレゼンに対する自信がつきました。

通っている高校ではみんなが応援してくれました。
授業でもジェンダーの研究発表会やジェンダーについての論文の時間を取ってくれるようになりました。
友人とジェンダーに関する相談や問題について話す機会が非常に増えました。

自分が行動したことで、明らかに周りの人たちに変化がありました。
これはとても価値のある経験だと思っています。
私は、これからもどんどんこのような大会にチャレンジしていきます。

弁論大会で感じた「ジェンダー問題」

審査員の方が年配者ばかりなのが気になりました。
さらに、「ジェンダーバイアスをなくすために、こんなにたくさんの工夫をしないといけないんですね」とか「大変ですね」など、どこか他人事のようなコメントが多かったのが印象的でした。
年代により、ジェンダー意識にかなりの違いがあるように思います。
公平な審査を実現するためにも、審査員の年代やジェンダーバランスを意識することは非常に重要だと感じています。

これからやってみたいこと

現在、高校生活最後の1年を過ごしています。高校生のうちに何か残したいと思い、ジェンダーイコールの高校生メンバー4人と8月にイベントを開催します。
本記事を読んでいただいたみなさまにもぜひご参加いただきたいです。
そして、来年大学に進学したら、幼児向けにジェンダーに関する絵本やパネルシアターを作って、保育園や幼稚園の子どもたちに直接発信していきたいと思っています。
いずれは起業したいとも考えていて、ジェンダーバイアスを無くすためのものづくり事業を実現したいです。

−− ここなさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

WE ARE HAP…

WE ARE HAPPY WORKERS!(2020年東京都発行)

令和時代の「新しい日常の働き方」として紹介されています。
ビジュアルは今どきですが、性別役割分担感がすさまじいです。男女共同参画社会を目指す東京都の発行物とは思えない見せ方ですね。

【メンバーインタビュ…

ジェンダーイコールメンバー:久保田まもりさん(高校2年生)

ジェンダー啓発活動に興味をもったきっかけは?

高校1年生の時に「女子力」「女捨てる」といった言葉を無意識に言っている自分に気づきました。これがジェンバーバイアスだと気づいたことがきっかけで、ジェンダー問題に興味を持ちました。
現在はジェンダーイコールの活動のほか、自分でも高校生向けのプロジェクトを立ち上げています。

性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」とは?

−− まもりさんは、自身で性差別のない社会を目指す「FEMINISTIC ACTION −高校生の女性に向けたプロジェクト−」を立ち上げられました。このプロジェクトについて教えてください。

−−− 私たちの社会には「女らしさ」「男らしさ」という性別に固定化されたイメージが蔓延しています。
それが人生の様々な場面での意思決定にも大きく影響し、人々の選択を縛り、また自然体で生きることを難しくしているのではないかと感じています。
日々、メディアやネット広告など女性と男性の非対称性が浮き彫りになっているものをよく見かけることのように、あまりにもそれが当たり前になってしまい気づくことさえ難しくなっているのかもしれません。

私がこのようなことに関心を持つきっかけとなったのは、「女子力」、「女捨てる」、「女らしく」、「女だから」、「女のくせに」等々、メディアや人々から何気なく発されている言葉から社会的に定義された「女性像」があることに違和感を覚えたことです。

自分自身、女性としての生きづらさを感じることが多くありました。私自身性被害に遭ったことがあり、世間で信じられている”強姦神話”など、フェミニズムを勉強していく中で、当たり前に信じられているものが実は男性社会の都合の良いようにつくられた常識であったのだと気づくことができました。

その一方で以前には、「女子力」などの言葉に何の疑問も抱いていなかったり、痴漢に遭った友達に酷い言葉を投げかけたり、被害に遭うことは日常の中で”よくあること”でそれが異常なことなのだと気づいてもいませんでした。
友達が痴漢に毎日のように遭うことがどれだけ辛かったか、あなたは何も悪くない、悪いのは痴漢をした加害者だ、と言うことさえもできなかった自分に今でも強い怒りがわきます。

自分の中の女性蔑視がいかに根深いものかということがフェミニズムに出会い、フェミニストとして生きる中で可視化され、女性差別に慣らされてしまっている現状に気づいてもらいたいという思いが強くなりました。

これらについて問題提起を行うことによりフェミニズムに関心を持ってもらうきっかけとなることを目的として、当プロジェクトを立ち上げました。

高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施

−− 2020年10月、まもりさんは高校生の女性を勇気づけるためのクラウドファンディングを実施されました。概要を教えてください。

−−− 東京都内の高校に啓発ポスターを届けるためのクラウドファンディング「高校生の女性を勇気づけたい!東京都内の全高校にポスターを届けます。」を実施しました。

私自身にとってもそうであるように、SNSやウェブの世界は日々新しい情報を得たり発信したりするのに一番手軽で身近なものです。しかし同時に、どんな情報もウェブ上では数多くの情報の一つになりがちで、さらにその事柄について関心を持っていない人にはアクセスしてもらうのが難しいというデメリットがあります。

そこで思いついたのがポスターでした。特定の場所(学校)にいる人たちへメッセージを伝えるために、学校の掲示板に貼られたポスターは比較的目に入りやすいのではないかと思いました。

しかし、ポスターにもデメリットがあります。
まずは今回クラウドファンディングに頼ることになった一番の理由でもありますが、紙という素材、印刷の工程、配布の手間にすべてコストがかかるということです。また紙面上は限られたスペースなので、伝えたいメッセージを一枚にまとめなければならない難しさもあります。

そのようなデメリットを承知しながらもやはりポスターで発信したいと思ったのは、「その場にあって目に入る、立ち止まってよく見る、どういうメッセージなのかとじっくり考える」ことができる、ポスターの可能性に期待しました。

周囲の反応は?

同じ高校生や、痴漢抑止活動をしている方、女性団体などから「一緒に活動したい」という声をいただきました。

また、ポスターには、日々様々な角度から女性の権利のために活動している方々のインタビュー動画が見られるQRコードを設置したのですが、その動画向けのインタビューの協力者を募ったところ、7名の方がすぐに快く応じてくださいました。

私のような一高校生の思いに答えてくださった方々には、本当に感謝しかありませんし、それぞれ素晴らしいメッセージをくださったので、それをしっかり届けたいという思いが更に強くなりました。

クラウドファンディングをやってみて感じたこと

クラウドファンディングは、開始2日目頃にSNSで影響力のある方に拡散してもらうことができ、5日目で目標金額に達成しました。

集まった資金で、都内の高校400校の生徒会宛にポスターを送りました。
そのうち、100校ほどから返信をいただきました。
構内にポスターを掲示したり、ポスターの内容についてディスカッションしたことを報告してもらえました。

400校に手作業で送るのは想像以上に大変でしたが、目的達成することができて本当にやって良かったと思っています。
そして、たくさんの方から応援してもらえたことが何よりうれしかったです。

今後さらに取り組んでいきたい問題は?

−− ジェンダー問題は、社会規範から生活のほんの一コマにまで、多岐に渡って潜んでいます。まもりさんは、その中でどの問題に力を入れていきたいですか?

−−− 私自身、性被害に遭ったことから、「性被害をなくす」ことに力を入れたいです。今の日本では「女性の服装に落ち度がある」等、性犯罪に対して被害者側にも問題があると考えるレイプ神話がいまだに根付いています。
このような意識を改めるためのジェンダー教育や、1人1人がジェンダーバイアスに疑問を抱ける社会づくりは非常に重要だと考えています。

今、私はWebデザインを学んでいます。今後はこのスキルを活かして自ら発信していけるようになりたいです。そして、同じ志を持った人と一緒に連帯していて活動を広げたいです。

−− まもりさん、ありがとうございました!

インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)

主要先進国(G7)に…

 

えりこ
こんにちは。ジェンダーイコール代表の田渕恵梨子です。
先日、「ジェンダーギャップ指数2021」が公表されました。
日本は相変わらず主要先進国最下位です。。。
ジェンダーギャップ指数の公表は2006年から始まり、今回で15年になります。
当時からどのような推移をたどっているのでしょうか?
今回、主要先進国に限定して、2006年から2021年の推移を分析し、変化を検証してみました。
ぜひご覧ください。

ジェンダーギャップ指数とは?


「ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index=GGGI」は、男女格差の度合いを示す指数です。
スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が、男女間の格差を経済・教育・健康・政治の4分野の指標を用いて測定し、毎年公表しています。

スコアは、男性に対する女性の割合で算出されています。
「1.000」に近づくほど、男女格差が少なく、「0.000」に近づくほど、男女格差が大きいことを示します。

日本の順位は?


2021年3月31日、「ジェンダー・ギャップ指数2021」が公表されました。
日本は156ヵ国中120位。
前回の「2020」では、日本は153カ国中121位で、過去最低を更新しました。
順位だけで見ると、今回は120位なので、1ランク改善しているように見えますが、参加国が前回より3ヵ国増えています。
ですので、割合で見ると前回よりも順位が後退したことになります。


15年前、日本は「79位」だった


ちなみに、2006年測定開始当初の日本の順位は115ヶ国中79位でした。
当時より参加国が41ヶ国増えているとはいえ、割合では10位ぐらい後退しています。

主要先進国(G7)のスコア推移


上記グラフは、主要先進国(G7)の全体スコアについて、2006年から2021の毎年の推移を表したものです。1番下の赤色が日本です。

繰り返しますが、スコアは、男性に対する女性の割合で算出されています。
「1.000」に近づくほど、男女格差が少なく、「0.000」に近づくほど、男女格差が大きいことを示します。
2021年の日本の全体スコアは「0.656」でした。

内容をよく見ると、2006年の全体スコアで、0.7以上の国と、0.7未満の国とで分かれていることがわかります。

0.7以上は4ヶ国(ドイツ、イギリス、カナダ、アメリカ)です。「優等生組」と名付けましょう。
そして、0.7未満の国は3ヶ国(フランス、イタリア、日本)です。こちらを仮に「落ちこぼれ組」とします。


上記は、2006年と2021年でのスコアの変化(伸び率)を表したものです。
伸び率のトップ2は落ちこぼれ組だったフランスとイタリア。どちらも2021年でスコアが0.7以上となり、優等生組に追いつきました。
日本だけが落ちこぼれのままです。

分野別スコアで見る「落ちこぼれ組3ヶ国」の変化


次に、落ちこぼれ組3ヶ国の分野別スコア(経済・教育・健康・政治)について、2006年と2021年の変化を見てみましょう。
2021年がピンク、2006年がグリーンです。


フランスは、教育分野のスコアは2006年の時点で1.000で「完全平等」でした。2021年も変わっていませんので横ばいです。
健康分野のスコアは2006年から若干下がっていますが、気にするレベルではないと思います。
経済と政治分野は大幅に改善されていることがよくわかります。


イタリアもフランスと同様、教育分野のスコアは横ばいです。
健康分野のスコアも同じく若干下がっていますが、こちらも気にするレベルではないでしょう。
経済と政治分野はフランスほどではないものの、大幅改善されていることがわかります。


日本。経済分野が若干改善されたものの、他の分野はすべてマイナスです。

まとめ


今回、主要先進国7ヶ国に注目して、データを分析・検証しました。
日本は、15年前と比べて全体スコアがたった0.01しか改善していないという残念な結果となりました。分野別スコアで見ても、経済分野以外はすべてマイナスです。

2006年、日本と同じ落ちこぼれ組だったフランスとイタリアは15年間でがんばって改善し、優等生組の仲間入りをしました。
なぜ日本だけが改善できないのでしょうか?
「そもそも改善する意思が無い」と捉えられても仕方ありません。
これって、ただの怠慢では?

改善策はいくらでもあると思います。しかし、15年前とほぼ変わらないジェンダーギャップのある状況下での即時改善は容易ではありません。
意識の変わっていない大人たちに「意識を変えよう!」と声高に叫んでも非効率です。
とはいえ、せめて、日本の未来を背負う次世代の若者たちに、我々大人の古い価値観を押し付けるのはやめませんか?それ位の意識は持ちたいものです。

そして個人的な意見ですが、改善策としては、教育分野を見直すことが最も重要だと考えています。この件については、来週公開予定の別記事にて詳しく書きましたのでそちらをご覧いただければと思います。

今回の記事を読んで、みなさまはどう感じられましたか?
コメント欄に感想をいただけるとうれしいです。


ありがとうございました!

失言報道から政治を考…

「ジェンダー」というものを学び始めてもう少しで1年になる。そもそも私の専門は政治社会学であった。ではなぜ、1年前からジェンダーを学び始めたのか。それは、日本の政治分野における女性の比率が、他の先進国に比べて著しく低く、依然として、旧来の日本の制度や慣行が政治分野をはじめ、身近な日常生活の場でも蔓延っていることを目の当たりにしてきたからだ。

前半は多くの人にとって身近なSNSを例に、後半は政治と女性についての問題提起をしながら考えてみたい。

ネット上での情報の拡散と錯綜

近年のメディアは、政治家の失言を取り上げて世論を操作する傾向にある。報道された失言の内容を詰め込んだ記事や、それに対するあらゆる人の個人的見解はSNS上で拡散され、テレビで流された映像も同様に切り取られてSNS上で拡散される。特に、Twitterでのリツイート数はすさまじく、またたく間に日本中、そして世界中に発信されている。

テレビや新聞といった媒体を用いずに、SNSだけで日々の情報収集をしている人はどのくらいいるのだろうか?誰かのツイートに対して疑いの目を向けずに、そのまま鵜呑みにしている人はどのくらいいるのだろうか?ネット上の事実らしきものを裏づける根拠探しをしている人は、どのくらいの割合でいるのだろうか?


私はSNSの利用や、SNSでの情報収集を否定するつもりはない。ただ、正確な情報収集を行った上で、日々目の前を過ぎ去っていく膨大な話題に対して、自分なりの見解や疑いを持ってほしいと思う。「政治家はみんな嘘つきだ!」「政治家は何もしてくれない!」と、勝手に、一方的に決めつけてしまう前に。個人的には、自分の地元の政治家でもいいし、何となく気になっている政治家でもいいから、“推しの政治家”を見つけておくことをおすすめする。その人たちが日々何をしているのか、政治家ウォッチャーとして政治をみる目をやしなうのも一つの手だ。

政治家の発言にせよ失言にせよ、切り取られた部分がその場で起こった全ての出来事ではないことは、すでに多くの人は知っていることだろう。しかし私たちは、知らず知らずのうちに、指一本で確かかどうかわからない情報を別の人に流し、拡散するという行為に至っている、というのもまた事実である。時短や効率化といったものが重視されているとはいえ、「みんなが拡散しているから自分も拡散しよう」「いいねの数が多いから、とりあえず自分もいいねをしよう」といったSNSの使い方をしているならば、少し立ち止まってみてほしい。「この情報は本当なのか?」「誰がどの文脈で言っているのか?」ということを意識しながらSNSを利用しているだろうか。時間があるときには、リアルタイムで国会中継を見てみると面白いかもしれない。

失言によるジェンダー問題の浮上

現在進行形で、政治家やその関係者が失言を繰り返すことにより、(いまさら)ジェンダー問題が日本社会に浮上し、認知されるきっかけとなっている。より良い暮らしを実現させるために市民の意見を聴き、政策を実現していくのが、本来の政治家の活動であり仕事である。だが、ここ数か月の政治家や関係者の発言をニュースのなかで見聞きしていると、「政治家の仕事とは・・・?」という疑問が浮かび上がってくる。

「13歳のハローワーク公式サイト」の人気職業ランキング(2021年1月時点)によると、1位はプロスポーツ選手、2位は薬剤師、そして3位は、ここ数年で上位の常連となっているYouTuberだ。

人気職業ランキング(2021年1月)【13歳のハローワーク 公式サイト】

そして政治家はというと、62位の不人気状態となっている。今の政治家を見て政治を志そうとする若者が少ないのは無理のない話である。

きっかけは何であれ、ジェンダーに関する不適切発言が世間を盛り上げていることに変わりはない。遅ればせながら、「ジェンダー」そのものへの市民の関心は高まってきている

性別に関係なく人間は平等であるにもかかわらず、一国の上層に位置する人物が女性蔑視の発言をすることは異常である。本来なら、世界の先進諸国と同水準のジェンダー観を持たなければならないし、ジェンダー教育が当たり前に行われていなければならないが、日本のジェンダーに対する水準は明らかに低いというのが現状である。

世間は女性の政治参画を期待しているのに

2019年9月、内閣府は「女性が増える方がよいと思う職業や役職」についての世論調査を実施した。

男女共同参画社会に関する世論調査 – 内閣府HP


このデータから、企業の管理職に次いで、国会議員・地方議会議員が、世間的にも求められている女性の職業であると言える。求められてはいるものの、なりたい職業ではない。求められてはいるものの、依然として日本では多くの女性が政治の現場に加わる機会が少ない。

多くの人が女性の政治家が増えることを期待しているにもかかわらず、なぜ実現しないのか。その理由の一つに、いわゆる「古い」日本の制度や慣行により、今日まで、女性とっては非常に参入しにくい構造のままの政治が維持されていることが挙げられる。さらには、政治を行う上層部の人間が女性の介入を許さない(「政治は男性が行うものだ」という、古すぎる考え方を曲げることができない?)のも現状だろう。

男性が中心となって行う政治は明らかに時代遅れである。女性が積極的に政治に関わっていく、女性ならではの経験を生かして、これまでになかった新たな政策を打ち出す。その環境を整えていくことがまさに、今の政治やひいては男性の政治家に求められているのではないのだろうか。残念ながら、「女性も頑張ってほしい」という声のみでは、女性が政治家になることは難しい。少なくとも、一定の男性(政治家)による支援は不可欠である。ただでさえ女性に厳しい社会のなかで、そして女性の参入が最も遅れている政治のなかにおいて、どんなに意欲があっても、女性のみで活動することには限界がある。そういった場面に出くわした男性(政治家)は、果たして女性に手を差し伸べてくれるのだろうか?これは、日本社会全体に通ずる問いかけでもある。

なぜ今の日本社会は女性に厳しく、男性が優遇されがちな環境になっているのだろうか。周知のように、男性が主体となって、政策、法律、制度をつくってきたからである。そこに女性が参入するのは、それほど難しいことなのか?女性の視点で社会を変えていくのは、それほど不都合なのか?なぜ男性主導で社会をつくろうとするのか?なぜ女性を飾り物として扱うのか?女性の会議が長いことの何が悪いのか?

多くの政治家や関係者の方々に問うてみたいことは、それこそ山のようにある。


紀本知都子
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。政治とジェンダーを中心に学んでいる。
政治の意思決定の場における女性参画の機会が少ないことを問題視し、ジェンダー平等の観点から誰もが生活しやすい社会を目指して活動中。

北区都議補選ポスター…

こんにちは!篠原くるみです。
2/20(土)に、北区議会議員のうすい愛子さん(立憲民主党)・せいの恵子さん(日本共産党)とジェンダーイコールの共催で「北区都議補選ポスターから考えるジェンダー学習会Part2」を開催しました。
講師は、弁護士で「これからの男の子たちへ」の著者である太田啓子先生。
オンラインでの開催になりましたが、約30名の方に参加していただきました。

※この学習会は、北区内外で注目を集めた “アベノマスクブラポスター” について、「表現の自由だから OK」「女性が性的に見られる表現は NG」で片付けるのではなく、背景や問題点を整理して、ジェンダーに問題意識を持つ人が自らの「言葉」の獲得に繋げられるよう参加者の皆さんと考えていくイベントです。

男の子を育てる親として/弁護士としての問題意識

太田先生は、小学生の息子さん2人を育てられています。
子育てをするうえで感じる問題意識を次のようにまとめられていました。本当に全部あるあるですが、よくよく考えるとまずい.. それも、全部自分が子供のときからずっとあったことです。

  • 「男子ってバカだよね」問題
    女の子なら「やめなさい」と言われる問題行動を、「男子はバカだから仕方ない」で片付けられてしまうことが多いのでは。
  • 「カンチョー放置」問題
    身体への攻撃はれっきとした暴力・性暴力であるのに、問題が矮小化されている。最近はなくなってきているが、スカートめくりも同様。
  • 「男子は好きな女子に意地悪しちゃうもの」問題
    行為の有害性を「好意」でスルーしてしまう。好きイコール意地悪するって、原因と結果が繋がっていないし全然理由になってないですよね..

それから、弁護士として離婚問題を扱ううえで、やはり経済力を持ちにくい女性の立場が弱いことが多く、マクロの構造がミクロにスライドし性差別が凝縮していると感じるそうです。また、生まれながらに差別をしている人はいないけれども、根拠のない性差別的価値観を内面化している男性が多く、「40年前からやり直して..!」と感じることが本当によくあるということでした。
男の子の親として、ご自身が男性の人生や価値観を預かる立場になり、「差別構造へのぶつかり方が男女で違う」と感じ、性差別を無くすためには子ども時代からの教育が必須では?と考えるようになったそうです。

大ヒットとなっている太田先生の著書「これからの男の子たちへ」。男の子のいない親であるわたしでもとても納得することや勉強になることがたくさん書かれていて、どんな人が読んでも気づきがある本だと思います。
著書の中で先生がこれからの男の子たちへ伝えたいことは、次の通りです。

  • 男らしさの呪いから自由に生きてほしい
  • 男性の持っているマジョリティの特権を理解した上で、性差別に抗ってほしい

「有害な男らしさ」とは?

(前略)1980年代にアメリカの心理学者が提唱した言葉です(英語では Toxic Masculiniity)。社会の中で「男らしさ」として当然視、賞賛され、男性が無自覚のうちにそうなるように仕向けられる特性の中に、暴力や性差別的な言動につながったり、自分自身を大切にできなくさせたりする有害(toxic)な性質が埋め込まれている、という指摘を表現しています。

「これからの男の子たちへ」より抜粋

少年漫画でもわりとそんな感じのキャラが多い気がするし(アイコンとして描写しやすいのでしょうが)、無鉄砲賞賛みたいな感じですかね..
もちろん問題を乗り越えていく強さは必要ですがそれは性別によらないはずだし、他者に対して支配的・暴力的になったり、女性を必要以上に弱者扱いしたり、「男らしさ」のレールに乗らないキャラの男の子が生きづらくなるといった弊害が大きそうです。

「女の子には優しくしなさい!」も子供と関わっているとよく聞くワードです。なんだかジェントルマン教育みたいに聞こえますが、これもだいぶ怪しい教えだなぁと常々思っていて。
じゃあ男の子には優しくしなくていいの?だし、もっと裏を読めば、「女の子」の枠に嵌らない女性=自分の期待する女性像に当てはまらない女性(=「わきまえない女」!)には暴力的になったとしても相手が悪いのだから仕方がないという思想に繋がるのではないかという危険性を感じます。
そもそも「人には優しくしなさい」だし、もっと言うと「植物とか動物とか地球とかの万物を含めた他者に優しくしなさい」なんですよね。

このトピックに関して、素敵な動画を紹介してくださいました..!

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都議補選ポスターの問題点

まず現状、法的に当該ポスターを禁止することはできません。

  • 公職選挙法上は問題なし
  • 猥褻にも当たらず、取り締まれない

その上で、何が問題であるか。
違法じゃなかったら何をやってもいいのか?というとそんなことはなくて、

  • 公共空間におけるゾーニングの問題
    第一回目の講師を務めてくださった西山先生は「立候補者本人の意思は関係なく、見ざるを得ない市民への強制ポルノ(イメージ)視聴、強制的ポルノ共有の問題と思います。」とコメントしてくださいました。また、嫌煙権と同じように嫌ポルノ権も必要なのでは、というご意見もありました。
  • 女性性全体に対する侮蔑を助長する可能性
    女性蔑視的な表現は、このポスターだけでなく社会に溢れています。コンビニに置いてあった雑誌はオリンピックのおかげで無くなり、SNS炎上によって性差別的な広告は格段に減ってきつつありますが、新聞や電車の中吊り広告ではまだまだ女性蔑視的な表現がされています。

ではわたしたちは何ができるのか?それは、「社会通念を作っていくこと」であると先生は話してくださいました。性差別的な表現を面白がる人たちがいなくなれば、作る人もいなくなるということです。

1975年、某食品メーカーがインスタント食品のCMで「私作る人、僕食べる人」という表現をし、「行動する女たちの会」が抗議をし、放送が中止になりました。また、最近では、週刊誌の大学ランキングで女性差別的な表現があり、当該の大学に通う女子大学生が出版社へ直接抗議をするといったことがありました。
ハラスメントや性暴力を「面白がる」風潮は「認知を歪め」ます。社会全体として自分が当事者であるという意識を持ち、差別をなくしていく行動をすることが大切です。

差別や性暴力に対して第三者ができることとは?

明らかに目の前で犯罪が起こりそうならこっそり助けを呼ぶ、とかはできるかもしれないですよね。
じゃあ、日常に転がっている仲間内での「性差別的価値観」への同調圧力に対してどう対応できるのか?
すぐに「違うよ」とは言えなくても、同調圧力に対して「笑わない」など、「問い」を自らの中に持っていることが第一歩だと先生は仰います。

太田先生の紹介してくださった動画を共有します。男性向けとして作られている動画ですが、それ以外の目線で見ることもできると思います。
うーん、行動するって難しいですよね!だけど、こんな時自分だったら何ができるか?と一人一人がイメトレすることで、少しずつでも社会は変えていけるのではないかと思います。

あなたは誰を助けますか? 海外CM日本語字幕 Who will you help?
#ActiveBystander =行動する傍観者

男の子は確かにかわいい!だけど。

学生時代、男子がいわゆる男子ノリでふざけてるのを見てて微笑ましいと思っていた記憶もありますし(中学の時クラスの男子が人が3人くらい入る落とし穴を掘っていたとか..)、その空気感をコンテンツ化しているYouTuberなんかは確かに面白いと思います。

うちには男の子がいないし、自分にも男兄弟がいないので、あまり身近に「男子」を感じたことがないのですが、子供のお友達を見ていても男の子はいつまでも無邪気で本当に可愛いな〜と思います。
ですが、ジェンダーギャップのことを考えるようになってからは、「ふざけて」「おバカをやることが許されている」男の子の方が、我が子(女の子)よりも社会的な期待値がはるかに高いんだよな、、と考えてしまい正直モヤモヤしてしまう側面もありました。
なので、太田先生が「男の子はおバカで可愛い」をジェンダー差別・格差と結びつけ、しっかり言語化して問題点を整理し発信をしてくださっていることがすごく頼もしいと思いました。

「性別なんて関係なくて、誰でもやりたいことを実現できるんだよ」と子供達へ伝えることも大事ですが、それだけでは不十分で。
今はジェンダーによってこんな問題や社会的抑圧があるから、それぞれに応じた乗り越え方をしていかなくてはいけないと伝えることも本当に重要だなと改めて感じました。