ウガンダのジェンダー観って? – Uganda レポート Vol.1


こんにちは!佐々木里穂と申します。
私は2019年3月からアフリカ東部のウガンダ共和国で暮らしています。
初めてこういった形で自分の言葉を発信する機会をいただいたので張り切って書いていこうと思います!!
つたない部分もあるかとは思いますが最後までお付き合いいただければ幸いです。

~はじめに~

最初に少し私自身のことをお話させていただきます。
私は日本の大学に通うごく普通の大学生です。大学では英米文学とジェンダー研究を勉強しています。アフリカに特別思い入れがあったわけでもないですし、そもそも1年前の私は今のウガンダでの生活を想像すらしていなかったと思います。

では、なぜ普通の女の子の私がここに来ることを決めたのか。

エンテペ上空から

私はここウガンダに、ある奨学金団体の海外研修制度を利用して来ました。
ちょうど昨年のこの頃に海外研修制度のこと、ウガンダという国のことを知りました。
日本ではメディアがほとんど目を向けることがないアフリカという地域、社会がもはや目を向けることを拒んだ場所、私の知らないことがたくさん詰まった世界の話を聞くうちにだんだんと惹きつけられていきました。
特に私が興味を持ったのがHIVによって親を亡くした子供たち、自分の力では働くことができない女性たちの話でした。
私がこの問題に無関心ではいられなかったのは、大学でジェンダー研究を勉強していたことと、私が同じような境遇で育ってきたことが関係しているからだと思います。私は4歳で父を亡くしその後は母子家庭で育てられました。家事・育児そして仕事を担う母の姿を近くで見ながら、女性が生きにくい社会というのを幼い頃から肌で感じてきて、発展を遂げた日本という社会の中で取り残されていく弱者を放ってはおけないと常々から考えてきました。

自分も経済的弱者として生きてきた中で、“支援”という言葉にずっと疑問を抱いてきました。お金で支援する方法は一般的で一番簡単な方法だと思います。しかし一時の金銭的な援助では物事の根本を解決することはできません。
実際に自分が最初に抱いた興味に基づいてまずは知ること、そして何ができるかを模索することをしたいと考え、支援者という形ではなく一研修生としてこの地に来ることを決めました。

ウガンダでは女性の権利向上に向けた活動やジェンダーイクオリティーを考えるための活動を行っています。ここにきて早4カ月が経ちますが、毎日が新しい発見と学びの連続です。今回は暮らしの中に見えるジェンダーギャップについて私が感じたことをお話ししようと思います。

~ウガンダのたくましい女性たち~

現地で4カ月間生活し、ホームステイなどを経験したことで何となく生活のリズムが男女で大きく異なるなと感じました。私が特に驚いたのは女性がこなすタスクの多さです。女性は朝早くから夜遅くまでたくさんの仕事に追われています。
まずは家族のご飯を用意すること、そして子供を幼稚園に送り迎えすること、家族全員分の洗濯物を手洗いすること、家の中をきれいにすること…。
この時点で相当な仕事量をこなしています。
しかしこれらのタスクに加えてウガンダの多くの女性が家計を支えるために夕方5時くらいから夜中の12時まで夜の市場に働きに出かけます。

私はHIVによって夫を亡くしたシングルマザーの家庭でホームステイを体験しましたが、そこでもお母さんが休んでいる暇はほとんどありませんでした。帰ってくるのも深夜にもかかわらず朝は子供たちよりも早く起床し朝ご飯の準備をしていました。お母さんが出かけてしまったあと姉弟たちはみんなで協力しながら夕ご飯の支度をしたり、年上の子が小さい子の面倒を見たりしている姿が印象的でした。

ご飯の支度をする11歳の女の子

ウガンダでは現在でもHIVが大きな死因の一つとなっており、パートナーを亡くす女性が少なくありません。その場合女性はたった一人で一家十何人を養わなければならないのですが、慣習である早婚や経済的な理由から教育を十分に受けられなかった女性も多く、安定した収入を得られる働き口を探すのが非常に困難なのです。
それによってシングルマザーの家庭ではお母さんが幼い子供達を家に残して夜出稼ぎに行かなければならないという現状があるのです。
しかしこれはシングルマザーのみに関わらず、ウガンダのほとんどの女性に当てはまります。ウガンダでは道端で小さなお店を開いている人が多く、野菜や果物、ちょっとした日用品はそういったところで手に入れることができます。こういったお店の切り盛りするのもほとんどが女性です。
大きなスーパーマーケットのレジ打ちも男性がやっているところは見たことありませんし、以前女性従業員がおらず男性従業員にレジ打ちをやってもらったところ通常の二倍の時間がかかりました。女性はこうしたところでも戦力となり自らの家庭だけでなくウガンダの経済を支えているのだなと感じました。

ワキソ県ナンサナ町のある市場の様子

ウガンダの女性、本当にタフです。
私がもし同じ立場だったら1日で根を上げると思います。
女性たちはこのような目の回るような忙しい毎日に不満を抱かないのだろうかと日常の中で働く女性を観察したり実際に話を聞いてみたりするのですが、彼女たちから負の感情が伝わってくることはほとんどありません。
彼女たちが今の生活に十分満足しているから?最初はそう思っていましたが、話を聞くとそれとは逆の答えが返ってきました。決して今の暮らしに満足しているわけではないけれど外の世界にさほど興味もないようでした。

彼女たちは心の中に何か不満を抱えていてもそれを言語化し発信するツールも、そもそもの考え方も知らないのです。それはやはり早くに結婚することで十分な教育が受けられなかったことが大きく関係していると私は思います。教育を受けることができなければ社会を知る機会も同時に奪われることになります。暮らしの範囲や知識が少ない分周りの環境を知る手立てがないため、「今の暮らしに完璧に満足しているわけではないけれどこれが周りと同じだから“普通”である」という感覚になってしまうのだと思います。

Women’s Day Nansana Divisionにて

~男性の生活サイクル~

女性がかなり忙しい毎日を送る中、男性は何をしているのか。
仕事をしている男性ももちろんいる中、ウガンダには“何もしていない男性”が多いような気がします。
例えば日本では家庭を持った男性で配偶者が家庭のことをしてくれるなら、多くの男性は働くという決断をし経済的に一家を支えると思います。日本で男性が働かないという選択肢はめったにありません。しかしウガンダの男性には働かないという選択肢があるのです。

仕事中ボードゲームをするセキュリティの男性

ウガンダの男性が働かない、あるいは家事も育児もしない理由は彼らが執拗に女性に依存していることだと思います。
働かない男性は何もせず家にいても女性がご飯を作ってくれます。子供たちのお世話は女性がしてくれます。夕方になれば女性が仕事に出かけて勝手にお金を稼いできてくれます。昼間からお酒を酌み交わしチェスや賭け事にいそしんでいる男性も少なくありませんし、実際そういう場面には何度も出くわしました。個人的な意見ですが、女性の働きぶりに比べるとこういった男性は本当にカチンときてしまいます笑
彼らと話していて日本人のように勤勉なタイプではないのかと思いました。上昇志向が強いわけでもなく、マイペースな人が多いように感じます。

男性が働かなくなってしまう理由の根本にも教育が関係していると私は思います。
ウガンダの男性にとっての問題は職の選択肢が極端に少ないことです。男性でも大学までの高等教育を受けることは難しいと言われています。高等教育を受けてきた人は都心部やその近くのオフィス街で安定した職を得ています。しかしそうでない男性、学校に通えなかった人や途中でドロップアウトしてしまった人が就ける職種というのはタクシードライバーや道端の露店、小さな商店の店主がせいぜいです。
月の収入が100ドル前後の人がほとんどで、家族を養うために女性のみならず子供が働き手になる場合が多くあります。安定した職が少ないことで教育費が払えないことは負のスパイラルを生み出します。まずはLazyさを捨てて、何でもいいから何もしない状況から抜け出してほしいと思います。

道端で露店を営む男性

~ウガンダは生きやすい国?~

女性は日々の負担が大きすぎること、男性は職の選択肢が少なすぎること…
男女ともにこういった問題を抱えているウガンダ。しかし不思議と日本にいた時のような“生き辛さ”は感じられません。女性の権利が男性よりも軽視されていると感じますが、これはウガンダに関わらず世界中の女性が直面している事実です。ただ日本と大きく違うのは男女がお互いに干渉しすぎず、自分の生きたいように生きていることです。これは男女にかかわらず、多くのウガンダの人々に共通する点だと思います。もともと男性は出世しなければならないとか、女性は美しくなくてはいけないとかそういった社会の固定概念から生まれるプレッシャーが少ないように感じられます。他人と自分を比べて悲観することもなければ特に他人をうらやましがることもなく、いい意味で人々が互いに無関心なのかなと思いました。

海外から日本を見るというとても貴重な体験をしていて、客観的な目線からここおかしいなと思うところや、生き辛いなと思う面があります。
特に女性が社会に声を上げることに女性自身が消極的であったり、社会全体がそれを抑圧しようという風潮が見て取れます。
女性が女性のために声を上げることによって男性は何一つ不利益を被らないのに女性だからという理由で執拗に非難する男性も見受けられますし、女性が女性を攻撃することも少なくないような気がします。
なんというか、出る杭を積極的に打つ風潮にありますよね。
個性や考え方が理解・尊重されにくい社会なのだなと改めて感じています。

その点ウガンダはとても生きやすい国だなと思います。せわしなく毎日が過ぎていく日本とは違い時間がゆっくりと流れ、人々は穏やかで、息苦しさを感じません。
日本に帰りたい気持ちも半分ですが、ウガンダが自分にとってとても心地よい場所であることや帰ったらまた同じように息苦しい生活を送るのかと考えると、ウガンダに残りたい気持ちも半分です笑
日本でも今のようにのびのびと暮らせたらいいのになと思います。

~おわりに~

思ったよりも熱が入ってしまい長い文章になってしましました。
最後まで読んでくださりありがとうございます!!!
これからもこのような形でウガンダから情報を発信できたらと思いますのでよろしくお願い致します。
ウガンダのジェンダー問題にかかわらず、聞いてみたいこと・やってほしいことがあれば是非ご連絡ください!
個人ブログでも情報発信をしていますので、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

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