えりこ こんにちは。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議委員会にて不適切発言をされた件について、ジェンダーイコール田渕の見解を表明しておきたいと思います。
発言が多くて時間のかかる会議は問題?
森会長は、女性理事を増やすJOCの方針に対する私見として、以下の発言をしたとされています。
- 女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさく言うんです。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。
- ラグビー協会、今までの倍の時間がかかる。女性は今、5人か。女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それで、みんな発言される。
- 女性の数を増やしていく場合は、この発言の時間もある程度は規制をしておかないとなかなか終わらないので困る、と誰かが言っていた。
- 私どもの組織委員会にも女性は7人くらいおられる。みんなわきまえておられて、みんな競技団体のご出身で、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話も的を射たご発信をされて非常にわれわれも役立っている
これを読んで、女性蔑視発言であることは間違いありませんが、「そもそも森会長ご自身は、何を問題視しているんだろう?」と、疑問に感じました。
確かにダラダラ議論が長引くのは考えものですが、もしそんなことが続くようであれば、長引かないように会議ルールを決めれば済む話です。そもそも会議において発言が多いことは喜ばしいことであり、むしろ発言が無さすぎて結論が出ずに長引く会議だってあるはずです。
森会長は、「わきまえてもらう」ことに居心地の良さを感じる方なんだと思いますが、わきまえる社会に問題があるからこそ、多様性が注目を浴びているのです。司馬遼太郎の「峠」によると、江戸時代の武士たちで行われる藩会議などでは、みんながわきまえすぎて結論が出ずにダラダラ会議が続くことはよくあったそうですよ。江戸時代まで遡らずとも、現代の日本企業において無駄な会議が多いという声はよく聞くと思います。建設的な議論の向き不向きに性別は全く関係ありません。
むしろ森会長の周囲にいる方々が同質的すぎて、全く多様性に欠けているのでは?それこそ大問題です。
要は時代に合っていない
もう83歳のご年配者に対してあーだこーだ言っても無駄だということは誰もが痛いほどよくわかっていると思います。
世代によって、生きてきた時代の背景が違うんだから、価値観が違って当然です。
森会長は1937年生まれで現在83歳でいらっしゃいます。
幼少期は戦時中であり、青年時代は性別役割分担が明確だった高度経済成長期です。性別役割分担が不要になった現代の日本とは全く違う時代背景で生きてこられた方なのです。
つまり、森会長が問題なのではなく、「多様性」を大会ビジョンに掲げている今回の東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会のトップに森会長を選んでいることが大問題なのです。
結論
という訳で、私としては、価値観の違う背景の時代で育ってきた森会長個人を批判するつもりは全く無いです。むしろ長年にわたって政治家として日本を牽引され、また日本のスポーツ発展のために奔走されてきたご功績には尊敬の念しかありません。
しかしながら、今回のご発言は、どう考えてもオリンピック委員会会長としてはふさわしくありません。それとこれとは切り離して考える必要があります。
もうそろそろ潔くこの辺で辞任された方が良い。辞任されることで、他の政治家や権力者へのジェンダー差別発言の抑止力になるでしょう。それが功を奏し、日本の多様性発展につながる可能性も大いにあります。潔く辞任された方がかっこいいです。
ジェンダーイコール田渕は、森会長の辞任を希望します。
change.orgにて、「女性蔑視発言「女性入る会議は時間かかる」森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます」というオンライン署名活動が実施されています。
今回の件を問題に感じた方はぜひ、こちらで賛同表明をされてみてください。
一人ひとりの行動がより社会を変えます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
NPO法人ジェンダーイコール代表理事 田渕 恵梨子