【イベントレポート】できること会議 プライドmonth フェミニズム編


できること会議

できること会議さんは、さまざまな社会問題に対して「私たちにできることってなんだろう?」を会議する場を提供し、その想いを「カタチにする」サポートを行う学生団体です。

今回は、プライドmonthとして複数のイベントを開催される中、2022年6月11日、フェミニズムをテーマとした講演のご依頼をいただきました。

今回は、ジェンダーイコールより2名のメンバーが登壇者としてイベントに参加させていただきました!

https://www.instagram.com/p/Cea8qLABP2V/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

登壇者

まい
【関心のあるテーマ】恋愛・結婚のジェンダーバイアス
【活動歴】大学生の頃から日本社会のジェンダーの価値観に違和感や生きづらさを感じていた(女子力、〇〇女子など)。このような価値観を少しでも変えていけるような取組みをしたく、2022年3月よりジェンダーイコールに参加。

久保田まもり
【関心のあるテーマ】性暴力の問題
【活動歴】中学時代から身近にある「女らしさ」「女子力」等のジェンダー規範に疑問を持っていた。このバイアスによる息苦しさを変えていけるよう活動したく、高校1年時にNPO法人ジェンダーイコールに参加。

フェミニズムとは?

フェミニズムとは、女性の地位向上・経済格差解消などのみならず、ジェンダー観による不当な扱いに対する社会運動のことです。
ベル・フックスによれば、「フェミニズムとは性差別をなくし、性差別的な搾取や抑圧をなくそうとする思想や運動のことだ」と指摘されており、フェミニズムの敵は男性ではなく、性差別そのものであると言えます。

フェミニズムの世界史(まい)

①第1波
第一次世界大戦ごろ、欧米を中心に参政権、相続権、財産税などの公的な領域・法制度へ権利を求めました。例えばアメリカでは奴隷制度廃止とともに、はじめて女性の権利が訴えられ、その70年後に初めて参政権が獲得されました。イギリスも同様に、1918年に参政権を獲得しています。

②第2波
1950年代から70年代前半にかけてアメリカを中心に起こった運動です。ウーマン・リブとも呼ばれ、第1波のような公的な領域や法制度への権利獲得だけでなく、ジェンダーバイアス、社会的・家庭的や役割、女性らしさへの抵抗を示したのが特徴です。スローガンには”The personal is political”ーー「個人的なことは、政治的なことである」と掲げられ、つまり、問題の根底は男性中心の社会や政治システムにあると主張してきました。一方で、全ての女性は主婦にならず働くべきというように、柔軟性には欠けていたという特徴もあります。

③第3波
男女間の平等だけでなく、人種や体型、肌の色、生まれ育ち、性的指向など、ひとりひとりの持つ個性を受け入れていこうという動きが特徴的です。第二波とは異なり、フェミニストはこうあるべきというよりは、個人の自由が尊重されたことも特徴の一つです。

④第4波
2010年代〜、SNSの普及に伴うオンライン・アクティビズムです。例えば、ハリウッド女優による「#Me Too」運動が想像しやすいと思います。SNSを通じ、多くの人が運動への参加がしやすく、かつ問題意識が共有しやすくなった一方で、論争や炎上につながることも多く、フェミニズムに対し過激な印象を持たれてしまう一面もあります。

フェミニズムの日本史(まもり)

日本におけるフェミニズムの歴史を、男女平等政策から見ていきます。

1970年前後に起こったウーマンリブは、女性たちによる女性開放のための運動です。この時代は、ネオリベラリズム改革、自由競争というのが台頭した時代でした。

1985年に制定された男女雇用機会均等法は、高学歴の女性の雇用機会を拡大し、意欲と能力さえあれば総合職で働くことも可能になりました。
ネオリベラリズム改革の過程で、女性たちは確かに機会を拡大しました。一方で、それ以前とは違う意味で大変になりました。
家事・育児の大半を担ってくれる配偶者を持つ男性たちと対等に働けるものなら労働市場に入れてもいいよ、という側面があったのです。
女性労働者の中でもエリートの女性たちはほんの一握り。そのエリート層の女性にすらアンフェアな競争に投げ込まれることになりました。

政府がなぜ男女共同参画を推進したか?その理由は、少子化です。
1989年に1.57ショック(出生率が過去最低)があり、その後は一時的に回復したのち徐々に低下していきました。そして、1991年には育児・介護休業法が成立しました。
育休制度は長い間女性労働者の悲願でした。ほんの数ヶ月の授乳期間の休みがあれば仕事を辞めなくてすむのに、育休がないために職場を去った女性がたくさんいました。
男女共同参画政策、そして育休法の背景には、国は女性にも働いてもらいたい、そして子どもも産んでもらいたいという思惑があったのです。

時は流れ、最近のできごととして、今年4月より育児・介護休業法が改正・施行され、男性の育児休業の取得がより柔軟になり、有期雇用者の取得要件が緩和されています。
制度というものは往々にして全てをカバーできるものではありません。政府がわたしたちにこう動いてほしい、という国作りの方向性が見てとれる一方で、わたしたちにとっては助かること、過去よりは良くなることもたくさんあるとも言えるでしょう。
日本においてもフェミニズムの先人たちが声を上げ、少しずつ権利を回復してきてくれました。
感謝とリスペクトの気持ちを持ち、わたしたちがさらに先に進めていかなければならないと思います。

フェミニズムにまつわる身近な問題

(まい)
フェミニストによるこれまでの運動により、今当たり前となっているような様々な女性の権利を私たちは享受できているかと思います。しかしその一方で、長い男性優位社会の中で形成されてきた価値観には、ジェンダー不平等が未だに色濃く残っています。このジェンダー不平等は、女性に生きづらさをもたらし、一方で男性もこのジェンダー観に苦しむことがあると思います。私は、女性に関する基本的な権利が獲得された現代においても、なお残るジェンダー不平等について問題意識を持っており、その観点からお話をさせていただきます。

〜恋愛〜
恋愛においては、「男性が選ぶ側で、女性が選ばれる側」という価値観が依然として残っているのではないでしょうか。例えば「男性から告白する、プロポーズする」という風潮は未だに残っているように感じます。
また、最近は死語になりつつありますが、「さしすせその法則」(さすが、知らなかった、すごい、センスがいい、そうなんだ)という言葉は、選ばれれる側である女性が男性を立てるという構造が背景にあるのではないかと思っています。勿論男性から告白してもいいと思いますし、男性を立ててもいいと思うんですが、これがあたり前とか、こうすべきっていうものでは無いと思います。

〜結婚〜
また、結婚においても、日頃の生活で違和感を感じることが多く、
例えば…大学を卒業して就職が決まったら、「あとは結婚だけだね!」
同僚同士の会話で、「だからあの人は結婚できないんだよ」
これらは、結婚が女性としての成功であるとか、結婚して初めて「一人前」として考えるような価値観が背景にあるのではないのでしょうか。
結婚をすることも勿論素晴らしいことですが、結婚してる・してない、もっと言えば子どもの有無にも関わらず、幸せな人生は多様にあり、様々なライフプランがあると思います。
もし、同じようなことを言われて、結婚に焦ったりモヤモヤするようなことがあれば、結婚がゴールの一つじゃないんだよって思っていただければいいなと思います。

(まもり)
フェミニズムの先達たちが戦ってきてくれたおかげで、色々な権利が享受できてるのですが、未だジェンダー不平等な社会だと思います。
言ってみれば、他の先進国でも、ジェンダー平等を達成できてる国なんて一つもありません。バックラッシュで、今まで享受できてた権利が泡のように消えると言うのが往々にしてあり得ます。

だから、私みたいに顔出しできて、本が読めるという立場にいる以上、積極的に発信していかなきゃと思います。
同時に、そういう立場にいるからこそ、例えばセックスワーク等の話など、この問題は自分は大丈夫でも、弱い立場にいる女性たちが真っ先に被害を被る問題なんじゃないかというのを考えなければいけません。

私が傍観者のまま80歳になって、未だに女の子や子どもたちが、痴漢被害にあっていたり、私が経験したようなことを、世代を超えてまた経験していたり、そんな現実を目の当たりにしたら、多分今まで社会に向き合わなかったことに後悔すると思います。
私は、自身が被差別者であることと同時に、この社会で差別の温存に加担してしまっていた身として、贖罪の気持ちもあります。

ディスカッション〜参加者の感想

講演後には、登壇者の関心のあるテーマ「恋愛・結婚のジェンダーバイアス」「痴漢(性暴力)の問題」について、少人数グループでじっくりディスカッションをする時間を設けていただきました。

最後に、参加者の方にいただいた感想を一部抜粋してご紹介します。

  • 初めてフェミニズムについて話を聞いて、漠然としたイメージしか持っていなかったが当事者意識をもって考えるようになれそうだと思いました。ディスカッションで「心のジェンダーレス」というワードを聞いて、ジェンダー問題について考えるいいスタートとなりました。
  • フェミニズムという概念を知っていることで視野が広がる、心の支えにできる、という考え方が印象に残りました。
  • 男性で理解しようとしている人が多い印象を受けました。
  • ジェンダーについてしっかり考える必要性と、まだまだ女性の立場が低い状況を性差関係なく自由に生きられるよう、声をあげていかなくてはいけないと思いました。

チャットも盛り上がり大変楽しいイベントでした!参加者の方々、できること会議の皆様、本当にありがとうございました!!

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