選挙におけるクォータ…

 こんにちは、ジェンダーイコールメンバーのちかです。

 私は現在大学の必修授業で少人数クラスのゼミに参加しています。この授業は自分で興味のあるテーマを選ぶことができるため、私はジェンダーに関するコースを選択し1年を通してクラスメイトとともにジェンダーについて調べを進めています。講義の中では調査を生かしてディベートや発表を行い、最終的には自分で文章にまとめあげます。前期では日本の国政選挙におけるクォータ制について詳しく調べました。とても楽しく勉強になる時間であったので、クォータ制の説明や良い点、問題点などを中心に書いていきたいと思います。

1 クォータ制とはなんだろう

 ではまず、クォータ制とはなんなのでしょうか。クォータ制について男女共同参画局は「積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の手法の一つであり、性別などを基準に一定の数・割合を割り当てる制度のこと」と述べています。つまり、割当制ということであり、今回指すジェンダークォータ制は国政選挙での性別による割当制ということになります。

私は日本でもこのジェンダークォータ制を導入すべきだと考えています。日本の社会では女性がリーダーシップを発揮する場所が少ないという残念な現状があります。もちろん活躍の場が広がっている事実はありますが、世界経済フォーラムが算出しているジェンダー・ギャップ指数において日本の順位は118位/146か国(2024.6.12発表)です。これはさらなる改善が不可欠という目に見える結果です。これらの状況をふまえ、私は日本にはクォータ制が必要なのではないかと感じています。

2 クォータ制の良い点と問題点

 クォータ制の良い点として、まず発言権の均等化が挙げられます。先ほども述べたように、依然として日本では重要なポジション、特に政治家など参政に関わるものは男性が担う場合が多いです。この要因として、女性は家事育児をはじめとした役割分担が与えられており政界進出が男性よりも困難な現状があります。女性の意見を政治に取り入れていくためには、まず実情を打破しなくてはなりません。その手段としてクォータ制は有用だと思います。現にクォータ制を取り入れた欧州諸外国の企業役員に占める女性比率の推移をみると、導入以降女性比率が大きく伸びています。これは男女共同参画局の特集にあげられており、フランス、ノルウェー、イギリス、ドイツといった国々は、2021年時点で役員の女性比率が30%台後半から40%台半ばとなり、日本の3倍から4倍の水準となっています。

 しかし、クォータ制を選挙に導入することを問題視する人たちも多くいます。その一つとして、クォータ制の導入は逆差別にあたるという意見があります。選挙は性別関係なく選ばれた者が議員になるべきであり、クォータ制は男性に対する差別になるという考えです。ですが、この意見はクォータ制を導入することの最も重要な目的が見えていないように感じます。私はクォータ制をこれまで男性が優遇されていたものを制度によって一度平等にするための手段だと考えているからです。クォータ制導入から性別役割の軽減を目標とし、女性が男性と同じように活躍できる世の中に変えていくことを考慮すればやはりクォータ制は必要ではないでしょうか。

3 おわりに

 ここまでクォータ制についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか。授業で調べる中で様々な意見に触れることができてとても面白かったため、関心を持ってくださった方はぜひ最後に記載している参考資料も見ていただければと思います。

 前期の授業で特に興味深かったのがディベートでした。私はこれまでもクォータ制について調べることがあったのですが、主に肯定派で調べることがほとんどでした。今回も授業のなかでは肯定派だったのですが、ディベートで否定派の人と話すことで反論できない意見にぶつかることも多かったです。相手方から実際にクォータ制を取り入れた国で問題になっているケースを取り上げられ、そこまでのリスクを背負って制度を変えるべきではないのではないかと反論された際、自分が今まで理想論で語っていたことを痛感しました。しかし、それに対応するために議員の方のアンケートを参考に日本にあったクォータ制の在り方を考えるなど、自分の意見を深める時間になりました。

 後期ではLGBTQの問題について世界に目を向けながら調査をしています。また、別の授業でもジェンダーに関する講義を受講しているので、それについてもコラムを書けたらと思っています。

読んでくださってございました。

【参考資料】

男女共同参画局

https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202206/202206_02.html

https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html

前田健太郎さんの「女…

こんにちは。ジェンダーイコール高校生メンバーのちかです。

今回は本をご紹介しようと思います。前田健太郎さんの「女性のいない民主主義」です。政治学の内容である政治、民主主義、政策、政治家といった項目をジェンダー的な視点からとらえなおすという内容になっています。調査やグラフがたくさん盛り込まれた客観的事実に基づく考察から、私たちの社会にいかに男性のバイアスがかかっているかがよくわかります。

ここでは、本のはじめに前田さんがおっしゃっていることを私の感想を交えてご紹介します。

 

この本のはじめに前田さんはジェンダーを視点としていくべきだと言っています。『最近では教科書でジェンダーの概念を紹介しながら社会問題をとりあげることもあるが、それらは政治的な争点のひとつとして扱われることが多く、これでは社会問題の一例として取り上げられただけであって、読者はジェンダーが大部分の政治現象とは関係がないかのような印象を抱きかねない』と。これを読んだときに私は本当に「たしかに!」と思いました。私が使っている教科書にもジェンダーに関するコラムがあります。しかし、それはほんの数ページだけ。それもコラムのためか本文との結びつきも弱いです。教科書、資料集や本の本文中でジェンダー的視点で読み解いていることはなかなかありません。私の学校では社会の先生が授業中にお話ししてくださったりしましたが、そうした機会がなければとばされてしまうことも多いだろうと思います。特に男の子たちにとっては女性だけに関係のある概念のように感じてしまっても仕方ないでしょう。

しかし、みなさんはジェンダーの意味を知っていますか?ジェンダーとは、『男性・女性であることに基づき定められた社会的属性や機会、女性と男性、女児と男児の間における関係性、さらに女性間、男性間における相互関係を意味します。こういった社会的属性や機会、関係性は社会的に構築され、社会化される過程において学習されるものです。これらは時代や背景に特有であり、変化しうるものです。』(UNwoman日本事務所ホームページ、ニュースとイベントより抜粋)つまり、ジェンダーは女性だけに関係のあることではないのです!

そこで、この本では男女の不平等を念頭に置いて政治学を考えています。ジェンダーを争点や社会問題としてではなく、一種の視点としているのです。ジェンダー的視点から考えると、いろいろなことが覆って面白いと感じました。日本は民主主義の国と言われますが、果たしてそれは本当の民主主義と呼べるのか…?

ぜひご一読ください。

 

【使わせていただいた記事、本】

・前田健太郎著「女性のいない民主主義」岩波新書

・UNWOMAN https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/news/2018/9/definition-gender