【子育てジェンダー平…

こんにちは!ジェンダーイコールのまさみです。窓を開けていると金木犀の香りが漂ってきて、「秋はいいなあ〜」と思いながら、書いています。

今回は、前回記事の「男性育休取得の際に、男性会社員が注意するべきポイント集」に続き、「男性育休取得の際に、企業側が気を付けるべきポイント」をまとめました。

★企業側が気を付けるべきポイント(2021.10時点)

  1. 子育て世代社員のライフスタイルの変化を認識する
  2. 育休申請があった際のファーストコンタクトを間違えない
  3. 「いる」社員ではなく、「成果」を出した社員を評価する
  4. 国や自治体の支援策を知る


今回の記事では、1と2を解説していきたいと思います。早速行ってみましょう〜!


子育て世代社員のライフスタイル・価値観の変化を認識する


まず、「会社側が子育て社員のライフスタイル・価値観の変化を認識する」ことについてです。

社員間のコミュニケーショントラブルの原因の多くは、お互いのライフスタイルや価値観の違いを認識できていないことではないでしょうか。

確かに、個人で生まれ育った家庭環境や生育歴は異なりますし、さらに世代によって良いとされる「ものさし」は異なります。

しかし、その「ものさし」の違いを把握することは、他者とのコミュニケーションを円滑に進める上で非常に大切です。

今回の記事では、特に知っておくべき、子育て社員のライフスタイル・価値観(=「ものさし」)の大きなポイントとして、以下の2つを挙げたいと思います。

①共働き世帯の増加

②「ワークライフバランス」の価値の上昇

まず、①共働き世帯の増加について、変遷を見ていきます。

厚生労働省の調査によると、平成9年ごろを境に、共働き家庭数が専業主婦家庭数を上回りました。現在は、共働き家庭は、専業主婦家庭の約2倍となっています。

現在の管理職層が子供だったときは、専業主婦家庭がメジャーなものだったかもしれません。

しかし、現代は「女性も男性も同様に働き、生活している」ということがメジャーとなってきているということは、よく認識しておかなければなりません。

また、データによらずとも、会社にいる同僚等を見てみると、共働き世帯が増えていることを実感するのではないでしょうか。

次に、「ワークライフバランス」の価値の上昇です。

高度経済成長期には、「男性は仕事が一番」、「長時間労働をする人が仕事ができる人」という価値観が広まっていたように思います。ジェンダーイコールでもよく主張していますが、そのような価値観は現代では変化しています。

デロイトトーマツグループが毎年実施している世界調査で、日本人のミレニアル世代(本調査では1983年~1994年生まれ)とZ世代(同1995年~2003年生まれ)の働くモチベーションは何かを尋ねたところ、第1位に「ワークライフバランス」となりました。

デロイトトーマツグループ「ミレニアル年次調査2020年版」記者発表資料より


また、こちらの記事(「【レポート】就活生の就職に関する意識変化について(ミレニアム世代~Z世代 トレンド予測)」)では、世代ごと就活生の意識変化を比較しており、約10~15年前の就活生よりも、近年の就活生は「ライフワークバランス」を重視するように変化していると述べています。


つまり、若手社員・子育て世代社員にとっては、仕事と家庭の両立ができることが、働く意欲が高める要因の一つとなっていると言えます。

また、「ワークライフバランス」を大切にすることは、企業側にもメリットがあります。

厚生労働省は、「ワーク・ライフ・バランスの実現に積極的な企業ほど売上は多く、離職率の低下や雇用の増加につながる傾向」にあるとしています。(出典:厚生労働省「平成29年版 労働経済の分析 -イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題-」

社員のライフスタイルや価値観を知ることは、会社に対する満足度向上、ひいては社員のエンゲージメント向上につながる大切なことです。

こうした変化を、子育て世代社員と雑談する、世代間を超えたセミナーを実施するなどして、まずは認識してみてください。

2 育休の申し出があった際のファーストコンタクトを間違えない


そうした認識を持った上で、次は男性社員から育休の申し出があった際の対応方法について、説明したいと思います。

改正育児・介護休業法で新設された「父親産休」では、管理職から対象者(子育て世代社員)に対する制度周知・取得勧奨が義務付けられています。

また、制度周知の際は、面談+書面で行うことが基本です。(ファックスやメールは、労働者が希望する場合に限られます。)

その際の制度周知・取得の進め方や、男性社員から育休の申し出あった際のファーストコンタクトは、今後その社員に信頼関係をもって働いてもらうために、非常に重要です。

よくやりがちな間違った対応を以下でご紹介します。


・「自分たちの時代は、男性が育休をとるなんて考えられなかったけどね」等の昔語り

・「(自分はやらないけど)家事育児、やるんだね」等の謎のマウント

・「出世にひびくよ」、「評価を下げる」等のパワハラ

特に3つ目は、労働基準監督署に駆け込まれるので注意しましょう。

この発言に共通しているのは、意識的・無意識的に自分の「ものさし」を基準として発言をしてしまっていることです。こうしたことを言いたくなったら、1.に戻り、違う世代の「ものさし」を意識して取り入れてみてください。

現代は、まだまだ男性の育休はメジャーではありません。

そのような状況にもかかわらずある意味勇気を出して申請したということを理解して、自分の「ものさし」を持ち出す前に、以下のようなことをまず聞き取ることが必要だと思います。


・育休の期間はいつからいつまでを考えているのか。また、差し支えなければ、なぜ育休を取ろうと思ったのか。

・(その期間で、その社員が抱えている重要な仕事があれば)仕事の見通しはどうか。

・どういったサポートがあれば、心配やトラブルなく取得できると思うか。


おそらくいきなり申請があったら、今後の業務の割り振りなどで頭がいっぱいになるかもしれません。冷静に聞き取りをしましょう。

こうしたファーストコンタクトは面談という形ではなく、雑談の際にいきなり言われるかもしれません。

その時、どのように対応するかによって、その社員の働き方や意欲に大きな影響を及ぼしますので注意が必要です。

私の夫が課長から言われた一言で傷ついたエピソードは、こちらの記事に書きました。もしよろしければ読んでみていただければと思います。

次回は、「男性育休取得の際に、企業側が気を付けるべきポイント集」(後編)をお届けします~!

【子育てジェンダー平…

こんにちは!ジェンダーイコールのまさみです。
前回は、「改正育児・介護休業法」の概要と、夫の育休取得エピソードをまとめました。
今後は、そのエピソードをもとに、特に男性会社員が企業と交渉し、円滑に育休を取る際に注意するべきポイントを、<労働者(男性)側>と<企業側>に分けて、まとめたいと思います。伝え方や申請の仕方で、取得のしやすさは変わります。
今回はまず、<労働者(男性)側>のポイントをご紹介します。これから育休を取ろうとしている方は、ぜひご一読ください!

ポイント① 十分な期間をもって、前もって申請する

妊娠したことが分かるのは、パートナー(女性)が月経が来ないと思ったとき、5〜8週(2ヶ月目まで)の間で分かることが多いです。

その後、病院で心拍の確認が取れたら、まず出産予定日が決まります。
その時点で、いつからいつまで休業したいか、パートナーと一緒に考えてみるとよいと思います。


いわゆる安定期は16週〜(5ヶ月)ですので、安定期を過ぎたら、上記で考えた期間で育休が取れるか、一度会社・上司と話し合いましょう。


妊娠期間中はリスクが多く、安定期に入っても、妊娠が継続しないという可能性もあるものの、可能であれば、会社側になるべく早めにジャブを打ってほしいです。


(話し合えるような雰囲気でない場合は、世間話のついでに、「そういえば、妻が妊娠しまして、○月に生まれるんですよ〜」など、情報を入れておくとよいと思います。)


その理由は、長期で休業する場合、会社は代替人員や業務分担の再考などをする必要が出てきますが、そうした対応をしたくとも、時間が足りなければ、会社側もなかなか対応できない可能性もあるからです。


改正育児・介護休業法で新設された「男性版産休」は、最短2週間前までに申請すれば 法律上はOKですが、仕事の引き継ぎなどを考えると、やはり少しでも早いほうが会社としては助かると思います。

ポイント② 期間と理由をきちんと伝える

会社・上司との話し合いの際は、休業を取得したい期間と取得したい理由を伝えてください。

2020年度の男性の育児休業取得率は、12.65%となり、約10人に1人が取得していますが、夫の経験談から察するに、まだまだ男性の育児休業取得はマイノリティだと考えてよいと思います。

(12.65%のうち、1週間以上など長期で取っている率は低いのではないかと思います。)

もし、1週間程度ではなく、一定程度まとまった休業を取る予定である場合は、いつからいつまで取りたいのか・それはなぜかを伝えてほしいと思います。


その理由は、経営者・管理職の年代は、男性が育児休業を取るという発想自体がない人もおり、「奥さんに任せればいいじゃないか」と言われる前に、なぜ取りたいと思っているか説明してあげる必要があるからです。


育児休業は、労働者の権利ですが、その権利を気持ちよく使えるよう、会社とコミュニケーションをとりながら、理解してもらう必要があります。


取得する理由は、例えば、配偶者がフルタイムで働いているから、身近に親類がいないから、子供の成長を見守りたいから、保育園の空きがないから等が考えられます。

ポイント③ 会社のメリットを伝える

②と合わせて、会社へのメリットを伝えられるとよりよいと思います。
休業することで、どういう点で会社へ還元できるか考えてみましょう。


例えば、以下のようなことが考えられると思います。

・現代は多様なリーダー像が求められており、自分が休業を取得することで、自分がマネージャーになったとき、その経験を活かし、ライフイベントを理解しながら、リーダーシップを取ることができる。

・自社のターゲット層の理解につながる、もしくは新規ターゲットの理解につながる。

・男性が育休を取ると「くるみん」認定が受けられるため、会社のイメージアップにつながる。

・男性が育児休業を取れる会社であると学生から注目され、採用の際に有利になる。


会社にとって、育児休業というのは、人手が減るという点で、短期的な損失と捉えられがちです。

長期的な目線で見たとき、育児休業を取ることで会社のメリットになることを伝えてほしいと思います。

ポイント④ 自分の業務の棚卸しを行う

休業すると、(当たり前ですが)自分がやっていた業務を誰かにお願いすることになります。

企業側は、若手男性に業務を無茶振りしすぎており、管理職などでも、個々の社員がどの程度の業務をしているか、把握していないこともあります。

そうした状態では、「君がいなくなると業務が回らない」などと言われ、休業取得を妨げられる可能性があります。


しかし、よほど専門性が高い業務でない限り、引き継ぎ時間を十分設ければ、誰かは変わりにすることができます。

「代わりがいない→休めない」という事態を回避するために、自分がどういう業務を担っていて、それはいつ頃から引き継ぎをすれば十分かという点をまとめておきましょう。


また、その際に、スクラップ可能な業務があれば、会社・上司に相談し、自分が休業に入ると同時にやめてもよいと思います。これは業務効率化ができるため、会社のメリットにもなると思います。

ポイント⑤ 自分なりに制度を勉強する、自分の他に取得した人から情報収集する

育児休業を取ろうとすると、なかには心ない言葉で攻撃してくる人もいます。

最悪なのは、制度を知らないことを理由に、「そんな育休は取らせることができない」と言われる可能性もあります。

その際に反撃できるよう、自分なりに今回新設された育児休業制度を学んでおくとよいと思います。(新設された制度の概要は前回の記事をご覧ください。)


育児休業制度は、かなり強い権利で、労働者から申し出があった場合、会社側は拒否できません。

一方、休業が終われば、また仕事をすることになるので、会社とよい関係を築きつつ、自分が納得のいく育児休業が取れるとよいと思います。

また、自分より前に取得した男性がいれば、その人に、会社に育児休業を申請した時のこと等について、情報収集をしてみてください。

上記のように会社・上司との面談がうまくいかない可能性もあります。その際、自分の上司は否定的だけど、他の上司は肯定的である場合もあります。

そうした場合は、肯定的な上司に味方になってもらうということが考えられると思います。


情報収集をすることで、そうした解決策が浮かぶこともあります。



以上、男性会社員が企業と交渉し、円滑に育休を取る際に注意するべきポイントをまとめてみました。
いかがでしたでしょうか。

まだまだ男性が育休を取得することはメジャーではありませんが、取得したい人がきちんと取得できる世の中にするためには、今回あげたポイントを踏まえつつ、会社と交渉していくことが大切だと思います。

次回は、企業側のポイントをまとめてみたいと思います!

【子育てジェンダー平…

こんにちは!ジェンダーイコールのまさみです。
私事ですが、2021年11月に第一子を出産する事になり、夫も育休を取得することとなりました。
また、今年6月には「育児・介護休業法」が改正され、子育てに関する制度が大きく変わりました。
今回は、「改正育児・介護休業法」のポイントと夫の育休取得までの会社とのやりとりを書きたいと思います。

1.改正育児・介護休業法について

まずはじめに、「改正育児・介護休業法」についてご説明します。労働者視点で重要そうな改正ポイントは以下です。パッと確認したい場合は、厚生労働省作成のパワポ1をご覧ください。

Ⅰ)労働者視点で重要そうな改正点

①「男性版産休」の創設

今回の改正の大きな目玉は、男性を対象とした「育児休業」制度の創設です。
マスコミなどでは、「男性版産休」と称されています。
この制度は、簡単に言えば、配偶者の出産直後に、男性のみが取得できる育児休業制度です。
また、取得率を上げるために、取得要件はこれまでの育休よりも柔軟になりました。主なポイントは以下のとおりです。


・日数は、配偶者の産後8週間のうち最大で4週間取得可能。
・期間中、2回まで分割して取得することが可能
取得日数の5割を上限に就労することが可能。(就労した日分の給料については、会社から支払われます。)
・申請期限は、2週間前まででOK(通常の育休は1ヶ月前)(→労使協定により、1ヶ月前となることもある。)
・日経によると、施行時期は、2022年10月ごろ

②企業から労働者に対し、個別周知・意向確認措置の義務付け

また、企業に対し、育休制度の取得対象者に、育休制度に対する個別周知と取得の意向確認を取ることが義務付けられました。

これは簡潔に言うと、「配偶者もしくは自身が妊娠したと会社に報告すると、管理職等が面談等によって、育休制度を説明し、取得を勧めてくれるという制度」です。


2021年7月15日の厚生労働省雇用環境・均等分科会の資料では、個別周知の手法として、「①面談による方法・②書面を交付する方法・③ファクシミリを利用して送信する方法・④電子メール等の送信の方法(③及び④は労働者が希望する場合に限る。)」が挙げられています。
日経によると、2022年4月ごろから施行予定とのことです。

③分割取得

最後に、分割取得が可能となりました。
2人の親で育児休業を交代する場合、改正前の育児・介護休業法では、例えば、女性が産休後6ヶ月取得し、もう一人の親(ex.男性)に交代すると、その後、女性が再取得することが不可能でした。
改正法では、交代することが可能です。

厚生労働省作成パワポ1


以上が改正法の概要です。
管理職が育休についてちゃんと説明できるのか、4週間の育休が育児参画につながるのか等、心配に思う点はありますが、制度の使い勝手は良くなったのかなと思います。

2.夫の育休取得奮闘記

次に、改正法施工前に、夫は育休を取得することとなったのですが、そこで生じた会社とのあれこれを書きたいと思います。

<簡単な登場人物説明>

私 アラサー、都内企業フルタイム勤務、仕事はバリバリやりたい派

夫 アラサー(私より2歳上)、都内企業フルタイム勤務、
  趣味は城めぐり・阪神タイガースの応援


まず、夫は元々「子どもの成長に関われないと一生後悔する」、「仕事より家族が大事」というスタンスの人で、妊娠が発覚した際にも、私と夫で育休取るのだろうなと思っていました。

夫は妊娠3カ月くらいには、職場に報告し、自分も育休をとりたいことと、なるべく長く取りたいことを伝えていました。
しかし、第1回目の課長との打合せでは、「へー、夫君も家事とかするんだ(笑)」と言われただけで、具体的な対応を相談できる雰囲気ではなかったそうです。


その次の部長Aとの打合せでは、「引継ぎを含めて、誰か一人連れてくるか(後輩を異動させてくる)」という話になったそうです。
しかし、部長も夫が育休と取ることに対し、あまり乗り気ではなかったとのこと。
休業期間については、要相談となったそうですが、それでも夫はやっと具体的な対応策を示してくれたと喜んでいました。


しかし、物事は上手くは進まず、一応承諾してくれていた部長Aが今年6月に異動となり、夫の育休取得の話は1ミリも引継ぎをされておらず、新部長Bとの打合せの際に申し出たところ、「初耳だから少し考えさせて」と言われたそうです。
(部内の人事のことなので、引継ぎするのが当然だと思うのですが…。)
その後、新部長はどちらかというとワークバランスに理解がある方だったようで、一応承諾してくれ、来年3月ごろから2カ月間ほど取得する予定です。


上記のことから分かるように、男性の育休取得はまだまだ大変だという印象を持ちました。
夫の会社は、一民間企業ですが、全社的に男性育休を推進しています。
なのに、取得したい人を応援する雰囲気ではなく、むしろ課長との面談では家事をしていることや育児をしたいことを揶揄われました。また、私には軽くしか言いませんでしたが、出世や待遇なども、課長から指摘されたみたいです。

(夫は「地方に転勤になった単身赴任になるくらいなら、(正社員から転換して)地域正社員になる」というくらい出世欲はない人ですが、子育てと仕事を天秤にかけるような現状がおかしいですし、子育ても仕事もしっかりやりたいというのは自然な欲求だと思います・・・)

夫は、課長との打合せの後、「自分が女性だったら、1年くらいすぐ取れるのに」とぼやいていました。そのころ私は「産休・育休合わせて5か月もとるのに、上司・同僚から短いって言われる」と怒っていました。
正反対の夫婦です。
(ちなみに、私と課長との面談では、(5カ月しか取らないということに対し)「なるべく長く取りたいという女性はたくさんいたけど、短くしたいというのは初めてだよ~」と言われました。そう思ったとしても、言う必要あるかなと思いました。)

夫のエピソードを見ても、企業はまだまだ性別によって社員を判断し、管理しようとしていると思いました。また、そのことは私たち夫婦にとっては壁に感じました。

3.おわりに

私は、我が子の成長を夫と一緒に見守りたいという気持ちがあります。
まだまだ子育ては「女性主体で」というメッセージが強い世の中ですが、今回の改正法で、そういう側面が少しでも緩和されて、男性にも同じくらい育児の責任があり、自らでやらなければならないもので、育休を取ることも当然だという世の中になってほしいと思います。

次回は、男性が育休をとるために意識するべきポイント・交渉術をまとめたいと思います!

【子育てジェンダー平…

こんにちは!ジェンダーイコールのまさみです。
私は、子育て負担をジェンダー平等に関心があります。
現在、妊娠6ヶ月になりますが、親や友人から「里帰り出産するの?」と、よく聞かれます。職場と実家が遠距離ということに加え、コロナが蔓延している中で、あまり積極的にやりたいと思えませんでした。

そのような中、里帰り出産を知り、メリット・デメリットを知ることで、ちゃんとした判断ができるだろうと思い、里帰り出産について調べてみました。

今回は、自分なりに調べたことをもとに、「里帰り出産の功罪」について書きたいと思います。

はじめに

まずはじめに、里帰り出産とは
「産前産後の間に、妊娠した女性の実家に帰る」
ことです。

日本では、約50.1%の女性が里帰り出産を選択しており、(平成29年度年厚生労働省委託調査)、「メジャーな出産方法」として定着しています。

しかし、「他の先進国には見られない日本独自の風習」であることが研究では指摘されています(1。また、「3.里帰り出産のデメリット」で詳しく紹介しますが、医学的観点からもリスクは否定できないという医師もいるそうです。

本日は、里帰り出産の歴史とメリット・デメリットを述べ、子育て負担のジェンダー平等について考えたいと思います。

里帰り出産の歴史

なぜ、里帰り出産がメジャーなのかを知るため、歴史を見ていきます。

江戸時代にはすでに里帰り出産は定着していたと言われています。

里帰り出産が定着した理由としては、以下のように分析されています。

封建制度の完成,家父長制度のもと直系家族が固定化し,その結果,嫁は一家の労働力としての価値が与えられるとともに,さらに重要な新しい労働力を産み出す価値と義務が与えられた。

当時の嫁の地位は低く,しかし,労働力を期待されていたため,出産前後の数ヶ月間,この期間は労働力として価値が無いこと,産の忌みもあり,婚家ではなく実家で休むことを許されていたと言われている。

(小林、陳,2008)

いきなりのパワーワードで驚くのですが、江戸時代当時、「嫁の地位は低く」、加えて「出産前後の数ヶ月間」女性は、「労働力として価値がない」ことから「実家で休む」(実家に追いやられる)という理由により、里帰り出産が広まっていったということです。

他にも、(論文からのコピペで恐縮ですが、)秋田県では、
婚家で出産すると、二度目から夫が傍にいないと生まれない癖がつく
といって初産は実家に帰ってお産する。

北海道でも,出産は漁夫にとっては特に
産を汚れとして極度に嫌う
ために実家に帰って生むことが多かったということです。そのような価値観のもと、里帰り出産は全国で見られたものであるとも書かれています。
 
これを読むと、江戸時代から、配偶者の男性は、「産む」際に関与することが少なかったと見えます。その理由は、村や周辺コミュニティが現代よりも濃密で、かつ家族近居であることが多く、男親・女親の母や周りの女性と子の母親で育児を行っていた、男性が現代よりも体力を使う労働が多く労働負担を一挙に引き受けており育児に関わる時間がなかったことなども考えられます。
一方、やはり「嫁(女性)の地位の低さ」ということも重大な影響を与えたのではないかと思います。

現在、同世代の女性が仕事も家事も一身に背負っている状況を見ると、「嫁(女性)の地位の低さ」と「労働力として価値がないこと」という旧来の価値観により、「出産」・「育児」・「家事」という行為の価値が低く見積もられているのではないかと思いました。

例えば、私が仕事をしていると、至って普通のことのように「毎日帰ってから晩ご飯作るの大変でしょ」とよく言われます。
私たち夫婦は、家事は一日交代制なので、私が毎日作っているわけではありませんが、ご飯作成担当=私(女性)のように見えるのでしょう。

また、1日交代制であることを伝えると、夫は優しい人だ・すごい人だともてはやされます。おそらく、夫が「やらなくてもよいこと」をやっていると思うから、そのような発言が出るのかなと思います。

現代に入り、ようやく家事・育児はアンペイドワークであるとして認識され始めてきましたが、まだまだメディア表象などは「女性がやって当たり前」・「女性の方が得意である」という視点・価値観を映しているように感じます。

生後直後の育児に関わる重要性

「里帰り出産」に話を戻すと、既に子どもを産んだ友人から話を聞くと、産後直後に乳幼児の世話をするということは、男親の意識に強く関わってくると思いました。
例えば、友人Yは、第一子出産時に里帰り出産をし、産後3ヶ月ほど実家におり、その間は2週間に一度ほど夫が通っていたそうですが、仕事のため立ち会い出産ができなかった事に加え、赤ちゃんが夫に懐かず抱っこをするたびに泣き喚き、お風呂も入れることも寝かしつけることもできなかったため、夫が自信喪失し「親になった実感がない…」と呟いたそうです。

里帰り出産をすると、フルタイムで働く男性は育児に十分に関われません。つまり、里帰り出産で「夫が子育てを手伝えない」環境となり、社会的にも「育児」は女性が主体ですべきものという価値観が根強いため、女性に育児負担が過度に集中するきっかけとなっているのではないかと思います。

里帰り出産のデメリット

これまでつらつらと述べてきましたが、里帰り出産のデメリットを、研究などをもとに3つにまとめたいと思います。

① 医学的側面のリスク

里帰り分娩には、長時間の移動・旅行に伴う問題、妊娠中に経過をみていた施設と分娩する施設が異なることにより発生する医療サービス格差 の問題(特に都市と地域の医療格差)の面から、リスクがあると述べる医師もいるようです。一方、分娩後の障害の有無に、里帰り出産か否かはあまり関係がないという結果が出ています。(小林 由希子、陳 省仁,2008,「出産に関わる里帰りと養育性形成」, 北海道大学大学院教育学研究院紀要, 106, 119-134)

② 夫の育児参画意識が芽生えにくい

生まれてから1〜2ヶ月実家にいることによって、フルタイムかつ実家から距離がある土地で働く男性は、必然的に子育てには携われなくなります。育児をしている友人からよく話を聞きますが、「生後直後」に子育てに携わらなかったことによる夫の育児参画意識の薄さは、生後1〜2ヶ月のことではなく、その子が成長しても続いていくものであると感じます。また、夫は「最も成長が早い乳幼児の時に育児に携われず、成長をそばで見られないのは悲しい」と述べていました。

③ 継続して就労する場合、仕事の支障となる場合もある

②により、夫の育児参画意識が薄くなったことによって、女性の就労にまで影響を及ぼしうると思います。日本では、育児休暇が最長1年認められていますが、その期間が終わり就労する際には、夫の協力が必要になります。②の状態が継続し、夫が育児を手伝わない結果、女性には「仕事」と「子育て」の負担が二つのしかかります。私はこのことが女性のキャリア構築を妨げる要因の一つではないかと思います。

また、コロナ禍においては感染リスクも加わってきます。以上のようなデメリットがあるにも関わらず、「里帰り出産」が定着しているのは、里帰り出産は、「女性が育児の主体であるため」、実家の母親のもと安心して育児ができることが「望ましいもの」・「普通のこと」として捉えられているからではないかと思いました。

つまり、子育ては「女性が主体となってすべきもの」という意識から、「里帰り出産」という手法が一般化しているのではないかと思います。

しかし、現代において、女性は働き、経済的負担を男性とともに担っているパートナーも数多いです。それゆえに育児をはじめとする家庭負担は男性も担っていくべきで、里帰り出産ということを選ぶ際にそうした意識を持つことは必要なのではないかと思います。

里帰り出産のメリット

デメリットを蕩々と述べましたが、里帰り出産にはメリットがあることはもちろん分かります。初産後に何が分からないかも分からない育児を、実母に手伝ってもらえる安心感や気兼ねのなさは、産後うつの予防などからも非常に大事だと思います。

ただ、実家から遠い場所でフルタイムで働き、今後も自分のキャリアを継続させたい私が、自分ごととして考えると、里帰り出産はデメリットがあるシステムであると思うようになりました。私は東京で働き続ける限り、ずっと実家にいることはできませんし、実家から遠く離れた職場でフルタイムで働くためには、実家のサポートより、夫の協力が必要だからです。

個人的には、どこでどのように産むかということは慎重に考えるべきだと思います。それには、夫・実家等の周囲が安易に里帰り出産を勧めないことや、実家が近くにない人でも安心して子育てができる支援・サービスと充実、夫との協力体制の確立が必要だと思っています。

おわりに

以上、「里帰り出産の功罪」でした。次回は「夫の育休取得奮闘記」を書きたいと思います。ご意見がありましたら、ぜひコメントをお願いできればと思います〜!

<参照文献>
1 小林 由希子、陳 省仁,2008,「出産に関わる里帰りと養育性形成」, 北海道大学大学院教育学研究院紀要, 106, 119-134
厚生労働省[三菱URLリサーチ&コンサルティング受託],2017,「妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための 保健・医療の連携体制に関する調査研究報告書」, https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000520478.pdf

主要先進国(G7)に…

 

えりこ
こんにちは。ジェンダーイコール代表の田渕恵梨子です。
先日、「ジェンダーギャップ指数2021」が公表されました。
日本は相変わらず主要先進国最下位です。。。
ジェンダーギャップ指数の公表は2006年から始まり、今回で15年になります。
当時からどのような推移をたどっているのでしょうか?
今回、主要先進国に限定して、2006年から2021年の推移を分析し、変化を検証してみました。
ぜひご覧ください。

ジェンダーギャップ指数とは?


「ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index=GGGI」は、男女格差の度合いを示す指数です。
スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が、男女間の格差を経済・教育・健康・政治の4分野の指標を用いて測定し、毎年公表しています。

スコアは、男性に対する女性の割合で算出されています。
「1.000」に近づくほど、男女格差が少なく、「0.000」に近づくほど、男女格差が大きいことを示します。

日本の順位は?


2021年3月31日、「ジェンダー・ギャップ指数2021」が公表されました。
日本は156ヵ国中120位。
前回の「2020」では、日本は153カ国中121位で、過去最低を更新しました。
順位だけで見ると、今回は120位なので、1ランク改善しているように見えますが、参加国が前回より3ヵ国増えています。
ですので、割合で見ると前回よりも順位が後退したことになります。


15年前、日本は「79位」だった


ちなみに、2006年測定開始当初の日本の順位は115ヶ国中79位でした。
当時より参加国が41ヶ国増えているとはいえ、割合では10位ぐらい後退しています。

主要先進国(G7)のスコア推移


上記グラフは、主要先進国(G7)の全体スコアについて、2006年から2021の毎年の推移を表したものです。1番下の赤色が日本です。

繰り返しますが、スコアは、男性に対する女性の割合で算出されています。
「1.000」に近づくほど、男女格差が少なく、「0.000」に近づくほど、男女格差が大きいことを示します。
2021年の日本の全体スコアは「0.656」でした。

内容をよく見ると、2006年の全体スコアで、0.7以上の国と、0.7未満の国とで分かれていることがわかります。

0.7以上は4ヶ国(ドイツ、イギリス、カナダ、アメリカ)です。「優等生組」と名付けましょう。
そして、0.7未満の国は3ヶ国(フランス、イタリア、日本)です。こちらを仮に「落ちこぼれ組」とします。


上記は、2006年と2021年でのスコアの変化(伸び率)を表したものです。
伸び率のトップ2は落ちこぼれ組だったフランスとイタリア。どちらも2021年でスコアが0.7以上となり、優等生組に追いつきました。
日本だけが落ちこぼれのままです。

分野別スコアで見る「落ちこぼれ組3ヶ国」の変化


次に、落ちこぼれ組3ヶ国の分野別スコア(経済・教育・健康・政治)について、2006年と2021年の変化を見てみましょう。
2021年がピンク、2006年がグリーンです。


フランスは、教育分野のスコアは2006年の時点で1.000で「完全平等」でした。2021年も変わっていませんので横ばいです。
健康分野のスコアは2006年から若干下がっていますが、気にするレベルではないと思います。
経済と政治分野は大幅に改善されていることがよくわかります。


イタリアもフランスと同様、教育分野のスコアは横ばいです。
健康分野のスコアも同じく若干下がっていますが、こちらも気にするレベルではないでしょう。
経済と政治分野はフランスほどではないものの、大幅改善されていることがわかります。


日本。経済分野が若干改善されたものの、他の分野はすべてマイナスです。

まとめ


今回、主要先進国7ヶ国に注目して、データを分析・検証しました。
日本は、15年前と比べて全体スコアがたった0.01しか改善していないという残念な結果となりました。分野別スコアで見ても、経済分野以外はすべてマイナスです。

2006年、日本と同じ落ちこぼれ組だったフランスとイタリアは15年間でがんばって改善し、優等生組の仲間入りをしました。
なぜ日本だけが改善できないのでしょうか?
「そもそも改善する意思が無い」と捉えられても仕方ありません。
これって、ただの怠慢では?

改善策はいくらでもあると思います。しかし、15年前とほぼ変わらないジェンダーギャップのある状況下での即時改善は容易ではありません。
意識の変わっていない大人たちに「意識を変えよう!」と声高に叫んでも非効率です。
とはいえ、せめて、日本の未来を背負う次世代の若者たちに、我々大人の古い価値観を押し付けるのはやめませんか?それ位の意識は持ちたいものです。

そして個人的な意見ですが、改善策としては、教育分野を見直すことが最も重要だと考えています。この件については、来週公開予定の別記事にて詳しく書きましたのでそちらをご覧いただければと思います。

今回の記事を読んで、みなさまはどう感じられましたか?
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ありがとうございました!