【イベントレポート】…

2023年3月6日に京都人権擁護委員協議会男女共同参画委員会の方々に向けて、ジェンダー研修の講師をさせていただきました!今回は「日本で今起きているジェンダー問題を知る」というテーマで研修を行いました。

  • テーマ:日本で今起きているジェンダー問題を知る
  • 主な内容(抜粋):
    • 日本の現状クイズ
    • 昨今の国内のジェンダー問題
    • 実際に生きづらさを感じている方の声を聞く
    • 振り返り
  • 日時:2023年3月6日(月)13:30-15:30(120分)
  • 実施方法:講師のみオンライン
  • 対象:京都人権擁護委員協議会男女共同参画委員会メンバー(12名)

京都人権擁護委員協議会とは

人権擁護委員は法務大臣から委嘱された民間のボランティアで、全国の各市町村に約14,000人が配置されています。京都市では55名の委員が「京都人権擁護委員協議会」を組織し、法務省管轄のもと、都道府県や全国それぞれの連合会と連携した活動を行っています。 委員は、さまざまな分野の経歴などを活かし、日常生活のなかで発生する人権問題について、法務局と連携して、地域の皆さんからの人権相談を受け、問題解決のお手伝いをしたり、人権侵害の被害者を救済したり、地域の皆さんに人権について関心を持ってもらえるような人権啓発活動を行っています。(相談・調査救済・啓発)

登壇者

室田 美鈴(むろた みすず)

【関心のあるテーマ】企業内に残るジェンダー格差の解消、企業や組織文化の改革

【活動歴】大企業での就労経験や夫の海外勤務への帯同を機に企業内に残る性別役割分担意識に違和感を持ち、2021年2月に参画。以降、企業向け事業の立ち上げや男性育休取得推進に向けた企画を実施中。

研修は主に3つのパートに分けて行いました。

日本の現状クイズ

ジェンダーに関連する用語説明を簡単に行った後に、アイスブレイクとして日本の現状クイズと題して、日本国内の政治的/経済的なジェンダー格差に関するクイズを出題しました。

皆さんはお分かりになりますか?

正解以外の選択肢にも関連する数字を使うことで、日本の政治的/経済的なジェンダー格差を広く知るきっかけになるように工夫しました。

ぜひ興味があれば、この数字のそれぞれの意味を検索してみてください。

参加者の中でも悩まれている方が多くいたり、回答が割れたりする問題などもあり、ご自身が想定するよりも日本国内の男女格差が存在することを数値で認識いただくことができたと感じました。

昨今の国内のジェンダー問題 〜ジェンダー課題の背景を政治家の失言から〜

次のセッションでは「政治家の失言から読み解く、日本のジェンダー問題」と題して、政治家の失言やインフルエンサーの炎上発言の背景にある心理や考え方について解説を行いました。

今回はこちらの3名の政治家の女性蔑視発言と女性インフルエンサーの男性に対する差別的発言や固定的な考え方(身長170cm以下の男性は人権がない/デート代は男性が払うべき)を題材にそれぞれの裏にある以下の考え方を解説しました。

  • ミソジニー
  • 世界的に女性の社会進出と少子化進行に相関はない →相関しているのは日本特有の理由がある!(政策/性別役割分担意識など)
  • 過剰適応
  • 男性は3高がモテる!?(非正規雇用の男性の結婚率は正規雇用の半分以下) →女性は雇用形態によって結婚率に大きな乖離はない

昨今ではジェンダーに関する発言で政治家やインフルエンサーが炎上するといったケースが増えてきています。こういった発言が炎上してしまう背景には発信者が「自分自身のジェンダーバイアスに気づいていない」ためと言えます。

誰しもが固定観念やジェンダーバイアスは持っているので、そのバイアスを持っていること自体は問題ではありません。問題なのは自分自身が自分のバイアスに無自覚な状態で発信を行い、その発言によって意図的かどうかは問わず、他人を傷つけてしまうことです。

そのような問題を起こさないためには、今の多様化した価値観を知ることと自分自身のバイアスを認知することが大切であるということをこの項目でお伝えしました。 基礎研修から1歩踏み込んだやや難しい内容でしたが、ご参加いただいた皆様も真剣に話を聞いてくださり、日本国内の問題をご理解いただけたと感じました。

実際に生きづらいと感じている当事者の声を聞く

次に実際に生きづらいと感じている方の声として「男性育休取得者」のインタビュー動画とジェンダーイコール高校生メンバーが作成したショートムービーをご覧いただきました。 こちらの動画は当団体のYouTubeにも上がっておりますので、ぜひご興味がある方はご覧ください!

動画URL:

男性育休取得者インタビュー

・ご夫婦で1年間育休を取得された児玉さん
 ・第3子のタイミングにパートナーが1ヶ月半育休を取得したくるみさん

高校生制作ショートムービー

・「あたり前」って何?
・なぜ男子ばかり厳しく怒られるの?

男性育休取得者インタビュー動画は取得した男性の方に加えて、パートナーが育休を取得した女性の方の声も聞いていただくことで、夫婦としての感じ方などをより広く知っていただけるように工夫しました。

動画を通じて、育休の取得しやすさに依然として男女差が存在すること、その裏には企業や家庭の中で性別役割分担意識が無意識的に刷り込まれているということを感じていただけたと思います。

続けて当団体の高校生メンバーが脚本/監督をしたショートムービーを2本放映しました。 こちらも学校生活の中で女子学生/男子学生がそれぞれ感じる違和感を取り上げ、一方の性に偏らずに幅広い価値観に触れていただけるように工夫をしました。

振り返り(ディスカッション)

動画やこれまでの説明を受けて、ご参加者の皆様の感想や感じたことなどを3-4人のグループで議論をしていただきました。

短い時間にはなってしまいましたが、どのグループも白熱した議論をしてくださっていました。

最後に各グループで話したことを全体シェアいただきました。 その中で、参加者のご家族の家事育児分担に関する話や高校生のショートムービーを通じて些細な発言に対しても人それぞれ感じ方が違うのだということに気づくきっかけになったといったご意見をいただくことができました。

まとめ

最後に京都府内でのジェンダー平等に向けた取り組みを簡単に紹介し、閉会とさせていただきました。

当日はさまざまなご意見やご質問をいただき、時間を大幅にオーバーしてしまいましたが、皆様の関心の高さや課題意識を強く感じ、私自身もとても勉強になる研修でした。

普段から人権問題に取り組んでらっしゃる方々のため、社会課題への意識がとても高く、私たちが捉えられていない視点や取り組めていない問題に対する考え方を伺うこともできました。 私たちの今後の活動に活かせるご指摘も多く、双方にとってとても充実した時間を過ごすことができたと感じました。

また事後アンケート※注1では

  • 課題意識は持っていたが、具体的な問題点を整理してもらい深く理解できた
  • 政治家の発言には違和感を感じていたが、今回の研修を通じてどこに問題点があるのか明確にできた
  • 高校生の動画が普段よく見かける現状の再現で、そういえば・・・と振り返るきっかけとなった

といったコメントをいただき、研修を通じて日本が抱えるジェンダー課題をご理解いただくことができたと感じました。

ぜひ京都府内での今後の皆様の活動に活かしていただけると嬉しいと感じました。改めてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!

※注1:上述の事後アンケート結果は抜粋/一部改訂して掲載しています 私たちはこれからも企業や団体の大小問わず、ジェンダーに関する周知/啓蒙活動を行っていきますのでご興味がある方はぜひ当団体にご連絡ください!

【イベントレポート】…

2023年2月8日(水)・10日(金)、ウィーケン!探求SDGSコース様向けにセミナーを実施いたしました。探求SDGSコースは小学生向けに開講されたコースですので、小学生が理解しやすいよう、クイズや動画などを入れて工夫しました。

本記事では、当セミナー概要について、イベントレポート形式でお届けします。

実施概要

  • セミナー名:ジェンダーについて知ろう!学ぼう!
  • 日時:2023年2月8日(水)・10日(金) 30分x2回
  • 実施方法:オンライン
  • 対象:ウィーケン!探求SDGSコース受講者(約10名)
  • アジェンダ
    1. そもそもジェンダーってなんだろう?
    2. じゃあジェンダーバイアスってなんだろう?
    3. そもそもジェンダーってなんだろう?
    4. じゃあジェンダーバイアスってなんだろう?
    5. ジェンダーバイアスチェックをやってみよう!
    6. ジェンダーバイアスクイズをやってみよう!
    7. 女子高校生メンバーが感じたジェンダーバイアス
    8. 男子高校生メンバーが感じたジェンダーバイアス
    9. まとめ

企業概要

  • 会社名:株式会社ウィーケン
  • 代表取締役:佐々木 亜由子
  • 企業概要:体験の企画・運営、紹介ホームページの運営
  • 公式サイト:https://www.weeek-end.com/

研修講師

田渕 恵梨子(たぶち えりこ)
NPO法人ジェンダーイコール代表理事

東京都北区在住。仕事と育児の両立をきっかけに、日本のジェンダーギャップに危機感を覚える。ジェンダーギャップをなくし、性別に関わらず誰もがキャリア形成・家事・育児をあたりまえに「自分ごと」として捉える社会をつくりたい。その強い思いから、同じ価値観をもつ複数の仲間と共に当法人を設立した。

セミナー内容

セミナーの一部をご紹介します。

ジェンダーってなんだろう?ジェンダーバイアスってなんだろう?

ジェンダーとは社会的・文化的・宗教的につくられた性別のことです。
受講者のみなさん自身が持つジェンダーバイアスに気づき・向き合う機会として、「ジェンダーバイアスクイズ」にご挑戦いただきました。

ジェンダーバイアスの事例

弊団体の高校生メンバーが実際に直面したジェンダーバイアス事例を具体的にご共有し、受講者のみなさまがその立場になった場合どう感じるかについて意見交換しました。

高校生メンバーによる啓発

ジェンダー問題をなくしていくために、当団体の高校生メンバーたちが立ち上がって制作したジェンダーバイアスに関する動画をご視聴いただき、制作の背景や舞台裏についてお話ししました。

ジェンダーに関する絵本の紹介

当団体の学生メンバーが制作した「ジェンダーに関する絵本」の紹介を行いました。

質疑応答・クロージング

セミナーの全体を振り返って、受講者のみなさんに気になった点のご質問や、話を聞いてみての感想をお伺いしました。

参加者の声

一緒に受講された先生方からメッセージをいただきましたのでご紹介します。

  • ジェンダーについて考える大変いい機会になりました。高校生という少し上のお兄さんお姉さんたちが動画を作ったというのも、みんな考えることがあったように思います。
  • 生徒さんたちが、事前にショートムービーをチェックしてくれていて、とってもうれしかったです。感想だけでなく、疑問や意見もしっかり発表していて、未来の日本は明るいと感じられたとともに、改めて御社の取り組みは素晴らしいなと思いました。

今の日本の教育は一見ジェンダー平等に見えるものの、実際中に入ってみると、まだまだ無意識のジェンダーバイアスに溢れています。
当団体では、こういった状況では子どもたちが本来の能力をすべて発揮することは難しいのではないかと懸念しています。
子どもたちが性別に関わらず自信をもって成長していくためには、民間の力による子どものサポートが必要不可欠です。
今回は、そのような課題意識をもったウィーケン!様にお声がけいただき、当団体がお力添えさせていただけたことを心よりうれしく思っております。
ありがとうございました。

ジェンダーイコールと一緒に、社内研修を実施しませんか?

詳細はこちらにてご確認ください