−− みなさん、こんにちは。NPO法人ジェンダーイコール代表の田渕です。
ジェンダーイコールメンバーインタビューvol.3は、「メイクのジェンダーボーダレス社会」を目指す、高校3年生の田中 万貴(たなか まき)さんにお話しを伺いました。
まきさんは高校生という立場で「メイクのジェンダーバイアス」に疑問を感じ、ジェンダーイコールの活動に参加してくれました。
インタビューをしている中で、まきさんは日常のさまざまな経験を1つ1つを自分ごととして捉え、考え、調べて、問題意識につなげていることがわかりました。素晴らしいです。とても興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
コメントへの感想もお待ちしています!
ジェンダー問題に興味をもったきっかけは?
私は、3人姉妹の末っ子です。姉たちの影響もあり、小学校高学年頃からずっとメイクが大好きでした。
高校生になり、飲食店でアルバイトをはじめました。ある日、男性の店長と雑談をしていると、女性の先輩に対して、
「◯◯さんはバイト初日にすっぴんで来てんでー。さすがにすぐに化粧させに行ったわー。」
と言われました。
おそらく店長は、メイクをしていた私とその先輩を比較して言ったんだと思います。
私はこのエピソードを笑いながら話されたことに怒りを感じました。
疑問を感じませんか?
先輩に化粧をするように命令している店長自身は化粧をしていないのです。
この疑問をきっかけにいろいろ調べてみると、化粧は女性が行わないと不快感を与え、逆に男性が行うと不快感を与えるという矛盾した問題があることに気づきました。
その後「ジェンダー」という言葉を知り、この疑問は「ジェンダーバイアス」からくるものだということに気がつきました。
ジェンダーという言葉を知ったきっかけは?
これらの経験から化粧について深く調べていく中で、「化粧は女性の身だしなみ」という言葉を見つけて違和感を感じました。違和感の原因を調べていると、女性が職場でパンプスの着用を強制されていることにNOの声を上げる「KuToo運動」の記事を見つけて、そこで「ジェンダー」や「ジェンダーバイアス」という言葉を知りました。
これらの言葉を知ったことで、「女性が化粧をしているのがあたりまえ」という考え方や、先ほどの「化粧は女性の身だしなみ」といった言葉はすべて「ジェンダーバイアス」なんだということに気づきました。
男性も自由にメイクができる社会をつくりたい
以前授業で、LGBTQ+の講演があったからか、うちの学校では、LGBTQ+に対して違和感をもつ生徒は少ないように思います。
通っている塾では、化粧に興味があると言っている男性の先生もいました。
そういう背景から、男性も自由にメイクができる社会をつくりたいと思うようになりました。
メイクのジェンダーバイアス
今の社会では、「化粧=女性」という価値観が根付いていますが、歴史を遡ると、江戸時代までは男性が化粧をする文化があったそうです。
男性の化粧が否定されるようになったのは明治維新後。富国強兵政策の元で、兵力とされた男性の化粧が否定され、いつしか「化粧は女性がするもの」という価値観が定着したようです。
家庭では祖母や母親や姉妹、学校では女性の先生だけが化粧をしています。それを見て育つ子どもたちは「化粧=女性」という価値観を持ってしまいます。そしてその子どもたちが大人になり、同じ価値観の刷り込みがくり返されることで、いまだにバイアスが再生産されているように思います。
メイクは、コンプレックスを隠したり、なりたい自分になれたり、たくさんの「プラスの力」をもつツールです。こんな魅力的なツールが性別で固定されているなんて、もったいないと思いませんか?
私はメイクのジェンダーバイアスをなくしたいです。性別に境界線を引かない社会をつくりたい。
性別に関係なく、男性も自由にメイクができるようになれば、もっと楽しくてワクワクした社会になると考えています。
「男性向けコスメ」で感じること
最近はオンラインミーティングが普及して、画面に映る自分が気になってメイクに興味をもつ男性が増えているようです。
そのような影響もあり、男性向けコスメはどんどん増えてきています。
しかし、まだまだ女性向けコスメのバリエーションには及ばず、スキンケアが中心のコスメが多いように感じます。
ポイントメイクとか、女性が当たり前に使っているコスメがもっと男性にも広がれば良いなと思います。
メイクをして変わる自分に気づいたら、さらにメイクに興味をもつ可能性があります。
でも、化粧品売場には圧倒的に女性店員が多いのが現状です。これだといくら売り場に男性向け化粧品があったとしても、男性は抵抗感を持ってしまいます。男性向けの化粧品が広まりにくいのは、このことも原因の1つではないかと感じています。
男性店員がもっと増えて、男性が近づきやすい雰囲気になってほしいです。
そして、パッケージデザインもシンプルなものが多いので、もっと多様な選択肢が広げたいです。そうすれば、男性向けコスメがもっと普及するように思います。
将来の夢
私は将来「ジェンダーレスコスメブランド」を作りたいと思っています。
既存のジェンダーレスコスメはシンプルなものが多いので、もっと多様なアイデンティティに合わせたパッケージデザインや、肌の色に合わせてカスタマイズできる化粧品を開発したいです。
そして、メイクでコンプレックスを隠せることのメリットを、男性にもどんどん広めていきたいです。
メイクのジェンダーボーダレスを実現することで、もっとお互いがわかりあえる社会になる思うし、他のジェンダーバイアスも改善されていくと信じています。
−− まきさん、ありがとうございました!
8月8日・15日・18日・22日の4日間に渡り、ジェンダーイコールの高校生メンバー4人が【無料Zoom】高校生が伝えたい、ジェンダーの話 を開催します!
まきさんは「DAY2:8/15(日)14:00-15:45 メイクと ジェンダーの関係」で講師を務めます。こちらから簡単に申し込めます。みなさまのご参加をお待ちしています!!!
インタビュアー:田渕 恵梨子(NPO法人ジェンダーイコール代表理事)